痺れるほど格好良い、アカギ(赤城しげる)の名言集 【中学時代から通夜編まで】

マンガ

赤木しげるの名言集

アカギ 35 (近代麻雀コミックス)

アカギ 35 (近代麻雀コミックス)

先日、26年の歳月を経て、
福本伸行氏の漫画作品
「アカギ 〜闇に降り立った天才〜」
ついに完結を迎えました。

私がアカギを知ったのは中学生の頃。
大会にも出るほど麻雀好きの友人の家で
コミックスを読んだのが出会いでした。
(この頃、私も遊び程度に
牌をつまんでいましたが腕はお察しです(笑))

当時の自分にとって、
アカギの命知らずな生き方や
悪魔的な名言の数々は衝撃的であり、
また当時は自分が
アカギと同年代ということもあって、
心からそのキャラクターに
憧れていたものです。

さて、昔話はこの辺にして、
主題に戻りましょう。

本日は、そのアカギこと
赤木しげるの名言集を、
「アカギ」と老年のアカギの
活躍が描かれる「天 天鳳通りの快男児」
二作品から、手短な解説付きで
お届けしたいと思います。

作品としては天が初出ですが、
本稿では『アカギ』の少年時代編から
年代を追う形でご紹介していきます。

それではどうぞ。

『アカギ 〜闇に降り立った天才〜』のアカギ

アカギ?闇に降り立った天才 1

アカギ?闇に降り立った天才 1

本来『天』の一脇役だった
アカギを主役に据えて、1992年から
スタートしたスピンオフ作品。

2018年に完結するまで
実に26年という、福本漫画の中でも
トップクラスの連載期間を誇る長寿作です。
※ちなみにその内約19年分が鷲巣麻雀編

13歳のアカギが麻雀と出会い
頭角を表す少年時代編から、
19〜20歳のアカギを主役とする青年時代編、
そして23歳となったアカギが登場する
エピローグ編が描かれています。

【アカギ 少年時代編】

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(引用元:「アカギ」福本伸行/竹書房)

時は高度経済成長期の昭和33年。

ヤクザの竜崎と南郷による、
借金300万(当時のレートで3000万以上)
の棒引きを賭けた麻雀勝負の場に、
チキンラン(車を使ったチキンレース)
の生き残りである当時13歳のアカギが
偶然転がり込んだことから、
アカギの闘牌伝説は幕を開けます。

死ねば助かるのに
(アカギ 1巻)

竜崎のリーチを恐れて手配を崩し、
リスクの少ない二筒切りに
逃げようとした南郷に対し、
アカギが背後からぼそりと呟いたセリフ。

この言葉を受けた南郷は
勇気を奮い起こし、
「どうせ死ぬなら…
強く打って死ね!」

と決死の五筒切りを敢行します。

そしてその手は
アカギの読み通り竜崎に通り、
この一打をきっかけとして
南郷さんは辛くも息を吹き返します。

アカギ最初のセリフにして、
いきなりインパクト抜群な
こちらのセリフ。

南郷がアカギの才能を認め、
代打ちを依頼するきっかけともなった
物語上のキーポイントでもありますね。

な、通るんだよこいつは…
(アカギ 1巻)

竜崎の裏スジ、しかも
ドラという超危険牌の五索を、
竜崎の捨て牌と仕草から読み切り、
見事に通してみせた直後のアカギの一語。

これも現実で言ってみたい
セリフの一つですが、
万が一言った後で振り込んだりしたら
目も当てられないくらい格好悪いですね(笑)

やっぱりね、
案の定ひねた打ち方

人をはめることばかり
考えてきた人間の発想
痩せた考え…
(アカギ 1巻)

アガリ牌をあえて見送ることで、
アカギの読みの自信を崩そうとした
竜崎の代打ち、麻雀裏プロの矢木圭司

しかしアカギは、
同じくアガリ牌(しかも満貫手)
を見送ることで
そのブラフを白日のもとに晒し、
さらにこのセリフで矢木を煽ります。

これに戦慄した矢木は
それまでの油断を捨て去り、
イカサマありの全力で
麻雀素人の中学生アカギを
倒すことを決心するのでした。

それにしても、
随分手の込んだことをするね。
…俺はもっと、ストレートに行くよ
(アカギ 1巻)

自分のヤマをずらす
キャタピラというイカサマで、
アカギからドラ8という
法外のアガリを直撃した八木に対し、
アカギが放ったセリフ。

つい先刻、負けたら指をもらう
と脅された状況でありながら、
全く動じないアカギの胆力が窺えます。

まるで白痴だな…矢木さん。
たとえ間違いでもオレがあの局面で
牌を倒したりするもんかね…

信用するなよ…人を…
(アカギ 1巻)

事故に見せかけて
自分の最後の一ハイを倒し、
指で隠して『萬』の部分だけを見せ、
さらにその萬子をカンの中にまぜた
四索とすり替えることで、
八木から本命の四索を
引き出した場面でのアカギのセリフ。

天でもそうでしたが、
アカギは基本的に口が悪いです(笑)

束の間見えた萬子は
カンに消え、天に昇った。
アカギ、無法のドラ単騎
(アカギ 1巻)

矢木戦決着時のナレーション。
正確にはアカギのセリフではないですが、
お気に入りの一文としてご紹介します。

元より福本先生の言語センスは独特ですが、
中でもこの一文のセンスは白眉ですね。
口にして読みたくなる語感の良さがあります。

倍プッシュだ…!
(アカギ 1巻)

今ではすっかり
アカギの代名詞となったこのセリフ。
作中では、アカギが矢木に対し、
勝ち分を上乗せした再試合を
持ちかける場面で初使用されました。

300万(+指)をかけた勝負に生き残り、
ほっと一息といった場面でのこの提案。
初めて読んだときは、まさかと
度肝を抜かれものですよ。

負けると感じながら降りないアホウ。
南郷さんがこの先どれだけ生きるか知らねえが、
こんな絶好のカモ二度とお目にかかれねぇよ。
むしれるだけむしる・・・!
(アカギ 1巻)

アカギの倍プッシュ提案に対し、
ヤクザのメンツがあるため
断ることができない竜崎たちを
評したアカギのセリフ。

実際に、再戦を受けた矢木は
もはやアカギの敵ではなく、
完全に手のひらで踊らされ負け続け、
最後は卓から立ち上がる気力すら
失ってしまいました。

勝負事で意地を張れば地獄に落ちる…
個人的に、大変耳に痛いセリフです(笑)

圧力を背景にした取引は
オレには通じねぇんだ

いい加減悟れっ・・・!
(アカギ 1巻)

竜崎との賭けを引き継いだヤクザ、
黒崎の圧力を一蹴したアカギの台詞。

周囲がヤクザだらけの店内で、
13歳とは思えない肝の座りぶりです。

便利でしょこれ・・・
特に悪ぶりたい人間の
仮面をはがすのに有効・・・

こいつの前では
みな演技をやめてくれる

事前に約束していた拳銃を
黒崎から受け取って一言。

その後アカギはこの拳銃を、
言葉通りに有効活用します。

面白い・・・
狂気の沙汰ほど面白い

黒崎の用意した代打ち、
盲目の雀士市川を、
ロシアンルーレットで試した代償として、
今度は自分が拳銃を口内に
つっこまれたアカギの一語。

静かな、滲み出るような
狂気を描かせたら、
この頃の福本先生に
勝る漫画家はいませんね。

オレがまだ子供の頃・・・
虫をひねり殺したことがある・・・
・・・今・・・
そんな気分だよ・・・
(2巻)

チキンランの件で
仲間が重体になったことを逆恨みし、
アカギをリンチしようとした
チンピラの一人の脚を拳銃で狙撃し、
さらに口内に拳銃をつっこんで
アカギが冷たく言い放ったのがこの台詞。

アニメでのこのシーンは、
声の抑揚のなさも相俟って、
底冷えするような怖さがありましたね。

偽の怒り。偽の言葉。偽の勝負。
うんざりなんだよ・・・・そんなもの。
そんな戯れ事じゃまるで埋まらない。
心が満ちないんだ。(2巻)

上記のチンピラたちを
撃退した直後のアカギの台詞。

本当の勝負に飢えていた
アカギの心情が窺えます。

なんでもいい
手段は選ばない
地獄を一度くぐっちまうことさ
南郷さん
ツキの女神はいつだって
その先にしゃがみこんでいる
(2巻)

市川との対局に遅れて到着し、
繋ぎで打っていた南郷さんから
場を引き継いだアカギ。

残り2000点で
三鳴き、全員テンパイ、
何を切っても死ぬ
という窮地を、
アカギは捨て牌弾き飛ばし
イカサマで切り抜けました。

衆人監視、土壇場の状況で
咄嗟に危険牌を察知し、
イカサマで切り抜ける
華麗さには痺れましたね。

・・・
きたぜ・・
ぬるりと・・・(2巻)

↑の直後、白を引き入れて
ツモあがった場面でのセリフ

滑らかな白の手触りに例えた上での
「ぬるり」なのでしょうね。

じじい、そのハイだ

ディフェンスに徹し、
一切隙を見せない市川に対し、
アカギは「拾い」というイカサマで
4枚目(だったはず)の西を待ち、
ついに市川からアガリを取ります。

この場面はイカサマそのものよりも、
盲目という市川の弱点をつくことで
長期戦のメリットを無くし、
お互いの点棒を十分の一にし
早期決戦を図るという
一見無茶なアカギの提案を
強引に通して見せた点が
非常に印象深いシーンでした。

もっともこの行為は市川に、
それまで格下相手と封印していた
イカサマを解禁する口実を
与えることにもなりましたが…

合理性はあくまで
あんたの世界でのルール。

その縄じゃオレは縛れねえよ・・・
不合理こそ博打・・・
それが博打の本質
不合理に身をゆだねてこそギャンブル・・・

アカギのツモアガリに対し、
新ドラ表示牌を中にすり替え、
万全の保険をかけた市川。

さらに、市川は熟練のイカサマを解禁し
アカギはこの局で決めねば
敗北必至という状況に追い込まれます。

しかし、まさかの白雀頭使いによる
嶺上ツモ三色ドラドラ
アカギは最後まで苦しめられた市川戦に
とうとう終止符を打ってみせました。

一飜が命運を分ける状況で、
せっかく暗刻になった白を、
ブラフのために切り出すという
アカギの不合理性が、
市川の合理性を上回った

アカギの中でも一二を争う
痛快な名勝負でしたね。

【アカギ 青年時代編】

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(引用元:「アカギ」福本伸行/竹書房)

伝説の夜から
6年後が経過した昭和39年。

6年前の伝説の夜に
立ち会った刑事安岡が、
川田組の組長の元へ代打ちとして
あのアカギを連れてきたことから
「アカギ」青年時代編がスタートします。

人並み外れた記憶力を持つ凡夫平山、
豪腕麻雀の浦部、そして因縁の宿敵
鷲巣巌などの打ち手が、
この章で初登場します。

なんで もっと
スカッと 生きねぇのかな・・・

(アカギ 4巻)

イカサマ麻雀で、
後輩から給料を巻き上げていた
勤め先の先輩3人組を、
軽くをあしらった後のアカギの一言。

無頼漢アカギにとって、
川島達のセコい生き方は
到底理解できるものでは
なかったのでしょうね。

ククク・・・
なるほど・・・・・・凡夫だ・・・
的が外れてやがる・・・

伏せられた19の牌の内、
13牌を使って作られた手の
シャンテン数を当てて見せたアカギに対し、
確率で推測したと指摘したニセアカギ
(平山幸雄)
への熱いダメ出し。

このセリフと
その後のヘタレ行動から平山は、
以降ファンから愛を込めて
「凡夫」の愛称で
呼ばれ続けることとなりました(笑)

無意味な死か。
その「無意味な死」ってやつが

まさにギャンブル
なんじゃないの・・・
(4巻)

凡夫呼ばわりされて熱くなり、
アカギをゲームで試そうとした
ニセアカギ(平山)に、アカギは
おまえが腕一本かけるなら、
と答えます。

ニセアカギはその提案に対し
「死が怖いんじゃない、
無意味な死はごめんだ」と即座に拒否。

しかしアカギはすかさず
このセリフを被せ、
ニセアカギと自分の
ギャンブル観の違いを見せつけます。

究極のニヒリズムといいますか、
我々のような凡人には
到底ついていけない領域ですね…

悪いな・・・
ノーテンだった・・・!

ニセアカギを
手玉に取った藤沢組の代打ち、
豪腕麻雀の浦部との
3200万(当時のレートで3億2000万円)
を賭けた一戦。

自分のアガリを見送ってまで
アカギの手を覗きにきた浦部に対し、
アカギはノーテンを宣言、
8000点の罰点を払ってでも
自分の手を明かすことを拒否しました。

目先の点差より
情報アドバンテージを優先した
アカギのセンスが光る一場面。
この選択が後に、
最後の逆転への布石となります。

寝ぼけるな・・・
続行だ・・・
ケチな点棒拾う気なし・・・!

アカギの四暗刻オープンリーチに対し
リスク回避のためわざと差し込んだ浦部。
しかしアカギは意外にもそれをスルー。

一見非合理に見える選択をしつつ、
あくまでも四暗刻ツモアガリで
浦部を追い詰める道を選びました。

あの裸単騎には
魔法がかけてある

現物こそないものの、
14枚12種ものハイを残す浦部が、
必ず自分のハダカ単騎に振り込む

予言し卓を後にするアカギ。

そしてなんと結果は予言通り、
浦部はアカギのハダカ単騎に
まんまと振り込み、
ハイテイドラ4満貫で
アカギの逆転勝利が決定します。

最初この場面を読んだときは正直
「いくらなんでもそりゃないだろ」
と思ったものです。確率だけ見れば
1/12、つまり8%程度でしか
振り込まない
わけですからね。

ですが、その後のアカギによる
浦部が振り込んだ理由の解説を聞くと、
実はこれがアカギが浦部の癖と心理を
完全に読みきった上の結果であり、
半ば必定であったことがわかります。

そして何よりこの一連の流れは、
どうすれば読者がワクワクするツボを
完全に押さえた名シーンであり、
こういうハッタリの気持ち良さこそ
福本漫画の醍醐味の一つだと
私は思うのです。

人は危機に相対(あいたい)した時、
その本質が出る。

浦部が自身の理(と癖)にからめとられ、
アカギのハダカ単騎に振り込むまでの
過程を説明した場面での一語。

人の心理を見抜き、
コントロールする術に優れた
アカギらしい名言です。

余談ですが、孔子の論語には
「歳寒くして、 然る後に
松柏の 彫むに 後るるを 知るなり」

という、この名言に近似した
一節があったりします。

もともと損得で勝負事などしていない・・・・・・
ただ勝った負けたをして・・・・・・
その結果・・・・・・
無意味に人が死んだり不具になったりする・・・・・・
そっちのほうが望ましい・・・・・・

その方が・・・・・
バクチの本質であるところの・・・・・・
理不尽な死・・・・・・
その淵に近づける・・・!
醍醐味だ・・・・・・

(アカギ 6巻)

アカギに敗れ、3200万の負債
両手の指をへし折られるという
あまりに高い代償を支払わされた浦部。

浦部は去りゆくアカギに対し、
鬼気迫る形相でリベンジを宣言します。

しかしアカギはそんな浦部に近づき、
「リベンジするなら今この場でやってやる。
お前が勝てばその負債を丸ごと俺が背負うが、
もし負けたら代わりにお前の両手首の先を貰う」

という凄まじい条件を提示。

これには、それまで怒り心頭だった浦部も
完全に沈黙せざるを得ませんでした。

個人的に、最も
アカギの狂気を感じた名言であり、
初読時に感じたゾクゾクした気持ちは
今でも忘れられないものがあります。

いかにも「私狂ってます」
という安直なキャラクターやセリフより、
こうした静かな狂気の方が
実は何倍も怖いんですよね。

ねじ曲げられねえんだっ………!
自分が死ぬことと………
博打の出た目はよ……!

(アカギ 7巻)

丁半博打のアカギの勝ちを
暴力で握りつぶそうとしたヤクザに対し、
アカギが忌々しげに吐き捨てたセリフ。

このセリフからは、
アカギがギャンブルに対して
一種の誇りを持っていたことが
伝わってきますね。

残念・・・頭ハネだ

昭和の怪物、鷲巣巌との
血液と金を賭けた鷲巣麻雀でのセリフ。

ワシズのロンあがりを阻止するために
安手でアガり、頭ハネを
決めたシーンでアカギが口にしました。

ダブロンなしのルールであれば
リアルでも真似しやすい
かっこいいセリフです。

ククク・・・
意外に臆病だな・・・
鷲巣巌・・・・・・!

上記の頭ハネの後の一語。
プライドの高いワシズに
グサリと刺さる極上の煽り文句です(笑)

焼かれながらも・・・
人は・・・
そこに希望があればついてくる・・・ !

鷲巣麻雀の一回戦終了時、
貴重な血液補充のチャンスを蹴った
アカギが放ったセリフ。

勝利のために
死の恐怖すら捨て去ることができるのが
アカギの本当に凄いところですね。

『天』のアカギ

天?天和通りの快男児 1

天?天和通りの快男児 1

アカギが初登場したのが
この天という作品。

アニメ化したアカギや
カイジほどの知名度はありませんが、
大学生ひろゆきの成長物語、
個性豊かな猛者が揃う東西戦のアツさ、
そして後述する通夜編の哲学性から、
根強いファンも多い作品です。

連載期間が長く、福本氏の
作風の変化を感じながら読める点も
ファンには嬉しいポイントですね。

天 vs アカギ編

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(引用元:「天」福本伸行/竹書房)

天のアカギは登場時42歳。
代理の室田が敗れたことで
地上げ屋の台打ちとして
天と対局することになります。

全盛期ほどのキレは無いものの、
その強運とセンスはいまだ健在。

作中でも上位の腕前を持つ天を
ぎりぎりまで追い詰めました。

お前 この世で一番うまいもの何だか知ってるか?
たとえば麻雀だ…世の中には頓狂な奴がいてよ
こんなラチのあかねえ遊戯に
自分の分こえた大金
人生さえ賭けちまう奴もいるのさ……

まあそんな奴だから…
頭は悪いんだけど……
勝ちたい気持ちはスゲェーもんだ…

終盤戦…勝負処での大事な一打にバカは
バカなりに必死さ…
もてる全知全能をかけて考える
決断して そして躊躇して
それでもやっぱりこれしかない……て
そりゃもうほとんど
自分の魂を切るように打つパイがあるんだよ

その魂の乗ったパイ
そういうパイで和了ること…

それはまるで人の心を喰らうようだ…
この世じゃ人の心が一番うまいんだ……
(天 2巻)

天がひろゆきに出した、
「この世で一番うまいものはなんだと思う?」
という問いの答えがこちら。

アカギがギャンブルに取り憑かれた理由が
伝わってくるようですね。

いえばいうだけおまえの恥になる・・・
オレはバカだと宣伝してまわるのと一緒だ・・・

メンツの実力を試すため
アカギが密かに行なっていた
捨て牌による暗号を見抜けず
まんまと振り込んでしまった上に、
物言いをつけようとしたモブキャラを
一喝したアカギのセリフ。

要するに、バカは黙ってろ
ということでしょうか(辛辣)

オレのアンコはそこにある…
(天 3巻)

役満直撃でなければ
逆転不可能の場面で、
なぜか三暗刻どまりの手で
アガリを宣言したアカギ。

当然、対する天(と読者)は
「…は?」と困惑の表情。

アカギの真の狙いは実は裏ドラであり、
あろうことか、暗刻に裏ドラ3つを重ねて
数え役満を狙うという、奇跡に近い
逆転の道をアカギは狙っていたのです。

しかし、最初こそ2つドラが乗ったものの、
最後のひとつはドラが重ならず、
アカギは惜しくも逆転を逃します。

ところが、その去り際、
アカギはぽつりと「隣か…」とつぶやきます。

まさかと天が残った王牌をめくると、
実はその隣のハイがドラの二萬であり、
他のどれが出ても役満になっていたという、
まさに間一髪の状態だったのでした。

負けたのに
なぜか格が上がってしまう
という、
アカギの超人ぶりがつくづく表れた
名エピソードでした。

東西戦編

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(引用元:「天」福本伸行/竹書房)

東西麻雀界の頂点が集まり、
雌雄を決する
東西戦を描いたストーリー。

この時アカギは、
東軍のエースとして
天、ひろゆきらとともに、
西軍のエース原田、
そしてアカギとの因縁も深い
怪物曽我との対局に臨みます。

覚えておくんだヤー公…。
3人で囲めば圧勝できるだと…。

バカじゃねえのか?
そういうこざかしいことと無関係の所に…
強者は存在する…!

東西戦1回戦、
あえて味方に振り込むことで、
次戦に上がる西軍の
頭数を増やそうと画策する原田。

そんな原田の策略を、
アカギはこのセリフでバッサリ切り捨てます。

平気で人を殺すヤクザの頭の原田を
堂々とバカ呼ばわりできるのもすごいですが、
躊躇なく自分を強者と言い切れる傲慢さもまた
アカギの魅力です。

自分の身とひきかえならば・・・
どんな違法も通るという誤解・・・
それで責任をとったような気になるヒロイズム

とんだ勘違いだ・・・・・・

責任をとる道は身投げのような行為の中にはない
責任をとる道は・・・・・・
もっとずーっと地味で全うな道・・・・・・

自分のミスをチョンボで
帳消しにしようとしたひろゆきに
アカギが諭すように言った名言。

『責任』という言葉の
意味が曖昧な現代において、
このセリフには学ぶべき点が
多くあるように思えます。

通夜編

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(引用元:「天」福本伸行/竹書房)

東西戦から9年後、
文具屋のサラリーマンとして、
安定しているがスリルのない、
死んだようなような
毎日を送っていたひろゆきは、
偶然あの赤木しげるの
通夜の知らせを目にします。

当然、会場に駆けつけたひろゆき。
しかしアカギはまだ生きていました。

実はその時55歳のアカギは
アルツハイマーに脳を冒されており、
確かな自我が保たれている間に
薬剤による自殺を決めていて、
その前にひと目、東西戦の
メンバーに会っておこうと
この葬儀を計画していたのです。

アカギの自殺を思いとどまらせようと、
必死の説得を続けるメンバーたち。
そして、そんなメンバーたちの
説得に感謝しつつも、
自分の意思を伝え、
決意を曲げないアカギ。

その命をかけた言葉のやり取りは
福本作品でも稀に見る
哲学的名言の宝庫です。

原田。正直に言ってみ。
お前窮々としてるだろ?

どんなに金や権力を手に入れたところで
実は窮々としている。

成功ってやつは人を自由にしないんだ。
裸を許さない。
装う事を要求してくる。

つまり成功者大物らしく
振舞うことを要求してくる。

健、金光、鷲尾、銀次、曽我の
説得が失敗に終わり、
六人目の説得者として
説得に訪れた関西最大の
暴力団の長、原田。

しかし、そんな原田に対しアカギは
上記の一文を含む一連のセリフで、
逆に若頭という立場に縛られる
原田の窮屈な生き方を諭します。

成功することは
生きていく上で必要と前置きしつつも、
過ぎた成功は毒になると説くアカギ。

勝っても勝っても勝ちを積むのが
止められないのが人間の性ですが、
成功に縛られないアカギの身軽な生き方は
やはり男して憧れてしまいますね。

乱戦よ…!
勝負事は
たいてい…!

通用
しない…

お前の
生真面目さは…!

足を
とられて
終わりだ
………!

………
だから…

もっと
いい加減に
なれば
いいのだ
………!

臨機応変

柔軟に
なればいい
………!

もっと
………!

生真面目で
あることは

悪癖だ
………!

原田に続いて
アカギの説得に向かったのは
メンバーの中でも最年少のひろゆき。

しかしアカギの待つ部屋に辿り着いてもなお
かけるべき言葉が見つからず黙り込んでしまいます。

そんな様子を見かねたアカギは
1から9の筒子2セットの中から
一筒のみを二連続で引きことができれば自殺を止めるが、
失敗すれば代わりに腕を貰うという
ひろゆき側に極端に分の悪い賭けを提案。

その勝率の低さを瞬時に計算し
返答に窮するひろゆきに対し、
アカギは「そんなもんは即受けだよ」
「負けたらそんな約束反故にしちまえばいい」と
軽く笑い飛ばした上で、
生真面目さを悪癖とする上記の持論を展開しました。

日本人には生真面目なタイプが多いと言われますが、
私にもどちらかと言うとその自覚があり、
初読時はこの言葉が深く胸に刺さった覚えがあります。

「もっといい加減になればいい」

このひと言で救われる人は
思った以上に多いのではないでしょうか。

ただ… やる事…
その熱… 行為そのものが…
生きるって言うこと…!実ってヤツだ…!

分かるか…?
成功を目指すな…と言ってるんじゃない…!

その成否に囚われ…
思い煩い…止まってしまうこと…

熱を失ってしまうこと…これがまずい…!
こっちの方が問題だ…!

いいじゃないか…!
三流で…!熱い三流なら 上等よ…!

まるで構わない…!構わない話だ…!
だから… 恐れるなっ…
繰り返す…! 失敗を恐れるなっ…!

平凡なサラリーマンとして
薄く死んでいくような人生を送っていたひろゆきへ
発破をかけるアカギのセリフ。

失敗が怖くて
あと一歩が踏み出せない時に
勇気を与えてくれる珠玉の名言です。

ああ・・・ 無念・・・無念だ!
くたばるのは無念・・・
しかし仕方ないのさ これも・・・!

しかたないのさ… これも
無念であることが
そのまま「生の証」だ・・・!

思うように
いかねぇことばかりじゃねぇか…・・・
生きるって事は・・・
不本意の連続・・・
時には全く理不尽な・・・
ひどい仕打ちだってある・・・!

けどよ・・・ たぶん・・・
それでいいんだな・・・

無念が「願い」を光らせる・・・!

嫌いじゃなかった・・・
何か「願い」を持つこと・・・

そして・・・ 同時に
今ある現実と合意すること・・・!
不本意と仲良くすること・・・

そんな生き方が 好きだった…

たぶん・・・

愛していた・・・ 無念を・・・!

最後の説得者として、
必死の説得を続ける天に対して、
あのアカギが落涙しつつ語った台詞。

アカギが死に対して無念を感じていたこと、
生きることが不本意の連続であると言う、
アカギ(=福本先生)の人生観。
そして、その無念を
愛していたというアカギの生き方…

生きることの本質を穿つような、
私が一番好きなアカギの名言です。

これが死か・・・
よし・・・行けっ・・・!

放たれろっ・・・!
飛散しろっ赤木しげる・・・!

自殺幇助装置から薬剤が注入され、
意識朦朧となったアカギが、
心中で放った今際の際の台詞。

死を終わりではなく
解放と捉えたアカギ。
その姿は最後まで爽やかでした。

さいごに

赤木しげるの名言集、
最後までお読みいただき
ありがとうございました。

漫画界に、
天才と呼ばれるキャラクターは数あれど、
アカギほど「天才」の
称号が似合うキャラクターもいません。

ただ強いだけでなく、
その人生観や意外な人間味、
そしてアルツハイマーからの
尊厳死という最期も含めて、
こんな強烈な個性を持ったキャラクターは
今後二度と現れないでしょうね。

福本先生には、
今後もアカギのような
痺れる個性を持ったキャラクターを
生み出していってほしいものです。
それでは!

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(引用元:「天」福本伸行/竹書房)

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