退屈ブレイキング

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面白すぎる心理学。名著ファスト アンド スローに学ぶ7つの心理効果

身近に潜む心理学

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こんにちは、daimaです。本日は、
ノーベル賞を受賞した心理学者である
ダニエル・カーネマン氏の著書
「ファスト アンド スロー」から、
日常に潜む7つの心理効果をご紹介します。

本書で紹介されている心理効果は
買い物、恋愛、仕事、人間関係など
知っておけば生活のあらゆる場面で
役立つものばかり。

本記事では、それら心理効果を
書籍の内容に沿った上で
分かりやすい例を加えてご紹介します。
それではどうぞ、お楽しみください!


「早い思考」と「遅い思考」

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まず、書籍のタイトルにもなっている
「早い思考(ファストシンキング)」
「遅い思考(スローシンクング)」
とはいったいどういうものなのか。

二つの思考の違いを実感するために、
本書から例題をひとつ引用してみました。
次の問題に、なるべく時間をかけずに
答えてみてください。


バットとボールはあわせて1ドル10セントです。

バットの値段はボールよりも1ドル高いです。

さて、ボールの値段はいくらでしょうか。


さて、いかがでしょうか。
10セントと答えてしまった方は
残念ながら不正解です。

正解は5セント

(1ドル5セント+5セント=1ドル10セント、
1ドル5セント-5セント=1ドル)

この単純な問題の驚くべき点は、
全米屈指の秀才たちが集まっているはずの
ハーバードマサチューセッツといった
有名大学の学生を対象にした実験で、
この問題に対して50%以上
誤った回答...「10セント」を答えてしまった
という衝撃的な実験結果にあります。

なぜ、こんな問題に人は騙されるのか?
正解したとそうでない人の違いは何か?
本書では、「早い思考」の存在が
その答えであると解説しています。

楽だけどアバウトな早い思考

人間の脳は、体全体の18%もの
ブドウ糖を消費する大食らいの器官であり、
頭を使って思考するという行為は
非常に大きなエネルギーを要します。

「早い思考」
そんな脳が、無駄なエネルギーの
消費を避けるために備えている、
省エネのための思考法なのです。

例えば、表情から相手の感情を推測したり
運転歴のあるドライバーが危険を予知し、
見通しの悪い道で自然と速度を落とす
のは、
「早い思考」の働きによるもの。

「早い思考」の働きは動物としての
生存本能に深く根ざした機能であり、
頭を使ったという時間すらないほどに
素早く反射的に行われます。

このように、
人間が動物として生き延びるために
重要な早い思考ですが、
複雑化した現代社会には
早い思考でカバーしきれない領域が
あまりに多く存在しています。

先ほどの
バットとボール問題に話を戻すと、
文面を目にした時点で、早い思考が
そこに書かれた3つの数字から
(1ドル10セント - 1ドル = 10セント)
という単純な計算式を瞬時に作り上げ、
多くの人がその答えを深く考えずに
鵜呑みにしてしまったがために
誤答してしまったという理屈だったのです。

早い思考は、数字に対して
誤った認識を持つケースが多く、
統計学者でもあるカーネマン氏は
特に統計的事実と直感の間には
信じがたいほどの隔たりがあることを
書籍の中で指摘しています。

論理的で怠け者な遅い思考

続いて、早い思考と対をなす、
「遅い思考」について説明します。

例えば、2つの転居先候補の情報を
見比べて、どちらに住むべきかを判断したり、
17×24のような複雑な計算をする場合は
遅い思考が活躍します。

実際に17×24の計算をしていただけば、
大抵の人は10秒くらいの集中が
必要であることが分かります。

また、慎重な人なら
暗算で答えを出した後も
その答えが本当に正しいかどうか
何度か検算をするかもしれません。

このように、遅い思考は
直感的でないため時間がかかり
脳への負担も大きいものの、
早い思考と比べて性格で
客観的に物事を
考えられる性格を有しています。

バットとボール問題に
正しく5セントと答えられた方は、
この遅い思考がきちんと働いたからこそ
正しい答えにたどり着くことができた
というわけですね。

直感と統計のずれ 職業ステレオタイプ問題

ここでもう一つ、
興味深い問題を用意して見ました


日本の全人口から無作為に
抽出したA子さんがいます。

A子さんの友人はA子さんの人柄について
次のように描写しています。

「A子さんは正義感が強く、自分の主張をはっきり言い、
リーダーシップがあって外交的な性格です。」


さて、A子さんの職業は女性政治家でしょうか、
それとも保育士でしょうか?

この文章を読めば、
A子さんの性格が女性政治家の
ステレオタイプに当てはまることは
誰もがすぐにピンときます。
そして、直感的に従うなら
A子さんを女性政治家だと
判断するのは当然のことに思えます。

ですが、ここで気をつけたいのが
あくまでもA子さんは
日本の全人口から無作為に抽出された
一人である、ということです。

統計的事実に基づけば、
日本の政治家の総数は700人程度であり、
しかも女性となればそのうち1割程度。
日本全国に80人程度しか
存在しないわけです(H27年)。

対して、保育士は全国に44万人以上いて(H20年)
その上女性の割合が9割以上を占めています。

仮に、上記の性格に当てはまる
女性保育士に限定したとしても、
女性政治家の総数を
大きく上回っているはずであり、
合理的な判断に従えば、
A子さんの職業は統計的に
政治家よりも保育士の確率が高い

答えることができるわけです。

ですが、人間の脳は
統計や数字によるデータよりも
早い思考による楽で直感的な
判断が大好きなので、
ついつい印象の評価に
判断が引っ張られがちになるのです。

なかなか難しい話ですが、
あえて直感を信じない方が
正しい場合もあるということですね。

これまでのまとめ

ここまでの実験で、
早い思考と遅い思考の違いを
体感することができました。

ここから学べることは、
私たちが日常的に行なう判断の多くは
早い思考が無意識のうちに決定していて、
しかもその判断は、必ずしも
信頼が置けるものではないということです。

これはなかなか恐ろしいことで、
私たちが自分で選んだと思ったことが、
実は外部からの影響によって
コントロールされた結果だった
という可能性も十分に考えられるのです。

「ファストアンドスロー」では、
この他にも様々な心理トリックを通して
私たちが無意識に働かせている
直感的な判断システムに対して
徹底的な懐疑を投げかけています。

そして、
この疑いの深さこそが本書の真価であり、
私が本書をおすすめする
最大の理由でもあります。

それでは引き続き、本書で紹介されている
「早い思考」「遅い思考」以外の
興味深い心理効果にも目を向けてみましょう。

人は見た目が9割!?「ハロー効果」

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ある人の一部分の評価
(容姿、意見など)に引っ張られて、
関係ない他の部分の評価にまで
バイアスがかかってしまう心理効果。

後光効果とも呼ばれています。

本書では、実験によって
当選した米国の政治家の7割以上が
一般的に仕事ができると思われがちな
外見的特徴をもっていたことを
明らかにしています。
(がっしりとしたあご、余裕のある笑みなど)

また、有名人の紹介した商品が
その品質までも優れていると判断されがちなのも
このハロー効果によるものです。

私たち消費者としては、
そういったノイズに惑わされず、
客観的な品質基準をものさしにして
本当に価値のある商品を選ぶ
よう
心がけたいところですね。

伝え方で売り上げUP!?「フレーミング効果」

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同じ意味を持つ情報でも、
提示の仕方(フレーミング)
異なるだけで、受ける印象が
全く違うものになる心理効果。

例えば、手術前に医者から
「手術後の死亡率は10%です」
と伝えられる場合と、

「手術後の生存率は90%です」
と伝えられる場合では、
受け手の手術に対する不安感は
全く違ったものになります。

ビジネスの場面では
頻繁に利用される心理効果であり、
高い商品、真ん中の価格の商品、
安い商品が並んだ時に、
真ん中の商品の売れ行きが伸びるのも
このフレーミング効果によるものです。
(一番高いものは躊躇してしまうし、
安すぎるものは品質で心配になる。
そこで、多くの人は安牌を選ぼうとして
真ん中の価格の商品を買ってしまう)

また、健康商品の通販番組で
価格を1日あたりXX円と表現したり、
栄養ドリンクをビタミン1g配合ではなく
ビタミン1,000mg配合と宣伝するのも
同様にフレーミング効果を狙ったものです。

消費者の側としては、
こうした巧妙な言い回しに
引っ掛けられないように
気をつけたいものですね。

人の能力を100%引き出す方法「フロー理論」

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個人的に、「早い思考、遅い思考」と並んで、
特に本書で興味深かったのが
ミハイ・チクセント・ミハイ博士
提唱したフロー理論です。

その内容は、以下の条件が揃った時、
人間は最高のパフォーマンスが発揮できる
「フロー状態」に至ることができる

とするものです。

  • 自分の能力ギリギリの課題に向き合っていること
  • 課題に対して、自己コントロール感があること
  • フィードバック(評価)が直ちに得られること
  • 集中を乱す外的要因がないこと

スポーツや創作活動の際に熱中すると、
周囲の人が消えたように感じられたり、
全く空腹を感を感じなくなったりする
不思議な体験をしたことのある方も
きっとおられると思います。

そのような心理状態こそがフロー体験であり、
人間がベストパフォーマンスを
発揮できる状態であるというのです。

会社の仕事でも、単純作業を
つまんねーなーと感じながらこなす時と、
この仕事は自分を成長させてくれると
思いながらフロー状態でする仕事とでは、
得られる経験値は全く違ってくるはずです。

意識的にフロー体験を得られるような
環境を整えることができれば、
より大きな成長の機会を
得ることができるでしょう。

www.ted.com

フロー理論について興味が湧いた方は、
こちらのミハイ博士のTED公演を観ましょう。
非常に興味深い内容です。

フロー体験 喜びの現象学 (SEKAISHISO SEMINAR)

フロー体験 喜びの現象学 (SEKAISHISO SEMINAR)

また、書籍も出ています。

言葉が行動を束縛する「プライミング効果」

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(出典:up.gc-img.net)

ライミング効果とは、
先行する刺激が、その後の行動に
無意識下で影響を与える
心理効果。

分かりやすい例をあげると、
時々スーパーの店内で見かける
上記画像のようなポスターは、
万引き犯に対して、見張られている
というプライミングを与えることで、
犯罪を抑制する効果があります。

また、プライミングに関する
本書の内容で特に興味深かったのが、
無作為に集めた若者のグループに、
「忘れっぽい」、「ごましお」、「しわ」
などといった、老人を連想させる
ワードを読ませると、その直後の
被験者の歩く速度が軒並み
低下したという実験結果です。

さらに、実験直後の若者は
「老人」という単語
そのものは聞いていないのに、
「年老いた」「孤独」などの
老人に関連するワードを普段より
はるかに素早く認識するようになった
という点も、見逃せません。

また、お金に関する実験はさらに興味深く、
お金のプライムを受けた被験者は、
そうでない被験者に比べて
自立心が高まり、周囲と
協力しなくなる傾向が見られた
というのです。

ネットやテレビで
お金に関するプライムを
浴びるように受けている現代人は、
もしかしたら昔の人より
思いやりの心を失っている...

のかもしれませんね。

ライミングの存在を意識する

私たちの生きる現代社会は
テレビCMや電車内の吊り広告、
ネットの広告、雑誌の広告などなど、
膨大な数のプライミングに溢れています。

ライミング効果の存在を知っておけば、
何かを買うときに、本当にそれが
自分にとって最適な選択なのか、
ライミングに支配されていないか、
一度立ち止まって考えることで
無駄な出費を抑えることが
できるかもしれませんね。

数字が判断を支配する 「アンカリング効果」

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質問A

1.ガンジーは亡くなったとき144歳より下でしたか、上でしたか?

2.ガンジーは何歳で亡くなりましたか?

上記の文章は、アンカリング効果を
体感するための設問です。

どちらもガンジーの年齢に関するもので、
一つ目は答えが明らかですが、
二つ目は知識として知っていなければ
勘で答えざるを得ない問題です。

この問題には続きがあります。
今度は次の質問をご覧下さい。


質問B

1.ガンジーは亡くなったとき33歳より下でしたか、上でしたか?

2.ガンジーは何歳で亡くなりましたか?

こちらの質問Bは、
1問目で最初に提示されている年齢が
質問Aよりずっと低く設定されています。

この実験の注目すべき点は
質問Aのと質問Bの2問目は
それぞれ全く同じ内容でありながら、
質問Aに答えた人は
より高い年齢を答えやすく
質問Bに答えた人は
より低い年齢を答えやすくなるという点です。

この現象は1問目に答えた時点で、
ガンジーの享年に対する基準(アンカリング)
形成され、そこを出発点として
答えを推測してしまうために発生します。

値引き交渉の際に、
売り手が最初に法外に高い金額を
ふっかけるのもこのアンカリングを
利用したテクニックですし、
もっと身近な例で言えば、
最初から10,000円の服を買うより
30,000円から10,000円に
値引きしたの服を買った時の方が
お得感を感じるのも
このアンカリング効果によるものです。

やたらに大幅に値引きされている
商品をみかけたら、すぐに飛びつかずに
なぜその値段で売ることができるのか
を冷静に考えると無駄な出費を
避けられるでしょう。

俺はそうなると思ってたよ 「後付けバイアス」


6月30日、A市に記録的な豪雨が発生し

急な増水により◯◯川の堤防が決壊、

数十棟の家屋が流され、負傷者も出た。

悲惨な天災や事故の後などは、
ニュース番組のコメンテーターなどが

「この事故を未然に防げなかったのは
〇〇(役所や企業など)の怠慢だ」

「なぜ未然の対策ができなかったのか」

といった様に、まるで自分は最初から
そうなると分かっていたような口ぶりで

責任を追求する言動がよく見られます。

しかし、それら批判意見の中には
結果に至るまでのプロセスを考慮せず、
結果ありきの後知恵で誰かを
批判しているような意見も少なくありません。

そのような、結果を知った後に
自分が未然にその結果を予測できていたと
錯覚する心理効果
を、専門用語で
後知恵バイアス(Hindsight bias)と呼びます。

  • 「あの二人はすぐ離婚すると思ってたよ」
  • 「あいつはいずれ犯罪を犯すと思っていたんだ」
  • 「やっぱりあの芸人は消えたね、思った通りだ」

巷でよく耳にするこのような発言は、
後知恵バイアスの影響を
受けた典型例と言えそうですね。

もちろん、再発防止の観点から
原因の解明も必要ではありますが、
特定の人物や企業を非難する
向きが強まった場合は、
その非難が後知恵バイアスに
影響された結果でないかどうか、
慎重に吟味する必要があるでしょう。

まとめ

「一流の心理学者から学ぶ驚きの心理効果7選」
いかがでしたでしょうか?

今回ご紹介できた内容は、
本書のごく一部であり、しかも
上巻の内容にとどまっています。

「ファストアンドスロー」や心理学に
ご興味が湧かれたなら、是非とも
本書を手にとって読んでみてください。
きっと、お値段以上の発見がありますよ。