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退屈ブレイキング

マンガ、ゲームとiPad Pro関連を中心に、世の中にある素敵なものをじっくりねっとり伝えるブログ。

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ジョジョASBはなぜ酷評の嵐を受けたのか

ジョジョの奇妙な冒険 ゲーム


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まえがき

映画化は"朗報"だったのか?


先週、監督三池崇史、主演山崎賢人による

ジョジョ第四部の映画化が発表されましたね。

この発表は、Yahooニュースなど

ポータルサイトでも取り上げられ、

大きな反響を呼びました。

(ジョジョの記事を多く扱うこのブログも、

発表直後はアクセスが急上昇しました。)


ですが、私はこの発表を知ったとき、

驚きはしたものの、素直に喜ぶことは出来ませんでした。

昨今のマンガ原作の実写化は、

ごく一部の例外を除き、惨憺たる様相を呈しており、

(例:デビルマンドラゴンボールテラフォーマーズetc…)

ましてや今回は、日本人離れしたキャラクターや、

アクの強い作風が特徴のジョジョの実写化ということで、

正直なところ、期待5不安95といった心境です。



そしてこの映画化の話題は同時に、

かつて同じように世間の耳目を集めながら、

ファンの期待を裏切り、散々な酷評を浴びた、

とあるジョジョのゲームを私に思い出させました。

ASBというゲーム

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ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル」というゲームをご存知でしょうか。

バンダイナムコゲームスが販売元、CC2が開発を担当し、
2013年9月に発売されたPS3向けの対戦格闘ゲームです。

TVCMや電車広告、アルタ前でのPV発表など、
派手なプロモーション活動を行っていたので、

ジョジョのファンでなくても、覚えている方も多いと思います。


このゲーム、結果から申し上げますと、

初週40万本以上を売り上げる大ヒットを記録し、

商業的には大きな成功を収めました。


これは、コアなファン層が中心の

ジョジョのキャラクターゲームとしては、

驚異的な本数といえます。


ですが、発売後のプレイヤーからの評判は散々なもので、

ネットではゲーム内容に対する批判や不満が噴出し、

初週の終わりには、中古買取価格が500円まで落ちるなど、

今では、売り上げと評判に、かつて無いほどの

差が生まれたゲームとして語り草となっています。


もちろん、私もこのゲームを購入&プレイ済み。

続々と発表される美麗PVのたび期待を増し、

発売日数ヶ月前にはフルプライスで本作を予約し、

いよいよ迎えた発売日には、

その内容にガックリ肩を落とした記憶があります。


(ちなみに売り上げ本数全体のうち42万本が初週の売り上げで、

二週目には2万本足らずと、売り上げの推移を見ると、

数値にして95%もの下落率を記録しています。)


この記事では、

の二点を軸として、

オールスターバトルの振り返りを行います。


それでは、少々長い記事にはなりますが、

最後までお付き合いいただければ幸いです。



何がユーザーを怒らせたのか

疑惑のファミ通満点レビュー

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ASBにまつわる問題について、

このファミ通レビュー騒動について

触れないわけにはいきません。


日本一有名なゲーム情報専門誌「ファミ通」に、

スタッフがゲームの感想を採点する

クロスレビューというコーナーがあります。


このコーナーは、スタッフが発売直前のゲームをプレイし、

公平な立場でレビューと採点を行うものですが、

このクロスレビューで、
ジョジョASBが40点満点の快挙を達成したです。


過去にファミ通のレビューで満点を獲得した作品は、

など、そうそうたる面々ばかり。

そんな栄えある満点の称号を、

ジョジョASBが発売前に得てしまったわけです。


この採点には、当初から疑問の声が多く聞かれましたが、

ASBが発売され、その中身が知られるに至っては

採点を疑問視する声が大多数となってしまいました。


私は経験上、ASBを批判的な視点から考えてしまいますが、

どれだけフェアな視点で見ても、

  • ファンに向けたキャラクターゲームであること
  • 格闘ゲームとしてもても不完全な要素が大きいこと
  • 公共のレビューでは賛否が大きく分かれていること
…などを考慮すれば、ファミ通ジョジョASBに対し、
40満点を付けた事は明らかに不自然です。


この騒動から生じた批判によりジョジョASBは、

発売元のバンナムによるレビュー操作という

疑惑と汚名を被ることとなったのです。

(同時に、ファミ通のレビューの信用も下落しました)


発売直前まで課金要素を隠ぺい


パズドラやジョジョssなどのソーシャルゲームでは、

体力制と呼ばれるゲームシステムが一般的です。


これは、プレイヤーが行動するたびに行動力を消費し、

行動力を回復するためには、時間経過を待つか、

課金アイテムを利用する必要があるというものです。


このシステムの(企業にとっての)有効な点は、

プレイヤーへ課金を促す効果があることです。

反対にプレイヤーにとってのメリットは、

プレイ可能時間による格差が小さくなる点でしょうか。


なぜ、こんな説明をしたかというと、

ジョジョASBが、据え置き機のゲームでありながら、

この体力制をゲーム内に盛り込んだためです。


キャンペーンモードという、CPUを倒して

キャラのコスチュームや名言を集めるモードで、

行動に時間による回復が必要な体力制と、

その体力を回復する課金アイテム

「ごま蜜団子」が実装されていたのです。

(スピードワゴンの、「無料で遊べちまうんだ!」の迷言はここから産まれました)


しかも、体力性が導入されただけならまだしも、
このキャンペーンモードの存在は、

発売日直前まで公式サイトにも掲載されず、

消費者には完全に隠匿されていたのです。


加えて、キャンペーンモードそのものも

単調な動きのCPUと延々戦うだけという、

工夫も面白みもない内容というオマケつき。


明らかに企業が設けたいためだけのモードを、

発売ぎりぎりまで隠して売りつけるやり口は、

大いにユーザーの怒りと顰蹙を買いました。


対戦格闘ゲームとしての評価


商品としては問題の多い本作でしたが、

ゲームとしての面白さはどうだったのでしょうか。

まずは評価点から振り返ってみたいと思います。

グラフィックはベネ(良し)


ASBの良いところを挙げるなら、

まずはグラフィックと演出です。


ASBのモデルは、

原作のイメージを崩さない造形で、

動作やポーズも随所に原作の再現が見られます。


キャラのボイスも概ねイメージ通りで、

ジョニィの『それしか言う言葉が見つからない』や、

吉良の『植物のような~』などの大好きな名言を

ボイス付きで鑑賞できたのはうれしい体験でした。

(特に億泰とエルメェスがハマっていました)


また、超必殺技のHHAやGHAの演出もド迫力で、

初めて見た時はかなり惹きこまれました。


次に、ゲームとしての欠点や

問題点を挙げていきます。

初心者向け = 底が浅い 事ではない


ASBは、初心者向けの格闘ゲームを謳っており、

公式サイトのシステム解説ページでも、

ゲーム初心者だって安心』と主張しています。

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確かに、基本コンボは1ボタンの連打で完走でき、

コマンドにも複雑なものはありません。

2ゲージ技のGHAも、ボタン一つで使えます。


ですが、その配慮が格闘ゲーム初心者にとって

本当に有意義だったのかは甚だ疑問です。


格闘ゲーム初級者の私の実感としては、

操作が簡便になった恩恵よりも、

やらされている感や、

コンボの自由度の無さを強く感じました。

ゲームバランスが狂ったのか!?


当初、このゲームで流行った戦術は、

二部ジョセフで空強K(通称GEOキック)を振ることでした。


このキックは攻撃判定が非常に強く、

適当に振るだけでもめくり扱いになり、

格闘ゲームに慣れない初心者にとっては

特に脅威となったのです。

(※めくり = 相手を飛び越えて攻撃を当てることで、

ガードを揺さぶる格闘ゲームのテクニック)


この戦法の最悪な点は、

負けた被害者がASBをGEOに売り払うだけでなく、

ジョセフを使いこの戦法で勝った側からしても、

非常につまらない事なのです。


ジョジョの戦闘の醍醐味といえば、

特殊能力や周囲の環境を活かした頭脳戦

それなのに、上記のような

ワンパターン戦法がまかり通るとなると、

ジョジョの魅力そのものを

真っ向から否定されたような気持ちがします。


私もオンライン対戦をある程度こなしましたが、

GEOキックのようなワンパターン戦法を繰り返す相手に当たった時の

どうしようもない空しさは忘れようがありません。

(もちろん、工夫を凝らした戦術を見せてくれた

素晴らしい対戦相手も数多くいましたが、

それでもASBは、それで勝ててしまうからと

ワンパターン戦法を使うプレイヤーが多すぎました)

※悪いのは、結果的にそんな状況を許してしまった開発側です。


また、上級者や、やり込んだプレイヤーなら

本作を楽しめるかというとそれも疑問です。

例として、こちらのブログでは、
ASBを「単純に一人用としても対戦用としても面白くない」と切り捨てています。


おまけに対戦モードで戦えるCPUのAIも貧弱で、

最強Lvであっても立ち回りもコンボも全てが中途半端です。

スト4のCPU戦をこなした後など、

その出来の違いに悲しみが沸き上がるほどです。


加えて、肝心のオンライン対戦も、

初期は回線状態が安定せず、

試合中にのガタつきが頻発する有様。


場合によっては、わざとガタつきが出やすいステージ(ケープカナラベルなど)を選び、

ガタつきに左右され辛いワンパターン戦法で勝ちやすくするといった、

あんまりな手をつかうプレイヤーまで出てくる始末でした。

餅は餅屋


なぜASBがここまで格闘ゲームとして

面白くない作品になってしまったかと言えば、

(売るために)初心者向けを意識するあまり

格闘ゲームの専門家の意見を

積極的に取り入れなかったことが大きいです。


ソースは伝聞ですが、CC2の松山氏はインタビューで

『「格ゲー」という対戦ツールを作る気はさらさらない。

誰を使っても力を発揮できる、

バランスが整ったツールは作りたくなかった。』


と語ったそうです。


確かに、言いたい事は多少は分かりますが、

それを言うなら初めから格ゲーである必要は無かったわけで、

ゲームが面白くない理由にはならなかったと考えます。


ゲームバランスについては開発側も危機感を感じていたようで、

発売後しばらくしてゲームバランスを調整するパッチの配信を行いましたが、

ASBはつまらないという世間のレッテルを覆すには至りませんでした。


三部アーケードという巨峰

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ここで、過去発売されたジョジョゲーと、

ASBが格闘ゲームを選んだ理由について触れます。


ASBが格闘ゲームというジャンルを選んだ理由は、

カプコンが1999年に発表した、

ジョジョのアーケード向け2D対戦格闘ゲームの影響が大きいと考えます。


このゲームは、スタッフの深い原作愛による各種再現要素や、

スタンドシステムの斬新さが口コミで話題を呼び、

PSやドリームキャストへ家庭版が移植され、

続編、未来への遺産が発売されたほどの人気となりました。


その人気は今も根強く、

2012年にはPS3でHD版が発売され、

今でも各地で小規模な大会が開かれるほどです。


ASBが、この作品から影響を受け、

現代の最先端のグラフィック技術で、

3部以外のキャラクターも動かせる

対戦格闘ゲームを作るという理想に至ったことは、

ごく自然な流れだといえるでしょう。


支持の理由は、純粋にゲームとしても面白かったから(ASBとはちがう)


三部アーケードも、対戦ゲームとして

決してバランスが良いわけではありませんでした。


スタンドシステムを持つキャラと、

そうでないキャラの間には大きな能力差があり、

1ゲージあれば永久無敵のアンクアヴや

格ゲー史に残る壊れキャラ、ペット・ショップもいます。


また、これは格闘ゲームの宿命なのですが、

ASBよりもコンボもシステムも複雑な本作は、

熟練者と初心者の間に、

決定的な実力差が生まれ、

初心者が楽しみ辛いという欠点もあります。


ですが、三部アーケードはASBと違い、

ゲームとして高い評価を受けています。

これは、ひとえに格闘ゲームを作り続けてきた

カプコンのノウハウに寄るところが大きいと思います。


バランスは悪くても、

駆け引きやコンボの楽しさなど、

格闘ゲームとしての肝は外さなかったからこそ、

プレイヤーからの支持を得たのではないでしょうか。


もっとも、原作愛はASBも負けていませんでしたので、

ここは、もとゲームとしての面白さを追求してくれれば…

と悔やまれる部分でもあります。

ジョジョゲーは地雷も多かったけれど…


もちろん、歴代のジョジョゲーの中には、

ASBのように評判が良くないものも存在します。

(むしろ高評価の三部アーケードがレア)


例えば、PS2ファントムブラッドは、

爽快感のないチマチマした戦闘が不評でしたし、

SFCジョジョの奇妙な冒険などは、

ポルナレフが書店員になっていたり、

承太郎がトイレで小をしてストレスを下げたり、

ダービー兄弟が真っ向から肉弾戦を挑んできたりと、

正気を疑うような出来栄えでした。

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ですが、それらの作品とASBの決定的な違いは

大規模な宣伝活動から生じた圧倒的な話題性です。

売るために注目を集めすぎて、

その為に却って大きな反発を生む結果となりました。


結論

期待は諸刃の刃


私は、ASBがあれほどバッシングを受けた理由は、

開発側がファンの立場を公言しながら、

結果的にファン心理を利用し裏切ったことによる

反動にあったのではないかと考えます。


子供のころから大好きな漫画原作を

ゲームソフトとして開発できる喜びを、

開発中ずっとスタッフと共有し

覚悟と信念を持って成し遂げました。
(こちらから引用)


ASBの開発が進んでいた中で、

上記の開発者メッセージを見て私は、

この人なら本気で面白いジョジョのゲームを

作ってくれるという期待を感じたものです。


だからこそ、フタを開けた時の落胆も大きく、

『裏切られた』感の増幅に繋がったのです。


逆に、初めからビジネスとして

淡々と開発が進んでいたら、

あれほど大きなショックは

受けなかったのではないでしょうか。

さいごに


批判に傾いた内容となりましたが、

ASBというゲームが生んだ騒動を、

今後も決して忘れてはいけないという思いと、

ジョジョ映画化に対する不安を整理するために

今回の記事を書かせていただきました。


私が言いたいことはただひとつ、

ファンを相手にものづくりをする時は、

『どんな手を使おうと…売れればよかろうなのだァ-』とは考えずに、

もっとファンが喜ぶ作品を、純粋に追及してほしいという事です。

企業が利益を追求するのは当然ですし、

口で言うのが簡単な事は百も承知ですが、

ASBの悲劇だけは二度と繰り返してほしくないものです。



そういえば、去年ASBの続編として

PS3&4からアイズオブヘブンが発売されましたね。

売り上げが4~5万本に留まったことを見ると

面目躍如とはいかなかったようですが…

(ゲームとしての評価はまずまずの様です。)

私はASBのショックから立ち直れず未購入です。


それでは、これで最後となりますが

今度の第四部の実写化が、

私のチンケな不安を吹き飛ばすほど

素晴らしい結果になることを

心から願っています。

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