O5がまさかの異常感染!?SCP-5095「 我々はO5-3について話し合う必要がある」のネタバレ解説

SCP

はじめに

本日ご紹介するのはつい先日日本語訳版が
公開されたばかりのSCP-5095「我々はO5-3について話し合う必要がある。」です。

SCP-5095 – SCP財団

本家では既に100を超える
up voteを獲得しているこの報告書。

人間の思考力を貪る不気味な
寄生虫型アノマリーの存在を話の軸としつつも、
そこにタイトルにも名前が出ている
O5メンバーの思惑が絡んでくることによって
話の展開が二転三転するとても興味深い内容となっています。

それではどうぞ

秘密の依頼

本報告書を開くと
まず最初に目に飛び込んでくるのが
おなじみの収容ナンバーとオブジェクトクラス…ではなく、
O5-3とO5-12の間で交わされた電子メールの記録です。

O5-3
To: O5-12 詳細
N/A
2018年4月12日12:15

マックス、

あなたと話したいことがあるのです。ここにいる誰よりもあなたを信頼しています。あなたならきっと理解してくれると確信しています。

メアリー・エリオット
O5-3

O5-12
To: O5-3 詳細
Re: N/A
2018年4月12日12:57

メアリー、
私は君のためにここにいるんだ、親愛なる友よ。 打ち明けてくれてありがとう。

マックスウェル・マッケナO5-12

文面から察するに
O5-3が他のO5メンバーには秘密裏に
O5-12へと何事かを依頼したようです。

立場上何かと秘密が多いO5ですが、
O5-3は他のメンバーに隠してまで
一体何を頼んだというのでしょうか…?

感染の疑い

2018/04/13
監督評議会命令

以下のファイルは、O5-4、O5-10、O5-12に制限されています。 無許可のアクセスは禁止されています。

5095

資格情報を入力してください

O5-3とO5-12のやりとりに続いて掲載されているのが
閲覧がO5-4、O5-10、O5-12のみに制限されている
極秘資料へのアクセス情報です。

もっともメタ存在である私たちにとっては
どれほど厳重な閲覧制限が掛けられていようが
無関係なのはいつものことですので
ここはサクっとポチって内容を確認してみましょう。

O5-4、O5-10、これを同僚の監督官と共有してくれ。
クリアランスレベルは、O5-3を除外したことを彼女が不審に思うことがないように設定したものだ。
我々はO5-3について話し合う必要がある。

O5-3がSCP-5095に感染している。
以下にその文書を載せておく。

ここで明かされる衝撃の新事実。
なんと冒頭でO5-12とメールのやりとりをしていた
O5-3が異常に感染していたというのです。

そしてこの事実を他のO5メンバーに伝えたのが
他ならぬO5-12その人。

ということはつまりこの状況は
O5-12がO5-3が自分を信頼して明かした秘密を
無断で他のメンバーにも
暴露してしまったということでしょうか…?

そう考えると信頼を裏切られた形になった
O5-3がなんだか可哀想ですが、
個人の命や尊厳よりも
人類の存続を優先する財団の性格を思えば
一概に彼の行動を責めることはできませんね。

さて、それでは引き続き
気になるSCP-5095の概要を見ていきましょう。

思考力を食う虫

アイテム番号: 5095

収容クラス:NEUTRALIZED

特別収容プロトコル: SCP-5095は1947年██月██日を以て、無力化されたと考えられています。

オブジェクトクラスは何らかの理由で
異常性を喪失したアノマリーに与えられる
NEUTRALIZEDクラス。

ただし、「と考えられています」と書き添えられているので
これは今後覆る可能性も十分あるということですね。

説明: SCP-5095は、テニア科に属する他の円葉目条虫に類似した異常な寄生生物です。SCP-5095はヒト科動物、典型的にはヒトの頭蓋腔にのみ生息しており、そこでヒトの脳内の灰白質に付着し、異常なプロセスを経て栄養化合物に変換された合理的思考力を消費することで成長します。

少々難しい単語が多いですが一言で言い換えると
「人間の思考能力を餌とする寄生虫」
といったところでしょうか。

直接的な生命の危険性はないものの
感染力次第では十分に人類の脅威となりうるアノマリーですね。

また報告書中からは他にも
・数十年単位で成長する可能性がある
・最終的に宿主の脳死を引き起こす
・生きている宿主から摘出する試みは成功していない
・1960年代に全ての既知の実例が死亡しており、以降発見されていない
などの性質を有していることが確認できます。

最初の発見者は…

SCP-5095は、1938年にアメリカ合衆国東部で発生した一連のアウトブレイクの後、メアリー・エリオット博士によって最初に発見されました。

SCP-5095の最初の発見者は
メアリー・エリオット博士なる人物…

最初のメールに記載されていた
O5-3のそれと全く同じ名前ですね。

これはもう話の流れからしても
O5-3 = SCP-5095の最初の発見者
と断定してしまってよいでしょう。

感染実例とエリオット博士の苦悩

報告書にはSCP-5095に感染した患者の実例が
3件掲載されており、それら全てに
担当者だったエリオット博士のコメントが付属しています。

アーノルドは、SCP-5095に感染していることが最初に確認された感染者でした。実は彼は以前財団に勤務しており、当時の私の同僚の一人でした。彼が物忘れをするようになった頃から、私は何かがおかしいと疑い始めました。それ以降、彼の状態は悪化していくばかりでした。以前、彼は世界でも有数の超生物学者でしたが、10年も経たないうちに、彼は細胞構造を理解することすらできなくなりました。 — メアリー・エリオット博士

シェリー氏は身近な人たちから、優しくて愛情深い母親、情熱的で忠実な友人と評されていました。彼女から何かが”失われて”いたことには疑いの余地がありませんが、彼女は亡くなる数日前まで倒れることがありませんでした。— メアリー・エリオット博士

リックは、私たちが連れてきたとき、まだ7歳でした。彼は人生の最後の数週間まではほとんど正常であったにもかかわらず、恋に落ちたり、子供を育てたり、年をとって平穏に過ごしたりできるようになる前に、普通の生活を奪われてしまいました。私は彼が監禁されながらも成長していく姿を見ていました;彼は私にとって第一子のような存在でした。 — メアリー・エリオット博士

同僚や罪のない子供が
異常の犠牲となって倒れていく傍で
彼らを救うことのできなかったメアリー博士の
無力感と悲痛な心境が伝わってきますね…

主にDクラス関連で冷淡な組織である
という印象が先行しがちな財団ですが、
職員一人一人のレベルではこうした
人間らしさの垣間見える挿話が結構ありますし、
そもそもの理念からして本来財団は
人類の幸福のため身を粉にして働く
ものすごく献身的な組織であるはずなんですよね。

エリオット博士の身に何が起きたか

最後の事例で名前の出てきた
リックという少年については
エリオット博によるインタビュー記録が掲載されています。

エリオット博士: こんにちは、リック。

ウィリアムズ: めありーはかせ!

(ウィリアムズは満面の笑みを浮かべる。)

エリオット博士: 会えて嬉しいですよ。

エリオット博士: あなたの脳には — そう、虫がいるのですよね、リック。

ウィリアムズ: あのこのなまえはめありー、あなたとおなじみたいで、ぼくのあたまのなかにすんでるんだ。ここにね!

(ウィリアムズは膨らみが頭蓋骨から突き出ているのが辛うじて判別できる後頭部を軽く叩いた。)

エリオット博士: まだあなたが私の言っていることを理解できるかどうか分かりませんが、私、来週昇進するんです。あなたとお別れをしなければいけません。

(エリオット博士はため息をつく。)

エリオット博士: 行く前に自分が手助けできることをしているのです。そして、あなたを長い間こんなところに閉じ込めてしまったことを申し訳なく思います。

(エリオット博士が休止する。)

エリオット博士: でも、私は先に進まないといけないんです、リック。私にはもう娘がいるんです。あなたのママみたいに、ルーシーって名付けました。あの娘はあなたと同じようにとっても頭がいいんですよ。

エリオット博士: 行く前に自分が手助けできることをしているのです。そして、あなたを長い間こんなところに閉じ込めてしまったことを申し訳なく思います。

(エリオット博士が休止する。)

エリオット博士: でも、私は先に進まないといけないんです、リック。私にはもう娘がいるんです。あなたのママみたいに、ルーシーって名付けました。あの娘はあなたと同じようにとっても頭がいいんですよ。

(ウィリアムズの手を強く握りしめながら、エリオット博士は目から涙を拭う。)

ウィリアムズ: またあえるかな?

(エリオット博士はため息をつく。)

エリオット博士: 頑張ってみます。

ウィリアムズ: やくそくだよ?

エリオット博士: また会うことを約束します。いつかこの人生で、それとも別の人生でかもしれませんが。

うーむ…これはきつい。

人類のためとはいえ、
自分の子供と同じくらいの年齢の子供を閉じ込めて、
その上命を救ってあげることもできないという
エリオット博士の悲痛は想像に余るものがあります。

しかし最後のエリオット博士のセリフは何とも意味深ですね。
彼女は一体何を思ってこのような言葉を口にしたのでしょうか。

補遺5095-4: SCP-5095の除去

1949年5月30日、メアリー・エリオット博士は、生存している罹患者リチャード・ウィリアムズよりSCP-5095実例を除去しようとしました。手順中にリチャード・ウィリアムズが死亡し、エリオット博士は[データ削除済]。

何となく嫌な予感はしていましたが
ここにきて事態は急転直下。

エリオット博士がリックの頭の中から
SCP-5095を除去しようと試みたものの上手くいかず、
結果的に彼を死亡させてしまったというのです。

無力感に打ちひしがれていた
エリオット博士に追い討ちをかけるようなこの悲劇ですが、
ここでもう一つ注目したいのは
上記の文中で[データ削除済]となっている箇所です。

文脈からして、手術中に
エリオット博士の身に何らかの
異常事態が起きたものと思われますが、
その具体的な内容はすでに削除されていて、
私たちにもそして同じくこれを読んでいる
O5のメンバーにも伺い知ることはできません。

このデータを削除済みにしておくべきではないことは分かっているが、古いファイルが壊れていて、完全なクリアランスファイルを復元できないんだ。— O5-12

O5-12曰く、財団側にとっても
情報が完全でないことは不測の事態だったようですね。

さて、 O5-12が提示した情報は以上で全てであり、
引き続きそれを踏まえた上で残りのO5メンバーによる
O5-3の職務継続の是非を問う
全員投票が行われることになります。

果てしてO5メンバーは
それぞれどのような判断を下すのでしょうか…

評決の結果

かくしてO5-12、O5-3以外のメンバーによる
O5-3の職務継続の是非を問う全員投票が行われました。

その結果は…

O5
O5-1
O5-2
O5-4
O5-5
O5-6
O5-7
O5-8
O5-9
O5-10
O5-11
O5-13

職務解除に賛成が5、反対が6。

ギリギリでO5-3は
免職を免れることとなりました。

またここでは省きましたが
報告書中には各メンバーによる
判断理由を述べたコメントの内容が
それぞれの立場や性格を反映していて
なかなか面白い内容となっていますので
気になる方はぜひ報告書ページにてご確認ください。

明かされる真実

かくしてO5-3は
これまで通り仕事を続けられることになったわけですが
果たして本当にそれが正しい選択だったのでしょうか。

過去の例を紐解けば明らかなように
アノマリーが及ぼす影響は完全には予測不能であり、
当初は安全だと思われていたものが
ふとしたきっかけで危険な性質を発現することなど
SCPにおいては日常茶飯事。

O5-3の立場上、今後の展開によっては
いくらでも恐ろしいシナリオがあり得そうですが…

おや…?

O5-3
To: O5-12
退職
2018年4月12日午後9:02

マックス、
あなたもご存知だと思いますが、私はかなり長い間ここで働いています。フーバーが在職していた時、私はここにいました;今のメンバーの一部は生まれてすらいなかった頃のことです。私は生涯の半分以上を確保、収容、保護に費やしてきました。必要な時に薄情な真似をしてきたのは、人類のためだと自分に言い聞かせてきたからです。
それで、私はもう年ですし疲れましたよ、マックス。最後の数年間は、財団や異常な世界から離れて、娘や孫と過ごしたいと思っているんです。長い間ずっと守ってきた人類社会を体験したいのです。
知ってのとおり、数週間後にまた006を使うことになっているので、このまま続けたくないと私は決めました。だからこそ、私は完全に引退するために、あなたの助けを求めているのです。そうすれば、私の家族が財団工作員に週24時間監視されることはないでしょう。私は普通の世界に私を戻すためにあなたの助けを求めています。
私はリックのためにそこにいることができませんでした。私の義務はもうルーシーを遠ざけることはないでしょう。彼女は成長しましたが、私はまだ彼女の母親なんです。
メアリー・エリオットO5-3

O5-12
To: O5-3
Re: 退職
2018年4月13日午後8:40

メアリー、
O53votes.txt
すまない。やってはみたんだ。
マックスウェル・マッケナO5-12

…ご理解頂けたでしょうか。

そう、私たちが今まで読んできた
SCP-5095にまつわる騒動は全て
責務からの解放を望むO5-3のために
O5-12が仕組んだデマだったのです。

ただし彼がでっちあげたのは
O5-3がSCP-5095に感染しているかもしれないという嫌疑と
後は資料の[データ削除済]の記述くらいのもので、
SCP-5095の存在も、それにかつてのO5-3が
関与していたという事実も、
そしてO5-3がリックをはじめとする
多くの患者達を救えなかったことも
今回の計画以前から確かに存在していた
事実だと考える方が自然です。

一連の経緯を想像するならば、
恐らく冒頭のメールでO5-3から友人として
助けを求められたO5-12が
そのために利用できる資料を求めて
過去のデータベースを漁っているうちに
SCP-5095の報告書を見つけ、
それにかつてO5-3が関与した点、
そして遅効性の影響を有していた点に目をつけて
今回の計画を思いついたのでしょう。

つまるところ、
SCP-5095は報告書に記載されている通り
1967年の時点で完全に無力化しており、
O5-3ももちろん感染などしていなかったというわけです。

しかし彼のこの、下手をすると
自分の立場さえ危うくしかねない大胆な試みも
全体投票でO5-3が免職にならなかったことで
結局身を実を結ぶことはありませんでした。

報告書中のO5-9の発言によれば
既に100歳を超えているらしいO5-3ですが、
どうやら彼女の重すぎる責務はまだ
彼女を放してはくれないようですね。

最後に

以上、私によるSCP 5095の解説でした。

感染者がO5に居残ることで何か
やばいことが起きるのかと思わせておいて、
実は全てO5-12が思いやりから引き起こした
一大芝居に過ぎなかった
というオチの意外性がとてもよかったですね。

また時に私利私欲の権化だったり、
ミイラ取りがミイラになったり、
倫理委員会とドンパチやったりと
どちらかというと後ろ暗いことの多い
黒幕的な存在として描かれることの多いO5に対して、
大切な存在を救えなかった悔恨に苦しんだり、
あるいは苦しむ友人を救うために
自らリスクを負ったりできるような
人間的な存在として描いていた点にも
他の報告書にはない新鮮さを感じました。

ただ一点だけケチをつけるとしたら、
徹底主義で知られる財団の
それもトップであるO5のメンバーの中に
僅かでも異常に感染した疑いのある人物が
O5に残留することを認める者がいるのだろうか、
という点でしょうか。

このことは本家のディスカッションでも
指摘している方が何人かいました。

また感染の疑いがあるのに
O5-3への検査を提案するメンバーが
いなかったのは不自然だとも思いましたが、
その点は資料の肝心な部分を[データ削除済]とすることで
O5-12が検査することもリスクがあると暗に認識させていた
と好意的に解釈することができるかもしれません

まぁ、こうした細かい点は
突っ込んでいくときりがないので
あまり深く考えすぎない方が良いでしょう。

それでは最後に
歳老いたO5-3にいつの日か安息の日々が訪れることを願って
今回の締めくくりとさせていただきます。
それでは。

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