意味が分かるとゾッとするSCP報告書5選

SCP

はじめに

こんにちは、daimaです。
突然ですが、あなたにとって
SCP財団の魅力とは何でしょうか?

科学とオカルトが混在する独特の世界観?
強烈な魅力を備えたアノマリー達のキャラクター性?
それともファン同士で共有できる小ネタの数々?

そのどれもが正解ではありますが、
私の場合、SCP財団の最大の魅力はやはり
読み物としての面白さにあるのではないかと考えています。

そして、本日ご紹介するのはそのような
読み物としての面白さに特に優れている(と私が感じた)
五本の報告書です。

これらの報告書には本記事のタイトル通り
最後まで読み終えて初めて気づくことのできる
様々な恐怖の仕掛けがあり、
中にはオチを理解するために
他SCPの前知識が必要なものもありますが、
そういった報告書に関しては
私が初見の方にもなるべく分かりやすい様に
補足説明を行っていますの安心してご覧ください。

それでは、いってみましょう!

SCP-289-JP 「覗き見るもの」


▲観察を行うSCP-289-JP個体。(※画像が削除されていたため手書きで再現)

本日一発目という事で、
まずは比較的シンプルな報告書からいってみましょう。

SCP-289-JPはおよそ30~40cmほどの体長を持つ
オカヤドカリ科ヤシガニの近縁種です。

報告書にはこのアノマリーの特徴として
壁面や天井を10km/hほどの速度で移動することや
臆病な性格で普段は人目につかない岩の隙間などに
隠れて住んでいることなどが記載されていますが、
それ以上に最も特筆すべき点はこいつが貝殻ではなく
人間の生首を宿代わりにするという点でしょう。

SCP-289-JPは新しい「宿」を見つけると、
その側頭部から脳室へと侵入し、
未知のプロセスで視覚をジャックすることによって
人間と同等の視覚能力を獲得します。

またSCP-289-JPが入り込んだ頭部は
防腐効果のある特殊な分泌液によって
通常の死体よりはるかに腐敗の進み方が遅くなるのですが
それでも数か月ほどで宿としての役割を
果たせなくなるほどに傷んでしまうので、
SCP-289-JPはその度に新しい宿を調達するための
「狩り」を行います。

…そう、彼らの行うのはまさしく狩りなのですが、
もしあなたがSCP-289-JPだったとして、
新鮮な人間の生首を安全に獲得したければ、
いつ、どこで狩りを行うでしょうか?

冒頭で触れたように慎重で臆病な彼らは
昼日中に真正面から人間を襲うような真似はしません。

彼らの狩りは、獲物が密集している住宅街で、
標的が無防備に寝静まっている深夜帯に行われるのです。

次の引っ越し予定地を見定めたSCP-289-JPが
まず最初に行うのは徹底したターゲットの観察です。

観察は決行の1か月前か
遅くとも2週間前には開始され、
まるで熟練の空き巣が事前に
盗みに入る家の下調べを行うように
ターゲットの行動パターンや
安全な侵入経路をじっくりと把握していきます。

そしてターゲットまでの距離を
家の外壁、窓、屋根裏、ベッドの下、
収納スペースといった具合に段々と狭めていき、
最終的に最も安全な位置とタイミングを確保したうえで
何も知らずに眠っている標的の首を自身の鋏で切断して殺害するのです。

こうして首尾よく引っ越し先を手に入れた彼らは
古巣を捨てて新居へともぐりこみ、
脱ぎ捨てた方の古い宿を持ったまま自分の住処へと戻ると
最後にそれを食糧として消費することによって
一連の引っ越し作業が完了となります。

これが彼らの恐るべき生態の全容ですが、
これを踏まえた上で最初に掲載した
「観察を行うSCP-289-JP個体。」
というキャプション付きの報告書掲載写真(この記事では私の再現イラストですが…)
のことを思い出してみましょう。

そう、あの写真に写っていた
カーテン越しの不気味な顔の正体は
かつてのSCP-289-JPの犠牲者であり、
添付写真はSCP-289-JPが次の獲物を
狙い定めている様子を捉えたものだったのです。

私など初見時は
「良くわからないけどなんか不気味だなぁ」程度に
思って流し見していましたが、
こうしてすべてを知った上で改めて見てみると
実は撮影者の首を狙う巨大ヤドカリが背負った
生首がこちらを見ているという
滅茶苦茶悍ましい絵面だったわけですね。

写真とアノマリーの生態が上手くかみ合った
実に良く出来た報告書でしたが、
しかしあまり暢気に感心してばかりも
いられないかもしれません。

なぜなら報告書には
財団が未だ全てのSCP-289-JP個体を
回収できていないことが記されており、
それは即ち、今こうしてPCやスマホの画面を見ている
私たちの誰かが彼らの標的になるかもしれないという
可能性をも示唆しているのですから。

もし、あなたが夜中に一人で起きている時に
カーテンの外から覗く不気味な視線を感じたとしたら…

今すぐお宅の警備を徹底するか、
伝手があるならばお近くのSCP財団の支部へ
助けを求める事をお勧めいたします…

SCP-4925 「(1) 件の不在着信」


▲回収されたSCP-4925実例。

SCP-4925 – SCP財団

昔、某ホラー映画のタイトルをもじった「着信ナシ」という、
ある意味で映画本編よりも怖いネタが流行りましたが
これは、もしかするとそれらよりさらに怖いかもしれない
電話にまつわる報告書です。

SCP-4925に指定されているのはヘザー・ハッチンズという
アメリカのとある女子大学生の5m近辺に
突如として出所不明な携帯電話が着信状態で出現する異常現象です。

誰かがこの着信を受けた場合場合、
必ず決まった女性(以下、SCP-4925-A)が応答するのですが、
財団の記録によるとこの女性はハッチンズに関する
あらゆる事 (現在地、日課、私生活の詳細など) を把握しているようであり、
またハッチンズはこの電話に応答することに対して
多大なストレスを感じている様子を示しているようです。

ここまでの情報を総合するとSCP-4925-Aが
ハッチンズの熱心な(同性の)ストーカーか、
そうでなければ恨みを持つ人物であるかのようにも見えますが
ただのストーカーであるならば何もないところから
携帯電話を出現させるような芸当は出来るはずもありません。

一体SCP-4925-Aは何者で、
なぜこのような事をしているのでしょうか…?

テニソン: やあ、ヘザー! そこに座って。

ハッチンズ: うん……

ハッチンズがバックパックを席の後ろに置き、席に着く。

上記の文章は、
財団のエージェントがスクールカウンセラーに扮して
ハッチンズに行った面会記録の冒頭の一文です。

この面会の最中にSCP-4925が発生し、
出現した電話にハッチンズが応答したのですが
その中に一つ、非常に興味深い発言がありました。

ハッチンズが背後から携帯を取り出し、電話に出る。
ハッチンズ: ……ごめんなさい…… 予定があって — うん。すぐかけ直すから…… ごめんなさい、お母さん。

電話の相手、つまりSCP-4925-Aのことを
ハッチンズが「お母さん」と呼んでいるのです。

もっともだからと言って
SCP-4925-A = ハッチンズの母親と断定するのはまだ早計です。

なんたってこれはSCP報告書なのだから
洗脳とか、なりすましとか叙述トリックとか、
色々な可能性を考えて考えすぎるという事はないですからね。

そのようなわけでSCP-4925-Aの考察は一旦保留として、
ここはひとまず報告書中に記載のある、
他のSCP-4925発生事例を見てみましょう。

SCP-4925-A: 何をしてるの? どうして最初の電話に出なかったの?

ハッチンズ: ごめんなさい。充電が切れてたの。

SCP-4925-A: どうして充電しなかったの?

ハッチンズ: わ — 忘れてたんだ。ごめんなさい…… 部屋に戻ったら充電するから。

SCP-4925-A: 忘れてばっかりいると一人では生きていけないわよ! 外出中に勉強ぐらいはしたのよね?

ハッチンズ: 今は夕食を取ってる。

SCP-4925-A: 食事に1時間? どうしてそんなにのろまなの? 部活動に2つ入って、研究して、授業を受けて、そのくせ食事に1時間かかるなんてありえないわ。

ハッチンズ: そうだね、ごめんなさい。すぐ帰るよ。あと20分ほど歩けば —

SCP-4925-A: 20分? どこまで行ったの?

ハッチンズ: チポトレ?※1

SCP-4925-A: ミールプラン※2を購入してあげたのにどうして学外に? 食事は1人でしたいの? 言ってくれれば支払いをやめるわよ。

ハッチンズ: ダメ、そうじゃないの! ごめんなさい!

SCP-4925-A: 食堂は寮のちょうど隣でしょ。食事に1時間かかる理由にはならないわ。ならないのよ。

電話 #1 より

※1 チポトレ=アメリカの一般的なメキシカンファーストフードチェーンの名称

※2 ミールプラン=料金前払いの学食サービス

SCP-4925-A: 本当にそれを着ていくつもり?

ハッチンズ: そ…… そうだけど? 今日はちょっと暑いし。

SCP-4925-A: 肌を晒しすぎじゃないの! まるで売女みたい。そんなのはショートパンツのうちに入らないし、ブラの紐だって見えるわ。

ハッチンズ: でも —

SCP-4925-A: ズボンを履いて、ちゃんとしたシャツを着なさい。

ハッチンズ: 外は華氏80度※1ぐらいなんだよ!

SCP-4925-A: 男どもに舐め回すように見られて女が勉強に集中できるわけないでしょ! 貴方の成績は何よりも大事なの。

ハッチンズ: ……そうだね。着替えるよ。

SCP-4925-A: 分かってくれて嬉しいわ。

電話 #2より

※1 華氏80度 = 摂氏26.6度

ハッチンズ: もしもし?

SCP-4925-A: ヘザー。貴方には心底失望した。中間成績を見たわ。

ハッチンズ: えっ。

SCP-4925-A: 微分方程式で “B”? その授業は簡単なはずでしょ! やっぱり演劇部に入るべきじゃなかったのよ。

ハッチンズ: 1つだけ宿題が悪くて。ちゃんと上げるから —

SCP-4925-A: ええ、そうするべきね。”A” に戻すまで部活は禁止よ。

ハッチンズ: でも私、今期の演劇で役をもらってるんだよ!

SCP-4925-A: へえ、なら代役を見つけてもらったほうがいいでしょう?

ハッチンズ: 演劇まであと2週間しかないの! 友達に話したし、ダレルももうポスターにしてくれた!

SCP-4925-A: またダレルって男のことなんか話して! ソイツと過ごす時間が長すぎるでしょう。

ハッチンズ: 彼はただの劇友達だよ、それだけ。

SCP-4925-A: ソイツの存在が貴方の判断力を低下させてるようね。貴方の優先順位はどうなってるのかしら?

ハッチンズ: 私は勉強の息抜きになるようなことをしているだけ!

SCP-4925-A: 学業を気にしなくなったのなら、私が授業料を払い続ける必要はないわよね?

ハッチンズ: えっ? やめて、お願い!

SCP-4925-A: 年に28,000ドル払ってんのはダレルって名前の奴とごっこ遊びさせたりぶらつかせたりするためじゃない! アンタはエンジニアになるんだから、その気になって勉強しなさい!

ハッチンズ: ……分かった。

SCP-4925-A: 分かったって何が? ハッキリ言いなさい。

ハッチンズ: 部活を辞める。

SCP-4925-A: それで?

ハッチンズ: ダレルと話すのもやめる。

SCP-4925-A: そうしましょう。忘れないでね、これは貴方のためにやってるのよ。お母さんは貴方にとって何がベストかを知ってるんだから。

…なんとなーく、事情が呑み込めてきましたね。

どうやら、SCP-4925-Aは
本当にハッチンズの母親のようですが、
しかしその親子関係は過干渉気味であり、
あまり健全な状態ではないようです。

いくら娘のことが心配でも、
大学に行くような年齢の子供の
色恋沙汰や進路にまで口を出すとは
いくら何でも過保護すぎですね。

また、娘に対して学校に行かせるのに
どれだけ金を払っただとか、
「貴方のためにやってるのよ」などと
相手の良心を責めるような発言を繰り返しているのも
かなり毒親ポイント高めです。

これではハッチンズが電話に出ることを
ストレスに感じるようになったしても無理はありません。

しかもSCP-4925-Aはただの過保護なお母さんではなく、
娘の側に携帯電話を出現させる能力を持った
異常能力者でもあるのです。

そんな彼女を、財団は一体
どのように扱うというのでしょうか…?

補遺SCP-4925-3: ハッチンズの家族について調査したところ、ハッチンズの肉親がダレル・ハッチンズのみであることが判明しました。
ハッチンズの母親のアグネス・エバソンは、2か月前にダレルと離婚していました。
エバソンは2017/04/12に、ハッチンズの受信トレイにボイスメールを残している最中に自動車事故で死亡しました。

…ん?

エバソン: もう既に、えっと、10分近く貴方に電話しようとしているのよ! どうして電話に出ないの? 貴方がとても恋しいわ。ここは寂しい。一度でいいから娘の声が聞きたいだけなの。それはとても — クソったれ。赤だったでしょうが。とにかく、今日はどんな日を過ごしたのか聞きたいわ。学校はどうなのかも聞きたい。何か宿題を手伝ってもいいかしら? そうね、私も昔はエンジニアになるつもりだったけど、貴方の父さんに会って — あー、何でもない。喋りすぎね。とにかく電話に出てちょうだ — クソッ!
甲高いノイズが聞こえ、破砕音がそれに続く。不規則な呼吸音が3分間聞こえる。
エバソン: ヘザー?
バイオリンの演奏が静かに響き、3分続いた後に止まる。約20分後にサイレンの音が聞こえ、それが63分続く。その後の3分間は無音である。

え…なにこれは(驚愕)

エバソンの死亡が宣告されてから1時間後、追跡不能な番号から以下のボイスメールがハッチンズの携帯に残されました。

SCP-4925-A: 電話を無視するな。この恩知らずのビッチが。

最後に明かされた衝撃の真実。

なんとSCP-4925-Aこと
ハッチンズの母親のアグネス・エバソンは
SCP-4925の発生当時には既に
交通事故で死亡していたというのです。

ということはSCP-4925-Aの正体は
正確には死後幽霊のような存在となった
エバソンだったということになりますが、
そんな状態になってまでやることが※
娘へのストーカーまがいの鬼電だというのだから
その執着心には思わず背筋に冷たいものを感じてしまいますね。
(※むしろ、娘への執着心のために幽霊になった、とも考えられますが)

さて、報告書の内容は以上でおしまいですが
読み終えたあと、個人的に少し疑問に思ったのが
娘のハッチンズがエバソンの死を認識していたかどうかという点です。

報告書中の通話内容を見ると
まるでハッチンズがエバソンの死に気づいていないような
口ぶりだったのでこのような疑問が沸き起こったのですが、
しかし全体を通してみるとやはり
認識していたと考えた方が自然であるように思えます。

なぜなら親が交通事故で死亡したならば当然、
子であるハッチンズもそれを知らされていたはずですし、
そもそも見覚えのない携帯電話が
何もないところから突如出現している時点で
電話の相手もまた異常な存在であると察する可能性が高いからです。

ハッチンズがエバソンの死を知りながら
まるで相手が生きているかのような会話をしていた理由については、
ちょっと苦しいかもしれませんが私の考えとしては
「ハッチンズは過干渉な母を嫌っていたが、
反面でやはり肉親としての情もあり、
ストレスに耐えながら話に付き合ってあげていた」
または
「電話を無視したり、真実を伝えることでエバソンの行動が悪化することを恐れていた」
といった辺りだったのではないかと推測しています。

まぁ真相はともあれ、このままでは遠からず
ハッチンズの精神が擦り切れてしまうことは確実かと思いますので、
財団の面々には「用便益分析により…」などと悠長なことを言ってないで
若人の未来のためにも、もっと根本的な解決策を積極的に実行して頂きたいものですね。

SCP-1040-JP 「箱詰め」


▲調査、回収時の██製作所

SCP-1040-JP  – SCP財団

続いては大量の異常な箱をめぐる
サスペンス風味の報告書をご紹介します。

SCP-1040-JPに指定されているのは
██県██市にある██製作所で回収された
様々な大きさ※の発泡スチロール製の箱です。
(※箱の寸法は小さい物で30×30×30cm、大きい物で40×40×75cm)

SCP-1040-JPの中身は一見完全な空であるように見えますが、
実際には不可視の物体(以下SCP-1040-JP-1)が内部に存在しており、
接触することによってその存在を確かめることができます。

またSCP-1040-JP-1は弱い弾性があり
温度は概ね21度前後で推移しているほか、
未知の手段によって内部に固定されているため
SCP-1040-JPの外に取り出すことはできず、
それどころか部分的なサンプルを摘出することすらできません。

このように謎だらけなSCP-1040-JPとその中身ですが
その正体を推測するカギとして報告書中に
財団による回収時の██製作所の様子と
財団がSCP-1040-JPを発見するきっかけとなった
通報を行った同制作所の警備員に対する
インタビュー記録が記載されています。

まずは回収時の
██製作所の様子から見てみましょう。

先述の警備員の通報で製作所に立ち入った
財団職員が目にしたものは、
制作所内部に堆く積まれたSCP-1040-JPと
一切の人影が無く、本来使用されているであろう
機械類も見当たらない静まり返った製作所内部の様子でした。

また、この時発見された物品のリストも掲載されています。

物品特筆事項
コーヒー2杯従業員の休憩室で発見、湯気が立っていた
食事4人分同上、手を付けた痕跡がある
作業靴15足製作所で使用されているもの
煙草2箱喫煙所から発見。灰皿には火の付いた煙草が置いてあった
作業報告書2枚事務室のデスクから発見。記入していた途中だったとみられる
[編集済]社製のスマートフォン1台ゲームアプリケーションが起動されたままだった
上着67着ロッカールームで発見。従業員が着用して来たものと思われる
古びた鋏136挺製作所全域で発見。未知の指紋が付着
未知の言語で構成された書類12枚工場長室のデスクから発見。解読には成功していない
未知の言語が印刷された紙片1枚同上。サイズは91×55mmで、上記の鋏が突き立てられていた
工場長██ ██氏の遺体補遺を参照

…なんだか一気に不穏な気配が強まってきましたね。

上記表に続いて掲載されている補遺には
工場長の死因が複数の社員証を飲み込んだことによる窒息死である事、
遺体が発見された工場長室の来客用テーブルに
温かいコーヒー2杯が残されており、
工場長が直前まで何者かと面会していた可能性が高いことなどが示されています。

これらの情報を総合すると、
その面会相手が工場長を殺害した線が濃厚ですが、
しかし仮にそうだとしても工場長が殺された理由や
従業員の行方、犯人の目的などがまだわからないままです。

こうなると最後の情報である
警備員へのインタビューが真相究明の頼みの綱ですが、
果たしてそこに真相にたどり着く手がかりがあるのでしょうか…?

対象: 警備員███ ██氏インタビュアー: ██研究員補佐付記: 第一発見者である警備員███氏へのインタビュー。対象は著しい混乱と動揺の兆しを見せている。

<録音開始>██研究員補佐: 貴方が知っている事を詳しく話していただけますか?

███氏: え、えーっと、その、箱、箱が。

██研究員補佐: 落ち着いてください。███氏: す、すみません。[対象は3度深呼吸を行う]

激しい動揺を見せるインタビュー対象の警備員。

自分の職場の工場長が殺害されたのだから
それも無理はないことでしょうね。

███氏:その、通報する前はいつも通りだったんです。皆さんが出勤してきて、朝礼をして。

██研究員補佐: その際はおかしなことはありませんでしたか?

███氏: [考え込む]ありませんでした。操業が始まって私は詰所に戻ったんです。

██研究員補佐: その間はどうしましたか?

███氏: 次の見回りまでは時間がありましたから。えっと、その間は休憩時間の様なものなので詰所でテレビを見るなどをしていました。

██研究員補佐: 異変に気づいたのはいつですか?

███氏: だいたいお昼頃だったと思います。その、突然静かになったんです。詰所に居ても機械の音や皆さんの話声とか、普段は聞こえるんです。それが、それが急にぴたりと途切れて。

██研究員補佐: 急に、ですか。

███氏: [動揺が見受けられる]はい、そりゃもうぴたっと。そ、それで変だと思って見に行ったんです。

[対象は激しい動揺の兆候を見せる。インタビューは一時中断し、27分後に再開]

██研究員補佐:落ち着かれましたか?

███氏: はい、はい、すいません。それで見に行ったら工場の中の何もかもが無くなっていて、箱がたくさん。

██研究員補佐:はい、我々も確認しています。

ここで新たな事実が判明しました。

警備員の言によると、
昼頃までいつも通り稼働していた工場が
突如として神隠しに遭ったように無人となり
後にはSCP-1040-JPの山だけが残されていたとのこと。

これが真実だとすれば、
こんなことができるのは
何らかのアノマリーでしかありえないことですが…

███氏: そ、そういえば、声が。

██研究員補佐: 声、ですか?

███氏: 静かになる前だったと思います。工場長の声がしたんです。確か[考え込む]、確か「もう少し待ってくれ」とかなんとか。

██研究員補佐: ふむ。どなたか来客の予定などはありましたか?

███氏: 無かった筈です。その、少なくとも私は聞いていません。あ、えっと、それで、静かになって。

██研究員補佐: 確認に行かれた、と。

警備員が聞いた
工場長の最後の言葉は「もう少し待ってくれ」。

彼は一体何を待って欲しかったというのでしょうか?

███氏: はい。箱、調べたんです、私。だっておかしいじゃないですか、あんなに発泡スチロールが大量に積まれてるんですよ。

██研究員補佐: ええ、誰しも不審に思うでしょう。調べて何か発見しましたか?

███氏: 空の箱ばかりだと思ったのですが、いくつかは凄く重かった。持ち上げるのが大変なくらいで。

██研究員補佐: はい、我々も確認しています。

███氏: きっと何か入っているんだと思って、開けたんです。そしたらやっぱり空で。でも[対象は言葉に詰まる]

██研究員補佐: でも?

███氏: でも、でも、ああ。

[この時点で対象は過呼吸発作を起こしインタビューは再び中断、2時間後に病室にて再開された]

話が今回の核心である
SCP-1040-JPの中身についてに差し掛かると、
突如として過剰な反応を示した警備員。

SCP-1040-JPの中身は彼の目からも空に見えたようですが、
しかしこの反応を見るに何らかの心当たりがあったようですね。

██研究員補佐: 落ち着いて、教えてください。貴方は箱を開けたのですね?

███氏: はい、開けました。思わず手を入れたんです、そしたらその、触れたんです。

[対象は32秒沈黙]

██研究員補佐: 大丈夫、落ち着いて話してください。貴方は何に触れたのですか?

███氏: あれは、あれは、柔らかくて、あれはまるで。

[対象は78秒沈黙]

██研究員補佐: ███さん?

███氏: あの感触は一度触ったら忘れません。あ、あの感触は、あんな物を触ったのは祖母の葬式以来です。

<録音終了>追記: 調査の結果、全従業員157名3の行方が分かっていません。

なんということでしょう。

ここでの彼の発言が指示したのは
つまりSCP-1040-JP-1の正体が
透明化された人間の死体であり、
かつそれらが箱のサイズと状況から考えて
バラバラにされた██製作所の従業員たちの
成れの果てだったというあまりにもショッキングな事実でした。

これまでの流れから考えてこれを行ったのは先述した
工場長の面会者と見てほぼ間違いなく、
また状況的に工場長は以前から
彼らと何らかの契約関係にあったものと推測されます。

そして、死体が運搬に便利なように
「箱詰め」されていたことを踏まえると、
その契約の内容は恐らく、件の面会者に対して
制作所の従業員を捧げものとすることだったのではなかと推測されます。

しかし工場長が何らかの原因で
期限までに必要な頭数をそろえることが出来なかったために
しびれを切らした面会者は工場長を殺害。

その後は必要数には足りなくとも期限は期限という事で
とりあえずその場にいた全ての従業員を(例の警備員は覗いて)
殺害したうえで回収物品リストにも在った鋏で解体、
さらに運び出しやすい様に箱詰めしたというのが
私の本事案に対する見立てです。

ただこの見立てが正しかった場合、
面会者がSCP-1040-JPを放置して
その場を離れていることが少々引っかかりますが、
これについては財団の介入が
面会者にとって予想外のものであり、
本来ならば少し時間を空けてから
全てを回収するつもりだったはずが、
うっかり回収し損ねてしまったのだと考えれば一応のつじつまは合います。

このように面会者の正体や目的に関しては情報が少なく、
必然的に読み手の推測に委ねられる本報告書ですが、
少なくともSCP-1040-JP-1の正体が制作所従業員の
バラバラ死体だったという点についてはほぼ間違いのない真実でしょう。

思えば最初の弾性と温度の下りで
箱の中身が死体であるという可能性は十分に示されていたのですが、
私の場合箱のサイズの情報が出た時点で
人が入るには小さすぎるとその可能性を打ち消してしまっていました。

もしこれが著者の狙い通りだったとしたら
完全に一本取られた形ですね。

SCP-163-JP 「暗闇に潜むもの」

SCP-163-jp – SCP財団

続いては非常に簡潔ながらも
強烈なパンチの効いた報告書をご紹介します。

まずはお決まりの特別収容プロトコルですが、
報告の記載内容をまとめるとおよそ次のようなところです。

  • SCP-163-JPは一定濃度以上のアンモニアで不活性化する
  • だから気体総量の10%を上回る気化アンモニアで満たしたAクラス危険生物収容室に収容する
  • SCP-163-JPを視認した一定以上のクリアランス所有者は精神鑑定及び眼球切除手術を受けられる
  • もしSCP-163-JPが収容違反したらサイトを完全密閉してアンモニアを注入する。ただしその時点での避難は認めない。

上記の中でも一番に目を惹くのはやはり
眼球切除手術という強烈なワードでしょう。

なぜ眼球切除手術が必要なのか。
そこまでしなければならないほど
このアノマリーに感染することが有害なのか。

疑問は多々ありますが
この時点ではまだ何とも言えませんので
引き続き説明セクションを見ていきましょう

説明: SCP-163-JPはホモ・サピエンスの桿体細胞でしか確認することが出来ない存在です

桿体細胞という言葉は初耳だったのですが、
軽く調べたところこれは目の奥に存在する
光を感じるセンサーとなる細胞の一種であり、
同じような働きをする錐体細胞と違って
色を認識することは出来ない代わりに非常に感度が高く、
主に夜間など暗い場所で働く細胞であるそうです。

ということはつまり、
SCP-163-JPは暗い場所でしか見ることのできない存在だという事でしょうか。

SCP-163-JPを確認することは極めて有害です。
SCP-163-JPを確認することで、その対象者(以後SCP-163-JP-1と表記します)は激しい恐怖、制御不能な錯乱、強い暴力性を引き起こします。

SCP-163-JPはその姿を確認するだけでも極めて有害であるとのこと。

見たり聞いたりするだけでも有害なSCPといえば
某緋色の鳥やリリー・ヴェルセカなどが思い当たりますが…

SCP-163-JPを確認して以降は、SCP-163-JP-1の桿体細胞が活動するたびに――これは瞬きなども含みます――SCP-163-JP-1はSCP-163-JPの姿を確認することになります。

これはSCP-163-JP-1の精神に非常に有害な影響を与え、多くの場合最終的に自分の目をえぐり出すあるいは自殺という結果をもたらします。

眼球の切除を行うことでSCP-163-JPの影響から逃れることが可能ですが、多くの場合被験者は激しい暗闇恐怖症になっているため、完全な視覚の欠如によって引き起こされる暗闇に耐え切れず自殺を試みます。

ここに来て背筋が凍り付くような
恐ろしい情報が提示されました。

SCP-163-JPは桿体細胞が機能するような
暗いところでしか見えないのですが、
これは逆に言えば「一度感染してしまえば、
暗いところであればいつでもどこでもSCP-163-JPが見えてしまう」
ことを意味しており、
しかもその条件は瞬き程度のほんの短い暗闇でも十分だというのです。

そして、その恐怖に耐えきれなくなった曝露者が
最終的に行うのが自らの眼球のセルフ摘出or自殺ということ。

なるほどこの情報によって
なぜ特殊収容プロトコルに眼球切除手術が
含まれていたのかを理解することができましたが、
しかし姿を見ただけでそこまでさせてしまう
SCP-163-JPとは一体どれほど恐ろしい姿をしているのでしょうか。

個人的にはものすごく興味のあるところですが、
自分の両眼にはまだまだ役に立ってもらいたいので
その気持ちはぐっと抑えておくことにします。

SCP-5999 「ここが私の死んだ場所」

SCP-5999 – SCP財団

本日最後にご紹介するのは
本家で1000を超えるupvoteを獲得した大作報告書です。

この報告書については言葉であれこれ説明するよりも
実際に体感して頂いた方がいいですね。

読まれましたか?

読まれましたね?

はい、それでは解説を行います。

まず、この報告書を
最後まで読んだ方の多くが一番に気になったのは
最後のページのビデオ映像に出てきた
バイオハザードのネメシスみたいな見た目の
あいつの正体ではないでしょうか。


▲あいつ

結論から述べると、あれはSCP財団が
こうしてSCPを読んだり創作したりしている
こちら側の私たちを抹殺する目的で作成した
ミーム殺害エージェント※です。
(※ミーム殺害エージェントという単語でピンとこない方は
「認識したら死ぬ情報」と読み換えて頂いても大丈夫です。)

こう聞くと、中には「なんで創作内の登場人物が
自分たちの創造主を殺そうとするの?」

疑問に思われるかもしれませんが
その理由はこの報告書の下敷きとなっている
SCP-001 「S・アンドリュー・スワンの提言」を読むことで
概ね理解することが可能です。

S・アンドリュー・スワンの提言 – SCP財団 – SCP財団

スワンの提言は
財団データベース内のデータの生成と消滅のパターンから
財団側が自分たちの世界が「こちら側の私たち」の
創作物であることに気が付いた設定のお話であり、
提言の末尾には財団が第四の壁を越えて
SCP-001(=私たち)に対抗できる手段として考案した
以下の三段階のプロトコルが記載されています。

1. 平穏,幸福感を与えるミームウィルスの挿入

2. 睡眠,無意識,昏睡を引き起こすミームウィルスの挿入

3. 死を引き起こすミームウィルスの挿入

まず前提として、私たちと彼らが
創造者-被造物の関係である以上、
例えば彼らが私たちの側に向かって
直接核ミサイルを撃ち込むことは原理的に不可能です。

ですがもし、彼らが自分たちのデータベースに
例えば見ただけで3日はまともにご飯が食べられなくなるような
物凄くグロテスクな画像データを設置して、
その画像を財団データベースを自由に閲覧できる私たちの誰かが
うっかり開いてしまったならば、
財団世界の人間と同じ感覚器官や精神構造を備えているその人もやはり
3日はご飯が食べられなくなるような精神ダメージを被るはずです。

そしてもし、彼らの攻撃手段がそんな生易しいものでは無く、
例えば見ただけで脳に不可逆的なダメージを及ぼすような
危険な代物であったならば、彼らは第四の壁を越えて
私たちを殺すことすらできてしまうかもしれない、というわけです。

このことを踏まえた上で改めてSCP-5999 の内容を振り返ってみると、
最後のビデオ映像にたどり着くまでに読む必要のあった
7つの物語はそのどれも血なまぐさく謎めいた内容で、
SCP財団の読者であれば大いに好奇心を
掻き立てられるであろう類の内容でした。

思えばそれぞれの物語の末尾に掲載されていた
読み手に引き返すように促す警告文も
ダチョウ倶楽部の「押すなよ!」ではないですが
今思えばむしろ逆に読み手の好奇心を
刺激する目的で設置されていたように思えます。

そして、そんな思惑にまんまと乗せられて
最後にたどり着くあの不気味な映像。

あれこそが、先述した
「危険な代物」そのものであり、
見たものを精神から殺害する
恐るべきミーム殺害エージェントのビジュアルだったのです。

もしかすると、ビデオ映像のあの引き攣ったような笑顔は
自分たちを苦しめる諸悪の根源をまた一人葬ったことに対する
財団世界の人々の勝利の微笑みだったのかも…しれませんね。

以上が私のSCP-5999の内容に対する見解です。

私の場合もこの報告書を初めて目にした時には
何の疑問も抱かず最後のページまで読み進めてしまい、
ビデオ映像を見て首を傾げた後に
ディスカッションを覗いて全ての真相を理解した時には
こりゃ思わず一本取られたと思わず天を仰いでしまいました。

今後新手のSCP報告書を読む時には
それがスワンの文脈に連なる報告書ではないかどうかを
最初に吟味する必要があるかもしれないですね(笑)

おわりに

以上、意味が分かるとゾッとする怖い報告書特集でした。
どれもSCPならではのひと捻りある報告書ばかりでしたね。

当ブログでは他にもこのような
SCP特集記事を多数掲載していますので
ご興味があれば下の関連リンクより拝見ください

それではまたの機会に。

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