その発想はなかった!アイディアが秀逸な面白いSCP報告書8選

SCP

はじめに

2008年のサイト設立から
早13年目を迎えたSCP財団ですが、
その人気は衰えるどころか高まり続け、
本家だけでもその参加者数は
今や90000の大台に乗ろうかという勢いです。
(参考:http://scp-wiki.wikidot.com/system:members)

そしてそれだけの人が集まるとその中には少なからず
飛び抜けた発想力の持ち主も含まれるようで、
SCP財団のサイトを覗けば多くの場合で期待を超える
素晴らしいアイディアに出会うことができます。

さて、本日は私が今までに読んだことのある報告書の中から
まだ当サイトで紹介したことがなく、
かつアイディア性が特に優れいていると感じた
おすすめの報告書を八本ほど簡単な解説付きでご紹介させて頂きます。

それではどうぞ。

アイディアが凄いおすすめのSCP報告書8選

SCP-240-JP – 0匹のイナゴ

SCP-240-JP – SCP財団

SCP-240-JPは限定的な現実改変能力を持つと考えられている0匹のイナゴです。

…恐らく上記の文章を読んだ時点で多くの方が
「0匹のイナゴ」という
意味不明なセンテンスに違和感を覚えたかと思いますが
これでしっかり原文通りです。

ではなぜこんな論理的に破綻した文章が
財団の報告書に記載されているのかといえば、
それにはSCP-240-JPが持つある特殊な性質が関わっていました。

冒頭で明言されている様に
SCP-240-JPには一種の現実改変能力が備わっているのですが、
その能力というのがSCP-240-JPが死亡した場合に
「自身が生まれたという事実を消去する」というものであり、
上記の一文はその能力によって
後から文章が改変された結果の産物だったのです。

しかしそうなると次に疑問となるのが
なぜこのイナゴがそんな性質を
持つに至ったのか?
という部分なのですが、
この大元の発端は、異常な性質を持った生物の
開発を行っている要注意団体、
「日本生類創研」(以下 日生研)が
ある目的のもと行なった一連の生物実験にありました。

報告書中の資料によると日生研は
その活動の一環として
種の絶滅を回避する特殊な能力を持った
生物を生み出す実験を行っており、
SCP-240-JPはその過程で生まれた生物だったのです。

しかし一体何をどこでどう間違えたのか、
結果として生まれたSCP-240-JPは
「死ぬのが嫌なら生まれなきゃいいじゃない」とばかりに
自分たちの死を回避する手段として
「生まれた事実を消す」という
本末転倒な手段を選択するに至ってしまい、
結果として日生研の中でも
その処遇が半ば持て余し気味になっていたところを
財団によって押収されたという経緯があったのでした。

その様なわけで日生研からすれば
ただの失敗作に他ならないこのアノマリーですが、
私たちが読むSCP報告書の題材として見れば
実に最高のものを提供してくれました。

最初に0匹のイナゴという
パワーワードで読み手を引きつけておいて、
アノマリーの性質でネタバラシがなされると
それまでの疑問が一気に氷解する
構成の巧みさが実に見事。

こういう素晴らしい報告書に出会うたびに
SCPというコンテンツを知れて
本当に得したなぁとしみじみ思えるものですね。

SCP-2048-JP – 普通のコイン

SCP-2048-JP – SCP財団

SCP-2048-JPは「必ず表の出る10円玉」として
Anomalousアイテム※に登録されて()()10円玉です。
(※これ以上の研究は必要ないとされたアノマリーに与えられる例外的なオブジェクトクラス)

しかし財団によって保管されていたある時
このSCiPが偶然裏を出した例が確認され、
さらにその後財団が実験(コイントス)を重ねたところ、
トスの回数が増えるにつれて
裏が出る確率の割合が加速度的に増加していることが発覚。

そしてある時点においてついに
出る側の割合が完全に逆転した結果
SCP-2048-JPは一転して
「(ほぼ)必ず裏の出る10円玉」となってしまったのでした。

しかしまだここで話は終わりません。

SCP-2048-JPが裏しか出さなくなった後も
さらにコイントスを継続したところ
今度は再び表の出る確率が増加していったのです。

その後のパターンはこれまでの流れから予想される通り
「表→裏→表→裏…」といった具合に
まるで振り子のように出る面の偏りが交互していったのですが
その際にさらにもう一点、この出る面の偏りの周期が
試行回数の増加に従って段々と短くなっていたことも判明します。

以上の現象は文章ではやや伝えにくいのですが
財団の行った実験結果を可視化した
上記のグラフを見ていただくと、
表と裏、それぞれの出る確率が極限に至るまでに
必要な試行回数がだんだんと少なくなっているのが分かりますね。

そしてこの間隔の狭まりが
極限に達することで起きた現象というのが
1回の試行で出る面のほぼ完全なランダム化であり、
これは即ちSCP-2048-JPが実質的に
どこにでもある普通の10円玉と
全く変わりのない存在となってしまったことを意味します。

つまり財団は図らずも実験を通じて
一つのアノマリーの異常性を
完全に消失させてしまったというわけですね。

以上がこの報告書の概要です。
物語性やキャラクター性を極限まで排除し、
科学団体である財団の基本に立ち返ったかのような
非常に論理的なアイディア一本で勝負してきたこの報告書には
他の報告書とは一味違う非常に新鮮な印象を受けました。

ちなみに本作は新人執筆者を対象とした
ルーキーコンテストの参加作品だったのですが、
案外そういったしがらみのなさが
こうした斬新なアイディアに繋がったのかもしれませんね。

SCP-4559 – レシートはいかがですか?

SCP-4599 – SCP財団

SCP-4559は「財団が知る宇宙において
唯一かつ全く予測不可能あるいは“ランダム”である現象」
です。

と言われても多くの方は恐らく「ランダムなんて
適当にサイコロでも振ればいいだけじゃん」

思われるかも知れませんが、
実はサイコロは目によって窪みの大きさが異なることから
実際は重心のずれによって若干1の目がでやすいことが知られており、
また投げる人の癖や環境によっても出目が左右されるため
厳密に完全なランダムを生成することはできず、
また例えばプログラムに乱数を返させる場合でも、
こちらは正確には疑似乱数と言って
やはり完全なるランダムとはならなかったりするのです。

つまり純粋に「完全なランダム」を作るというのは
私たちが想像するより遥かに難しいことであり、
またもし完全なランダムが作れたならば、
特に財団の様な膨大な機密情報を扱う組織にとって
主に情報保護の面でその有益性は計り知れないものがあります。

そのようなわけで完全に
予測不能なランダムを生み出せるという
SCP-4559の存在価値は財団にとって非常に高く、
報告書中では財団がこの現象を
複数のアノマリーの収容に役立てていることが明記されているほか、
財団にとって特に有用で、最高レベルの機密保護を受ける価値があると
判断されたアノマリーのみに指定される
Thaumielオブジェクトクラスまで与えられています。

さて、前置きが長くなってきましたが
こうなると気になるのが
「一体どうやって完全なランダムを実現しているのか?」
という方法の部分ですよね。

財団のことだから
専用の量子コンピューターでも開発したのでしょうか。

それとも宇宙人や別次元の存在から知識を得たとか…?

説明: SCP-4559は殆どの食料雑貨店において
個人がレシートを必要とするか否かの選択に関係する確率的異常です。
客が常にレシートを必要とする、あるいは客が事前の承諾なしにレシートを渡されるという習慣がある場合はSCP-4559は起こりません。

これらのイベントがどれも発生しない場合、
客がレシートを渡してほしいかどうか尋ねられるというイベントにおいて、
対象がレシートを受け取るあるいは拒否するかどうかについての選択は予測できません。
対象の精神状態や性別、
あるいは財産が結果に影響することはなく、
それぞれの選択についての見込みは全く同等です。

意外!それはレシートッ!

…まぁぶっちゃけ既にメタタイトルの部分で
普通にネタバレしてたので若干アレなのですが
要は全米のスーパーに監視装置を設置して収集した
一人一人の客がレシートを
受け取る/受け取らないの選択を
ランダム生成のアルゴリズムに転用したという訳ですね。

確かに何万という人間がレシートを受け取るか
受け取らないかの法則性なんて
どんなに優れたコンピューターでも解析は不可能でしょうし、
なによりこの方法なら運用コストも非常に安上がりです。

レシート受け取りの確認という
誰でも経験したことのある身近なイベントを
Thaumiel級のSCPに昇華させたこの報告書。

そのアイディア性の高さは言うまでもないですが、
それに加えてわずか1000文字以下で完結している
無駄の無さにも美しさを感じますね。

SCP-3352 – ベスレヘム・スチール

SCP-3352 – SCP財団


▲ハードウィック石油製油所(1991年頃)

米国ベスレヘムIビームスチールに神のご加護を1
MSW

SCP-4599はアメリカのハードウィック石油製油所で
使われていた一本のI形鋼(Iビーム)です。

この報告書では1992年7月2日に同施設で起きた
大規模な火災と、その際に件のI形鋼に起きた
ある異常現象が、事故の生存者へのインタビューを交えつつ
臨場感たっぷりに記載されています。

総じて非常にストーリー性の高い報告書であり、
その魅力はここで細々解説するよりも
実際に読んで体験して頂くのが一番良いかと思います。

その上で私個人の感想としては、
流石にSCP-001の提言を書いた経験もある著者の作品だけあって
一見地味で捻り用のない異常を題材に
よくここまで味わい深い物語を
仕立て上げられたものだなぁと
ただただ感心させられたものでした。

SCP-1833-jp -SCP-2 11 17 1830 1833 34 35 38 -JP

SCP-2 11 17 1830 1833 34 35 38 -JP – SCP財団


▲ツノグロモンシデムシ Nicrophorus vespilloides by Wikipedia

説明: 僕達はシデムシ科(Silphidae)に近い外見を備えた甲虫だと思う。見て貰わないと分かんないだろうね

一見悪い冗談なんじゃないかと
疑ってしまいそうなメタタイトルが目を引くこちらの報告書。

その内容は個体数の増加に比例して指数関数的に
群れ全体の知能が増加する異常なシデムシの群れが作成した
財団風の報告書であり、この中で彼らは
自分たち自身をアノマリーとして扱っています。

またその文体は上記の引用文を見てわかる通り
財団のそれと比べてかなり砕けた印象となっています。

このように数ある報告書の中でも
極めてイレギュラーなスタイルを取っているこの報告書ですが、
私が今回これを取り上げたいと思った最大の決め手は
書き手に犬や猫じゃなくてあえてシデムシという
地味な虫を選び、かつ読み手に彼らに対する親しみと
恐怖感が入り混じった不思議な感情を
沸き上がらせることに成功している点です。

という訳で僕達は基本的に財団に対して協力的な姿勢ではある。
理由は拾い上げた携帯端末から来る刷り込みであったのかもしれない。
かっちりした文体だけはどうにもならなかったけどね どうしても僕達がいるから

という訳で僕達は基本的に財団に対して協力的な姿勢ではある。

報告書中で使われている
口語体の文章は「僕達」という一人称も相まって
一見柔和な印象を受けますし、
何より彼ら自身がこの中で
自分たちが財団に協力的な存在であると語っていることから
ぱっと見では彼らが人間に対して
友好的な存在なのではないかと思いたくなってしまいます。

移動はしない、出来ない。調査はロボトミー手術を行った鳥や虫によって長期的に行う予定。

総会においても少数派ながら「財団の支配」「地区一帯の支配」といった意見が上がっており、財団が管理出来る範囲に技術力を抑える為、その上で既存の製作物の安全な管理が出来る範囲の中で僕達の間引きが必要となった。 僕達は僕達の為に個体を減らす事は構わないが、この先の総会で前述の様な攻撃的な意見が選択されたならば僕達は財団に挑む事になるだろう。

攻撃的な意見を実行するより前に答えは見つかるかどうか。
見付かってくれるとありがたいものだ 酷いものだ 素晴らしいものだ さっさと財団を支配しよう そして

しかし本文をよーく読むとそこかしこに
彼らの中に潜む野生的な本性が見え隠れしており、
彼らの知能レベルが容易に人間のそれを超えたことも加味すると
そう遠くない将来に財団及び人類が
彼らに支配される未来が予感できてしまうんですよね。

というよりむしろ、もしかすると
こんな報告書がデータベース上に存在している時点で
とっくにこの世界の財団は彼らの支配下に
堕ちているのかもしれませんね…

SCP-077-JP – 過去への暴走

SCP-077-JP – SCP財団

特別収容プロトコル: SCP-077-JPは 8 m四方の対爆収容室に収容して下さい。タイムパラドックスを引き起こす可能性があるため、SCP-077-JP内への進入およびSCP-077-JP-1への接触は、いかなる理由があっても禁止します。

SCP-077-JPはある特定のエリアに
突如出現してはすぐに消え去る行動を
一定の周期で繰り返している
返正体不明の金属製のドームです。

またこの中にはDクラス職員に似た服装をした
これまた正体不明の人物(SCP-077-JP-1)が
搭乗していることが確認されています。

19██年、「神社の境内に放電するUFOが現れ、突然消えた」という宮司の目撃談が財団に報告されました。財団の調査により、この山には狐火や人魂の伝承が多数残されており、███神社はそれに関係して建てられたことが判明しました。

財団の調査によると
この現象は同じ場所で少なくとも
数百年以上にわたって定期的に発生し続けている様ですが
ここまでの情報からはまだ
SCP-077-JPの正体や目的は見えてきません。

このアノマリーの真相にたどり着くには
報告書中に記載されている一連の出現記録を読み解く必要があります。

日時結果内部の状況
19██年2月18日激しい放電。28秒後に消失。散発的な爆発。黒煙が充満し始めている。SCP-077-JP-1は激しく咳き込み、覗き窓から消える。
19██年7月11日連続的な放電。28秒後に消失。散発的な爆発。SCP-077-JP-1は全身血だらけになっており、覗き窓を叩き続けている。
19██年4月8日連続的な放電。28秒後に消失。内部で爆発が発生。SCP-077-JP-1の姿は確認できず。
19██年5月27日断続的な放電。28秒後に消失。装置から火花が出ている。SCP-077-JP-1は覗き窓を必死に叩き続け、何か叫んでいる。映像解析により、日本語で「もう逃げないから助けてくれ」と発言しているのを確認。
19██年5月11日散発的な放電。28秒後に消失。SCP-077-JP-1はレバーらしき断片を持っており、内部の装置に対して懸命に作業をしている。
19██年5月14日金属的な破壊音を確認。28秒後に消失。SCP-077-JP-1は呆然としている。右手に何かのレバーらしき断片を所持。
20██年5月14日異常は発見されず。28秒後に消失。SCP-077-JP-1は内部を見回し、装置の一部を操作しようとしている。
20██年5月14日異常は発見されず。28秒後に消失。SCP-077-JP-1は歓喜の表情で小躍りしている。
20██年5月14日異常は発見されず。28秒後に消失。SCP-077-JP-1は歓喜の表情で小躍りしている。

これらの記録は素直に読むと
SCP-077-JP-1がドーム内で起きたトラブルを解決したことで
最終的に小躍りしたのだと解釈しそうになりますが、
特別収容プロトコル内で言及されていた
「タイムパラドックス」という単語を踏まえて
一連の出来事をもう一度よく見直してみると、
上記のイベントが実際には
読む順番とは逆に下から上の時系列順で
発生していたことが分かります。

つまりSCP-077-JPの正体は
未来の財団が開発したタイムマシンであり、
SCP-077-JP-1はどうにかそれを盗み出して
過去への逃走を計ったものの
直後にSCP-077-JPは故障して暴走。

しかし当然ながらSCP-077-JPの
修理方法など知らないSCP-077-JP-1には為すすべもなく、
そのまま煙に巻かれて死亡してしまい、
その過程が時空の歪みによって断片的に出現していたというのが
財団の観測した一連の現象のいきさつだったという訳です。

補遺1: サイト-8177の建設中、周辺調査で地中に不自然な金属反応がありました。発掘の結果、約███万年前の地層から、酸化した金属製の人工物が多数発見されました。SCP-077-JPとの関連は調査中です。

上記の補遺を読むにSCP-077-JPは
SCP-077-JP-1の死亡後も暴走を続け、
最終的に人類が誕生したかしないかの年代である
数百万年過去の世界まで辿り着いたことが示唆されています。

ちなみに現象が過去から未来へ遡っている以上、
このDクラスとタイムマシンを
回収できる可能性も無いことは無いと思われるのですが、
特別収容プロトコルに書かれている様に
財団としてはタイムパラドックスの危険性を考慮して
その様な試みは原則的に禁止している様です。

以上、本報告書のおおまかな概要でした。
脱走の喜びから一転して
タイムマシンの中で蒸し焼きになった
SCP-077-JPの絶望感もそうですが、
時系列の先入観を逆手に取った
表のトリックもまた斬新な一作でしたね。

SCP-5733 – 包丁。悲鳴。暗転。

SCP-5733 – SCP財団


▲SCP-5733の外箱正面のアートワーク。

SCP-5733は“サバーブ・スラッシャーの帰還”
というホラー映画が録画されているVHSテープカセットであり、
その外箱には“クリスタル・エルムズ・プロダクション”という
公的な記録の存在しない制作会社の名称が記載されています。

映画の筋書きとしては典型的なスプラッタ映画のそれであり、
かつてサバーブ・スラッシャーという連続猟奇殺人事件が発生した
郊外の袋小路の家を舞台に、10年目ぶりに帰還したサバーブ・スラッシャーが
そこに住むヘザーという若い女性を恐怖の底に陥れていく様子が描かれています。

しかしテープの再生時間が97分目に達した時、
これがSCPオブジェクトに分類される決定的な要因となった
ある異常性が発現します。

映画の終盤、サバーブ・スラッシャーの手によって
居間に飾られた友人たちの遺体を発見したヘザーが
家の地下室に逃げ込み、扉を施錠するシーンがあるのですが、
その場面で録画された映画の
いち登場人物に過ぎない存在であるはずのヘザーが
不意に映画を見ているこちら側に向かって
次のような問いかけをしてくるのです。

「ねぇミスター、私はあなたを知らないし、
ぼんやりそこに座って何もせずにこれを眺めてる理由も分からないけど、
どうかお願い、私を助けて。どうすれば私はここから生きて出られるの?」

そしてこれ以降SCP-5733の視聴者は
ヘザーと直接会話することが可能となり、
彼女がサバーブ・スラッシャーから逃走するための
アドバイスを行う事が可能となります。

ここでどんなアドバイスを行うかは
その人の性格やホラー映画遍歴によって
大きく左右されそうですが、
報告書中に記されている実験記録には
次のような事例が記載されています。

試験001

視聴者:D-1973

助言: 密かに上の階に戻って車のカギを入手し、できるだけ遠くまで車を走らせるように助言。

結果:車のカギの入手には成功するが、車にたどり着くとタイヤが切り裂かれていた。D-1973は隣家の車の窓を割ってドアを開けるように指示し、さらに鍵を使わずにエンジンをかける方法を説明する。その後無事にエンジンがかかり車を発進させたが袋小路から出た瞬間に後部座席に隠れていたサバーブ・スラッシャーが出現。サバーブ・スラッシャーは包丁を振りかざし、直後に画面が暗転する。

試験002

視聴者:D-1944

助言: D-1944はヘザーにSCP-5733の再生25分時点に映っている父親のショットガンを回収し、それを使ってSCP-5733-1を排除するように助言する。

結果:銃の回収には成功するが、サバーブ・スラッシャーを撃とうとした際に銃弾が装填されていないことに気づく。SCP-5733-1が右手を挙げて手のひらを開くと、そこからショットガンの薬莢が落ちる。SCP-5733-1は包丁を振りかざしてSCP-5733-2に接近する。SCP-5733-2は悲鳴を上げる。画面が暗転する。

試験015

視聴者:ニック・エングルンド=ダスケヴィス研究助手

助言: エングルンド=ダスケヴィス博士は自分が彼女を支援できるかもしれない組織で働いていることを説明して、ヘザーに映画の時代設定である1983年時点で有効だった財団の秘匿回線番号をSCP-5733-2に教える。

結果:ヘザーはキッチンの固定電話に向かうが、電話は既に破壊され血液でしるされたメモが電話の残骸に包丁で固定されているのを発見する。メモには“ここに在る礎(Foundation)は恐怖だけ”と書かれている。直後、ヘザーの背後にサバーブ・スラッシャーが出現し別の包丁を振りかざす。画面が暗転する。

試験028

視聴者:フィールドエージェント ティルダ=ジョアン・ベネット

助言: エージェント ベネットは奇跡論の高度な知識を持つために被験者に選ばれた。エージェント ベネットはヘザーに対し、攻撃・防御目的の初歩的な奇跡術の使用法を指導し、数時間後、ヘザーは初歩的な元素呪文を扱う事が可能になった。

結果:ヘザーはエージェント ベネットから教わった呪文によってサバーブ・スラッシャーを吹き飛ばす。ヘザーはその間に私道を走り始める。彼女を追跡するサバーブ・スラッシャーはヘザーに凍結呪文を浴びせてその場に固定し、さらに召喚呪文を唱えて包丁を手元に引き寄せる。SCP-5733-2は悲鳴を上げようとするが不可能である。画面が暗転する。

ご覧の様に財団は手を変え品を変え
ヘザーを救うためのアドバイスを繰り返したのですが、
そのどれもがサバーブ・スラッシャーの凶行を阻むには至りませんでした。

そんな状況の中、
SCP-5733研究主任のカーペンター博士は、
自分を被験者とするある試験を考案します。

それはサバーブ・スラッシャーが視聴者の
心を読んでいる可能性を想定したうえで、
アドバイスする内容を複数の選択肢から
くじ引きの様にランダムに組み合わせることで、
その裏を描こうというものでした。

果たしてこの作戦でヘザーを救い出すことはできるのか。

その結末はここでは伏せさせて頂きますが、
ネタ、オチともに捻りがあり、
私的には最後までドキドキしながら楽しんで読むことができました。

また余談ですが、私はこれを読んでからというもの、
映画(特にホラー系)を見る度に
「ここで登場人物に入れ知恵出来たらなぁ」と
思う事が増えました(笑)。

SCP-2475-JP – トリッカーの化猫

SCP-2475-JP – SCP財団


▲観察者の視覚イメージを抽出したD-6513の画像。

最後にご紹介するのは
今までとはちょっと違った方向の
アイディア性が目に留まった一作です。

SCP-2475-JPはイエネコと遺伝的に一致する
耳状の付属品が就いたヘアバンドです。

そしてこのヘアバンドの最大の特異性は
これを装着した人間が周囲の人間から
人間ではなくイエネコであると認識されるようになることです。

また外見だけでなく装着者は仕草までも
自然とイエネコのそれを真似るようになり、
外見からその正体がばれることはまずありませんが、
一方で装着時にも元の自我は保たれており、
ある程度自分の意思で行動することが可能です。

このように世界中のスパイや工作員が
喉から手が出るほど欲しがるであろう
能力を持つこのアノマリーですが、
一体財団はどのような経緯でこれを入手したというのでしょうか?

発見経緯: SCP-2475-JPはインターネット上に投稿された”██████カフェ”の様子を撮影した映像をエージェントが不審に思い、東京都██区に存在している動物カフェ”██████カフェ 東京支店”にて回収されました。投稿は削除され、投稿者及び閲覧者には簡易記憶処理が施されました。

おや…?
動物カフェ…?

映像記録2475-JP: 以下は”██████カフェ”の監視カメラの映像の抜粋です。監視カメラの映像を総合した時系列順の記録となっています。

<再生開始>
[重要度が低い為割愛]
店の裏口を映す、40代半ばの肥満気味の男性が入店する。
店員: いらっしゃいませ、本日はどのコースになさいますか?
男性: いつものコースで頼む。これ、会員カード。
男性が金色のカードを店員に見せる。
店員: これはこれは、ゴールド会員様でしたか。(手元のタッチパネルを操作する) ██様、コースS90分コース入りました。……ではこちらをご装着ください。
SCP-2475-JPを男性に渡す。男性はSCP-2475-JPを着用する。監視カメラを介しているためこちら側からは変化が見られない。

えぇ…(困惑)

店員: ごゆっくりどうぞ、心ゆくまでご堪能ください。
映像が切り替わり、カフェ店内を映し出す。店員が男性を抱きかかえて店の奥から出てくる。
店員: うちのナンバー1、黒白バイカラーのシキちゃんが登場です!写真撮影は禁止されていますのでご理解ご協力の程よろしくお願いいたします。
男性が女性客に近づき、鳴き声をあげる。
女性客: [悲鳴] すっごい可愛い!撫でてもいいですか?
店員: 勿論ですとも。
女性客が男性の顔から腹部にかけてゆっくりと撫でる。

オエ━━━━━━(´Д`|||)━━━━━━!!!!

男性が女性客の手の甲を舌で舐め、その後指を咥える。
女性客: なんなのこの子!やばいしか言えない程可愛い!
男性が女性客の鼻に自らの鼻を擦り付ける。女性客の耳を甘噛みし、顔を舐める。
[以下同様の行動が続くため省略]
店員: 時間となりましたのでシキちゃんとの触れ合いを終了させていただきます。
店員が男性を女性客から引き離して抱きかかえ、店の奥に戻る。
<再生終了>

うーん、激しく気持ち悪いですね。(誉め言葉)

SCP-2475-JPを使って紛れ込んでいた
要注意団体のスパイから回収したとか
そんな経緯を想像していたら
まさかの斜め上過ぎるこの展開。

ある意味日本支部らしいというか、
アイディア次第でここまで気色悪いインパクトある
報告書が書けるんだなぁと別の意味で感心しました。

こんなものを読んでしまったら、
もう二度と純粋な気持ちで
動物カフェを楽しむことが出来なくなりそうですね。

おわりに

以上、アイディアが素晴らしい報告書の特集でした。

SCPの魅力は、ストーリー性であったり、
恐怖感であったりと色々ですが、
初心者の方に進めやすいのは
やはりこういったアイディア性の高いタイプの報告書ですね。

個人的にはこういったユニークなアイディアを
思いつく秘訣をぜひとも教えてもらいたいものです。

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