SCP財団の最終兵器!オブジェクトクラスThaumielのSCPまとめ【後編】

SCP

はじめに


本記事は上記記事の後編となります。

ThaumielクラスSCP紹介

SCP-3000 Anantashesha(アナンタシェーシャ)

アナンタシェーシャ

私はあのウツボが
アナンタシェーシャであるとは思わない。

そうだとしても何だというのだろう。
自分が引き裂かれる感覚の中で、
私にとって今明確なのは、
ウツボが神話の生物だとか、
神聖な蛇だということではない。

もしかしたらそれは
私達から逃げた原始の生物に過ぎず、
悪意など無いのかもしれない。

あるいはその中に怒りを宿した
根源の神性なのかもしれない。

ウツボは私の消滅や、
人類の破滅を告げるものではない。
ウツボは万物の終焉ではなく、
終焉がどのように見えるかを
我々に示しているに過ぎない。

補遺3000.7: マナバ博士の個人日記より

SCP-3000は
ベンガル湾の深海に潜む
大型のドクウツボのようなSCiPです。

ただし、こいつが
実際のウツボと違う最大の点は
直径約10m、体長に至っては
600kmから900km
という
規格外の超巨大サイズを誇っていること。

そしてもう一つの特徴として
その体内から精神汚染作用を持つ
灰色の粘液
定期的に放出することが確認されています。(詳細は後述)

本SCPはその巨大さから
実質的に収容不可能であり、
財団はSCPFエレミタと呼ばれる
潜水艦を用いて
定期的な調査を行なっている状態です。

記憶を蝕むSCP

そのデカさだけでも十分に
インパクト抜群なこのSCPですが、
その真の恐ろしさは
その実体に近づく、
あるいは姿を見るだけで発症する
重度の精神汚染能力にあります。

財団が本SCiPを発見した当時に行われた、
3名の潜水士による潜水調査では、
潜水士たちは潜水後まもなく
原因不明の頭痛、パラノイア、
普遍的な恐怖感、パニック、
そして記憶障害を訴え、
最終的に三人全員が行方不明となりました。

潜水士たちはおそらく
SCP-3000に捕食されたと見られており、
そのうちの一人、
コードネームブラボーに関しては
捕食後3日の間本部との通信を
継続していた記録が残されています。

以下は、SCP-3000による
襲撃直後のブラボーと
財団側との更新記録の一部です。

コマンド:アルファ、ブラボー、聞こえるか?

ブラボー:こちらブラボー、
俺は…俺は闇の中に浮かんでいます。
霧を通して動く何かが見えるが
はっきりとしません。
テザーを切りました、
アルファは - 喪失したと思います。
彼のライトが見えません。

コマンド:了解した、我々はそちらへ向か -

ブラボー:待ってください。
少し考えます…認知、
これだ、奴の周りではそれが働かない。
脳は思考をまとめられない、
(間)奴は傷つけ、奴は死にゆくように、そして -

コマンド:ブラボー、実体を視認できるか?

ブラボー:奴は俺の頭のなかにいるんだ、
みんな。蛇みたいにとぐろを巻いて、
そしてそいつは…腐食する。(間)
俺には見えます、俺の真ん前に。
奴は何もしてない、奴は…奴は動いていません。
ただ口を開けてそこにいるだけ。
食事は終わったと思います。(間)
奴の頭の皮膚から1メートルほど
液体が染み出しています。
それを見つめているだけで俺は…
部屋が回っているようです。
気分が悪い。頭がうまく働かない。
(笑い)床板の下に取り出した胎児があるぞ、
そしてもう一つが…待て、おかしい、
俺じゃない。誰が喋った?

ブラボー:俺の…サンプルを集める、
ちょっと待て。

コマンド:ブラボー、
君を回収する人員を送る、
待っていてくれ。

ブラボー:だめです、いけません。
俺が感じているモノを
感じないような訓練をする必要があります。
さもなければ奴は中に入ってきます。
いや、いずれにせよ入ってくるかもしれません。
誰がわかると言うんでしょう。
ここでは世界の終わりのような感じがします。
俺の心臓も調子が外れて、
俺は死んでいくんだと思います。
ただ―(間)
サンプルを得ました。
バルーンにつけて浮上させます。
あとで回収してください。
ただ時間はかけないで、
奴…奴が…心に…ないように…
(速く、重い呼吸)。

コマンド:ブラボー?

ブラボー:俺は死ぬみたいだ。
死ぬ、わかるんだ、これが死だ。
ここから逃げたいよ。
わかるだろう?
俺に起きていること…(静かに笑う)
ここには誰も送らないで。
ここはとても暗い。

コマンド:ブラボー?

この後ブラボーの応答は
次第に理解不能なものになっていき、
最後には途切れ途切れの呼吸音が
聞こえるのみだったと記録されています。

アザック・プロトコル

このように、人間にとって
有害極まりない本SCPですが
そこはやはり財団。

このSCPの持つある性質に着目し、
その有効利用法を確立します。

それはこのSCPが
定期的に放出する例の灰色の粘液

財団はこの粘液を加工することで
任務で使用する記憶忘却薬(Y-909)
作り出したのです。

しかもこの薬は
それまで記憶忘却に使用していた
アヘンやクロロホルムと比べて
有害な副作用が非常に少なく、
財団にとっては天啓と呼べるほど
都合の良い品物だったのでした。

しかしながら財団は
その粘液を効率よく採取するために
ある禁忌を犯してしまいます。

それは人身御供。

ぶっちゃけて言えば、
使い捨てのDクラス職員に潜水服を着せて
SCP-3000のエサとすることで
人為的に粘液を採取するという
ものだったのです。

もちろんこれは倫理的に完全アウトであり※、
またSCP-3000自体の機密性の高さもあって
この作業手順を記載した
151-ホリスター・アザック・プロトコルは
財団の最高機密に指定されています。
(※尤も、財団にとっては
これが平常運行ではありますが…)

ある二人の博士の記録

2009年█月█日、
SCP-3000の調査活動に
従事していた3レベル研究員、
ベンカトラマン・クリシュナモージー博士が
エレミタ艦尾のエアロック※
から潜水装備なしで出ようとして
他の財団職員に拘束される事件が発生します。
(※船内と海中の境目となる小部屋)

博士は認識災害に対して
強い抵抗を持つ人物であり、
また、事前に鬱や
自殺の傾向もありませんでした。

その後財団は
博士の行動の原因を探るため、
臨床倫理学者である
アナンド・マナバ博士に
クリシュナモージー博士への
インタビューを命じます。

[ログ開始]

マナバ:やあベンカット、気分はどうだい?

クリシュナモージー:よくないな。

マナバ:そう聞いているよ。今日何が起こったか話してくれるかい?

クリシュナモージーは沈黙する。

マナバ:話したくないなら
話す必要はないよ。
何か別のことを話そう。

クリシュナモージー:アナンド、
私は疲れた。

マナバ:わかるよ。
この配属は我々全員にとって
ストレスフル -

クリシュナモージー:そうじゃない。
ストレスの問題じゃないんだ。
以前にやったことがある。
私はかつて…私は以前に
これをやったことがあるかどうか
よくわからないんだ。

マナバ:あるよ。

クリシュナモージー:覚えてないんだ。
少しも。どれも。まるで私の体が
勝手に反射で動いているみたいに、
何もかもが文脈につながらない感覚がある。
すべてが繋がっていなくて、
私はそれらをまとめようとして…
私はただ疲れたんだ。

マナバ:そういう感覚が
始まったのはいつ頃だい?

クリシュナモージー:我々はもう
どれくらいここにいる?
私は思いだせない。
私は正直に言って
いつのことだかわからない。
君にもっと言えることがあればいいのに、
私には何もない。
私が心の中であの場所に目を向けると、
そこには何か別のものがある -
あるいは時には何もない。

マナバ:どういう意味だい?
何か別のものとは?

クリシュナモージー:アナンド、
私は他の人の夢を記憶していたんだ。
私は私にはわからない顔を見た、
見たこともない場所…
あるいは見たことのあるかもしれない場所。
わからない。自分の心が信頼できないときに、
何が現実で何がそうじゃないかなんて、
どうやって見分ければいい?

マナバ:そうか、ベンカット、
それに関して力になれるかもしれないよ。
忘れたと思うことを2人で見直してみよう、
そうすれば私は…

クリシュナモージー:指導者ぶらないでくれ。
君もそれを感じているのは
わかっているぞアナンド。
君の心は霞がかっている。
君の一部が滑り落ち始めている。
君の記憶は薄れていき、
完全になくなるまで、
あるいはもっと悪いことに、
置き換わるまでフェードする。
君は君のものではない過去が見え、
生きたはずのない人生を経験する。
君は他の人間になっていく、
あるいは…全く何者でもないものに。

クリシュナモージー博士は
自分の過去の記憶が曖昧で、
さらに自分ではない
他人の夢のようなものが
頭の中に入り込んできているのだと語ります。

クリシュナモージー:それと…
これですら最悪のことではないのだが、
私はこれが私に起こっている
ということがわかっている。
私は私の精神がバラバラに
なっていっているのがわかる。
だがそこには別のものがあるんだ。
私の燻る精神の煙から
何かが立ち上がるのだ。
それはウツボ。

マナバ:ウツボ?

クリシュナモージー:私は…
私は母親を思い出せない。
声は覚えている、
だけど顔を思い出せないんだ。
匂いも…あるいは他の…
でも彼女が神について
私に語ったことは覚えている。
(間)
神はいる、
アナンタシェーシャと呼ばれる。
蛇だ、蛇の王。
宇宙の中で、
ヴィシュヌの下に横たわると言われる。
6つの頭を持つ蛇の神。
凄いと思わないか?

マナバ:それは…
ああ、私もよく知っているよ。

自分の記憶の中に、
ウツボが現れると話す
クリシュナモージー博士。

これは明らかに
SCP-3000のことを
指しているものと思われます。

ちなみに会話の中に登場する
ヴィシュヌ、アナンタは
共にヒンドゥー教の神であり、
クリシュナモージー博士ととマナバ博士は
共にこれら神話の神に親しい
ヒンドゥー教文化圏出身者のようです。

クリシュナモージー:私は…
私はSCP-3000はアナンタシェーシャだと思う。
この…この逸脱、この認知への裏切りは、
神の近くにいたためだと思う。
ただの神ではない、
すべての時をまたがり存在する神、
すべての時に同時に、
そして…それをも超越して。
もしかしたら…もしかしたら
時の縁を超えた無の一部すらも、
アナンタシェーシャの一部なのかもしれない。
もしかしたらそれは、
それは何らかの導管として作用し -

マナバ:ベンカット、頼むよ、
我々は科学者だ -

クリシュナモージー:いや、最後まで言わせてくれ。
この後、すべての後に訪れる無の反抗の中に、
アナンタシェーシャはいる。
私の記憶が生き続ける、
あるいは私が見た私を
通り過ぎていった記憶のように
私自身が記憶される望みがある。
確信…確信があるわけじゃないんだ。
だが私がその目を覗き込み、
それが私に見せるものを見たとき、
私は怖かったんだ。私は単なる凡庸な男だ、
アナンド。これは私が
何年も認めようとしなかった恐怖だ。
私が死んだ時に
私が何者だったか誰も知らないという、
無関心への恐怖だ。
忘れられることへの恐れ。
私の人生が無意味だったことへの恐れ。
孤独への恐れ。死への恐れ。
(嘆息)
私が克服できない恐怖が私の中にあるんだ、
アナンド。私は君に嘘はつきたくないし、
ナーガの胃は私にとって恐怖ではないとは言わない、
だがこれと私が見た永遠の暗闇だったら…
私は決心したよ。

[ログ終了]

SCPで神といえば、
『SCP-343 神』という
そのままなネーミングのSCiPが
存在していましたが、
あちらは神とは名ばかりの
現実改変能力者兼スパイでした。

SCP-343 - SCP財団

しかしクリシュナモージー博士は
SCP-3000が本当にヒンドゥー教の神、
アナンタシェーシャではないかと
推測しているようです。

しかし結局
このインタビュー内で
核心的な答えが得られることはなく、
クリシュナモージー博士も含みを残したまま
インタビューは終了します。

クリシュナモージーの選択

先述のインタビューの直後
とんでもない事件が発生しました。

解放からわずか3時間後、
クリシュナモージー博士が
無断でSCPFエレミタを動かし、
自らの肉体をSCP-3000に
捧げてしまったのです。

その一部始終は財団の
監視カメラに収められており、
その中にはエレミタから海中に出る
クリシュナモージー博士と
その最期の言葉が記録されていました。

クリシュナモージー:アナンド…
私は間違っていた。(すすり泣く)
神よ私を救い給え、これは -

この報せを聞いたマナバ博士は
自身の個人日記にその心情を綴っています。

彼はいつも私よりは信心深かった。
彼の人生の終わりから間もなく、
彼はアナンタシェーシャ -
原始ヒンドゥーの蛇の神 -
のもとで生まれ変わり、
永遠を歩き回るのだ。
私は彼の信仰と彼の主張の整合性を
問おうとするわけではないが、
これは実に謎であり、
この配属が以前の配属に比べれば
比較的楽であっただけ、
私は幸運であると考えるべきだろうと思っている。

もしかすると、
彼は凡庸さにはまり込む運命を
本当に恐れたのかもしれない。
もしかすると、
この場所の静寂が彼にもっと
悪い何かを思い起こさせたのかもしれない。

私は無意味で、あなたも無意味だ

以下は、
マナバ博士の日記から破り取られ、
ナイトテーブルの上に置かれていた
あるページの抜粋記録です。

私はここに配属されて以来、
クラスVIII認識災害に晒された
人物に潜む影響を理解する試みに、
少なからぬ時間をつぎ込んできた。
私は多くの職員へのインタビューを指揮し、
多くの心理学のレポートを書いてきた。
しかし未だにあの生物の何が、
完全に正気の人間をエアロックの外、
そしてウツボの胃へと向かわせたのかを、
適切に演繹することはできない。

今週の初め、別件のレポートのために
ノートを準備していたとき、
私は誤って私と妻、
そして娘の写った写真を
ナイトテーブルから落としてしまった。
ガラスは割れて床を打ち、
写真が出て落ちた。
掃除している間、
写真の裏に何かが書かれているのを見つけた。

“アナンド、シャンティ、パドマ。2002年6月”

しかし字体は私のものではなかった。
それはベンカットのものだった。
私は混乱した。
なぜベンカットは
私の写真の後ろに書いたんだ?
私はその時はあまり考えず、
残骸を片付けて一日の仕事に戻った。
しかしこの疑問が頭に残った。
小さなことで、
いくつかの理由で説明がつく。
しかし私は不安感を拭い去れなかった。
昨日の晩、恐ろしい考えが私を打ちのめした。
翌朝に持ち越すことなどできず、
私はすぐに財団の職員アーカイブにアクセスし、
受け入れがたい真実を認識した。

シャンティはベンカットの最初の妻だ。
パドマは彼の娘。記録は明らかだった。
私の思い出せる人生、
彼女らと体験したと私の確信する出来事、
それらは私のものではなく、
ベンカットの記憶と体験なのだ。
私は結婚したことはなく、
子供はいない。
今ですら彼女の笑い声、
髪の香りが、
私の心に鮮明に焼き付いている。
しかし今やそれは私自身ではなく、
ベンカットを通した体験だったと知ってしまった。

クリシュナモージー博士の予言通り、
マナバ博士にも記憶障害が現れ始め、
さらにマナば博士の記憶の一部が
ベンカット、つまり
クリシュナモージー博士の記憶によって
上書きされていたことが判明します。

私自身でさえ私を思い出せないのなら、
他の誰が私を覚えているというのだろう?
私は私自身の人生を忘れてしまった -
そして私は奇妙にも
この啓示に対し無感情である。
私は私以前の幾千もの人々と同じように、
そして私の後の幾千がそうするように、
闇へと消え去るだろう。
私が忘れ去られることを誰も気にかけない。
私は私自身のために絶望するのではなく、
我々全て - 私とあなたのために絶望する。
我々は全て忘却に向き合わされるだろう。
私は無価値で、あなたも無価値だ。
無数の無価値なる水滴、
時の海の中で引き伸ばされた永遠。
我々がそれに抗っても、
我々の敵は不可避の運命である。

そして我々が何を信じようとも、
どのような理想を抱こうとも、
どのような信仰に祈ろうとも、
私は、我々全てにとって
このことが真実たるに十分だと知るのである。

我々は最後には、忘れ去られるのだ

マナバ博士はこのメモを書き記した後
エレミタ艦内に貯蔵されていた
大量のY-909を直接摂取し、
応答不能となった姿で発見されました。

マナバ博士のこの行動の理由は
残されたメモから推測する他ありませんが、
恐らく自分の記憶が信じられなくなったことで
自分の存在に意味を見出せなくなり
極度のニヒリズムに陥ったものと思われます。

そして何より、この危険は
SCP-3000を担当する財団職員だけに
降りかかるものではありません。

財団が任務で記憶処理薬とて
Y-909を使用し続ける限り、
財団と無関係な一般人にも
その被害が広がることが予想されるのです。

それでも財団はY-909を使い続ける

しかし、たとえそのような
Y-909の危険な副作用が判明しても
財団はすぐにY-909の使用を
取りやめることはできません。

その理由の一端が
アザック・プロトコルの指示書に添えられた
一片のメモから汲み取ることができます。

我々がY-909を
記憶処理プログラムで使い始めたとき、
我々はそれを合成しようとした。
我々は求めている物に近い何か、Y-919を得た。
だが副作用は破滅的なものであった。
記憶処理は作用し、出来事や
人物その他を忘れさせることはできた。
しかし他のことも忘れ始めたのだ。
精神状態は何も残らなくなるまで急速に悪化し、
そして死んだ。何人かの研究者は
これらの副作用を減らすことができると考えたが、
試験のコストは天文学的に増大し、
プログラムは中止された。

我々がここで忌まわしいことを
行っていることは秘密ではない。
倫理委員会、機密レベル審査委員会、
彼らはこれを実態以上に
許容可能に見せかける方法にご執心だ。
だがもし我々が現代的な
記憶処理剤を使い続けたいのなら、
Y-909を得なくてはならない
というのが厳しい真実である。
もし我々がY-909を得たかったら、
SCP-3000にDクラスを食べさせなくてはならない。
さもなくば、我々は記憶処理のために
アヘンやクロロホルムを使っていた、
いわば暗黒時代へと戻らなくてはならない。

いいニュースとして、
潜水チームが原材料を収集する
作業を代替するROVが開発中である。
これにより過去発生したような
事故による犠牲者が出る可能性はなくなり、
良き第一歩となるだろう。
その他の全ては、時のみぞ知るであろう。

- ノックス

次にウツボが現れるのは、
もしかしたらあなたの頭の中かも
しれませんね…。

忘れ去られることへの恐怖

最後にメタ的な話になりますが、
このSCPは記念すべき
3000番目のSCPを決める
公式サイト内コンテストで
優勝を飾ったSCPでもあります。

そして本SCP最大のテーマは
「忘れ去られること、
自分の人生が無意味であると
知らされることへの恐怖」
です。

全ての人間はいずれ死に、
そして、その生きていたという痕跡すらも
いずれはこの地上から
全く消え去ってしまうでしょう。

こうした『自分の存在が
完全に無となった世界』を想像することは、
肉体的な死や痛みとはまた別の
もっと根源的な恐怖感があるように思えます。

このSCPが持つ
底冷えするような恐怖感は、
そうした人間の根源的な恐怖感に
由来するものなのかもしれませんね。

SCP-3000 - SCP財団

SCP-3936 Working as Intended (職務に忠実であれ)

我々は我々自身の封じ込めを行います。
ありがとう。貴方たちがこれを知る必要はないでしょう。

一発目が(二重の意味で)
長大なSCPであったため、
今度は比較的短めのSCPをご紹介します。

SCP-3936は、
SCP-2000の時にも登場した
現実改変防御装置、
スクラントン・ボックスを
応用して開発された
財団の特別なサイト(区画)です。

内部には最大100人の
職員を収容可能な広さがあり、
財団はこの中に職員を配置して
外部の情報を傍受させ、
その中から重要な情報をバックアップ。

SCP-3936内部に保管して
現実改変の影響から
保護する任務を遂行していました。

突然の応答不能と謎の死体

しかし、ある時期を境に
SCP-3936からの
月例報告通信が途絶えます。

この事態を受けて財団は
機動部隊をSCP-3936に派遣。

しかしながらすでに
そこに生きた人間の姿はなく、
複数の奇妙な生物の死体と
飲み干されたと思われる毒物の容器が
残されているばかりでした。

以下はその調査記録の引用です。

補遺 3936-1: 01/12/18/04、
SCP-3936からの月例報告通信が
確認されませんでした。
機動任務部隊 Qeztel-12 ("こちらをご覧ください!")
が調査のため派遣されました。
到着したMTF Qeztel-12は
施設内に一切の財団職員が
存在していないことを報告しました。
また、SCP-3936に記録されていたはずの
すべての情報も削除されていました。
特筆事項として、
SCP-3936のカフェテリア内に
シアン化物の摂取によって
死亡したと思われる
多数の非人間型の死体が存在していました。

これらの奇妙な死体の特徴を以下に示します:

・凡そ星型と言える全身構造
・おそらく物体の操作に使用される2つの主要な体肢
・歩行に使用されると思われる2つの体肢
・胴体の様な構造の上に配置される制御ノード。2次及び3次の制御ノードは確認されていない。
・多くの既知の生物種が保有する3臓器循環系システムではなく、単一の器官による循環系システム。
・空洞の体内と、そこに存在する微小な筋肉。これによって全身を自由に制御していたことが示唆されている。
・味は通常の豚肉に似たものであるとされています。
・確認可能なメタレセプターの重大な欠如。
・K・orenvatius属の化石にのみ確認される構造の目

これらの死体の剖検及び調査が進行中です。

疑問だらけの報告書

さて恐らく
気づかれたかとは思いますが、
上記報告書にはいくつか
違和感を感じるポイントがあります。

その中でも特に目立つものを
抜粋してみましょう。

・01/12/18/04(なぜ日付けが4つの区切りに分かれている?)
・機動任務部隊 Qeztel-12(財団にその様な名称の機動部隊は存在しないはず)
・多くの既知の生物種が保有する3臓器循環系システムではなく、単一の器官による循環系システム。(3臓器循環系システム…?)
・味は通常の豚肉に似たものであるとされています。(なぜ報告書に味の記述が?)

このように、他の報告書と比較して
明らかにおかしい点が見られるのです。

では、なぜ本SCPの報告書には
このような不思議な記述が
なされているのでしょうか。

その謎を考えるにあたって一度、
報告書に出てきた
『多数の非人間型の死体』について
考察してみましょう。

・凡そ星型と言える全身構造
・おそらく物体の操作に使用される2つの主要な体肢
・歩行に使用されると思われる2つの体肢
・胴体の様な構造の上に配置される制御ノード
・空洞の体内と、そこに存在する微小な筋肉。

勘の良い方は気づかれたかもしれませんが、
これらはすべて、ごく一般的な
人間の身体的特徴を表しています。

・凡そ星型と言える全身構造 → 頭、両手、両脚で星型
・おそらく物体の操作に使用される2つの主要な体肢 → 両腕
・歩行に使用されると思われる2つの体肢 → 両脚
・胴体の様な構造の上に配置される制御ノード → 頭部(脳)
・空洞の体内と、そこに存在する微小な筋肉。 → 人間の筋肉の構造

そう、SCP-3936の中に
転がっていた死体はすべて、
私たちと同じ正常な肉体を持った
人間の死体だったのです。

しかし、そうすると
ここである矛盾が発生します。

死体が普通の人間のものであるなら、
なぜ報告書の中で
『非人間型の』『奇妙な』
形容されていたのか?

…その疑問に対する答えは、
『報告書を書いた人間の外見が
私達から見て異常な姿であったから』

というものに他なりません。

世界を正常に保つために

事態はおそらく
次のように推移したものと思われます。

まず、過去のある時点で
世界規模の現実改変が発生し、
現実改変の影響を受けない
SCP-3936内部で働いていた
財団職員達を除く全ての人間の歴史が
以前とは全く異なるものに
改変されてしまいました。

そしてその際に、
体の構造までも今の私たちとは
全く異なるものに変化してしまったのでしょう。

しかしそうなると困るのは
浦島太郎状態で取り残された
SCP-3936内部の職員達です。

『もし、自分たち以外の人間が
全て異形に変化してしまったならば、
わずかな人数で元の姿を維持した自分たちは、
彼らの目にはどう映るのだろうか?』

改変後の人類は
自分たちの歴史が改変されたことを知らず、
そんな彼らから見れば
SCP-3936の職員たちが持つ"普通の肉体"は
さぞ奇妙なものに移ることでしょう。

そして、恐らく
長い議論を経て彼らが選んだ道は、
『今や異常存在となった自分たちを
自分たちの手で終了することで
新しい世界に不要な混乱を
持ち込まないようにすること』
でした。

そんな彼らの決意の一端は、
先ほどの調査記録の
後日談から読み取ることができます。

更に調査を進めたところ、
SCP-3936内のアーカイブには
Ezekiel T. Jones博士と
名乗る人物のメッセージのみが
記録されていることが判明しました。
この名前を持つ人間が
財団に勤務していたという記録は存在しません。
メッセージを以下に示します:

我々は我々自身の封じ込めを行います。
ありがとう。
貴方たちがこれを知る必要はないでしょう。

SCP-3936に駐留していた職員の所在は不明です。

本SCPの名称は「職務に忠実であれ」

その言葉通り
最期まで任務に忠実であった職員達の
誰にも知られざる物語でした。

SCP-3936 - SCP財団

SCP-2799 The Navigator (航海者)

SCP-2799-3
▲SCP-2799-3

SCP-2799は
真ちゅう製の六分儀(SCP-2799-1)、
方位磁針(SCP-2799-2)、
懐中時計(SCP-2799-3)、
見張り用望遠鏡(SCP-2799-4)
の4つのオブジェクトからなる
一連のポルトガル製航海用具です。

これらのオブジェクトは
もとは何の異常性もない
ただの骨董品だったのですが、
一般企業から買い取った財団が
財団の擁すThaumaturgists(秘術師)たちに
力を吹き込ませることで、
ある能力を持つSCPオブジェクトへと
変化させることに成功しました。

SCPを見つけるSCP

SCP-2799の能力とはズバリ、
SCP専用の探知機のようなもの。

SCP-2799の4つのオブジェクトを
お互いに5メートル以内に近づけることで起動し、
六分儀が現在の位置から北極星を観測、
さらに方位磁針が現在位置から対象への方向を、
懐中時計が対象のいる場所の現在時刻を示し、
最後に望遠鏡が対象の姿を映し出します。

それだけでも十分有用ですが、
SCP-2799さらに、発現時に最も近くにいた人間に
対象のSCPに関する幻覚を見せる作用も有しています。

幻覚の内容は対象の
性質や場所、起源に関するものであり、
財団のデータによれば
およそ55%の割合で有用なデータが入手可能。

ただし、この幻覚はそれを見る
人間への精神的影響が考慮されるため、
財団は便利な捨て駒
Dクラス職員を拘束して幻覚を見せ、
その人物から間接的に
情報を入手する方法を採用していました。

報告書によれば
本SCPはこれまでに合計173回起動されており、
その内126回のケースで
新たなSCPオブジェクトを発見しています。

また、これが地味に重要な点ですが
一度SCP-2799は一度写した対象が
無力化(Neutralized)または
完全に収容されるまで
次のSCPを探知できないという性質があり、
それ以外の方法で停止することはできません。

もっともそうした欠点を差し引いても
財団にとって強力な武器であることには間違いなく、
SCP-2799は財団の貴重な戦力として
機能し続けていました。

ある博士に関する
一つの事件が起きるまでは…

Dクラスへのインタビューとブライト博士の件

████/██/█、SCP-2799が
予想外の活動を起こしました。

その時指し示されたのは
サイト19にある研究者の寮。

しかし、財団が調べたところ
同施設内に収容違反や
未収用オブジェクトの類は見つかりません。

この事態に疑念を抱いた財団は
セキュリティ担当者トムソンに命じて、
その時SCP-2799の一番近くにいた
Dクラス職員へのインタビューを実施します。

トムリン: 私が理解するところによれば、
あなたは今強烈な幻覚を体験している。

D-0991: 誰もおれに尋ねなかった……
誰も今まで尋ねなかった……
けどやつらはそれをお構いなしにやるんだ、
なあ?

トムリン: ……理解できたと思う。
何を経験したか私に説明できますか?

D-0991: ひとつの経験じゃない。
三つの経験。
それは全部…それ… [苦しむ声]

トムリン: オーケー、
落ち着いて、深呼吸して。

D-0991: 誰もかれらに尋ねなかった!
かれらはただそれを取っていった。
かれらはそれに全ての時間をかけた。
根が深く……深く深く深く、
そう岩盤みたいにだ、
とにかく深く走って、
それは、根は岩盤を割って
そのまわりをそっくり変えちまった。
ひとつの……ひとつはそう、全ての死だ。
彼ら全てのための死。
もう一つ、かれらは生きてる。
かれらはやる、やっちまう。
かれらは今や、全ての生と死だ。
それともう一つ。彼は死ぬ。

トムリン: 誰かが死ぬと?
……かれら、とは誰なのです?

D-0991: 誰かじゃない。
「それ」だ。専門性を維持する。
かれら… うううう!
かれらは"人びとでなし"だ!
人でなしは人か?
あんたはどう思う!?
死してもなお?死せずともなお?
特に、そう、死せず!

トムリン: 「死せず」とは
何を意味するのですか?

D-0991: かれらは、待て待て待て、
何も起こさない。
最悪が起こり、何も起こらない。
彼女を取り戻すが、何も、起こらない。
ピラミッドの頂点から
根を抜くことはできない。
彼を、かれらをなすがままにさせろ。
長年のツールのようになるまで、
彼も名前を持たなくなるまで、
顔や生まれや性や人種が変わっても
決して変わらない何か。
何も起こらない。
何も起こらなかった。

トムリン: この他に
有​​益な情報が得られると思えない。
ボブ、これを――

D-0991: 三倍の明るさ(bright)で
輝く星は永遠に燃え続ける、
永遠に永遠に永遠に……
正しい質問をしていない。

トムリン: 正しい質問とは?

D-0991: 誰がチキンで、
それで、朝食は何だ?

ログ終了

上記インタビューにおける
Dクラスの発言は
大部分が意味不明ですが、
そこには何か隠された意味が
あるようにも思えます。

続いて、
その真相を解き明かすために
上記インタビューの直後に発生した
SCP-076-2 [アベル]の
収容違反に目を向けてみましょう。

インタビューの後、
サイト19で収容違反を起こした
SCP-076-2は未発表の数の職員を殺害し、
██人を負傷させました。

アベルといえば
SCPの中でも最強候補と名高い
収容違反の常連ですが、
本件では複数の財団職員を殺害しており、
その中にはある有名な博士も含まれていました。

その博士の名はジャック・ブライト

ブライト博士
▲最も最近確認されたブライト博士の姿

そう、
所有者が偶然死ぬことで発動し、
その所有者の人格を
触れたものに片っ端からコピーする
SCP-963 不死の首飾りの影響で不死身となり、
その状態で様々な迷惑な実験を繰り返したために
財団に200以上の
『ブライト博士のしてはいけないことリスト」
を作成させたあのブライト博士です。

ブライト博士の禁止リスト - SCP財団
ブライト博士の人事ファイル - SCP財団

そしてそのブライト博士が
SCP-963に囚われる
きっかけを作った事件こそが
例のアベルの収容違反だったのでした。

意外な結末

さて、話をSCP-2799に戻しましょう。

SCP-2799の予定外の活性化の後、
財団はSCP-2799-4(望遠鏡)に
あるものが写っているのを発見します。

それは、先述したブライト博士の顔

そうです、
よりにもよってSCP-2799は
SCP-963で不死身となった
ブライト博士を次なるターゲットに
選んでしまったのです。

そしてここで思い出していただきたいのですが、
SCP-2799には『一度示したSCPが無効化、
あるいは収容されるまで
次のSCPを映し出すことができない』

という特性がありました。

これはつまり、SCP-963を
無力化または完全に収容しない限り
SCP-2799は他のSCPを探知することが
一切不可能になった
ことを意味しています。

SCP-963 - SCP財団

しかしながらSCP-963から
ブライト博士を解放する手段は
未だ見つかっていません。

また、SCP-963は財団施設内に
保管こそされてはいるものの、
それはSCP-2799が判定する
『収容』の定義には入らないようで、
SCP-2799は依然として
ブライト博士の顔を映し出したまま。

つまるところ、
完全な役立たずとなってしまったのです。

O5注: 上記インシデントと、
また利用可能な他のより良い技術を
現在我々は保有していることを念頭に置き、
プロジェクトNavigatorが
即座にキャンセルされることは
監督司令部の決定である。
添付書類に概説されているよう、
プロジェクトに関連する
すべての装置のための
特別な取扱方の実施が
今週末までに行われることを期待する。

補遺2799-01: 監視技術の改善及び
よりよい人員資源により、
異常物体を検出する
ありふれた手段の使用において、
もはやプロジェクトNavigatorからの情報は
長い間必要とされていません。
SCP-2799とすべての関連技術は引退し、
財団によって長期に渡って使用されず、
プロジェクトを活性化する計画は
現在のところありません。

そしてこの状況に財団が出した答えは
『今は他にもっと良いSCPの探知方法もあるし、
SCP-2799はもう放置でいいんじゃね?』

といういわば放置プレイ。

こうしてかつては
重宝されたSCP-2799も
その能力の意外な落とし穴によって
長い休暇を与えられる運命となったのでした…

SCP-2799 - SCP財団

SCP-3797 The Once and Future Gun(たった1度の未来の銃)

時間異常部門のシンボル
▲財団時間以上部門のシンボルマーク

本記事最後のSCP紹介ということで、
特に風変わりな性質を持った
SCPをご紹介します。

アイテム番号: SCP-3797

オブジェクトクラス: Thaumiel

脅威レベル: 白※

特別収容プロトコル: SCP-3797は
現時点では存在していないため、
収容する必要はありません。

…最初の一文がこれ。

あろうことか、
このSCP-3797はまだこの世に
存在していないSCP
だというのです。

それではなぜ、
まだ存在していないSCPの
記事が存在しているのか。

その理由はSCP-3797-ARCという
ある最強クラスの現実改変能力者と、
財団の時間異常部門
そしてその両者が関係する
ある事件を知ることで明らかになります。

(※脅威レベルとは、
フランス支部で初めて考案された
SCPオブジェクトの脅威レベルを表す指標。
その内、脅威レベル白は財団にとって
有益なオブジェクトに指定されています。)

『たった1度の未来の銃』

さて、引き続き
本SCPの概要を確認していきましょう。

時間異常部門は
SCP-3797を開発してください。
このプロジェクト遂行のために、
他のSCPオブジェクトや
時間異常を利用することが、
O5権限により許可されています。

SCP-3797が完成した場合、
協定世界時2015/06/13 07:42時点の
SCP-3797-ARCを終了するために
1度使用する必要があります。
その後、SCP-3797は解体されます。

財団による開発指示と
その使用目的が記されています。

開発にあたって他の
SCPオブジェクトを利用することを
O5が認めていることから、
本SCPの開発が非常に重要度の
高いタスクであることがわかります。

説明: SCP-3797は、
活性化時から見て相対的に
過去の日付のターゲットを
終了することができる
逆因果的武装になると予定されています。

少なくとも1度、
不確定な将来の何れかに、
協定世界時2015/06/13 07:42時点の
SCP-3797-ARCを終了するために使用されます。

具体的なSCP-3797の機能は不明です

逆因果的武装というと分かりづらいですが
簡単に説明すると『未来から過去を攻撃できる兵器』
といったところでしょうか。

SCP-3797-ARCは
最上級多能性実体でした。
SCP-3797-ARCはほぼ全能と言える
能力を有していましたが、
予知能力は有していませんでした。
活動停止状態のSCP-3797-ARCから
収集されたデータの詳細については
SCP-3797-ARCの
メインファイル※を参照してください。

協定世界時2015/06/13 07:39、
SCP-3797-ARCは覚醒し、
事前の予測通り
CK-クラス:世界再構築シナリオを開始しました。
シナリオ回避のため対象の終了が許可され、
機動部隊オメガ-9 ("スクラブ")及び
機動部隊オメガ-12("アキレスの踵")による
終了が試みられましたが、
SCP-3797-ARCの持つ現実改変能力によって
全ての試みは完全に阻止されました。

※このメインファイルのデータは
本サイト内に存在していませんでした

ここでSCP-3797の攻撃目標が
SCP-3797-ARCであり、
かつそのSCP-3797-ARCが
CK-クラス:世界再構築シナリオを
引き起こすほどに強力な
現実改変能力者であることが判明します。

そしてこれに対し財団がとった対策は
SCP-3797-ARCの活動停止期間中に
調査を行い対策を立てること、
そして万が一の場合は
財団の保有する特殊部隊
機動部隊オメガ-9 ("スクラブ")
機動部隊オメガ-12("アキレスの踵")
投入しこれを阻止することでした。

しかしいざ
SCP-3797-ARCが活動を再開すると
上記機動部隊はSCP-3797-ARCの持つ
現実改変能力の前に揃って敗北。

機動部隊オメガ-9 については
詳しい資料がないものの
機動部隊オメガ-12については
並行世界からやってきた
現実改変能力を持つ
職員によって構成される
部隊であることが明かされており、
それでも歯が立たないSCP-3797-ARCは
よほど圧倒的な存在だったことが推測されますね。

機動部隊 - SCP財団

かくして財団は万策付き
世界の命運もあわや風前の灯。

しかしその刹那、
突如として予想外な番狂わせが起こります。

協定世界時2015/06/13 07:42、
SCP-3797-ARC上に数百にも及ぶ
時間異常部門の徽章が出現しました。
5秒後、SCP-3797-ARCの肉体は
完全に崩壊しました。
SCP-3797-ARCの存在していた箇所の地面に、
72の時間異常部門徽章が確認されました。

現時点の時間異常部門が開発した計器は、
未来に起因する高エネルギーの
時間的変動を検出しました。

現在推定されている事は、
将来における時間異常部門が、
SCP-3797-ARCが自身の終了を知り
現実改変能力でそれを防ぐことを、
阻止するための何らかの手段を
獲得したということのみです。

突如として
SCP-3797-ARCの付近に
財団の時間異常部門のシンボルが
数百出現し、そのきっかり5秒後に
SCP-3797-ARCの肉体が
崩壊してしまったのです。

これこそ、
SCP-3797『たった1度の未来の銃』
の攻撃が成功した瞬間でした。

ちなみにこの攻撃が
未来からのものであることは、
攻撃の瞬間に財団の計器が
未来に起因する高エネルギーを
感知したことで実証済み。

そしてこの結果
SCP-3797-ARCによる
CK-クラスシナリオは回避され、
逆説的にSCP-3797が開発される運命が
決定されたのでした。

ある仮定

以上がSCP-3797に関する情報の全てです。

まずSCP-3797-ARCが
未来からの攻撃で
消滅したという結果を前提として、
その時起きた現象から
未来に開発されるSCPの情報を導き出すという
なんともひねりの効いた面白い記事でしたね。

しかしながら、私が本SCPを読んで
ふと疑問に思ったのは、
もし財団がSCP-3797-ARCの消滅後に
SCP-3797の開発を行なわなかったら
果たしてどうなるのだろう?

というもしもの可能性です。
(そもそも、財団が開発をやめる
わけが無いという点は置いといて)

この場合考えられるのは、
1,SCP-3797の開発を
やめられなくなる
何らかのバイアスが働く。
2.財団が開発をやめても
別のどこかで同様の兵器が開発されて
その兵器が同様にSCP-3797-ARCを倒す

といったシナリオでしょうか。
(ただし、後者の場合だと
財団の時間異常部門の
シンボルが出現した事実に
反してしまいますが)

逆因果の問題は難解すぎて
正直私では全く手に負えませんが、
こうしたifを想像するのも
SCPの楽しみ方の内ですね。

SCP-3797 - SCP財団

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