退屈ブレイキング

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ブッダに教わるマインドフルネスの実践術。『反応しない練習』レビュー


はじめに

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こんにちは、DAIMAです。
今回は、中学校中退→東大法学部合格を経て
仏教徒になられたという
異色の経歴をお持ちの、
草薙龍瞬氏の著書『反応しない練習』をご紹介します。

ブッダ原始仏教の教えをテーマとしていますが、
読みやすく優しい文章で書かれており、
不安やイライラする気持ちに悩んでいる方や、
ここ一番で緊張したくない方のための、
マインドフルネスの実践的参考書としての
色が強い一冊に感じました。

仕事や人間関係の苦しみの原因は?

初めに本書では、悩みを解決するためには、
悩みを無くすことを考えるのではなく、
悩みを「理解」することが大切だと説きます。

生きることには"苦しみ"が伴う。
苦しみには"原因"がある。
苦しみは"取り除くことが出来る"。
苦しみを取り除く"方法"がある。
―サルナートでの五比丘への開示 サンユッタ・ニカーヤ

さらに、仕事や人間関係の悩み、苦しみの正体は
執着」であるとし、その執着を手放すためには
より深い原因である「心の反応」を理解し、
コントロールする必要があるとしています。

感情を上手くコントロールするには?

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心の状態をラベリング(分類)してみる

しかし、「心の反応」が悩みや
ストレスの原因だと言われても、
他人の評価や噂話など、
気なるものはどうしても気になりますし、
頭の中で無理に反応を抑え込もうとすれば、
余計に周囲が気になってしまいますよね。

そこで本書では、
そんなムダな反応に対処する方法として、
客観的に自分の心の状態を見る
ことを勧めています。

これは、具体的に説明すると、
例えば、会議や人前で緊張している時には、
今、わたしは緊張している」というように、
頭の中で言葉にして確認します。
また、怒りやイライラする気持ちに対しては、
今、わたしは怒りを感じている
というように、自分の心の状態を、
一度脳内で文章化して、再確認してみることです。

これは実際にやってみると分かりますが、
自分の心の状態をありのままに把握し、
ラベリング(ラベル付け)して分類することで、
張り詰めていた感情がスーッと楽になってくれます。

私の場合、
上司に仕事の成果を報告する際や、
苦手な同僚と関わるときなど、
自分は今、緊張しているな…
変なこと言われないか不安に思っているな…
などと意識することで、自然と気持ちが落ち着き、
苦手な状況にも、以前より冷静に
対処できるようになりました。

この、感情のラベリングという
メンタルケアのテクニックは、
現代の心理学ではレジリエンス(逆境力)
を高めるために活用されており、
紀元前のインドで、このような現代的な対処法に
たどり着いたブッダの慧眼に驚きます。

体の感覚に意識を向けてみる

ふたつめに紹介されている方法が、
自分の体の感覚を意識する方法です。

たとえば、お腹に手を当ててみて、
その膨らみを意識しながら呼吸を数えてみます。
吸うときにひとつ、吐くときにもまたひとつ。
それをゆっくり10回も繰り返せば、
かなり気持ちがすっきりして落ち着いてきます。

また、歩きながら歩数を数えたり、
足の裏に伝わる感覚に意識を集中させたり、
呼吸の感覚を鼻先で感じ取るよう意識することも、
現実の感覚に意識を向けるために有効な手段です。

このような肉体の感覚を意識する集中法や、
前述した感情のラベリングは、ブッダの生きていた
当時はサティ(sati)と呼ばれており、
現代ではマインドフルネスと呼ばれています。

マインドフルネスは、アメリカでは
学校や企業でも積極的に取り入れられており、
ストレス軽減や脳疲労回復の効果が
期待されているそうです。

心の状態を分類する

3つめは自分の心の悩み、苦しみの原因を
おおざっぱにグループ分けする
方法です。

ここで登場するグループは
貪欲」「怒り」「妄想」の3つ。

貪欲」は求めすぎる心。
つまるところ他人に過剰に期待する心であり、
本書では、人間関係の悩みのほとんどは
この貪欲から来る
と断言しています。

怒り」には、他者への不満、不快はもちろん、
自己嫌悪や過去への未練も含まれます。
本書では、「怒り」もまた、
理解することで解消される
としています。

妄想」は、頭の中であれこれ不要な事を
考えてしまう状態の事を言います。
妄想には、将来に対するぼんやりとした不安や、
あれもこれもやらなきゃという、
焦りの気持ちも含まれており、これらは
無意識のうちにハマってしまうことが多く、
中々対処が難しい
ものでもあります。

本書では、妄想に対する有効な対処法として、
日ごろから、妄想している状態と、
妄想以外の状態を区別する習慣をつける方法が
紹介されています。

その具体的な方法として、
目をつむって頭の中でイメージを膨らませ、
しばらく脳内で好きなように想像したところで、
目を開き、周囲の景色をじっくり
眺める方法が紹介されていました。

目を開いたとき、そこに見えるものは、
光が網膜を通して伝える現実のみで、
想像上の妄想は消えて無くなってしまいます。
このトレーニングを日常的に行うことで、
現実と妄想の区別がはっきりつくようになり、
妄想に執着することがなくなると説いています。

判断するクセをなくす

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感情のラベリングや体の感覚に目を向ける
マインドフルネスの実践法も興味深かったですが、
次にご紹介する「ムダな判断をしない」という章も、
なかなか納得させられる内容でした。

ここで語られる「判断」とは、
あの人は嫌いだ」だとか、
私はあの人より優れている/劣っている」だとか、
こんな仕事に意味なんかない」だとか、
どうせ自分なんて」といった自虐も含めて、
私たちが日ごろからやりがちな
決めつけ」や「思い込み」を指しています。

そして龍瞬氏は、これらムダな判断を無くすことで、
人生はずっと生きやすくなるのだと語ります。

ムダな判断をしないためには

ここでいう「判断」とは、
他人に対する好き、嫌いの評価だけでなく、
どうせ自分なんて」という自虐も含まれており、
龍瞬氏は、人が悩んでしまう理由は、
この「判断しすぎる心」にあると喝破します。

目覚めた者は、人間が語る見解、
意見、知識や決まりごとに囚われない。

彼は、善し悪しを判断しない。
判断によって心を汚さない。
心を汚す原因も作らない。

ブッダは、正しい道(方法)のみを説く。
かくして「わたしが」という自意識から自由でいる。

スッタニパータ〈心の正常について〉の節

私も、この「無駄な判断をしない」という心がけを、
本書で知って生活に取り入れてみたところ、
以前と比べてずっと穏やかな気持ちで
日々を過ごすことができるようになりました。

普段からなにかにつけて、〜は○○だから嫌いだ、
〜は××だから気に入らない
、といった判断をしがちな方は、
ぜひ、この無駄な判断をなくす思考法を取り入れて、
余計な消耗を避けることをおすすめします。

総評

マインドフルネス、レジリエンスといった
現代的で科学的なメンタルケアの概念と、
太古のブッダの教えに共通性を見出すという、
とても興味深い有益な一冊でした。

ただし、テーマの方向性としてはメンタルケア > 仏教であり、
現役の僧侶が書いた書籍として、
仏教の深い知識を期待して読むと、
肩透かしを喰らうかもしれません。
(amazonレビューでも、おおむね高評価ですが、
上記のような理由から低評価のレビューも散見されます。)


今回ご紹介したマインドフルネスの実践法以外にも、
仏教的な思考法でやくざの男と友達になった著者の体験談や、
自信がない人が自分に自信をつける方法、
他人と比べない方法など、ためになるお話が
いっぱい詰まった良著です。
気になる方は、
一度手に取られみてはいかがでしょうか。

kindle版もあります