映画好きが本気で心揺さぶられた泣ける感動映画10選

グリーンブックのポスター画像映画
  1. はじめに
  2. ワンダー 君は太陽(2017年 米 113分)
    1. あらすじ/概要
    2. 見所ポイント
      1. 子供を主役にしたよくあるお涙頂戴映画…ではない!
      2. 逆境を勇気と得意と家族の絆で乗り越える痛快感
      3. オギーを支える周囲の人間模様にも目が向けられている
    3. どんな人におすすめ?
  3. グリーンブック(2018年 米 130分)
    1. あらすじ/概要
    2. 見所ポイント
      1. 全てが正反対の男たちの友情を描いた傑作社会派バディムービー
      2. 身構えることなく観られる「社会派」映画
      3. ラストシーンは必見!
    3. どんな人におすすめ?
  4. ビッグフィッシュ(2004年 米 125分)
    1. あらすじ/概要
    2. 見所ポイント
      1. 父と息子の和解を描いた物語
      2. ティム・バートンらしい外連味溢れるキャラクターたち
      3. 大切な誰かと一緒に観て欲しい映画
    3. どんな人におすすめ?
  5. オーロラの彼方へ(2000年 米 119分)
    1. あらすじ/概要
    2. 見所ポイント
      1. 死んだ父親と無線で会話!?その設定にまず惹きこまれた
      2. 登場人物の行動動機がシンプルで共感しやすい
    3. こんな人におすすめ!
  6. スモーク(1995年 米 113分)
    1. あらすじ/概要
    2. 見所ポイント
      1. 何気ない日常の味わい深さを凝縮したような映画
      2. 往年の名優が魅せる渋い魅力
      3. 強烈な印象を残すラストシーン
    3. こんな人におすすめ
  7. マイ・インターン(2015年 米 121分)
    1. あらすじ/概要
    2. 見所ポイント
      1. あのデニーロが温和な老紳士に
      2. クスリと笑わせる世代間格差ネタがたっぷり
      3. 小さな事件を通して爽やかな男女の友情を描く
    3. こんな人におすすめ!
  8. ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア(1997年 米 121分)
    1. あらすじ/概要
    2. 見所ポイント
      1. 「天国じゃ、みんなが海の話をするんだぜ」
      2. 正反対な主役二人のキャラクターにハマる
      3. そして、ラストシーンの素晴らしさ
      4. マニアックなうんちく話もたっぷり
    3. こんな人におすすめ!
  9. 他記事で紹介済みのおすすめ映画
  10. きっと、うまくいく
    1. ひとこと解説
  11. ショーシャンクの空に
  12. トゥルーマン・ショー
  13. おわりに
  14. 映画カテゴリの記事一覧

はじめに

こんにちは!daimaです。
突然ですがあなたは最近、鑑賞後に心から
「いい映画観たなぁ!」
感動できる映画に出会うことが出来ていますでしょうか?

本日は私がこれまで観た数百本の映画の中から
特に鑑賞後の後味が素晴らしく、
鑑賞後もしばらくハッピーな気分が持続する
最高に後味がいい映画

上映時間や配信状況などの基本情報付き
合計10本解説付きでご紹介します(※洋画のみ)。

ネタバレに関しては
鑑賞の楽しみを損なうようなネタバレは
極力行わない方針をとっていますが
選出の都合上少なくとも「バットエンドではない」
ことだけは確定しますのでその点だけはご容赦ください。

それではどうぞ!

※配信状況の記載は最終更新時点の状況に準じます。

ワンダー 君は太陽(2017年 米 113分)

ワンダー 君は太陽のポスター画像
 

あらすじ/概要

「僕は普通の10歳の子じゃない」--オギーは遺伝子の疾患で、人とは異なる顔で生まれてきた。27回の顔の手術のせいで自宅学習を続けてきたオギーだが、両親は息子を外の世界へ送り出そうと決意する。だが、5年生で入学した学校で、オギーはいじめや裏切りなど初めての困難と出会う。幾度もくじけそうになりながら、家族の愛を勇気に変えて立ち向かうオギーの姿に、周囲の人々が変わり始める。そして忘れられない1年を締めくくる修了式の日に、最大の出来事が待ち受けていた──。

監督スティーブン・チョボスキー
公開年2017
アメリカ
上映時間113分
ジャンルドラマ
日本語吹き替えあり
配信状況Amazonプライム:◎ NETFLIX:◎ hulu:× U-NEXT:×

見所ポイント

子供を主役にしたよくあるお涙頂戴映画…ではない!

私が本作に興味を持ったきっかけは
レビュー総数408件、平均評価4.8/5(視聴時点)という
異常なまでのAmazonプライム上での
評価の高さが目についたからでした。

しかし生来天邪鬼な私は、
「あらすじを読む限り、どうやら
生まれつきの障害がある子供が
主役の映画のようだけど、
それってよくある(24時間テレビ的な)
お涙頂戴系の映画じゃないの?」

と半信半疑の気持ちでこの映画の視聴を開始。

しかしそんな私の捻くれた予想は
映画を見始めてからすぐに
最高の形で裏切られることとなりました。

 

逆境を勇気と得意と家族の絆で乗り越える痛快感

本作の魅力としてまず第一に挙げられるのが
最初は周囲から仲間はずれにされていたオギーが
"自分の力で"少しづつ
周囲から認められていく過程の痛快さでしょう。

あらすじにあるように
主人公のオギー(10)は先天性の遺伝子疾患により
生まれた直後から27回に渡る大手術
を受けねばならず、その影響で顔の貌が
不自然に歪んでしまっています。

そんなわけだから初めて通った学校では
すれ違う生徒全員から奇異な目を向けられたり
金持ちの息子ジュリアンを中心とする
悪ガキグループから心無いいじめを受けたりと
多くの困難に直面します。

ですが、そんな状況にあっても
オギーはオギーを信じる家族の支えを受け、
また持ち前の科学の才能を発揮して
少しづつ周囲に自分の存在を認めさせてゆくのです。

また、この際特に
うまいなぁと感心したのが
家族とオギーとの距離感の描き方です。

両親や姉はオギーを愛し、
オギーが悩んでいるときは
積極的に話をしてつらい思いを受け止めたり
アドバイスを送ったりするのですが、
決してそれ以上の過保護に走ることはありません。

>子供の気持ちには最大限寄り添うけれど
最後の最後は必ず自分の力で解決させる。

こうしたある意味割り切った家族の描き方は
観ていてとても気持ちがよく、
自然と彼らを応援したい気持ちにさせられました。

オギーを支える周囲の人間模様にも目が向けられている

私が本作に心動かされたもうひとつのポイントは
主人公のオギーだけでなく、
オギーを支える周囲の人々の苦労にまで
しっかりスポットライトが当てられていたこと
です。

例えばオギーの姉オリヴィアは
オギーとは違い正常な体で生まれてこれたものの
両親がいつも手のかかるオギーにかかりきりで
自分のことはちゃんと見てくれていないことに
強いコンプレックスを抱いています。

それでもオギーが悩んでいたら
自分のことは後回しにして
オギーをあの手この手で元気づける
オリヴィアの健気な姿を見ていると
なんともこうじ~んと胸に来るものがあるわけです。

他にもオギーの母イザベルや
オリヴィアの友人ミランダ、オギーの同級生ジャックなど
オギー関わる様々な立場の人々の苦悩と喜びが描かれ、
またそこからは作中でも語られた「人をいたわれ みんなが戦っている」
という作り手のメッセージを強く感じることができました。

 

どんな人におすすめ?

そのようなわけで、
観ていて心から勇気と幸福感を貰える
この「ワンダー 君は太陽」。

新しいことにチャレンジしたり
コンプレックスを乗り越える勇気が欲しい人にとっては
まさにうってつけの作品です。

もっと言えば、
小さいお子さんがいる親御さんや
これから子供が生まれる予定のご夫婦などは
そうでない人より一層この映画から
得るものがあるかも知れませんね。

グリーンブック(2018年 米 130分)

グリーンブックのポスター画像
 

あらすじ/概要

時は1962年、ニューヨークの一流ナイトクラブ、コパカバーナで用心棒を務めるトニー・リップは、ガサツで無学だが、腕っぷしとハッタリで家族や周囲に頼りにされていた。ある日、トニーは、黒人ピアニストの運転手としてスカウトされる。彼の名前はドクター・シャーリー、カーネギーホールを住処とし、ホワイトハウスでも演奏したほどの天才は、なぜか差別の色濃い南部での演奏ツアーを目論んでいた。二人は、〈黒人用旅行ガイド=グリーンブック〉を頼りに、出発するのだが─。

監督ピーター・ファレリー
公開年2018
アメリカ
上映時間130分
ジャンルドラマ、コメディー
日本語吹き替えあり
配信状況Amazonプライム:× NETFLIX:× hulu:× U-NEXT:◎

見所ポイント

全てが正反対の男たちの友情を描いた傑作社会派バディムービー

無学だが物怖じせず男気のある
イタリア系アメリカ人のトニー(トニー・“リップ”・ヴァレロンガ)と
教養があるが繊細で堅物な
黒人ピアニストのシャーリー(ドクター・シャーリー)という
性格も肌の色も全く異なる二人の男が、
まだまだ差別意識の根強い60年代の南部アメリカを
トニーを用心冒険ドライバー役として
自動車でツアー周りする様子を描いたこの作品。

分類的には「バディ・ムービー」かつ
「ロードムービー」に該当するかと思いますが
そういう意味では「ミッドナイト・ラン」や
「最高の人生の見つけ方」の系譜に連なる作品であると言えます。

トニーとシャーリーは
同じアメリカという国に住みながら
人種も育ちも信条も全く異なる人間であり、
彼らは考え方の違いから
幾度となくぶつかり合う事となります。

しかしそんな彼らも
旅を続けるうちにはじめは見えなかった
お互いの良い部分が見えるようになってきて、
二人の関係にもだんだんと変化が見られるように。

こうした展開はベタと言えばベタなのですが
本作は二人の間に信頼が生まれるまでの描写が特にうまく、
観客にこれでもかと感情移入させてくれます。

なかでも私のお気に入りのワンシーンは
トニーが売店で購入したバケツ入りのフライドチキンを
後部座席のシャーリーに強引に食べさせたシーン。

慣れない庶民の食べ物に
最初は拒否反応を示していたシャーリーでしたが
いざ口にしてみるとまんざらでもなさそうで、
しまいにはその後にトニーが行った
チキンの骨のポイ捨て行為まで
笑って真似してしまった姿を見て
思わず頬が緩んでしまいました。
(しかもその後トニーが調子に乗って
ジュースの紙パックまでポイ捨てしたのを見て
わざわざ車をバックさせて拾いに行かせるというおまけ付き)

この二人の絶妙なかけあいは
自然と引き込まれるような魅力があり、
私も映画の途中からは
まるで自分が彼らと一緒に南部アメリカを
旅しているような錯覚を覚えました。

 

身構えることなく観られる「社会派」映画

この映画はとても愉快な作品ですが、
同時にとてもシリアスな側面も持ち合わせています。

それは人種を含めた
あらゆるマイノリティに対する「差別」の問題です。

そもそも題名の「グリーン・ブック」というのが
「黒人が安全に利用できる飲食店や
ホテルを示したガイドブック」
という代物で、
つまりは当時の黒人差別を
象徴するようなアイテムなのです。

本作ではすでに
ピアニストとして名声を得ていたシャーリーですら
有色人種専用トイレの仕様を強制されたり
飲食店で地元の白人に絡まれたりと言った
露骨な差別に遭うシーンが何度も出てきます。

こうしたシーンは
観ていて気持ちの良いものではありませんが
映画の持つ社会的メッセージ性を高め、
明るいシーンをより際立たせる
明暗の「暗」の役割を果たしています。

そしてもう一つ重要なのが、
シャーリーだけでなくトニーもまた
イタリア系であることを理由に
(シャーリーほどではないにせよ)
差別を受ける場面が描かれていること
です。

こうした場面が存在することで、
差別は黒人に対してだけでなく、
あらゆるマイノリティに対して
存在するものである
ということが強調されていて、
本作の伝えるメッセージに
さらなる深みを与えているように感じました。

ラストシーンは必見!

本記事の文脈的に本題とも言える
「ラストシーン」の内容については
ネタバレになるため詳しくは書けませんが、
正直私が今回選んだラインナップの中でも
最上位にランクインするくらい素晴らしいものでした。

生真面目で繊細なシャーリーと
ぶっきらぼうなヴァレロンガ。

この凸凹コンビの旅の結末が
どういったものになったのかは
ぜひとも映画本篇にてお確かめください。

 

どんな人におすすめ?

作品の基調は
基本的には明るく陽気なものであり、
黒人差別を扱った社会派の作品でありながら
鑑賞にあたって特に歴史的な専門知識は
必要としない作りになっているので
老若男女どなたにでもおすすめできる作品です。

休日の昼下がりに、
フライドチキン片手にくつろぎながら観るのが
ピッタリな一作ですね。

ビッグフィッシュ(2004年 米 125分)

ビッグフィッシュのポスター画像
 

あらすじ/概要

エドワードは彼が語るお伽話で有名になった人物。未来を予見する魔女のこと、一緒に旅をした巨人のこと、人を襲う森とその先にある美しい町のこと。彼が語る「人生のストーリー」に誰もが楽しく、幸せな気分になった。しかし、一人息子のウィルはそんな父の話が嫌いだった。長い間すれ違う父と子。そんなある日患っていたエドワードの容態が悪化し、実家に戻ったウィルに、残された時間があとわずかだと告げられるー

監督ティム・バートン
公開年2004
アメリカ
上映時間125分
ジャンルロマンス、ファンタジー
配信状況Amazonプライム:◎ NETFLIX:◎ hulu:× U-NEXT:◎

見所ポイント

父と息子の和解を描いた物語

この作品のテーマは
ずばり「父と息子の和解」

 

本作の主人公エドワード(父)は
自分が昔体験したという奇想天外な
エピソードを人に話して楽しませることが
大好きな愉快な人物なのですが、
息子のウィル(息子)はそんな父に対して
「いつもホラ話ばかりで本当の自分を教えてくれない」
と密かに不満を抱えていました。

そして映画本編の三年前に当たる
ウィルの結婚式の晩、
エドワードが自慢のほら話で
招待客の喝采を浴びたことで
積もりに積もったウィルの不満がついに爆発。

 

会場の外でエドワードに不満をぶつけてしまい、
二人はその日から疎遠になってしまいます。

映画ではそんな二人が
少しづつ歩み寄っていく道のりを
結婚式三年後の現在のシーンと
エドワードの語った奇想天外な
おとぎ話のシーンを交互に写しながら
丁寧に描いていきます。

ティム・バートンらしい外連味溢れるキャラクターたち

濁った目に映った者の未来を移す"魔女"や
身長が5メートルはあろうかという大男、
ベトちゃんドクちゃんよろしく
下半身が結合したベトナム人の姉妹など
ティム・バートンお得意の
外連味たっぷりなキャラクター作りは本作でも健在。

中でも個人的に一番印象的だったのが
エドワードが若い頃の旅の途中に立ち寄った
森の中の不思議な街「スペクター」で出会った
ジェニファーという小さな女の子でした。

このジェニファー、
エドワードが最初出会った頃は
まだほんの小さい子供だったのですが、
時間軸が経過した映画後半に
意外な形で再登場し、
そこで重要な役割を果たします。

ちなみに大人になった
ジェニファーを演じるのは
のちに「コープスブライド」
で再びタッグを組むこととなる
ヘレナ・ボナム=カーター。

画面に登場すると
思わず目が惹きつけられる、
存在感のある女優さんですね。

大切な誰かと一緒に観て欲しい映画

本作のメインテーマは
「父と子の和解」なのですが、
「夫婦の絆」や「ユーモアの大切さ」など
その他にも共感できる見所が沢山あります。

 

特に家族の絆については
とても丹念に描かれていますので
一人で見るよりも
家族や恋人など誰か大切な人と
一緒に観て欲しいタイプの映画ですね。

どんな人におすすめ?

ちょっぴり切ないラブ・ロマンスや
観終わった後に爽やかな気持ちになれる
映画をお探しの方に特におすすめです。

ティム・バートン節全開なので、
「チャーリーとチョコレート工場」などの
他のティム・バートン作品が
好きな方にもおすすめですよ。

オーロラの彼方へ(2000年 米 119分)

オーロラの彼方へのポスター画像
 

あらすじ/概要

もう一度、逢いたい。話したい。
NYでオーロラが見える日、30年前と無線がつながった。
それは父は死ぬ前日。-今なら未来を変えられる。

1999年、ニューヨークにオーロラが発生したある日、ニューヨーク市警察の刑事ジョンは、父の形見の無線機を発見し、
ある男と交信することに成功する。その男はなんと、30年前に死んだ父フランクであった。しかもその日は消防士であった
父が救助中に事故死する、まさに前日だったのである。ジョンは、なんとしても父を救おうとするが、過去を変え、
新しい未来を創り出そうとしたその行動が、思わぬ事態を招くことに…。

監督グレゴリー・ホブリット
公開年2000
アメリカ
上映時間119分
ジャンルファンタジー/スリラー
日本語吹き替えあり
配信状況Amazonプライム:× NETFLIX:◎ hulu:× U-NEXT:×

見所ポイント

死んだ父親と無線で会話!?その設定にまず惹きこまれた

デニス・クエイドとジム・カヴィーゼルの
W主人公で送る本作のあらすじは
「ニューヨークにオーロラを発生させた
太陽フレアの影響で時空間が歪み、
ニューヨーク市警に勤めるジョンの元に
無線機から30年前に消防士の職務中に
事故で死んだはずの父親の声が流れてきた」

というSFファンタジー的なもの。

ジョンはこの無線を利用して
アドバイスを送り、父の死を回避するのですが
その行為がタイムパラドックスの引き金となり
様々な予想外の事態を巻き起こしていく…
というのが本作の筋となっています。

死んでしまった人と会話するというのは
特に目新しいアイディアでもないのですが、
本作はそのアイディアを「家族愛」
「サスペンス」のエッセンスで
思わず続きが気になる巧みなストーリーに昇華しています。

登場人物の行動動機がシンプルで共感しやすい

本作のストーリーは
タイムパラドックスの概念を利用した
人捻りあるものですが、登場人物たちの
行動動機は「父親を助けたい」
「タイムパラドックスの影響で不幸になる人を減らしたい」
といったシンプルなものであり、その分
映画を見ていて自然に感情移入できました。

また本作では前半で父親を救った後、
ある重要な事実が発覚し
主人公の目的が大きく変わるのですが
その展開についても
観る側に「これは絶対に何とかしなくては!」
思わせるだけの説得力があり、
こういう設定の良い映画にありがちな
中盤以降の失速がなかったのも良かったですね。

こんな人におすすめ!

本作はアイディアも登場人物の心理もシンプルで、
小難しいことを考えなくても楽しめる作風となっています

後半の部分的な粗削りさは少し気になりましたが
観終わった後の後味の良さは抜群であり、
かつ幅広い世代が共感できるであろう作品なので
「死んだ人間と話せる無線」のアイディアに
魅力を感じたならぜひ鑑賞してみてください。

スモーク(1995年 米 113分)

スモークのポスター画像
 

あらすじ/概要

1990年ブルックリン。14年間、毎日、同じ時間に同じ場所で写真を撮り続けるタバコ屋の店主、オーギー・レン。最愛の妻を事故で亡くして以来、書けなくなった作家、ポール。18年間前にオーギーを裏切り、別の男と結婚をした恋人、ルビー。強盗が落とした大金を拾った為に命を狙われる黒人少年、ラシード。それぞれの人生が織りなす糸のように絡み合い、そして感動のクライマックスへと向かっていく・・・。まるで、良質の短編小説を読んでいるような幸福感があふれるヒューマン・ドラマ。

監督ウェイン・ワン
公開年1995
アメリカ
上映時間113分
ジャンルヒューマンドラマ
日本語吹き替えあり
配信状況Amazonプライム:× NETFLIX:× hulu:× U-NEXT:◎

見所ポイント

何気ない日常の味わい深さを凝縮したような映画

どこが面白いのかを人に説明するのが難しいのに
なぜか時々無性に見返したくなる
不思議な映画がこの「スモーク」です。

この作品は章立ての構成になっていて
写真撮影を趣味とするタバコ屋の主人
オーギー・レンが営むブルックリンの街角の
小さなタバコ屋を舞台に、そこにたむろする
常連客たちの人生の一幕を順番に映し出していきます。

各章の主人公となる人物は
かつて銀行強盗の流れ弾で
妻を亡くした過去を持つ作家のポールや
父親のいない黒人少年ラシード、
昔オーギーと交際していて、
今は麻薬中毒の娘と二人で暮らす
ルビーなど、誰も彼もが過去に何かを
置き忘れてきたような人たちばかり。

そんな彼らが流れるタバコ煙のように
時に近づき、時に離れながら
物語はゆったりと進行していきます。

往年の名優が魅せる渋い魅力

映画ファンにとってたまらないのが
「タクシードライバー」や
「パルプ・フィクション」などの作品で
記憶に残る役どころを演じていた
名優ハーヴェイ・カイテルの渋い演技です。

特に後述ラストシーンでは
その万感の想いが伝わってくる渾身の演技に
ただただ圧倒されるばかり。

また脇を固める俳優陣も豪華で、
特にルビーの娘フェリシティを演じた
アシュレイ・ジャレットの演技からは
ハーヴェイ・カイテルとはまた別の方向で
演技を超えた鬼気迫るものが感じられました。

強烈な印象を残すラストシーン

ややネタバレになりますが
「スモーク」の最終章は
オーギーが語る「クリスマスに関する
とっておきの話」
で締めくくられます。

で、このシーン、
これまでの章と特に繋がりがあるわけでもなく、
映画的な「どんでん返し」や
「伏線回収」みたいなカタルシスは全くありません。

それなのに、
なぜか一度見たら脳裏に焼き付いて
忘れられなくなるようなインパクトがあります。

私は最初にこの映画を観終わった後、
本作のラストにあの話を持ってきた意図がわからず、
それなのに妙に胸に迫るものがあって
しばらく一人で「なぜなんだろう?」と
心に疑問を反芻し続けていました。

しかし、それまでの章で
描かれた人々の言動を振り返って、
本作が描こうとしたテーマに思いを巡らしたとき、
まるでパズルのピースが当てはまったように
あのラストシーンの意味を理解することができました。

見る人によって煙の様に
その印象を変えるこの映画、
果たしてあなたはどう見るでしょうか…?

こんな人におすすめ

理屈じゃなくて感覚で
「これいいね」と思える映画を
お探しの方にぜひおすすめしたい
この「スモーク」。

映画表現の奥深さを感じさせてくれた
個人的にも思い出深い一作です。

マイ・インターン(2015年 米 121分)

マイ・インターンのポスター画像
 

あらすじ/概要

舞台はニューヨーク。華やかなファッション業界に身を置き、プライベートも充実しているジュールス。そんな彼女の部下に会社の福祉事業として、シニア・インターンのベンが雇われる。最初は40歳も年上のベンに何かとイラつくジュールスだが、やがて彼の心のこもった仕事ぶりと的確な助言を頼りにするようになる。そんな時、ジュールスは仕事とプライベートの両方で思わぬ危機を迎え、大きな選択を迫られる──。

監督ナンシー・マイヤーズ
公開年2015
アメリカ
上映時間121分
ジャンルコメディー
日本語吹き替えあり
配信状況Amazonプライム:◎ NETFLIX:× hulu:× U-NEXT:◎

見所ポイント

あのデニーロが温和な老紳士に

ロバート・デニーロといえば
言わずと知れた往年の名俳優であり、
特に代表作「タクシー・ドライバー」や
「アンタッチャブル」で垣間見せた
狂気と冷静さの入り混じった演技には
私もかつてゾクゾクさせられたものでした。

しかしこの「マイ・インターン」で
デニーロが演じるのは仕事をリタイヤし
長年連れ添った妻にも先立たれ、
人生にハリを失いかけている
ベンという70歳の温和な老紳士。

そんなベンが
たまたま見かけたファッション系IT企業の
高齢者インターン募集の広告に応募し、
そこでアン・ハサウェイ演じる
やり手女性CEO、ジュールズと出会うことで
物語の歯車は大きく回りだしていきます。

クスリと笑わせる世代間格差ネタがたっぷり

ベンがインターンとしてジョインした会社は
ファッション通販をメインとするバリバリのIT企業。

そこで働くのは
ベンよりも一回りも二回りも若い
20代の若者ばかりで、当然ながら
ベンは様々な世代間格差に直面します。

例えば入社初日のあるワンシーン。
ベンの隣の同期の若い社員が
スマホ、USBメモリ、趣味のフィギュアなどの
今風アイテムを広げる中、ベンは
ガラケー、電卓、ペンケースなどの
"オジサン"アイテムをずらりと並べて
他の社員から逆に新鮮がられます。

他にもSNSの登録方法を知らなかったり
カジュアルOKな職場なのに
一人スーツ姿で通したりと、
国が変わっても変わらない典型的な
「オジサン」ネタに思わず微笑んでしまいました。

小さな事件を通して爽やかな男女の友情を描く

しかしベンはその程度の逆境ではへこたれません。

年の功で得た知識とコミュ力とタフネスで
徐々に他の社員たちとの信頼関係を構築していきます。

ただ、ベンが直属となった
CEOのジュールズだけは話が別。

若手女社長のジュールズから見た
ベンの第一印象は最悪で
最初のうちはベンを冷たくあしらい
一応部下なのに一切仕事を振ろうともしない始末。

しかしそれでも
持ち前の器用さと若者にはない経験で
わずかづつながらもお互いの距離は縮まっていき
やがてはジュールズの夫や娘とも
家族ぐるみでの付き合いとなるに至ります。

この年の差も性別の差も超えた
不思議な友情
の描き方はとても新鮮で、
他の映画にはない独特の魅力を感じました。

そして映画の終盤付近で発覚する
ジュールズの過程を揺るがすある大事件。

ビジネスで大成功したジュールズが直面する
人生最大の危機に対し、
スマホの使い方は分からなくても
人生経験豊富なベンがどのような行動に出るのか、
それはぜひ映画を見てお確かめください。

こんな人におすすめ!

本篇終了後の特別映像の中で
監督自身が「恋愛ではない男女の友情を
描きたかった」と語っていたとおり、
他にない新鮮な友情の形を見ることができた本作。

出演俳優のファンはもちろん、
気軽に見れて、前向きで
明るい気持ちになれる映画をお探しの
全ての人におすすめできる作品です。

ただひとつ注意点があるとすれば
脚本にやや「できすぎ」感があるところと
非常に女性目線が強い作品であることでしょうか。

特に後者は昔気質の
「亭主関白」タイプの人が見ると
むしろ気分を害してしまうかも
しれないですね(笑)

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア(1997年 米 121分)

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドアのポスター画像
 

あらすじ/概要

余命わずかと宣告され、たまたま末期病棟の同室に入院させられたマーチンとルディ。二人は、死ぬ前に海を見ようと病棟を抜け出し、ベンツを盗んで人生最大で、おそらく最後の冒険へと出発した。その車がギャングのもので、中に大金が積まれていたことも知らずに。道中、残り少ない命の彼らに怖いものなどなく、犯罪を繰り返し、ギャングのみならず、警察からも追われる身になるのだが……。

監督トーマス・ヤーン
公開年1999
ドイツ
上映時間89分
ジャンルドラマ、アクション
日本語吹き替えあり
配信状況Amazonプライム:× NETFLIX:× hulu:× U-NEXT:◎

見所ポイント

「天国じゃ、みんなが海の話をするんだぜ」

本作「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」は
たまたま同じ病院で余命宣告を受けた
マーチン(ポスター右)とルディ(ポスター左)の二人の男が
死ぬ前にやり残していたそれぞれの夢をかなえるため
病院を飛び出して逃避行の旅に出るロードムービーです。

紆余曲折経てギャングや
警察をも巻き込んだ彼らの道中は
カーアクションあり、銃撃戦あり、
ちょっぴりお色気もありのド派手なドタバタ劇。

全体を通して非常にテンポが良く、
物語は90分未満の上映時間がもっと
短く感じるほどのスピード感を保ったまま
深い余韻を残す至高のラストに向けて
ノンストップで突き進んでいきます。

ちなみに見出し部分に掲載したのは
まだ一度も海を見たことが無いと話した
ルディに対してマーチンが口にした、
この映画を象徴する小粋なセリフ。

タクシー運転手で
生計を立てていたというヤーン監督が、
たまたま乗り合わせた
ティル・シュヴァイガー(マーチン役)と
映画の話をしている内に気が合い、
共同制作が決まったという
あまりにもロックな逸話を持つ本作ですが、
こうしたセリフ回しの部分でも
そのロックな反骨精神がにじみ出ています。

正反対な主役二人のキャラクターにハマる

本作の主人公は
破天荒でルールなんかくそくらえなマーチンと
絵にかいたような真面目人間のルディ。

この全く正反対の性格を持つ二人が
旅を続ける中で少しづつ友情を育んでいく姿は
これぞまさに男の友情といった感じで
がっちりハートを掴まれました。

お互いがお互いの良さを引き立てる、
漫才師のような彼らの掛け合いは
みているだけでこちらまで
楽しくなるような魅力があります。

そして、ラストシーンの素晴らしさ

例によって極力ネタバレ禁止なので
ちょっとあいまいな表現になりますが
本作のラストシーンは私が今まで見てきた
映画の中でも特に忘れがたい出色の出来栄えでした。

何がいいかといえば
まず映像、音楽、そして最後に
そこに至るまでの過程。

それらすべてが完璧なタイミングで調和し、
画面の中に時間が止まったかのような緊張感が生まれ
最後には痺れるような深い余韻を残しつつ
観客が映画を見終われるように計算されています。

ともかくあの感覚は
文章で伝えきれるものでもないので
少しでも興味がわいたらぜひ
本作を鑑賞してみてください。

マニアックなうんちく話もたっぷり

この映画は先述した制作秘話を始め
色々と語りたくなる要素がありますが
その中でも映画好きなら見逃せないのが
「ブレード・ランナー」でロイ・バッティ役を演じた
ルドガー・ハウアーが
ある重要な役どころで出演していることです。

同作のファンならきっとその登場シーンに
心ときめかさずにはいられないでしょう。

こんな人におすすめ!

もしあなたが男同士の友情や
場でいムービーに弱いタイプなら
このノッキン・オン・ヘブンズ・ドアは
きっとあなたのお気に入りの一作となるはずです。

ただひとつな難点があるとすれば
この作品は現在Amazon(追加購入含む)でもネトフリでも
huluでも配信されていないという事(※記事執筆時点)。

https://tsutaya.tsite.jp/item/movie/PTA00007YXOS

調べたところU-NEXTやTUTAYAオンラインなどで
配信されているようなのでそちらから見るか、
いっそDVDを購入しても良いかもしれませんね。
何度でも見返す価値のある映画ですので…

他記事で紹介済みのおすすめ映画

ここからは今回の趣旨には合うけれど
他の記事で既に紹介済みだった作品を
ひとこと解説と紹介記事へのリンクを添えて掲載します。

きっと、うまくいく

きっとうまくいくのポスター画像

監督ラージクマール・ヒラーニ
公開年2013
インド
上映時間171分
ジャンルコメディー、ドラマ
日本語吹き替えあり
配信状況Amazonプライム:◎ NETFLIX:× hulu:× U-NEXT:×

ひとこと解説

インドのエリート大学に通う
三馬鹿トリオの活躍を通じて
人生に本当に大切なものは何かを問う爽やかな青春映画。
インド映画おなじみのダンスシーンもしっかり登場しますよ。

この映画のレビューはこちら!

ショーシャンクの空に

ショーシャンクの空にのポスター画像

監督フランク・ダラボン
公開年1995
アメリカ
上映時間143分
ジャンルサスペンス、ドラマ
日本語吹き替えあり
配信状況Amazonプライム:◎ NETFLIX:× hulu:× U-NEXT:◎

言わずと知れたヒューマンドラマの金字塔。
無実の罪で終身刑の判決を受け、
過酷なショーシャンク州立刑務所に収監された男が
それでも希望を捨てずに闘い抜く姿を描いてます。

この映画のレビューはこちら!

トゥルーマン・ショー

トゥルーマンショーのポスター画像

監督ピーター・ウィアー
公開年1998
アメリカ
上映時間103分
ジャンルドラマ
日本語吹き替えあり
配信状況Amazonプライム:◎ NETFLIX:◎ hulu:× U-NEXT:◎

ジム・キャリー主演。
生まれてから一切の人生を本人はそれと知らず
全世界に娯楽として発信され続ける男、
トゥルーマンを主人公とする映画。
大胆な設定と衝撃的なラストシーンに
初鑑賞時大きな衝撃を受けた一作です。

この映画のレビューはこちら!

おわりに

daimaがお届けした
「最高に後味がいい映画10選」
お楽しみいただけましたでしょうか。

良い映画には人の気持ちや行動、
時には生き方までも
変えてしまうだけのパワーがあります。

これからも沢山良い映画と出会って
教科書では学べない素敵な
人生のヒントを見つけていきたいものですね。

それではまたの機会に。

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