死ぬまでに観たい、魂を揺さぶる本気のおすすめ映画16選

映画

こんにちは!
週1本は欠かさず映画を観る、
映画マニアのDAIMAです。

当記事では、私がこれまでの映画歴から、
他はともかくこれだけは観て欲しい、
最高のおすすめの映画

15本に厳選してご紹介します。

おすすめ映画を紹介する記事は数多ありますが、
当記事ではそれらとの差別化を図る意図で、
話題作や有名作品だけでなく、
知る人ぞ知る隠れた名作
人を選ぶけれどハマる人は強烈にハマる作品
積極的に取り上げています。

そして、ご紹介する作品はどれも
三度の飯より映画が好きな私が
自信を持ってオススメする作品ばかり。
それでは、お楽しみください!

※最終更新日2018年5月19日 『ゲット・アウト』を追加。

※鑑賞の楽しみを損なわないよう配慮していますが、ネタバレについては自己責任でお願いします。

  1. セッション
    1. 鬼教師フレッチャーの狂気
    2. ラストの超展開の連続に唖然
    3. ハンパない熱量を持った映画
    4. 金のためなら何をしても良いのか?
    5. 精密に描写されるパパラッチの世界
    6. 外道に堕ちたルイスの運命は...
    7. 徹底した科学考証に脱帽
    8. それでも、作品のテーマは"愛"
    9. 万人にオススメの超大作、科学好きならばさらに良し。
  2. ゲット・アウト
    1. この家族、何かおかしい。違和感が恐怖を生む絶妙のホラー映画
    2. スリルあり、笑いあり、社会的テーマ性ありの快作
  3. グラン・トリノ
    1. 巨匠イーストウッドが描く、本当に格好良いヒーローの姿
  4. アイ・オリジンズ
    1. 「生物学」と「前世」をテーマとしたハイセンスなSFラブロマンス
  5. Drive
    1. その男、危険につき。美し過ぎるバイオレンス映画。
  6. インセプション
    1. 斬新すぎる映像演出の数々
    2. 革新的な映像表現の数々
    3. 頭を使って観るパズルのような作品
  7. グッド・ウィル・ハンティング
    1. テーマはトラウマと友情
    2. 人間の温かさを感じる、泣ける名作映画
  8. ショーシャンクの空に
    1. 名作の評判はダテじゃない
    2. 絶対に自分を曲げない男、アンディ
    3. 終盤の超展開に驚愕
    4. 難しいテーマを美しく仕上げた傑作
  9. きっとうまくいく
    1. テンポの良い笑いの中に社会問題を織り込んだ傑作コメディ
    2. 社会問題へのメッセージも
    3. 爽やかな余韻がある、万人におすすめの上質エンタメ映画
  10. バグダッド・カフェ
    1. 心が疲れた時こそ観て欲しい、生きる素晴らしさを伝えてくれる名作映画
  11. キッズリターン
    1. 背筋も凍るようなリアリティ
    2. 俺たち、終わっちゃったのかな?
    3. キタノ映画入門編としてもおすすめ
  12. ラスト・エンペラー
    1. 緻密な舞台美術で描く溥儀の悲哀
    2. 映画史に残る鮮やかなラストシーン
    3. 歴史映画好きなら必見
  13. アマデウス
    1. 豪華絢爛極まる演出にただただ圧倒
    2. 天才と、天才に嫉妬した秀才の悲劇
    3. ゆったりと大画面で楽しみたい名作映画
  14. ウォッチメン
    1. 過激でダウナーなリアル路線のヒーロー映画
    2. 印象的な音楽と映像表現の数々
    3. 人を選ぶが強烈な魅力のある作品
  15. おわりに
  16. 映画カテゴリの記事一覧

セッション

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映画『セッション』本予告 - YouTube

「ラ・ラ・ランド」の監督でもある
デミアン・チャゼル監督の出世作となった作品。
アメリカで最高の音楽学校、シェイファー音楽学校で、
偉大なジャズドラマーを目指すニーマンを主人公に
鬼教師フレッチャーとの交流を描くスポ根音楽映画。
第87回アカデミー賞5部門にノミネートし、内三部門を受賞。

鬼教師フレッチャーの狂気

映画やドラマに登場する鬼教師と言うと、
表面上は厳しくても、本心は生徒思いであって、
生徒とぶつかり合うことでお互いを理解していく...
というのが一種のお約束です。

ですが、地獄の鬼教師フレッチャーだけは例外です。
自分の指揮するバンドに対しては一切の妥協を許さず、
気に入らないことがあれば奏者に対して怒鳴りイスを投げ、
相手を自殺に追い込むようなパワハラも平気で行う人間です。

そんなフレッチャーをJ・K・シモンズが熱演。
ニーマン役のマイルズ・テラーも、文字どおり
血のにじむ特訓で身につけた激しいドラムさばきを
スクリーン上でこれでもかと見せつけてくれます。

ラストの超展開の連続に唖然

中盤までのフレッチャー先生の
暴れっぷりも最高なのですが、
この映画の名声を決定付けたのは、
終盤に訪れるどんでん返しの連続にあります。

次々に訪れる予想外すぎる展開に
私は鑑賞しながら思わず「マジかよ...」
呟いてしまったほどでした。

特に、伝説とも言えるラスト9分19秒は必見。
息をすることも忘れるような緊迫感と
圧倒的な高揚感が伝わる、
私が今まで見てきた中でも最高の9分間でした。

ハンパない熱量を持った映画

20歳を超えて、映画でここまで
興奮させられたのはこれが初めてでした。
そのくらい、本当に衝撃的な映画です。

決して気楽に観られる映画ではありませんが、
鑑賞後しばらく興奮が抜けないような魔力があります。
パンチの効いた作品をお探しの方に
強くオススメしたい近年最高の傑作です。

映画『ナイトクローラー』予告編 - YouTube

窃盗などで日銭を稼ぐルイス(ジェイク・ギレンホール)が、
一獲千金を目論んで
事故現場専門のパパラッチ(ナイトクローラー)になり、
手段を選ばずのし上がっていく姿を描いた犯罪スリラー映画。

監督は「リアル・スティール」のダン・ギルロイ

金のためなら何をしても良いのか?

主人公ルイスは、金のためなら手段を問わない人間です。
初めのうちは小型のビデオカメラで現場を撮影していたものの、
ショッキングな内容であればあるほど
テレビ局が映像を高値で買うことを学ぶと、
より高額な車や機材を購入して
本格的なパパラッチ活動を開始します。

ルイスの撮影活動は次第にエスカレート
より高値で売れる映像を撮影するために
事故現場の改ざんを行ったり、
殺人犯をあえて通報せずに泳がせておいて、
さらなるスクープのネタにしようとするなど、
明らかに倫理に反した行動を行うようになっていきます。

精密に描写されるパパラッチの世界

本作では、アメリカに実在する
ナイトクローラーたちの仕事のノウハウが
非常にリアルに描かれています。
(ルイスほど見境のないパパラッチは
珍しいと思いますが)

いち早く事件現場に到着するため、
警察の無線を傍受したり、
パパラッチ同士でチームを組んで、
仲間内でスクープを独占したりと、
映画の中で描写されるテクニックの数々は
絵空事ではない生々しさがあります。

他人の不幸でお金を稼ぐのは
心情的に同意できませんが、
このようなノウハウを見ていると、
結局最後に儲けるのは、どの世界でも
手際のいいやつだけ
なんだなぁと
妙に納得させられました。

外道に堕ちたルイスの運命は...

題材が題材なだけあり、
後味の良い映画ではありませんが、
現代社会の病理や、お金の本質に迫るような
強烈なアリティを感じる作品でした。

因果応報という言葉がある通り、
私たちの多くは、幼い頃から
悪いことをすればわが身に返ってくると教えられます。

果たしてルイスにも相応の罰が下るのか?
その結末はぜひ映画を見て
確かめていただきたいと思います。

インターステラー 予告編

元NASAの宇宙飛行士クーパーが、
異常気象で滅亡寸前の人類を救うため、
恒星間飛行(インターステラー)するお話。
監督は、「メメント」「ダークナイトシリーズ」の
クリストファー・ノーランです。

徹底した科学考証に脱帽

私が本作を押す一つ目の理由が、
現役の物理学者、キップ・ソーン博士による
監修の元描かれた、最新の理論に基づく宇宙の姿や
奇想天外な物理現象の面白さ
です。

例えば、重力の強い場所では
時間がゆっくり流れることで
双子の年齢にずれが起きるウラシマ効果や、
光すら逃れられない事象の地平面
離れた二点を繋ぐワームホールなど、
SF的好きならワクワクする要素が
全編に散りばめられています。

また、脚本のジョナサン・ノーランは
本作の脚本執筆に4年を費やし、
さらに執筆と並行してカリフォルニア工科大学で
相対性理論を学んだ
というのだから
その気合の入り方は疑いようもありません。

また、本作はの使い方も絶妙で、
爆発のシーンであえて無音にすることで
音の存在しない宇宙空間の
静寂さと恐怖感が的確に表現されています。

それでも、作品のテーマは"愛"

SF要素の面だけ見ても
これまでにない魅力ある作品ですが、
本作が本当にすごいのは、そこに
万人が共感できる「愛」というテーマを加えて
上質なエンターテイメントに仕上げたことです。

壮大な宇宙SFを本作の縦糸とするなら、
主人公クーパーと、娘であるマーフの親子愛は
それに対する横糸と言えるでしょう。

宇宙へ旅立ったクーパーと、地球に残されたマーフ、
二人がそれぞれの方法で人類滅亡の危機に立ち向かい、
遠く離れてもお互いを思う気持ちには強く心を動かされます。

そして、なんどもどんでん返し
繰り返した末に訪れる衝撃の結末には
胸の奥から熱いものが込み上げて
止まりませんでした。
あれこそ本作だからこそできた、
唯一無二のエンディングだったと思います。

万人にオススメの超大作、科学好きならばさらに良し。

ここまでやるかと思うほどの
絶望的な展開の連続にハラハラし、
描かれる人間愛に胸打たれる
近年でも有数の名作です。

SFマニアから家族連れまで
お腹いっぱい映画を楽しみたい方におすすめしたい一作。
その映像美と音響表現の妙を味わうため、
なるべく大きなスクリーンでの鑑賞をお勧めします。

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ゲット・アウト

元コメディアンでもある、
ジョーダン・ピール監督のホラー映画。
公開直後から批評家を中心に高い評価を受け、
2018年には第90回アカデミー賞の
脚本賞を受賞しています。

この家族、何かおかしい。違和感が恐怖を生む絶妙のホラー映画

本作の主人公は、白人美女ローズを
恋人にもつ黒人青年クリス。

そんなクリスが、ローズとともに
ニューヨークの高級住宅街にある
ローズの実家、アーミテージ家へ
初めて訪れる場面から
本作の物語は幕を開けます。

私がこの作品にハマったポイントは、
じわじわと追い詰められるような、
違和感による恐怖の演出
です。

一見親切そうなローズの父母や
パーティに訪れた白人住人達は
明らかに何かを隠している様子で、
使用人の黒人達に至っては、
クリスに敵意を向けてくる始末。

そしてある晩、ローズの母が
禁煙治療と称して半ば強制的に
クリスに催眠療法
施した事をきっかけに物語は急転直下。

予想を超える怒涛の展開が
これでもかと押し寄せます。

スリルあり、笑いあり、社会的テーマ性ありの快作

この文を書いたのは2018年の5月ですが、
『ゲット・ダウン』は私が本年度見た中で
間違いなくNo.1の作品でした。

白人警官による黒人射殺事件など
現実の社会問題とリンクさせつつ、
ここまで面白いストーリーを
作り上げた監督の手腕に、
ただただ賞賛を送りたい気持ちです。

恐るべきアーミテージ家の目的とは?
そしてクリスは無事に帰還できるのか?
その結末が気になった方は、
ぜひ本作を鑑賞して確めてみてください。

グラン・トリノ

ハドソン川の奇跡や硫黄島からの手紙、
許されざる者、パーフェクト・ワールドなど
数々の名作映画を世に送った
巨匠クリント・イーストウッドが手がける
2008年公開のアメリカ映画。

朝鮮戦争に出兵した経験を持ち、
古き良きアメリカを体現したような
偏屈な元自動車工の老人ウォルト
(クリント・イーストウッド)は、
隣に越してきた父親のいない
中国の少数民族出身の一家を
図らずもギャングとのいざこざから
救ったことで次第に交流を持ち始めます。

中でも、頭はいいが気弱で
周囲からバカにされ続ける
少年タオ(ビー・ヴァン)に対しては、
自動車修理のノウハウを伝授したり、
アメリカ流れの男と男のつきあい方を仕込むなど
特に目をかけ、次第に情も移っていきます。

しかし、メンツを潰された
ギャングたちの報復はあまりに執拗で、
ウォルトはついに、この争いに
終止符を打つべくある決断をするのでした...

巨匠イーストウッドが描く、本当に格好良いヒーローの姿

アメリカ映画らしい
エンターテイメント性はそのままに、
社会的なテーマを巧みに盛り込んだ作風で、
今尚世界中の映画好きから
熱烈な支持を得るイーストウッド作品。

本作はその中でも特に
「人種や年代を超えた友情」
「暴力の連鎖をどう解決するか?」
といったテーマに主眼が置かれています。

夕日のガンマンや許されざる者など
数々の映画で敵をなぎ倒してきた
映画界のヒーロー、イーストウッドが
本作で見せたラストシーンの決断には、
誰もが激しく心揺さぶられることでしょう。

頑固で口は悪いが、根は優しいウォルトを始め、
可憐だけど利発で芯の通った移民の少女スー、
ウォルトの身を案じ、最後までウォルトを
救おうとしたヤノヴィッチ神父など
登場人物ひとりひとりに血が通っていて
観ていて自然と親しみが湧くのも
流石はイーストウッド監督です。

移民に対する風当たりが厳しくなり、
暴力の連鎖が広がりつつある今こそ
多くの方に見ていただきたい名作映画です。

アイ・オリジンズ

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大学院で生物の眼を研究するイアンと
特徴的な虹彩をもつ不思議な少女ソフィとの
出会いを起点として、「生まれ変わり」
「魂の存在」といった深遠なテーマを
豊かな感性で描いた作品。

監督はマイク・カーヒル。
インディペンデント映画の祭典である
2014年サンダンス映画祭で
アルフレッド・P・スローン賞を受賞しています。

「生物学」と「前世」をテーマとしたハイセンスなSFラブロマンス

本作は日本での劇場公開が行われておらず、
プライムビデオにてレンタルで鑑賞しました。

始めの30分ほどは科学者が主人公の、
ちょっと変わったおしゃれな
ラブロマンスに思えた本作。

ですが、映画中盤に衝撃的な展開があり、
以降は一転して「化学」と「前世」が絡んだ
独創的なストーリーが展開されます。

映像作りや間の取り方など
全編に渡って非常にハイセンス。
また音楽の使い方も絶妙で、
特に序盤のパーティーシーンで流れる
『The Dø』の『Dust it off 』と
本編ラストシーンで流れる
『REDIO HEAD』の
『Motion Picture Soundtrack』の使われ方は絶妙でした。

化学とスピリチュアルという
決して交わることのない
水と油のようなテーマを扱いつつも、
ラストシーンは、
思わずため息がこぼれるような
美しいカットで完璧に締めています。

ロマンチックで先鋭的、
それでいてユーモアの効いた作品を
お探しの方に是非オススメしたい一作です。

また本作は、キャストロールの
後に流れるおまけ映像にも注目。
化学の進歩に対する警鐘を鳴らすような
ちょっと毒のあるその内容に、
思わずハッとさせられますよ。

アイ・オリジンズ (字幕版)

アイ・オリジンズ (字幕版)

  • マイク・ケイヒル
  • ドラマ
  • ¥1000

Drive

ジェイムズ・サリスの小説を映像化した
2011のアメリカ映画。監督は
デンマーク出身の
ニコラス・ウィンディング・レフン

かつて銀行強盗の運び屋として名を上げ、
今は修理工場で働く
ドライバー(ライアン・ゴズリング)。
彼はふとしたきっかけから
アパートの隣室に住む子連れの若い女性、
アイリーン(キャリー・マリガン)と関わりを持ち、
次第に彼女に心惹かれていきます。

しかしアイリーンには
刑務所に服役中の夫がおり、
その夫が刑期を終え戻ってきたことから
ドライバーの甘く平穏な日々は崩れ、
再び暴力と犯罪の世界へと
転落していくのでした...

その男、危険につき。美し過ぎるバイオレンス映画。

タイトルとポスターだけを見ると、
ワイルド・スピードのような
カーアクション映画と思われがちですが、
この映画の本質は、寡黙な男の純愛と、
美し過ぎるバイオレンス描写にあります。

まず、主人公のドライバー。
(彼の本名は作中では最後まで判明しません)
こいつがとにかく男臭くて格好良い。

背中にスコーピオンの
刺繍の入った白いブルゾンを着こなし、
カースタントで磨いた腕で
車を運転させれば右に出るものはおらず、
寡黙で屈強で甘いマスクの持ち主で、
裏の仕事もこなすアウトローな面もあり、
さらに女性や子供に対しては優しいという、
まさに男の憧れる男なのです。

ですがこのドライバー、決して理想的な
アメリカンヒーローではありません。

この映画の最大の魅力はバイオレンス。
普段は温厚なドライバーも、
一度火がつくと秘められた凶暴性を剥き出しにし、
敵の喉笛に狂気を突き立て、
顔面を靴底で何度も何度も踏み潰すような、
危険な狂気を秘めているのです。

そしてその暴力描写の鮮やかさといったら!
基本、痛いシーンは苦手で、
ドラマの手術シーンなどは目を背ける私も、
あまりに洗練された圧倒的暴力描写に、
思わず目が釘付けになってしまいました。

また、「間」の使い方のうまさも本作の魅力。
ドライバーとヒロインのアイリーンが
見つめあうシーンの間や、
海岸で敵を追い詰めたシーンの、
息がつまるような間の使い方など、
随所で効果的な時間の配分がなされています。

音楽の使い方も絶妙で、
オープニングを始め重要なシーンで
度々流れる軽快なユーロビートが、
本作の持つ危険な世界観を妖しく彩ります。

バイオレンス描写満載の作品であるため、
決して万人にオススメはできませんが、
ハマる人は強烈にハマる、
非常に中毒性の高い映画です。

余談ですが、この作品の暴力描写を
アメリカ版キタノ映画
評しているレビューを拝見して、
あぁまさに言い得て妙だな...
とめちゃくちゃ共感してしまいました(笑)

ドライヴ [Blu-ray]

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インセプション

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映画『インセプション』予告編 - YouTube

夢の中に入り込んで、重要な情報を盗み出す
「引き出し人」であるドム(レオナルド・ディカプリオ)
を主人公とするSFアクション映画。

前項の「インターステラー」と同じく、
クリストファー・ノーラン監督作品。
アカデミー賞に6部門ノミネートし、
うち4部門を受賞しています。

斬新すぎる映像演出の数々

渡辺謙が重要な役で出演しており、
日本でも大いに話題となった本作。

私がこの作品に惹かれた理由は、
夢の世界に入り込むスパイという設定の面白さと。
夢の中という設定を活かしたトリックの巧妙さです。

夢の世界には様々なルールがあり、
ドムたちは、このルールに従って
ミッション達成のための緻密な計画を練ります。

映画の内容はかなり難解であり、
例えばある人の夢の中で別の人が夢を見て、
さらにその人の夢の中でまた別の人が夢を...
といった具合に、マトリョーシカのような
夢の入れ子構造を利用したトリックや、
夢から醒めるためのキックの定義など
初見では理解が追いつかない部分もありましたが、
そのぶんトリックのタネがわかると
なるほど!と感心せずにはいられませんでした。

また、夢の深い階層で死亡してしまうと
意識が現実世界に戻れなくなるなど、
作品のスリルを高める設定が巧みに練られており、
観客を最後までハラハラさせる工夫が
随所に凝らされています。

劇中に貼られた伏線も見事で、
時間の限られた映画作品で、
よくここまで複雑な内容を
まとめ上げたものだと感心しました。

革新的な映像表現の数々

本作には夢の中という設定を活かした
ダイナミックな映像表現が沢山盛り込まれています。

例えば、永遠に登り続ける階段で有名な
ペンローズの階段を三次元で再現したり、
都会の景色をサイコロのように折りたたんだりと
次々と繰り広げられる斬新な映像表現に、
まるで、マトリックスを初めて観たときのような
ワクワクした気持ちを味わうことができました。

頭を使って観るパズルのような作品

緻密な夢の中のルールについて理解しないと、
話についていけなくなる難点こそありますが、
その分奥が深く、考察のしがいのある作品です。

構成に工夫がある作品や、
斬新な映像表現を楽しみたい方にオススメ。
もちろん、ディカプリオのファンにもオススメです。

グッド・ウィル・ハンティング

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グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち - 予告編 - YouTube

天才的な頭脳をもちながら、
幼少時のトラウマに苦しむ青年ウィルと、
心理学者ショーンの交流を描いた作品。

当時は無名だったマッドデイモン
脚本を執筆しています。
監督はガス・ヴァン・サント
第70回アカデミー賞にて9部門にノミネートし、
うち2部門を受賞しました。

テーマはトラウマと友情

本作の主人公ウィルは、度々傷害事件を起こす問題児で、
正規の数学教育をほとんど受けていないにもかかわらず、
MITの学生でも解けないような難問を
たやすく解いてしまうような天才的な能力をもっていました。

その能力に目をつけたMITのランボー教授は、
再び傷害事件を起こし起訴されたウィルに対し、
カウンセリングを受けることを条件に保釈を申し出ます。

しかし、何人ものカウンセラーがウィルの抵抗に遭って
さじを投げてしまい、ランボーは最後の手段として、
仲違いをしていた同窓の心理学者ショーンに
ウィルのカウンセリングを依頼する...
というのが本作の導入です。

ロビンウィリアムズ演じるショーンは、
穏やかで優れた心理学者ではありますが、
ウィルと同じく、ある事件を理由に
心に深い傷を抱えた人物です。

はじめのうちはウィルが反発し、
カウンセリングもうまくいきませんでしたが、
ショーンが粘り強くカウンセリングを続けるうち、
次第にお互いの距離を縮めていきます。

果たしてショーンはウィルの心を開かせることができるのか、
また、ショーンの抱えるトラウマの正体は何なのか、
というのが本作の見どころです。

人間の温かさを感じる、泣ける名作映画

とにかく脚本の秀逸さが光る名作。
マッドデイモン、ベンアフレック、
ロビンウィリアムズ
ら名優の
人間味のある演技も大変魅力的です。

心温まるヒューマンドラマをお探しの方や、
辛いトラウマに悩まされる主人公に共感できる方

是非オススメしたい作品です。

ショーシャンクの空に

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映画好きで知らぬ者はいないであろう
名作中の名作映画。監督は、
『グリーン・マイル』、『ミスト』の
フランク・ダラボン

舞台は1940年代のアメリカ。無実の罪で
劣悪なショーシャンク刑務所に投獄された
優秀な銀行員、アンディ・デュフレーンが、
逆境に立ち向かい、自由を求めて
悪戦苦闘するお話です。

原作は、モダンホラーの巨匠、
スティーブン・キング御大ですが、
本作のジャンルはホラーではなく、
人間の強さや人生の価値を描く
ヒューマンドラマとなっています。
(別の意味で恐ろしい場面はありますが...)

名作の評判はダテじゃない

名作との評価が固まりすぎて、
かえって好きな映画に挙げ辛いなんていう
冗談みたいな噂まで聞かれる本作。

その評価を確固たるものとした要因は、
巧妙で先の読めないストーリー展開と、
ティム・ロビンス演じる主人公アンディの
魅力的なキャラクターにあります。

絶対に自分を曲げない男、アンディ

優秀な銀行員として
順風満帆な人生を送っていたアンディは、
不幸な偶然から妻殺しの濡れ衣を着せられ、
終身刑を言い渡されて
ショーシャンク刑務所に収監されます。

1940年代当時のショーシャンクは、
看守による暴力や、男色家の囚人による
レイ○など、理不尽な暴力が蔓延り、
それに耐えきれず自殺する者も出るような
劣悪な環境でした。

そのような状況で、
アンディも新入りの囚人として
"洗礼"を受ける羽目になるわけですが、
アンディは持ち前の知性と、
タフな精神力で
その状況に立ち向かっていくのです。

囚人を事故に見せかけて
殺そうとする暴力看守や、
悪質なレイ○魔の囚人などの難敵を、
アンディは思いもよらない
クールな方法で乗り越えていく...
その緊張感とカタルシスこそが
本作の大きな魅力のとなっています。

終盤の超展開に驚愕

映画の後半、アンディを
最も苦しめる最強の敵、
ノートン刑務所長が登場します。
(こいつが、聖書を愛読するくせに
自分は囚人を安く働かせて
法外に荒稼ぎするなど、
本当に悪くて嫌な奴なんです!)

絶対的な権力と、アンディに対する
偏執的な敵意を持つノートンに、
さすがのアンディも、精神と肉体共に
ギリギリまで追い詰められます。

そしてある事件をきっかけに
アンディの忍耐もついに限界を迎え...
最後の最後に、あっと驚くような
ラストシーンを迎えます。

あの展開のインパクトは相当で、
私も初見時はいい意味で
笑うしかありませんでした。

映画として、画の見せ方も上手く、
度肝を抜かれることうけあいです。

難しいテーマを美しく仕上げた傑作

本作は、原作の持つ
巧みなストーリーテリングに、
ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン
俳優陣の卓越した演技力、
そしてダラボン監督の、
観客の心を掴む高い構成力が
合わさって完成した稀有な作品です。

なかでも私の大好きな作中のシーンが
「屋上でのビール」、「フィガロの婚礼」
「ラストシーン」
の3つ。

これは、本作を観たことがある方なら
絶対にわかってもらえると思います。
特にラストは...必見です!

きっとうまくいく

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インドの名門工科大学を舞台にしたコメディ映画。
監督はラージクマール・ヒラーニ
インドアカデミー賞で史上最多の16部門を受賞しています。

風変わりなポスターに惹かれて鑑賞したこちらの作品。
インドが映画製作が盛んな国であることは知っていましたが、
実際にインド映画を観たのは本作が初めてでした。

テンポの良い笑いの中に社会問題を織り込んだ傑作コメディ

本作の主人公は、奔放な秀才のランチョー、おっとりしたファラン、
気弱で成績は下のラージューの三人組。

映画は、彼らの工科大学時代を描く過去編と
長らく音信不通となっていたランチョーに、
社会人となったファランとラージューが再開しに行く
現在編が交互に展開する進行となっています。

工科大学時代の過去編では、
ランチョー、ファラン、ラージューの三人組が
親の期待や競争社会のプレッシャーに苦悩しつつも
学生生活を送る姿がユーモアたっぷりに描かれます。

厳格な競争主義者であるヴァイラス学長や
サイレンサー(すかしっ屁)があだ名の嫌味なチャトルなど
脇を固めるキャラクターも大変魅力的。
また、ランチョーと学長の娘ピアとのラブストーリーも
ロマンチックで見応えがあります。

過去編の10年後が舞台の現在編では、
過去編を思い出話として回想しながら
長らく行方不明だったランチョーに
二人が再開しに向かいます。

この過去と現代を交互に進める構成が見事で、
あれほど優秀だったランチョーがなぜ
消息不明となっていたのか、
今どこでなにをしているのかなど、
否応無く興味が掻き立てられます。

社会問題へのメッセージも

基本的には気軽に楽しく観られる作品なのですが、
学歴社会インドの世相を反映してか、
競争社会や格差社会についてなど、
今の日本にも通じる社会問題への
強烈なメッセージも内包されています。

中でも、作中に登場するある学生の、
競争社会のプレッシャーに押しつぶされた末の
結末は中々に衝撃的でした...

本作が世界中で高い支持を得たのも、
こうした負の部分にまで目を向けて
作品の中にうまく取り入れたからこそだと思います。

爽やかな余韻がある、万人におすすめの上質エンタメ映画

思い切り笑えるコメディとしても、
ランチョーの謎を追うコメディとしても、
恋愛や友情を描く人情ものとしても楽しめる傑作映画。
特に、ラストシーンの爽快感と幸福感は突出したもので、
本作を締めくくるにふさわしいカットに仕上がっています。

私にとって、インド映画の底力を思い知らされ、
また他のインド映画への興味も沸き起こさせる作品でした。

上映時間171分と長めですので、
休日にゆったりとリラックスして
鑑賞されることをおすすめします。

バグダッド・カフェ

ラスベガス近郊の
砂漠地帯に建つ小さな寂れたカフェ
「バグダッド・カフェ」を舞台に、
カフェに屯ろする人々と、
偶然そこを訪れたドイツ人旅行者
ジャスミンの交流を描く、
1987年公開の西ドイツ、アメリカ
共同制作のヒューマンドラマです。

監督はパーシー・アドロン。
主役のジャスミンは、現在も
ドイツのTVなどで活躍する
マリアンネ・ゼーゲブレヒトが
演じています。

心が疲れた時こそ観て欲しい、生きる素晴らしさを伝えてくれる名作映画

アカデミー歌曲賞にノミネートされた
主題歌の「calling you」
耳にしたことのある方も
おられるかもしれません。

本作の主人公は、
ポスターで給水塔の
掃除をしている、
ジャスミンという名前の
ドイツからやってきた
小太りのおばさんです。

ジャスミンは、アメリカ旅行中に
夫と喧嘩別れになり、
砂漠をひとりさまよっている内に、
バクダッド・カフェにたどり着きます。

そこで、バクダッド・カフェを経営する
勝気な黒人の中年女性ブレンダや
生意気なブレンダの子供達、
個性的なカフェの常連客と出会い、
最初こそギクシャクしていたものの、
持ち前の魅力的な性格で
徐々に周囲の人々に馴染んでいく…
というのが本作の大筋です。

あらすじだけ聞くと、
それって本当に面白いの?と
疑問に思われるかもしれませんが、
これが本当に面白いんです。

まず、一見高慢そうな見た目に反して、
愛嬌と行動力を備えたジャスミンが大変魅力的。

彼女が、生意気なブレンダの子供達や、
夫が家出して気が立っていたブレンダと
少しづつ打ち解けていく様子は
観ていてとても微笑ましいものでしたし、
私自身、映画を見終わる頃には
ジャスミンのことが
すっかり好きになってしまいました。

映像作品としての見せ方も秀逸で、
夕闇に沈む砂漠のカットや、
登場人物の心理状態を伝える
絶妙な間の使い方も
たまらないものがあります。

私にとって、
派手な映像や凝ったシナリオだけが
映画の面白さじゃないということに
気づかせてくれた忘れがたい作品であり、
また、観るたびに生きる気力を
分けてもらえる、幸福感の
塊のような作品でもあります。

老若男女問わず、
未見の方は是非一度鑑賞していただきたい、
心温まる傑作映画です。

キッズリターン

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キッズ・リターン - 劇場予告編 (Takeshi Kitano) - YouTube

マサルとシンジという二人の若者が、
ボクシングとやくざの世界で
それぞれ夢のために奮闘する姿を描く青春映画
1996年のカンヌ国際映画祭にも出展され、
淀川長治からも絶賛された
北野武監督の6作目となる作品です。

北野武監督は、「芸能人が二足のわらじで作る映画なんて、
どうせ大したものじゃないんだろ」という私の偏見を
見事に打ち壊してくれた、日本が誇る映画監督であり、
その日本人ならではの情緒と感性は、
本作においてもいかんなく発揮されています。

映画のあらすじは、高校をサボり小遣い稼ぎに
カツアゲをする日々を送っていたマサルとシンジが、
ある日仕返しに雇われたプロボクサーに
叩きのめされたことをきっかけに、
ボクシングジムの門を叩く、というもの。

ここまでならよくある青春スポコン映画の筋書きですが、
私が本作に心を打たれたのは、
北野監督ならではのドライでシビアな感覚が、
この映画全編に行き渡っていたからでした。

背筋も凍るようなリアリティ

弟分だったはずのシンジに才能の差を見せつけられ、
あっさりとボクシングから身を引きやくざの世界へはまりこむマサル。
一方のシンジはボクサーとしての才能に目覚めるものの、
若手の芽を潰す事に長けた老獪なボクサー、ハヤシにつけこまれ、
堕落の味を覚えこまされます。

また、脇役たちの存在感も見事で、
特に真面目でおとなしい好青年のヒロシと、
マサルとシンジに才能がないと冷やかされていた
漫才コンビの二人の末路には、
人生に対する、北野監督流の
無常観のようなものを感じさせられました。

トレーナー監修の元、
過酷なトレーニングを積んで撮られた
ボクシングシーンも迫力満点。

ボクシング好きの北野監督だけあり、
派手な演出こそないものの、
淡々と進む試合風景の中に
切迫した緊張感が満ちています。

音楽は北野映画ではおなじみの久石譲氏が担当。
久石氏の神秘的な楽曲と、
本作の乾いた空気感が絶妙にマッチしており、
奥深い味わいを生んでいます。

俺たち、終わっちゃったのかな?

また、「キッズ・リターン」を語る上で、
あの有名なラストシーンを外すことはできません。
空虚さと爽やかさ、そして希望が混ざり合った、
何度見ても胸が締め付けられる余韻のあるラストです。

そんなラストシーンでマサルとシンジが交わした
「マーちゃん、俺達もう終わっちゃったのかなぁ?」
「バカヤロウ まだ始まっちゃいねぇよ」の有名なやりとりは、
映画史に残る名せりふではないでしょうか。

キタノ映画入門編としてもおすすめ

青春スポーツものであり、
同監督の他作品に比べて暴力描写も少なめ。
同監督作品では、「あの夏、いちばん静かな海」
「ソナチネ」も好きですが、
題材のとっつきやすさで言えば
本作が一番だと思います。

キッズ・リターン [Blu-ray]

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ラスト・エンペラー

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映画「ラストエンペラー」日本版劇場予告 - YouTube

中国の清朝最後の皇帝「溥儀」の生涯を描いた歴史大作。
イタリア、中国、イギリスの三国による共同制作映画です。
1987年度のアカデミー賞において、
9部門(作品賞、監督賞、撮影賞、脚色賞、
編集賞、録音賞、衣裳デザイン賞、美術賞、作曲賞)を受賞。
これは、1958年の「恋のてほどき」以来の快挙だそうです。

緻密な舞台美術で描く溥儀の悲哀

私がこの映画を初めて見たのは、12歳くらいの頃、
海外旅行が好きで中国にもしばしば訪れていた父と一緒に
テレビで放映されていたものを観たのが初めてでした。

その頃は溥儀や満州についてよく知らず、
おおまかにしか話を理解できなかったものの、
子供時代の溥儀が従者とカーテン越しに遊ぶシーンや、
塀によじ登って城の外を眺めるシーン、
溥儀が外に出ようとして門を閉ざされるシーン、
ソ連軍が落下傘で降りてくる絶望的なシーン、
そしてラストの玉座とコオロギのシーンなど、
本作の印象深いシーンの数々は
私の心にずっと残り続けていました。

20代になって改めてこの映画を鑑賞しましたが、
そこで改めて気付かされたのが、
本作の絢爛で壮大なスケール感を支える美術面の魅力でした。

舞台となる紫禁城から衣装の数々に至るまで
その全てが壮大で豪華。もはや30年前の映画ですが、
今見ても決して色褪せない迫力があります。

そして、豪華な美術演出があったからこそ、
皇帝という立場でありながら、
何一つ思い通りに生きられなかった
溥儀の悲哀のようなものも
かえって強調されていたように思います。

また、あの坂本龍一氏が参加した
音楽面は非常に重厚で、
本作のエキゾチックな雰囲気を
十二分に盛り上げています。
特にメインテーマは美しく、
本作の持つ栄枯盛衰な雰囲気に
この上なくマッチしています。

映画史に残る鮮やかなラストシーン

そして、何度見ても胸にしみるラストシーンの鮮やかさ
かつては選ばれた人間しか入場できなかった紫禁城に
今では多くの観光客が訪れ賑わって居る様子に
過ぎ去っていく時代の流れを感じるとともに、
最後まで時代に振り回された溥儀の人生に
思いを馳せずにはいられなくなる名場面でした。

私も昔、観光で
紫禁城(現 故宮博物院)を訪れたことがありますが、
あの途方もなく広い城のどこか片隅に、
今も老人溥儀が居るような気がしてなりませんでした。

歴史映画好きなら必見

エンターテイメントとして一級でありながら、
溥儀に関わりの深い日本に住む人間として
歴史の一端を知る上でも非常に有意義な作品。
歴史好き、なかでも近現代の
アジア史に興味のある方には絶対おすすめです。

アマデウス

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Amadeus - Trailer - YouTube

大音楽家モーツァルトの生涯を、
同時代の音楽家サリエリの視点から描いた作品。
第57回アカデミー賞にて、
作品賞を始めとした8部門を受賞しています。
監督は、「カッコーの巣の上で」のミロス・フォアマン。

豪華絢爛極まる演出にただただ圧倒

この映画の見所のひとつが、
アカデミー賞も受賞した衣装や演出の素晴らしさです。
衣装は18世紀の流行が忠実に再現され、
劇中のオペラのシーンは、原作が
ブロードウェイの舞台作品であったこともあり、
まるで自分が当時の観客になったような
錯覚に陥るほどの高い完成度を誇っています。

作品のテーマ上もっとも重要な音楽面では、
イギリスを代表する名指揮者、ネビル・マリナーが指揮を担当。
「魔笛」「レクイエム」「ピアノ協奏曲第20番」などの
モーツァルトの名曲を鮮やかに蘇らせています。
また、同じくネビル・マリナーが指揮を務めた
本作のサウンドトラックは、映画のサントラとして
異例のベストセラーを納めています。

また、俳優陣の演技力も超一級であり、
特に、モーツァルト役のトム・ハルスの
エキセントリックで茶目っ気ある演技と
サリエリ役 F・マーリー・エイブラハムの
ネガティブな感情がにじみ出るような
鬼気迫る名演は必見です。

天才と、天才に嫉妬した秀才の悲劇

モーツァルトを主役した伝記映画である本作ですが、
本作が映画史に残る名作たり得たのは
モーツァルトとサリエリを通して描かれる
人間ドラマが秀逸だったからだと私は感じました。

神に愛された神童モーツァルトと、
モーツァルトの才能を
理解するだけの才能は与えられたサリエリ。

モーツァルトの才能に嫉妬し、
自分を選ばなかった神を責めるサリエリに、
同じように挫折と嫉妬に苦しんできた
自分の姿を重ねずにはいられませんでした。

対するモーツァルトも決して幸福なわけではなく
自分勝手な性格が災いして音楽界で干されたり、
過度の浪費グセのせいで、妻コンスタンツェとの生活も
貧乏のどん底に苦しむようになります。

映画の終盤、サリエリは
自分を選ばなかった神に復讐するため
ある計画を実行します。その内容と顛末は、
ぜひとも映画を観て確認していただきたいです。

そして、映画の最後の最後、
「ピアノ協奏曲第20番」をバックに
老いたサリエリが独白するシーンは
今思い出すだけでも鳥肌が立つような美しさ。

この超大作を締めくくるにふさわしいラストでした。

ゆったりと大画面で楽しみたい名作映画

18世紀人モーツァルトを主人公としていますが、
クラシック音楽や歴史について深い知識がなくとも
問題なく楽しめるエンターテイメント大作です。

構成、演出、演技力のどれをとっても一級品。
その魅力を十分に味わうため、
視聴の際は大画面での視聴をおすすめします。

アマデウス(字幕版)

アマデウス(字幕版)

ウォッチメン

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ウォッチメン - Trailer - YouTube

冷戦時代のアメリカを舞台に、
ヒーロー集団ウォッチメンの一員
ロールシャッハを主人公として、
ウォッチメンを巡る巨大な陰謀を描く
サスペンス系ヒーロー映画です。

原作はアラン・ムーアの伝説的コミック「ウォッチメン」。
本作はその原作を元に、「300」や「ドーン・オブ・ザ・デッド」の
ザック・スナイダー監督が映像化した作品です。

過激でダウナーなリアル路線のヒーロー映画

この映画について語る前に、原作について軽くご紹介します。

原作コミックのウォッチメンが描かれたのは、
冷戦真っ只中の1980年代
ウォッチメンに登場するヒーロー達は、
政治的な暗殺や戦争行為など、汚れ仕事も行う
政府の秘密組織のように描かれており、
純粋な正義の味方であるスーパーマンなどの
従来のヒーロー像とは全く異なるものでした。

その世界観はダークで暴力的な現実路線。
ベトナム戦争やケネディ大統領など、
当時のアメリカの世相を象徴するワードが頻繁に登場し、
映画版ウォッチメンもその設定を
全面的に受け継いでいます。

印象的な音楽と映像表現の数々

https://youtu.be/aVUDdQS2UxAyoutu.be

私が最初に度肝を抜かれたのが、
スローモーションを駆使して表現された
本作のオープニング映像でした。

ボブ・ディランの「The Times They Are A Changin」をバックに、
初代ウォッチメンから現在のウォッチメンに至るまでを、
メリハリの効いた映像で映し出しています。
これがまさに痺れるような格好よさであり、
同時に原作愛も感じさせる出来栄えだったのです

また、劇中での音楽の使い方も絶妙であり、
Nenaの「99 Red Balloons」
Simon & Garfunkelの「Sound of Silence」など、
往年の名曲の数々が本作に華を添えています。

人を選ぶが強烈な魅力のある作品

暗く、ハードな世界観であり、
さらに中盤でやや中だるみする箇所もあって、
決して万人ウケする映画ではありません。

ですが、ストーリーの奥深さ、面白さは
原作譲りであり、印象的な映像表現や、
ダークでスタイリッシュな世界観など
この映画にしかない魅力があるのも事実です。

ダークな世界観を楽しみたい方や
ダークヒーローものが好きな方にはおすすめです。

hulu
↑『ウォッチメン』はHuluでも観られます。
Huluで観られるアメコミ作品としては、
アベンジャーズ形のアメコミ作品や
ダークナイトシリーズもおすすめですね。

おわりに

最後までお読みいただき
ありがとうございました。
この記事が、あなたと良い映画との
出会いのきっかけになれば幸いです。

今回は、純粋に良いと思った
作品をリストアップしましたが、
結果的として洋画中心の
ラインナップとなりました。

できれば、これからの
日本の映画業界にも
日本人ならではの感性を活かした
海外に負けない名作映画が
今後たくさん生まれることを期待したいですね。

漫画の実写化ばっかしてないでさ

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