SCP財団の最終兵器!オブジェクトクラスThaumielのSCPまとめ【前編】

SCP

こんにちは、daimaです。
本日は、SCPの中でも
『現実改変』や『未来予知』など
財団にとって有用な能力を有することで
財団から最終兵器として扱われている
特別なオブジェクトクラス"Thaumiel"
該当するSCP群をご紹介します。

オブジェクトクラス"Thaumiel"について

Thaumiel

Thaumielクラスのオブジェクトは、
Keterクラスのオブジェクトのような
非常に危険な異常存在に対する収容
もしくは影響を無効化するために財団が利用する、
極秘かつ極めて希少な異常存在です。

Thaumielクラスのオブジェクトは
存在そのものが財団における
最高クラスの機密であり、
その所在、機能、現在の状態は
O5評議会※以外では
非常に限られた職員にのみ知らされます。
(※13名から成る財団の最高責任者たちのグループ)

オブジェクトクラス - SCP財団より

Thaumiel(タウミエル)とは、
人類滅亡シナリオを
回避し有る能力を持っていて、
かつ財団によるコントロールが可能な
SCPに対して与えられる
特別なオブジェクトクラスです。

財団にとってはまさに
『毒をもって毒を制す』的な存在であり、
その情報は財団の中でもO5評議会を含む
非常に限られたメンバーのみが認知しています。

SCP全体で見ても
非常にイレギュラーな存在であり、
本家SCPに登録されている
5000体近い(記事執筆時点)
SCPの中でも、このThaumielを
冠するSCPは2018年現在、
僅かに60体ほどしか存在していません。

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ThaumielクラスSCP紹介

SCP-1422 : The Yellowstone Anomaly(イエローストーンの怪)

SCP-1422 - SCP財団

SCP-1422は「財団の全職員が
世界的にメジャーな観光地である
イエローストーン国立公園を認識できない」

という不可思議な現象を指しており、
実体を持たない特殊なSCPです。

この現象を受けて2008年に財団が実施した
5000人以上の財団職員に対する調査では、
その中に公園の近所に住んでいた職員や
旅行好きの職員、果てはアメリカ合衆国の
国立公園局に勤務していた職員まで
含まれていたにも関わらず、
誰一人としてイエローストーン国立公園について
答えられるものはいませんでした。

またこの現象は職員の記憶だけ留まらず、
イエローストーン国立公園に関する
財団内の書類とネット上の
閲覧、検索記録についても、
2007年7月9日を境に
完全に消失していることが確認されています。

その後、2009年3月18日に
財団が財団内の全職員へ向けて
イエローストーン国立公園の存在を
改めて周知したことで
現在この現象は実質的に無効化されています。

…さて、ここまでお読みいただいて、
恐らく大半の方が次のような疑問を
抱かれたことと思います。

「で、これのどこがThaumielなんだ?」

…実を言うとこのSCPは
オブジェクトクラスNeutralized※であり、
Thaumielではありません。
(※ 何らかの理由で異常性を失った
オブジェクトに付与されるクラス)

では、なぜわざわざ
ここで紹介したのか。

その理由は、以下に解説する
あるThaumielクラスSCPがこのSCPと
深く関係しているために他なりません。

SCP-2000 Deus Ex Machina(機械仕掛けの神)

警告: HMCLおよびO5による承認が必要

貴方がアクセスを試みているファイルはレベル4/2000クリアランスを持つ人員にのみアクセスが許可されています。このクリアランスは通常のレベル4セキュリティプロトコルに含まれません。

必要なクリアランス無しにこれ以上のアクセスを試みることは財団による雇用の終了、全ての教育上、医療上、退職後、あるいは死亡時の福利厚生を取り消す根拠となります。資格認証のため、貴方はこれをもって既知の情報災害的画像に暴露される事に同意することとなり、貴方が画像に対する予防措置を受けていることを確認します。認証されていないアクセスの場合、このコンソールは操作不能になります。保安要員が派遣され、貴方を蘇生した後に尋問のため留置房へ護送することになります。財団のイントラネットに接続されていないいずれのコンピューターからこのファイルへアクセスを試みることも、クリアランスに関わらず即時終了をもたらすこととなります。

[保安用情報災害起動: 神経活動スキャン中]

意識が確認されました。ファイルを取得します。

お前たち人間は理解しない。そして私は決して理解することはないだろうと思う。

SCP-2000 - SCP財団

SCP-2000 機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)。

このSCPこそが今回ご紹介する
最初のThaumielクラスSCPです。

あまりにも厳重な防御措置

財団はこのSCP-2000に対し、
徹底した防御措置を講じており、
例えばSCP-2000の情報へのアクセスは
レベル4/2000以上のクリアランスを持ち、
さらにHMCL※1やO5評議会による承認を
得た職員にしか許可されていません。
(※ 詳細は不明ですが、恐らく財団の外部監視機関と思われます)

加えて
イエローストーン国立公園内に
遺棄されたパークステーションに
偽装して設置されている
SCP-2000の実態についても
何重にも保険をかけた
厳重な警備が施されています。

まず、
SCP-2000の警備には
レベル4/2000以上の
クリアランスを持つ職員のみが当てられ、
担当者は期間中
国立公園内を離れることが許可されません。

仮に何らかの原因で
強制的に担当者が移動した場合は、
その担当者にクラスAの記憶処理が施され、
『自分は他のSCPを担当していた』という
偽装記憶が埋め込まれます。

SCP-2000の周囲には
現実歪曲を防ぐスクラントン現実錨(SRA)で覆われており、
さらに、効果範囲の因果の流れを安定させる
シャンク/アナスタサコス恒常時間溝(XACTS)
が設置されています。

つまりSCP-2000には
他のSCPによる現実改変や
過去改変すらも通用しないほど
堅牢な防御が施されているわけですね。

世界を『再創造』する能力

補遺2000-1: ██/██/████.2のSCP-████収容違反中、SCP-2000はサイトにおけるBZHRユニットの起動と同時に複数のSRAおよびXACTSコンポーネントの機能不全に見舞われました。この事案から25日の間、BZHRユニットは内部の生物学的構造が現人類とは異なる人間的存在を1000万体以上生産しました。

さて、財団がそれほどまでに
慎重に保護するこのSCPは
一体どのような性質を持っているのでしょうか。

最初に結論を言うと、それは
『人類の再生産による世界の再創造』
を可能とする能力です。

SCP-2000の私用方法は
財団によってマニュアル化されており、
復旧させたい年代、
「復旧日時」を設定して実行することで、
地下の温泉及びマグマ流を材料として
1日あたり最大100,000人の
非特異人間(=普通の人)を生み出すことが可能。

そしてこうして生産された人間は
5日間の孵化期間の間に任意の年齢まで
即座に成長させることができます。

また、SCP-2000の内部には
大量の建築資材、建築機具、工場機械、農機具、
ワールドワイドウェブの
バックアップを含む
様々な文化資産も保存されており、
新しく生まれた人類に
旧世代の文明をスムーズに
引き継ぐための万全の備えがされています。

このようにSCP-2000は
人類の総数維持と
文明保持に特化したSCPであり、
財団の推定によれば
たとえ地球の人口が残り一人になっても
SCP-2000が起動すれば
およそ25年から50年ほどで
世界人口、製造能力、農業生産、文化を
西暦2000年の水準まで復元することが
可能である
と試算されています。

ちなみに
本SCPによる復元が完了した後は
記憶処理剤NUI-5を大量散布し、
再構築された人々から財団や
このSCPに冠する記憶を
忘却させる手筈となっており、
装置を起動させた
一握りの人間を除く全ての人類が
自分たちがかつて一度
再生産された存在であることを
全く覚えていないまま
何事もなかったかのように
日々の営みを再開させる手筈となっています

世界人口、製造能力、農業生産、および文化は
手順の開始後25から50年で
西暦2000年の水準まで
復元可能であると推定されています。

手順ラザルス-01終了時に、
記憶処理剤ENUI-5が大量に散布され、
再構築人類に財団の資産に対する
彼らの協力関係を忘却させます。

その後歴史は
指定された日時から再開されます。

各手順は人類の
社会学的相互作用の非常な複雑さにより、
必然的に人類の事件の成り行きを
変えることとなります。

以前の手順ラザルス-01の完遂の
観測に基づいた予測性のある
社会学的モデルの研究が実行中です。

ただし、問題を根本的に解決する能力はない

ただし、このSCP-2000も
決して万能というわけではありません。

たとえば、『SCP-505 インクの染み』や
『SCP-871 景気のいいケーキ』のように、
自己複製可能なSCPによって
NK-クラス:世界終焉シナリオ※が
引き起こされた場合、地球そのものが
人間の住めない状態になるため、
このSCPのみではどうすることもできません。
(※自己複製する物質によって引き起こされる、世界終焉のシナリオ)

このように、SCP-2000には
人類滅亡の原因に直接対処する力は無いため
その場合は他のThaumielクラスSCPと
併用するなどの工夫が必要となります。

「マリアナ海溝から回収された文書」について

マリアナ海溝から回収された文書 - SCP財団

書き残しておく必要がある。

書いておかないと
そのうち忘れてしまうだろうし、
今日聞いたことは重要だと思うからだ。

私にとって重要という意味ではない。
私が、あるいは今日地球に生きる人たちが
なにかをできるだけの時間は過ぎてしまった。

でも、
どこかのだれかがどうにかできるかもしれない。
少なくともその助けくらいにはなるだろう。

これをパイプに詰め、ロウで覆い、
渓谷の奥底に投げるつもりだ。

いつの日か、だれかがこれを読んで、
考えをまとめるはずだ。それが許されるのなら。

最後に、
「マリアナ海溝から回収された文書」
というTaleについて触れておきます。

このTaleはSCP-2000より
3年前から存在するものですが、
その内容にはSCP-2000の
存在をほのめかすような箇所があり、
SCP-2000の元ネタになった
taleではないかと見られています。

そしてこのTaleからは、
財団世界は既に2度、
SCP-2000によって
人類が総入れ替えされていた

という衝撃的な事実が読み取れます。

もしかしたら、
今こうしている私たち自身も、
SCP-2000によって『作り出された』
人間の一人なのかも…しれませんね。

SCP-179 : Sauelsuesor(太陽の姉妹サウエルスエソル)

SCP-179 - SCP財団

宇宙空間を漂う女性型SCP

SCP-179は20代から40代の
女性の姿をした人型SCPです。

1940年代に財団の天文学者が
太陽の光球の南極領域から
凡そ40,000km上空の宇宙空間に
SCP-179を発見しました

その人種は不確定であり、
体表はくすんだ黒い物体で覆われています。

またSCP-179は
体表と同様の物質で構成される
34kmもの長さの黒い頭髪を備えており、
その頭髪は太陽光に反射を反射して
眩い輝きを放っています。

そして、このSCPの外見に関して
もうひとつ特徴的なのが、
体の様々な部分に入れられた
刺青の数々です。

・対象の額、髪の生え際の右下に金のシンボル。
・鼻の下、両唇をぐるりと囲むように水銀のシンボル。
・両鎖骨の内側端の間に銅のシンボル。
・同年齢同体格の人間女性における心臓の位置と推定される場所に、
解剖学的に正確な人間の心臓の形と共に[データ削除済 - 無修正レベルSC4 - 重要な認識災害を検知]
・腹部上方に鉄のシンボル。
・腹部下方にスズのシンボル。
・骨盤のある辺りに最後のシンボルの一部分。
この領域の解剖学的構造が
はっきりとした観察を難しくしているものの、
鉛のシンボルが会陰部内にかけて
存在しているとの仮説が立てられています。

これらのシンボルは
中世錬金術における
太陽系の6惑星を示していると
推測されていますが、
その詳細は未だ
明らかになっていません。

なぜ、このSCPがThaumielなのか?

以上がこのSCPの概要ですが、
まだ肝心な部分に触れていませんでした。

それは、なぜこのSCPが
Thaumielか、という疑問です。

その疑問に答えるには、
このSCPが初めて観測された
1940年に発生した
ある記録を振り返る必要があります。

<1940/12/13> 最初に記録されたSCP-179の活動。
両腕を交差させたままだった実体は、
地球との衝突針路上にある、
それまでには未検出だった
惑星間物体の方へと片方の腕を挙げた。

衝突後、大量の異常な粘液分泌と共に
[データ削除済]市の広域に損害を与え、
1300人以上の死者を出し、
[先述の削除により編集済]と関連する異常現象と結びついた。

中心部に残されたアイテムは
SCP-███と再分類された。
SCP-179は元の状態に戻った。

SCP-179は宇宙空間から
地球に接近する未知の危険性を予知し、
まるでそれを財団に伝えるように
指で指し示してみせたのです。※1
(※1:同時に複数の危険が迫ったときは
必要な分の腕を自身の肉体から
新たに生成することが確認されました。)

その後もSCP-179は
幾度となく地球に迫る危機を予知し続け、
2002年までの60年間に
実に400回もの活動が記録されています。

女神との邂逅

1940年の発見以来
SCP-179の観測を続けていた財団ですが、
2003年10月16日
とある決定的な事件が発生します。

当時、秘密作戦に従事していた
財団の超小型衛星がSCP-179との
衛星通信を介した意思疎通に成功したのです。

SCP-179 / <17:34:23>: こんにちは。

SCP-179 / <17:39:38>: 私は見張り番。

SCP-179 / <17:42:38>: 私の名はSauelsuesor。
私の兄弟の事が好きかしら? 
私も好きよ。彼は大きい、とても大きいの。

SCP-179 / <17:43:01>: そしてとても暖かいの。

SCP-179 / <17:43:11>: もしも私とお話したいのなら、
あなたの衛星を使って
私に機織り話しかけて下さいな。
(please use your satellite to weave-talk to me.)
ここに来るよりも簡単でしょう。恐らくね。
(実体は<17:55:53>まで動かないまま)

(SCP-179に割り当てられた研究員達がこの行動を発見する。
SCP-179との間で起こり得るやり取りを遂行するために、
[編集済]主任研究員によって
フランス語に堪能なレベル3研究員
トーマス・グラハムが選出される。
今後██████-2探査装置は
無線中継機として使用される。
SCP-179は無線通信を受信し、
理解し、送信する事が可能である。
SCP-179からの通信は単調な、
特色のないフランス語話者の
人間の声として読み取れる。
以降のやり取りでは
各メッセージ間で8分半の遅れが発生し、
これはSCP-179と地球間の距離と一致する。
この事は以降の文章では省略する。)

調査員グラハム,T: あなたは誰ですか?

SCP-179: 私の名はSauelsuesor。
私は見張り番。私は見守る。
私はしばしば眺める。
私はしばしば警告する。
大抵の場合、私はそうしなければならない。
そうすれば、もっと先まで生命が存在するわ。

調査員グラハム,T: どういう意味ですか、
“見張り番”というのは?

SCP-179: 私よ。(微笑む)

調査員グラハム,T: 我々はあなたの行動の
重要性に気が付いています。
誰に伝えているのですか?

SCP-179: 何処を見るのか理解している人々へ。
貴方達へ。見ようと欲する人々へ。
貴方達だけじゃなく。でも貴方達にも。

調査員グラハム,T: あなたが兄弟と言う時、
それは太陽の事を指しているのですか?

SCP-179: 彼は私の兄弟、Sauelよ。
彼は私を暖めるわ。彼は優しい炎と愛の光。
彼の声と彼の孤で彼は私を抱きしめて、
私は生まれ変わるの。
彼は全ての真実の光の源。
彼は貴方達の源。

調査員グラハム,T: あなたは何処から来たのですか?

SCP-179: 私は子供として生まれたわ。
(実体が地球を向いて頷く)

調査員グラハム,T: どの位の期間
あなたは今居る場所に位置しているのですか?

SCP-179: 教えたくないわ。(微笑む)
(SCP-179は、地球の方を見て[編集済]を指示したままで、
胎児の姿勢を取る。
実体の顔は██████-2探査装置から見える状態のまま)

調査員グラハム,T: どうやってその場所まで辿り着いたのですか? 
どうやってあなたは現在持っている能力を得たのですか?

SCP-179: 私は女性へと成長したわ。
これが、今生きている私よ。

調査員グラハム,T: もう少し
詳しく教えていただけませんか?

SCP-179: 嫌よ。

調査員グラハム,T: 我々はあなたについて
もっと知りたいのです。
どうして教えてくれないのですか?

SCP-179: 御免なさいね。
私は貴方達の物ではないの。
私は誰の物にもなる事が出来ないの。

調査員グラハム,T: 財団の任務は人類全て、
地上の生命体全ての保護です。
これは最も重要な使命だと思いませんか?

SCP-179: ええそうね。
私はそれをやってるわ。
私を見て、そして理解して。

調査員グラハム,T: 我々があなたの能力を
正確に理解できたならば、
あなたは今より
ずっと上手くやれると我々は考えています。
あなたが有する全ての情報を共有すれば、
人類と地球に対する
危険な脅威についてだけではなく、
関連するあらゆるものに
多大なる利益をもたらす事が出来るでしょう。

SCP-179: 私は大きすぎて、
貴方達は小さすぎるの。
ここには無の海と光の島がある。
私はその海辺。貴方達の方へ怪物がやって来て。
虚空の拳が打ち据える。
私達の知識の先にいる切望の神々。
私は見張り番。
私はそれらの航跡の波紋を眺める。
貴方達は私の見知ったことを、
貴方達に、貴方達だけに教えることを望む。
だからこそ貴方達は、
貴方達だけがより大きくなれる。
例え貴方達が見つけたとしても、
それを抑えて、守りなさい。
貴方達は私を手中に収めることを望む。
それは私がここに居る理由ではないわ。
貴方達の他にもいるの。
貴方達以外のものを私は救ける。
貴方達以外のものに私は警告する。
貴方達の乾いたペーストの岩で出来た、
灰色の薄い壁の向こうに居る誰か。
貴方達の疲れた衛星の目が届かない所に居る誰か。
故郷、私達の故郷の向こう側に居る誰か。
私が知る誰か。私が愛する誰か。
貴方達が気に掛けることのない誰か。
先立って行った誰か。
そして、貴方達が覚えてさえいない程
昔に貴方達が自らの周囲に築き上げた、
規則と骨と法則と肉体と記憶と
誓いの矮小な壁の向こうに居る誰か、
その全て。私が愛するものたち。
心から。
それでもやっぱり、
私と対等なのは私の兄弟だけ。

調査員グラハム,T: 失礼ですが、
私にはあなたの言う“我々以外の誰か”が
何を意味しているのか理解できません。
どうか、お願いします、
他の言葉であなた自身のことを説明して頂けませんか?

SCP-179: (微笑んで)だけど
私に残された言葉はないの。

上記の会話からは、
SCP-179 = Sauelsuesorは
太陽に関係のある存在であり、
人類を含む地球の生命体の
存続を望んでいることが推察されます。

また、財団の思惑に反し
Sauelsuesorは特定の団体のみを
助けることを拒否しており、
あくまでも自身を観測する
全ての存在の助けとなることを
望んでいるようです。

要注意団体 - SCP財団

これに対して財団は
危険な要注意財団がSCP-179を発見し
これを悪用するケースを警戒しており、
目下あらゆる隠蔽活動と
妨害行動に全力を注ぎ続けています。

SCP-1968 Global Retrocausality Torus(逆因果の円環)

SCP-1968は
グリーンランド、ザッケンブルグ付近の
石油化学調査中に地下深くから発見された、
直径320cm、短径90cmで
材質不明のブロンズ色の円環です。

このSCPの特異性は
人によって適度な力を
加えられた時に発動します。

上記手順で活性化したこのSCPは
予測不可能な方法で変形を始めた後
使用者の周りを渦を巻くように回転し、
それが限界に達したところで
次第に元の状態へと戻ります。

しかしこの動作はあくまでも
本SCPがその使用者に与える
ある変化のきっかけにすぎません。

その変化とは記憶の改竄。

SCP-1968を使用した被験者は
自分の過去について事実と食い違う
発言をするようになるのです。

その際被験者は
自分が語った誤った情報を
記憶の奥底から信じている様子であり、
被験者は時として深い動揺状態と
パラノイアに陥ります。

このような危険性を考慮してか、
このSCPにはKeterクラスが付与されており、
一つのエレベータでのみアクセス可能な
財団地下300メートルの
シェルター内で厳重に保管されています。

…というのは
表向きのカバーストーリー。

本SCPの持つ真の効果は
個人の記憶の改竄などという
生易しいものでは決してないのです。

『私以外』を再構築するSCP

繰り返しになりますが、
先ほどの説明は財団が用意した嘘。
つまりカバーストーリーに過ぎません

正確に言えば
財団が最初に考えていた
初期段階の仮説をそのまま
語っていたにすぎません。

このSCPの本当の
オブジェクトクラスはThaumiel。

そしてその真の効果とは
『使用者以外の全宇宙のリセット』なのです。

いきなり話が壮大になってしまいましたが
それが何を意味するのかについては
以下の二回のインタビュー記録を読むことで
次第に理解することが可能です。

逆因果の円環 インタビューA - SCP財団

逆因果の円環 インタビューA

インタビュアー: 君は、
我々が知っている筈だという…
あー…(メモを見る)… SCP-████と
SCP-████について発言していたね。
君によれば、SCP-████は
[データ削除済]で、[データ削除済]が可能。
そして、SCP-████はある種の
未来予知コンピュータ
ということになっているんだったね?

被験者: ああ。俺が
それらの収容手順を作成した。
ここでの仕事が割り当てられるまでは、
二ヶ月の間SCP-████の研究をやっていたんだ。
原稿に詳しく書き上げて…

インタビュアー: 君が
語ってくれたようなSCPは存在しない。
我々だって聞いたことがないんだ。

被験者: (不可解な表情)

インタビュアー: どうかしたかね?

被験者: 俺は“あんたが将来知るだろうこと”
を喋ったのか… そんなら、
間もなく聞き知る事になるだろうさ。
█████████に実地エージェントを派遣してるか?
俺達がそのSCPを見つけたのはそこだよ。

上記インタビューでは
被験者が財団がまだ発見していない
未知のSCPに言及しています。

また、インタビューの間
被験者の受け答えははっきりしており、
ポリグラフ(嘘発見器)の結果は
被験者が意図的に嘘を
ついていないことを示していました。

逆因果の円環 インタビューB

逆因果の円環 インタビューB - SCP財団

インタビュアー A: 何だって?

被験者: この実験は何度目だ?

インタビュアー A: 三度目だが、それが何か?

被験者: 三度目だと?

インタビュアー A: 君に言わせれば何度目だと言うんだ?

被験者: これは第十九回試験だろ。

インタビューAに続いて、
三度目の実験の後に行われた
インタビューBの記録。

インタビュー冒頭から
インタビュアーと被験者の間で
実験回数の認識に
大きな齟齬が生じています。

被験者: SCP-████と
SCP-████の発見及び
収容は行われているか?

インタビュアー A: …それらについて
議論することは…

被験者: …それなら、
あんたも照合できる
別のネタだってあるぞ。
あんたらが俺を
信じてないことは分かってるが、
最後に実験を行った時、
俺達はあるものに関係する
奇妙な現象を発見したんだ。
…あるものというのは確かそう…
カシミール力だったか?

(インタビュアーたちが互いに相談する。)

インタビュアー A: (インタビュアー Bに向けて) ああ、任せる。

インタビュアー B: カシミール力とはどういう意味ですか?

被験者: ああ。そのまんまの意味さ。
アーティファクトはそれに作用する。

インタビュアー B: そのようなことを
どうやって知り得たんです?

被験者: あんたらがそれについて
話してるのを立ち聞きしてたからな。

インタビュアー B: 何時そんなことが
あったというんですか?

被験者: あんたは覚えちゃいないさ。
第十七回試験の後だったか。
頼むから分かってくれよ。
あんたらはコレが俺の記憶に
影響を及ぼすと考え続けてる。
俺の思い違いだってな。
もしそうなら、俺はどうやって
SCP-████とSCP-████について知り得たんだ?
もし俺の言う現象を確認しちまったら、
そん時はどう説明するつもりだ?

インタビュアー A: 君は…

被験者: どう説明するつもりだってんだ?
真実を覆い隠すために
理論を延長させでもするのか?
分かるだろ、たった2つの可能性しかない。
俺がイカれてるか、
あるいはそうじゃないかだ。

ここで『カシミール力』なる
聞きなれない単語が
被験者の口から飛び出しました。

また財団側は
この時点ではまだ本SCPの能力を
単なる使用者の記憶改竄だと誤解しています。

被験者: 12週間、
俺はアーティファクトでの
任務に従事してきて、
[注記:実験開始からまだ一週間しか経過していない。]
財団や大統領の変更、地球の土地配置の改変、
そしてあんたの変化… 髭無い方が良く見えるぜ、
まあ今言ったようなことをこの目で見てきた。
ついでに言えば… それらは全て過ぎ去った。

インタビュアー: 何だって…

被験者: 俺の知る世界は
消え失せちまったのさ。
変更に変更を重ねられて、今は19回目だ。
まだ同じ言葉を話せてるだけラッキーだな。
いいかよく聞け。
俺がモルモットにされ続けてるのを
承知するただ一つの理由は、
今後もう俺自身の歴史が
存在することはないからだ。
あるいは歴史の外側か。
自分の妹、持ったことがない子供たち、
結婚したことがない妻に見覚えなんてない。
俺は過去の無い亡霊なんだ。
アーティファクトを使って
失うものなんて何一つ無いんだよ。

インタビュアー: 再開するまで、
君をそのような事に近づけさせたりは…

被験者: どうだっていい。

インタビュアー: どうだっていいとは?

被験者: あんたは変化し続ける。
何もかもがそうだ。
それでも、俺は変わらないまま。
俺は覚えているただ一人の人間なんだ。
あんただって本当は
██████████博士じゃない、
少なくとも俺が知っていた人物じゃない。

ここにきて
話が一気に核心に迫りました。

被験者は実験のたびに
自身以外のあらゆる事象が置き換えられ、
しかもそのことを当人以外が
全く覚えていないことを示唆しています。

インタビュアー: …どういう意味だ?

被験者: どういう意味。
どういう意味かだって?
ならこの説明でどうだ。
もしあんたが████████博士を尋問すりゃあ、
████████████の痕跡を見つけられる筈だ。
数日中に、彼からのどデカい
サプライズに直面することになるだろうさ。
それを何で今の俺が知っているんだろうな?

インタビュアー: 馬鹿馬鹿しい。
君が保有する未解明の知識について、
君は説明することができるのか?

被験者: 俺はこの…
世界交替状態が前回よりもゆっくり展開され、
出来事が起こるのもより遅くなっていると考えてる。
手に負えないほど事象が分岐しないのなら、
この現象は効果的に
近い将来の予知を可能にしてくれるんだ。
俺がちょうど第一九回試験を
やってた所から来たことを考えると、ここでは…

インタビュアー: そんな説明を
信用できる訳がないだろう。
単刀直入に聞こう。
君は第三者に強制されているのか?
君の知っていることを明かさないようにという
明確な指示の下に行動してるんじゃないのか?
私が言ったように、もし…

被験者: 俺をおちょくるな。
理解してくれ。
アーティファクトは近い内に
██████████████████████する。
███████████████。███、████、
█████████████████████████。
およそ数週間でな。

インタビュアー: 教えてくれ、もし君がそう…

被験者: 博士、あんたを啓蒙してやるよ。
██████████、████████████。███████████████?███?████。██████。████████████。████████████████████████████████████████。 ██████████████████。████。█████████████████████████。██、████████████████████、███████████████。███。██████████████。████████████████████████。█████████、█████████、████████████。████████████。█████、████、█████████████████████████████████████████████████████████。█████████████████████████████

██████████████████、████████████████████████████████████████████████████。█████████████████ ██████████████████████、██████████████████████████████████████████、███████████████████████
██████████████████████████、█████、████████、██████████████████████、██、███、██、████、████、██……

(O5監督官 ███████の権限により、
インタビューはこの時点で突然終了された。)

ここで明かされる衝撃の真実。

これまで被験者が行なった数々の予知は
実際に被験者が体験した出来事であり、
しかもそれがSCP-1968を使用することで
使用者以外の宇宙がリセットされ、
さらに宇宙の歴史がその度に
少しずつ後ろにずれることで
成立していたのだと言うのです。

これはあまりにも規模が大きすぎて
にわかには信じがたい話ですが、
もしそれが本当であれば
被験者の行なった予知行為にも
確かに合理的な説明がつきます。

また、このインタビュー後に
財団が行なった次の実証実験の結果も
大変興味深いところでしょう。

彼の説明を裏付けるため、
アーティファクトの影響が及ぶ
球状領域内で実施された測定では
芳しくない結果が出ました。

アーティファクトを運転していたその時、
CERNからまさにそのような
現象についての発見がされたとの
非正規ルートからの報告が入り、
試みは予期せず中断されました。
実験はアーティファクトの近辺から
離れた位置で改めて行われ、
効果を検出することに成功しました。

更なる実験は、ニュージーランド、
南アフリカ、南極のような
遠い地点において実施されましたが、
同じ結果が再現しました。
秘密裏に追加任務を課されていた
木星圏の探査プローブでも、
同様の結論が出ました。

アーティファクトの動作範囲を含む
周辺(必然的に被験者も含まれる)は、
おそらくは意図的に
その効果から遮断されているようでした。

なんと、SCP-1968の使用時に
宇宙誕生時のビッグバンに匹敵する
エネルギー変動が木星圏を含む
各地で観測されたのです。

しかも、SCP-1968の内部だけは
その影響を免れており、
ますます被験者の説の信憑性が
高められる結果となったのでした。

ジレンマに満ちた最終兵器

これらの実験結果を受けて
財団がこのSCPに見出した利用価値は、
世界の再構築と
その際に発生する事象の遅れを利用した、
世界滅亡の先送りマシーン
としてのものでした。

より端的に言えば、
人類滅亡が回避不能となった場合は
このSCPを使って
その滅亡という事実を
永遠に先送りしちゃおうぜ、

という事です。

ただしこの方法には、
SCP-1968を発動した時点で
目先の滅亡は防げる代わりに
人類が滅亡する未来を確定させてしまう
という致命的なジレンマ
が内在しています。

加えて、例えそうした目的で
このSCPが利用されたとしても、
利用した当人以外は
その事実に気づくことすらできないため、
滅亡を先送りしても
効果的な対策を即座に
実施し辛いという弱みもあります。

しかしこのSCPといい
先ほど解説したSCP-2000といい、
ThaumielクラスSCPは
財団にとって役には立つものの
必ず一つは致命的な
決定的な欠点があるものですね。

もっともポジティブに考えれば
完璧ではないからこそ面白い、
とも言えますが…。

SCP-4242 Foundations(ファウンデーションズ)

SCP-4242が出現した教会施設

SCP-4242は
教会など宗教施設の地下に
突如として複数の迷宮(迷路)を内蔵した
地下空間が出現する現象です。

この空間が出現する場所は
公共性のある宗教施設ならどこでもよく、
もし迷宮が破壊された場合には
世界中の他の条件を満たす施設の地下に
再出現する性質を持っています。

現在はアイスランド、レイキャビクの
ハットルグリムス教会地下に位置していて、
財団が周囲の交通量を調整しながら
それを保護している状態です。

迷路付きタイムマシン

SCP-4242内部には
複数の迷路が配置されています。

その内容は
床に描かれた迷路を歩いて解くものや
指でなぞって解く壁掛け式の迷路などがあり、
それらの迷路を解いた被験者は
地球上の過去の時代のどこかに存在する
他のSCP-4242へと瞬間的に
ワープさせられます。

さて、SCPによる
異世界へのワープというと、
SCP-035-JP フラワープや
SCP-093 紅海の円盤のように、
ワープ先で危険生物に襲われたり
未知のウィルスに感染したりするケースが
定番(?)ですが、このSCPの場合は
少し具合が違います。

というのも、このSCPの場合
移動先のどの時代にも、
現在の財団と同じく異常現象を
確保、保護、収容する組織が存在し、
かつそれらはSCP-4242を通して訪れた
現在の財団職員に対して基本的に
友好的な態度を示しているのです※。
(※これは、
財団が渡航先の時代から見て
未来の技術を提供していることが
大きな要因であると思われます。)

このように、本SCPには
直接的な危険性が見られず、
また、過去の財団への協力は
現在の問題の解決にも繋がるとして
財団はこれをThaumielに指定し、
過去の組織への継続的な
アクセスを続ています。

過去のアクセス例

SCP-4242チャンバーコード: SCP-4242-Roma
場所: 共和政ローマ、ティブル、ウェスタ神殿

年代: 紀元前44年

探査外交記録: ユリウス・カエサルの暗殺及び
元老院派閥とマルクス・アントニウス、
キケロ、カエサル・オクタウィアヌス間の内戦の発生により
ローマ地点にアクセスする際には注意が必要である。
研究者にはその地域一帯の
軍隊の動きについて現地の人々に聞き込み、
車道全体に注意を払うように勧められる。

組織記録: SCP-4242-Romaは
昏睡状態になると予言を伝える若い女性である、
ティブルのシビュラ(Tiburtine Sibyl)と
その従者に監視されている。
これらの予言はその正確さから高く評価されているが、
その伝達の神秘性は誤解を招く可能性がある。
シビュラの従者の取り組みにより
3つのXKクラスシナリオの防止に繋がったが、
常に彼らの行動の不確実性の水準が上昇した。

更新2014/04/04: ティブルのシビュラが
以下の予言を述べたことが観察された。

世紀が実を結び、
300度目の子供たちの子供たちは
平和をもたらすことを望むだろう。
彼らの忠告を恐れよ、
彼らはその舌が
破壊をもたらすことを知らないのだから。
3重の亀を見つけ、
その中心から守れ。
保護の頂きがそこにある。
それを越えると、
そこには何もない。

SCP-4242-Romaへ繋がる迷宮▲ SCP-4242-Romaへ繋がる迷宮

カエサル死後の
共和政ローマ末期(SCP-4242-Roma)への
アクセス記録です。

ここに登場するシビュラとは、
ギリシャ・ローマ神話の神に仕え、
神託(神様のお告げ)を伝える
役割を担っていた巫女のこと。

中でもティブル(現ティヴォリ)のシビュラは
ティブルのシビュラの託宣という
予言書を記したことで知られている人物です。

本記録ではシビュラの予言と
その従者の働きによって3度も
世界終焉シナリオが回避されていることが
示されておりその優秀さが窺えます。

ただ、そのシビュラが
最後に伝えた予言がなんとも意味深。

『300度目の子供たちの子供たち』が
どの時代の人類を指すのか、
『3重の亀』とは何なのか、
謎は深まるばかりです。

SCP-4242チャンバーコード: SCP-4242-Iga
場所: 日本、春日大社

年代: 1534年

探査外交記録: この事例では
日本は戦国時代であり、
不安定な時代である。
しかし神道の神社には敬意が表されており、
聖域に留まるべきである。

組織記録: この地点は
忍者の一族として知られる
伊賀流によって監視されており、
日本における異常性を持つ脅威を見つけ、
無力化するために天皇と密接に協力している。
春日大社は16ある幣帛を
奉献する場所のうちの1つであり、
神言を受け取ったり、
異常物品の保管が行われている。
伊賀流は隠密任務のために財団へ忍者を派遣し、
財団は記憶処理剤の援助によって
伊賀流への支援をしている。

注目すべきは、
伊賀流の構成員が未来へ向かい、
彼らが発見したものを記録するために
この場所を定期的に利用していることである。
以下の物品は財団が初めて
コンタクトを取ったときに発見された。

・ズールー族の槍と盾のセット。
およそ19世紀のものである。

・5.25インチフロッピーディスク4枚。
およそ1985年のものであり、
内部にはインフォコム社の
テキストアドベンチャーの
コレクションが収録されている。

1977年製シュウィン社の自転車。

・縁が鋭くなっているAOL社製のCD200枚。

・M1885レミントン・リー・ボルトアクションライフル1丁と弾薬20発。
およそ1880年のもの。

・アップル社製のiPhone6(電源は点かない)。

伊賀流は財団の現在の時代よりも
更に未来へ渡航したことはないと報告している。

SCP-4242-Iga入り口▲ SCP-4242-Iga入り口。3人の伊賀流の構成員によって守られている。

日本にもSCP財団の支部は存在しますが、
まさか同様の組織が戦国時代にもあって、
しかもその正体が伊賀忍者だったとは
誰が想像できたでしょうか。

その上彼らは
定期的にSCP-4242を利用していて、
自転車やアイフォンなどの
およそ忍者には似つかわしくない
未来アイテムを多数収集していた様子です。

しかし、そんな彼らも
現在の財団世界より先の時代へは
訪れたことがないと語っています。

SCP-4242所在及探査拡張記録 - SCP財団

↑上記以外の調査記録は
上記報告書内で確認できます。

どうあがいても、いきどまり

追加報告 - セキュリティクリアランス4/4242必須

さて、ここまで見た限り
SCP-4242は過去の組織と連携することで
財団の助けとなる便利なオブジェクト
という印象でした。

しかし、財団は
SCP-4242の調査を進めるうちに
ある疑問にぶつかります。

『なぜ、自分たちの時代より
過去へは行けるのに
未来へは行けないのだろうか。』

そうです、SCP-4242は
未来から過去へも、過去から未来へも行ける
双方向性を備えており、
現在(2018年)の財団世界から
より進んだ時代へ行けたとしても
何らおかしいことはないはずなのです。

それなのにどれだけ探しても
未来へと繋がる迷路は見つかりません。

しかし2018年7月7日、
SCP-4242から突如現れた
ある人物によって、
その謎にひとつの答えが提示されます。

インシデントナンバー: 4242-
インシデント発生日: 2018/07/07

概要: SCP-4242から
アフリカ系男性(POI-4242-と指定)が出現し、
尋問のため拘束された。
対象は協力的であり、
サイトの研究者とラテン語で会話をした。

中東風の老人の白黒写真▲ 撮影されたPOI-4242-。

スカルペッリ博士: アイスランドへようこそ。
今は西暦2018年です。
私の名前はクラウディオ・スカルペッリ。
貴方は誰で、何処から来たのですか?

POI-4242-: 私の名前はAmaztan。
貴方はラテン語を話し、西暦を言う、
つまり貴方はキリスト教徒だ、そして……

POI-4242-: およそ10000年だ。
10000年……それはとても長い時間だ。
とても大きな成長、とても大きな変化。
長い時間、長い渡航。
人類は上手くやったんだな。

< POI-4242-は涙をぬぐい、鼻をかむ。 >

POI-4242-: 私が出発したのは……
貴方の同僚と200年前に話し、
私たちは地図に目を通した。
そこは今では
タッシリ・ナジェールと呼ばれる場所で、
幾つもの山と谷があり、
サハラ……そうサハラ砂漠にあると思う。

スカルペッリ博士: そうです、
私もそれについて聞いたことがありますが、
行ったことはありません。
貴方の民族はまだどこかに
存在するのでしょうか?

POI-4242-: 砂漠に到着したときに
姿を消したのは確実だと思う。
故郷に居た頃は、山の谷には緑が生い茂り、
川には水が溢れていた。
貴方がいつかとても遠くに旅をするとき、
足元の地面の変化を観察することは素晴らしいことだ。

スカルペッリ博士: 目に浮かびます。
どのようにラテン語を学びましたか?

POI-4242-: ヨーロッパでは
過去2000年に亘って常に
ラテン語学習者が存在する。
学ぶのにはいい言語だ。
50年前の誰かが英語を提案したが、
その言語は過去数世紀、
恐らく2世紀の間だけ重視されているのだ。
私は必要に応じて、
中国語とサンスクリット語も理解している。

スカルペッリ博士: ラテン語はいいですね。
もし貴方が言っていることが正しければ、
つまり貴方が10000年前、
約紀元前8000年から来たのならば、
貴方は私たちが出会った歴史の中で
最も遠い存在です。

POI-4242-: ああ、それで合っている。
私たちの部族はこの神殿を建てた、
将来を見通すために。
これ以上前のものは存在しないだろう。

スカルペッリ博士: 貴方の部族が
この神殿を建てたですって?
一体どのようにそれを完成させたのですか?

POI-4242-: どうか私を許してほしい、
私は方法を説明できるほど
神々の技術や力を理解していないんだ。
しかし、貴方は私の故郷に戻り
それをした者たちと会話してもいい、
貴方自身で。私は喜んで貴方を導くだろう。
私たちは将来多くの司祭と指導者と出会う。
特に貴方は歓迎するだろう。
私たちがどれほど遠くに来たかを
顧みる機会がとても好きだ。

スカルペッリ博士: ええ、私たちも
貴方の元を訪れてみたいですね。
惜しみない援助をありがとうございます。
しかし、私たちは聞かなくてはなりません、
何故貴方の民族は最初に
この神殿を建設したのですか?

POI-4242-: 私たちは
人や神の領域を越えて存在する物、
生物、言葉を発見した。
私たちはそれらを隠し、埋め、
脅威から家庭や家族を
安全に保つことに最善を尽くした。
今までのところ
それぞれの世代が1つ前の知識を持ち、
それに追加するために研究し、
私たちの方法は改善される、
しかし私たちが脅かされる度に
その困難は順応し、成長する。
私たちは未来のそのまた先を見れば、
私たちの子供や孫が自らを守るために
新たな方法を見つけるだろうということに気づいた。
そして、私たちは神殿を建て、
将来これらの狂気から
彼らの同胞を守ることに専念する人々に
会うことができるようにした。
そうすることで、
私たちは皆私たちの知識で強くなるだろう。
以上が私たちが来る理由だ。

スカルペッリ博士: 理解しました。
私たちは世界を守る
貴方たちの努力のお手伝いをさせていただきます。
貴方はとても長い時間を渡航してきたので、
恐らく私たちが遭遇した
難題への手助けができますね。

SCP-4242から
出現したアフリカ系の男性(POI-4242-)は
自分が紀元前8000年前からやって来た
時間旅行者であると語り、
さらに自分たちの民族が
最初にSCP-4242を
作り上げたのだと語ります。

しかし紀元前8000年といえば
まだ本格的な文明が興る前の
新石器〜中石器時代であり、
日本は縄文時代早期にあたるような時代。

そんな時代の人間が
SCP-4242のような
過去にも未来にも行ける
タイムマシンを作り上げたとは
にわかには信じがたい話ですね。

そして財団は続いて
POI-4242-に対し、
先述した最大の謎について尋ねます。

< POI-4242-は笑う。 >

POI-4242-: 私よりも
貴方たちの有識者の方が
遥かにわかっていると思うが、
喜んで手伝わせてもらおう。
この難題とは何だ?

スカルペッリ博士: 私たちは私たちの年代から
数多くの年代を探査してきましたが、
それらは全て過去に繋がりました。
他の年代は神殿を通して
彼らの未来にアクセスすることができましたが、
私たちはできません。
貴方はとても遠くまで渡航したことがあります。
私たちの未来を探索するためには
どのように神殿を使うことができるでしょうか?

スカルペッリ博士: すいません、
何か言っていただけませんか?

POI-4242-: 貴方たちを
未来に導くことはできない。すまない。

スカルペッリ博士: どうしてですか?
貴方か貴方の民族が
貴方の知識を共有したくないのですか?

POI-4242-: 違う。
貴方たちを未来に導けないのは、
ここが最後の時代だからだ。すまない。

< 記録終了 >

結論 : 未来に行けないのは、未来が存在しないから。

なんということでしょう。
財団の不断の努力にも関わらず、
POI-4242-は人類の歴史が
現代で終わりを迎え、
その先にはもはや何もないと言うのです。

その直接的な原因については
推測するほかありませんが、
全てを飲み込んで膨張し続ける暗黒空間やら
無限に増殖するケーキやらが
ゴロゴロしている財団世界において、
何が起こっても不思議ではありません。

…とはいえ、
これはあくまでPOI-4242-と
その部族の出した結論であり、
またSCP-4242自体の機能が
不完全である可能性もあります。

おそらく財団は、
このような最悪の可能性を突きつけられても
諦めることなく、再び
解決の糸口を探し求めることでしょう。

…たぶん。

おわりに

以上、Thaumielの
SCPまとめ【前編】でした。

財団の最終兵器ということもあり、
どれも世界規模の能力を持つ
壮大なSCPばかりでしたね。

それでは、明日も
世界が平常に続いていることを願って
本日は一旦お別れとしましょう。
それでは。

追記:後編はこちら!▼

SCP財団の最終兵器!オブジェクトクラスThaumielのSCPまとめ【後編】

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コメント

  1. パンケーキ より:

    お前たち人間は理解しない。そして私は決して理解することはないだろうと思う。

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