オチが分かるとゾッとする。伏線回収がすごい名作SCPまとめ!

SCP

はじめに

こんにちは、在野の
SCPハンターdaimaです(大嘘)。

本日は『オチが分かるとゾッとするSCP』
というくくりで、『解説を読み、
隠された真実を知ることで
初めてその本当の面白さが分かる』

トリッキーなSCPの数々をご紹介します。

なので推理力に自信のある方は
まず本家記事を読んで
自分なりの推理を考えてから
当記事の解説に目を通すことをお勧めします。

それでは、どうぞ…

scp-1440 どこでもない地からの老人(The Old Man from Nowhere)

SCP-1440 - SCP財団

「そう、3人だ。
それぞれ異なるが、
同一の1人でもある。

みな残酷で、復讐に燃え、
長きに渡り恨み続けることができる。

彼らが私の不幸の原因であり、
従ってあんたの不幸の原因でもある。」

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最後に目撃されたSCP-1440

SCP-1440は
80代くらいの老人の姿をしたアノマリーです。

年齢、出身などは一切不明で、
50年もの間まったく
姿が変わらないという
不老不死の特性を有しています。

…それだけならば
ただの不思議な老人で済むのですが
彼(SCP-1440)には実は
あるもうひとつの厄介な性質があります。

それは、彼が関わりをもった
人間や集団、建物などが
その直後に死亡したり
物なら破壊されたりしてしまう
というもの。

いわばこの老人は関わるものすべてを破滅に導く
疫病神のような存在なのです。

もっともそんな
彼の性格は至ってまとも。

自分で自分の性質を自覚していて、
誰かを破滅に巻き込んでしまわないように
極力人との接触を避ける生き方をしているのですが、
そういった彼の思いとは裏腹に
彼は望まずともいずれ人と出会ってしまう
一種の宿命の様なものを背負わされているようです。

そしてある時、その宿命は彼を
彼のような異常存在を研究する
奇妙な人間集団と結びつけました。

そう、我らがSCP財団です。

scp-1440は偶然、通勤途中の
サイト-██所属研究者である██████博士
と関わりを持ったことで
SCP財団の存在を知り、
彼女にある望みを伝えました。

自分を破壊してほしい、
という望みを。

以下はその後尋問のため
財団施設に連行された
scp-1440へのインタビュー記録です。

インタビューログ1440-7

インタビューログ1440-7
インタビュアー: ████博士
対象: SCP-1440
前記: SCP-1440が
エリア142に到着した直後、
職員が激しい頭痛と
吐き気を訴え始めました。

それから2日のうちに、
施設の4つの水濾過フィルターのうち
3つが故障し、またエリア142の
航空機格納庫が崩壊したことで
パイロット数名が死亡しました。

さらに肉体的に明らかに
何も問題ない状態にあったにも関わらず
████博士の両方の腎臓と
肺が同時に潰れました。

施設に連れていかれたscp-1440は
早速大惨事を巻き起こしています。

巻き込まれた人間の
死に方には一貫性がなく、
最終的に『破滅する』という
運命だけが共通しているようです。

<録音開始>
████博士: こんにちは、SCP-1440。

SCP-1440: こんにちは、博士。
████博士: なぜここに
連れてこられたか分かるかね?
SCP-1440: もちろん。あんたがまだ私を
収容しようとしてくれているのには頭が下がるよ。

だがあんたのここ3回の試みから、
どうやらあんたでは
私の助けにならないとわかってきた。

あんたさえ良ければ、
私を行かせてくれると
一番良いんじゃないかと思うんだがね。
「最初の兄弟」がもう
あんたの後ろに立っているんだよ、
博士。急がないと。
████博士: その兄弟については
以前も言っていたな。
私の記憶が正しければ、
3人だったかな。
SCP-1440: そう、3人だ。
それぞれ異なるが、
同一の1人でもある。

みな残酷で、復讐に燃え、
長きに渡り恨み続けることができる。
彼らが私の不幸の原因であり、
従ってあんたの不幸の原因でもある。

[映像・音声では特に
不審なものは感知されなかったが、
対象は████博士の背後の
何かに気づいたようだった]

「2人目の兄弟」が
最初の兄弟に加わったよ。
もう時間がない。
私を行かせるんだ。
さもないとあんたの安全を保証できん。
もう遅すぎるかもしれんが。

████博士: すまないがそれはできない。
それに君は兄弟は3人だと言った。
3人目が来ていないなら、
まだいくらか時間があるはずだ。

SCP-1440: [首を振る]
3人目が現れることはない。
兄弟の中でも彼は他の2人より残酷なのだ。
なぜなら彼の出現こそ、私を解放する
唯一のことだと知っているからだ。

私は彼を探し出し、彼の宝や、
彼の兄弟から私が
得たものを返すために莫大な時間を費やした。
だがそれは叶わなかった。

[対象は再び████博士の
背後に目を向け、溜息をついた]

2人目の兄弟が
あんたの肩に手をかけたよ。
もはや遅すぎた。
破滅は2人目から遠くはない。

かわいそうに、
あんたが死ぬ前に、一言助言をさせてくれ。

████博士: どうぞ。
SCP-1440: あんたの命を賭けて、
死神にトランプを挑むんだ。
そしてあんたが決して
やってはならんことが1つだけある。

████博士: それは何だ?

SCP-1440: 勝つことだ。<録音終了>

終論 その瞬間、
数々の安全装置があったにも関わらず、
エリア142内の施設に貯蔵された
核爆弾が爆発しました。

エリア142は破壊され、
施設内の全職員が死亡しました。

破壊から1週間後、
SCP-1440はエリア142から
3000km以上離れた地点で、
目立った傷もない状態で目撃されました。

その後3つの収容施設破壊を経て、
SCP-1440を収容しようとする試みは
無期限に停止されました。

解説

以上が本SCPの内容です。
とても意味深な内容でしたが、
特に気になるのは
老人がこんな風になった原因と
ログでたびたび言及されている「兄弟たち」の存在です。

そして、これらの謎を考えるにあたって
最も有力なヒントを与えてくれるのが
本SCPを題材とした次のtaleです。

Thrice - SCP Foundation

taleの題名はthrice(三回)。

このtaleは現在の所
公式の翻訳版が存在していないので
私が独自に訳した内容をもとに
内容の説明をしてみます。

まずtaleは財団施設を消滅させた後の
SCP-1440がどこか人のいない
砂漠を歩いている場面から始まります。

SCP-1440は自分のせいで
無関係の人々を巻き込んだ
罪悪感に苦しみながら、
過去に自分が犯した過ちを振り返ります。

自分がかつて
綺麗な妻や豊かな農場を持ちながら
若くして戦争で命を落としたこと、
そのために死を受け入れることが出来ず
冥府へのガイドに異議を申し立て、
3人の死神とのギャンブル勝負に挑んだこと。

そして、あらゆる手を使って
3人との勝負に連勝し、負けを認めさせて
再び生の世界へ帰還する権利を得たこと。

ですが当時の彼は若く、傲慢で
そこで妥協することができませんでした

「より多く」を求めた彼は
再び勝負のテーブルに戻り、
さらなる勝負を兄弟たちに持ちかけたのです。

そして彼はまた勝ち、
今度は商品として兄弟たちの
カップ、カード、袋を得ました。

しかしそれらは兄弟たちにとって
他に代えがたい貴重な宝物。

兄弟たちはそれらを返してくれるなら
代わりに富と幸運と健康と栄光を
与えようと持ちかけます。

しかし、死神に連勝したことで
完全に調子付いたSCP-1440は
あくまで彼らに屈辱を与えることを優先し、
その申し出を撥ねつけてしまいます。

このことで兄弟たちは
SCP-1440に対し
深い憎悪を抱くことになりました。

以降兄弟たちは彼につきまとい、
その力で周囲に不幸を
引き起こし続けるようになります。
…SCP-1440に関わったもの全てを滅ぼすことで
彼の心が永遠に苦しみ続けるように。

かくして現世に帰還した
SCP-1440はさっそく
兄弟たちから奪った
宝物の力を試してみます。

ひとつ目の宝物であるカップは
その中の雫を落とすことで
第一の兄弟の力を封じ込め、
どんな重病人でも
たちどころに健康にすることが出来ました。

ですがSCP-1440は
それを見境なく色んな人に使ったせいで
彼の妻が病気になった時にはもはや
カップの中には一滴の雫も残されていませんでした。

こうして彼の妻は
第一の兄弟に
連れ去られてしまいました。

第二の宝物であるカードは
第二の兄弟の力を封じ込める効果があり、
これは戦争や革命など
多くの人命が失われる歴史的な事件を
回避する力を持っていました。

しかしこれもカップの水と同じく
いずれ全てを使い切ってしまい、
SCP-1440は目の前で
何百万人もの人が苦しみながら
死んでいくのに何もできない無力感を
何度も味わされ続けることになりました。

そして第三の宝物である袋は
SCPのようなこの世のものではない
外世界からの災害(=世界終焉、全死)を
無力化する能力を有していました。

彼はこの袋を
カップやカードと同じように
(もしかしたら袋を使わなくても
阻止できたものも含め)何度も使い、
幾度も世界の危機を救いましたが、
同時に前の二つの宝で得た経験から
あるひとつの計画を立てていました。

それは、袋の最後の一回分の力を
自分の不死の力を打ち消すために使おうというもの。

彼は異常存在を封じ込める
この袋ならば、自分を不死の呪いから
解き放ってくれるかもしれない
と期待したのでした。

しかし結果は残酷なものでした。

袋は彼の期待した効果をもたらさず、
後に残ったのは静寂と、
もはや無用の長物と化した袋と、
永遠に死ねない自分自身と、
宝物が全てなくなったことで
いよいよ彼に復讐できると舌舐めずりする
恐るべき兄弟たちとの関係だけだったのです。

これが本taleが指し示す
『SCP-1440 どこでもない世界から来た老人』
の誕生ストーリーです。

最初のきっかけこそ自分が
調子に乗りすぎたせいとはいえ、
永遠に無関係の他人を殺し続け、
罪悪感を背負わされ続ける
彼の運命を思うとただひたすらに
可哀そうに思えてきますね。

果たして彼がその高すぎる代償を
払い終える日は訪れるのでしょうか…?

SCP-1500 ザカリー・キャラハン(Zachary Callahan)

SCP-1500 - SCP財団

SCP-1500
アイテム番号: SCP-1500
オブジェクトクラス: Safe

続いてご紹介するのは
ザカリー・キャラハンという
一人の可哀想な男性の物語です。

長い間、ごく一般的な
白人男性として暮らしてきた彼は、
ある日病院で受けた血液検査で
樹液よりも高い糖濃度であることが判明し、
そのことを知った財団によって
SCP-1500の番号を与えられ
観察下に置かれることになりました。

そしてその後、
ザカリー氏の肉体に急激な変化が生じます。

皮膚のメラニン色素が葉緑体に変化して
光合成を行うようになったり、
一箇所に長時間放置された場合
地面に触手を伸ばして
地面の水を吸い上げるようになったり、
さらには体細胞の周囲に
セルロースの細胞壁が形成されるなど、
肉体の性質が日増しに植物に近づいていったのです。

しかし現在のところ
ザカリー氏の自我は
まだ完全には失われていません。

彼は自分の体がだんだん
植物に変わっていく
恐怖を自覚しながら、
それでも自分の運命を受け入れ
身を任せることを望んでいるのです。

…このように、
とても同情せずにはいられない
境遇にあるザカリー氏ですが、
実はこのことは今この記事を
書いている私にとっても同じくらい
胸が痛む出来事であったりします。

なぜなら彼は
私の命の恩人でもあるからです。

私は幼い頃プールで
溺れかけたことがあるのですが、
その時私を助けてくれたのが
当時そこの監視員として働いていた
ザカリー氏だったのです。

彼がいなければ、
おそらく今の私もなかったでしょう。
それだけに、彼の問題を解決するために
私にできることがあれば
何であれ協力は惜しまないつもりです…

解説

さて、前置きはこれくらいにして
SCP-1500の真の正体をお伝えしましょう。

閲覧にはレベル3以上の権限が必要です。
アイテム番号: SCP-1500
オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: SCP-1500は
サイト-17の改良された
ヒト型生物用収容室に
収容されることになっています。

収容室は遮音性の壁を用い、
窓を付けてはいけません。

SCP-1500の影響を受ける
人員が生じることを防ぐため、
収容室への進入はいかなる人物でも、
いかなる場合でも禁止されています。

また、監視カメラは設置してはいけません。
偽のSCP-1500収容ドキュメントが作成され、
深い調査や救出の試みが行われることを
防止するようになっています。
脱走の試みが生じた場合、
加担したものは全員抹殺されます。
長期の頭痛を患っている、
あるいはSCP-1500の影響を
受けたことが判明したサイト17職員は
他のサイトへ転属となります。

SCP-1500とは「のっぺりとした
強靭な緑灰色の皮膚を持ち、
視界に入った人間の記憶を改竄する
危険なヒト型生命体」です。

体が植物に変化した
かわいそうなザカリー・キャラハン
などという人物はどこにも存在していません。

冒頭の文章は
SCP-1500が植えつけた
偽装記憶だったのです。

SCP-1500の影響を受けると
最初に強烈な頭痛、吐き気、恐怖感を感じます。

この症状は200〜530秒の間
強まりながら継続し、最終的に
ターゲットは意識を失います。

その後目がさめると
SCP-1500に曝露していた
間の記憶は失われ、それ以降
SCP-1500をザカリー・キャラハンという
白人男性であると認識するようになります。

加えてターゲットは
このザカリー・キャラハンに対して
幼い頃から親しい人物であったように
記憶が改竄され、SCP-1500と
意思疎通を行うようになります。

また、最近の調査によって
SCP-1500は視界よりもずっと
遠くの対象にも影響を
及ぼせる可能性が浮上しており、
また改竄されたターゲットと
ザカリー・キャラハンの関係性も
ただの親友ではなく
親のような存在や恋人、
生き別れた肉親などより
新密度の高いものに
変改している傾向がみられます。

その影響は甚大で、
今までのところ世界中で
約23000人がSCP-1500の
影響下にあると確認されています。

そして…
それらの人々について調べると
SCP-1500は政治的・軍事的な力を持つ
重要人物を選んで
自分の影響下に置いていることが
分かってきています。

SCP-1500がなぜ
こうした行為を行うのか?
その目的は未だ謎のままですが、
どうにもきな臭さしか感じられないですね…

SCP-1295 メグの晩餐(Meg's Diner)

SCP-1295 - SCP財団

とある高速道路の途中に、
"メグの素敵な家庭料理"("Meg's Good Eatin'")
という名前の小さな食堂がある。

どこにでもあるような
こじんまりとした外見だが
上手いコーヒーと愛想のいい
ウェイトレスが評判の居心地の良い店だ。

ドライブの途中に小腹がすいたあなたは
ふらりとこの店に立ち寄ってみた。

店内に入り、カウンター席に座って
注文を済ませ、ふと周囲を見渡してみると
ランチタイムには遅い時間だからか
自分以外の客は隅のテーブル席に陣取った
四人組の老人客1組しか見当たらない。

くたびれた姿の老人たちは
あなたには目もくれず、
自分たちの会話に熱中している。

料理を待つ間
手持ち無沙汰だったあなたは、
ふと彼らの会話に
耳を傾けてみることにした…

SCP-1295-2:
それ全部食べ切れるのかのう?

SCP-1295-1: ああ、そうじゃよ。
今まで注文したものは全部食べ切ったじゃろう。
あんたはここ60年毎日毎日
"それ全部食べ切れるのかのう?"と言うがの、
いつも同じ答え返しとるじゃろ。
何で毎回聞くんじゃ?

SCP-1295-2: 儂が不治の
楽観主義者だからかのう。

SCP-1295-3: 治す事が
出来ないものなぞ何もないぞ、
フレデリック(Frederick)。わしを信じよ。

SCP-1295-2: パット(Pat)、
儂にはさっぱり分からんよ。
お前さんの大きな行動は
最近かなり人気が陰ってきた様じゃが。

SCP-1295-4: ああ、
またこの話か。

SCP-1295-3: どの口が言うか!
人間どもが纏まっとったら、
あんたのだって存在してなかろうが!

SCP-1295-2: おい、今それを-

SCP-1295-4: 黙らんか!二人とも!
このつまらん60年間ずっと
下らん言い合いを聞かされとるんじゃぞ。
クソ忌々しい日々にな。
お主らはわしがここのコーヒーを
好きなことを運よく思え。
さもなくば遥か昔に互いを
殺し合うがままに放っておいたぞ。

SCP-1295-1: そうじゃのう。
ドワイト(Dwight)、わしらはあんたが
ここに来るのを楽しみにしとるのを知っとるし…

SCP-1295-4: わしが今まで
お主のことを忘れたとは
ひと時たりとも思わぬことだなウォーレン(Warren)!
そもそもはお主がこの混乱した状況を
我々にもたらしたのではないか!

SCP-1295-1: 確かにわしの失敗じゃったよ!
わしが来た所じゃ、
あのバカデカい炎のキノコは
世界の終りを象徴しとるはずじゃった!
まさかただの大きな爆弾だと
どうやって知ることが出来ようか?

SCP-1295-4: それがお主の
血なまぐさい担当分野じゃろうが!

SCP-1295-1: もうそれは昔のようではないんじゃよ。
正直言うとな、今の流行りがわしには
さっぱり分からんのじゃ。
今じゃ遠隔操作に無人偵察それに…
電子何とかばっかりじゃ。
こんな下らん日々よりも
素晴らしい象のほうがわしには欲しい。

SCP-1295-3: 言いたいことはよく分かるぞ。

SCP-1295-2: 儂も。

SCP-1295-4: おいおい、同胞たちよ、
そう悲観するでない。
我々は終末まで彼らと共に存在するのだぞ。
彼らは何も変えることができんのだ。

SCP-1295-1: そう簡単に言えるのは、
あんたのは失敗する恐れがないからじゃろ。

SCP-1295-4: 力抜けよ。
長いことここに居たせいで
主らがストレス溜めとるのをわしは良く知っとる。
しかし我々が乗っていくまでそう時間は残ってなかろう。
その上に、これはわしには認めがたいことじゃが、
わしはここが非常に気に入ったんじゃ。

SCP-1295-2: 飯は旨いし。

SCP-1295-3: 雰囲気もわるくない。

SCP-1295-1: ウェイトレスもな。
あの金髪の子わしにウインクしたと
思うんじゃがどうじゃろ。

[エージェント█████に]
ちょいとそこのパイを一切れくれんかの?
有難う。

SCP-1295-4: そう我々はただ
じっと座って待っとればよい。
それはいつでも起きるのだ。
わしは知っとる。

SCP-1295-1: じゃな。

SCP-1295-3: うむ。

SCP-1295-2: ああ。なあウォーレン、
それ全部食べ切れるのかのう?

財団報告書を読む

会話中の記述からわかるように、
彼らは4人ともSCP-1295の一部です。

ですが上記の会話を読んだだけでは
ところどころ引っかかる内容ではあるものの
彼らがketer指定されるほど
厄介なSCPであるとは思えません。

その本当の理由は
報告書に記されている
彼らのある特性にあります。

・SCP-1295-1:条件を満たしてから
5~10分経過後に、SCP-1295-1から
およそ100メートルの範囲内に居た人物に対し、
極度の無気力感とあらゆる自己生存本能が
欠如する影響を及ぼします。

これにより些細な事故も
致命的なものとなります。

影響領域はSCP-1295-1が
食堂から遠ざけられてから
1時間ごとにおよそ100メートルずつ増加します。

・SCP-1295-2:条件を満たしてから
2~3時間後に、SCP-1295-2から
およそ500メートルの範囲内に居た人物に対し、
食べることが出来る物と
食べることが出来ない物を
区別できなくなる影響を及ぼします。

そしてしばしば不適切な栄養
(金属、毒性廃棄物、生肉など)を消費しようとして
、自分自身のみならず他者も危険に晒します。

影響領域はSCP-1295-2が
食堂から遠ざけられてから
1時間ごとにおよそ1キロメートルずつ増加します。

・SCP-1295-3:条件を満たした直後に、
SCP-1295-3からおよそ
50メートルの範囲内に居た人物に対し、
体内の全ての微生物生態系を
喪失させる影響を及ぼします。

この副作用は、腸内細菌の消失による
消化器系の機能の急速な低下を含みますが
それだけに留まりません。

影響領域はSCP-1295-3が
食堂から遠ざけられてから
1時間ごとにおよそ200メートルずつ増加します。

SCP-1295-4:条件を満たしてから
30~40分経過後に、SCP-1295-4から
およそ150メートルの範囲内に居た人物に対し、
パラノイアや急性心気症と呼んでいいほどの
急激な自己生存本能の増加を経験させます。

この状態に陥った人々は、
例えそれが大したことなくとも、
彼らが多少なりとも
危険に晒されるかもしれないと
いかなる行動を行うことも拒否して、
まもなく衰弱していきます。

影響領域はSCP-1295-4が
食堂から遠ざけられてから1時間ごとに
およそ200メートルずつ増加します。

報告書によれば
老人たちが何らかの理由で
食堂にとどまることを邪魔された場合に
周囲の人間に対して
自分の身を守る本能を失わせたり、
食べられるものとそうでないものの
区別をつかなくさせたり、
体内から全ての微生物を失わせたり、
あるいは自己保存本能が過剰に増加して
パラノイア(被害妄想)に陥らせたりといった
致命的な異常を発生させるというのです。

しかもその影響範囲は
老人たちが食堂に戻るまで
限りなく広がり続けるというのだからタチが悪い。

なるほど、たしかにそれならば
彼らがketerに指定されているのも
不思議なことではありませんね。

ですが、彼らの真の脅威は
決してそんな表面的な部分だけには留まらないのです…

黙示録に隠された真実

さて、ここで少し話はそれますが
あなたは「ヨハネの黙示録」
というキリスト教の書物をご存知でしょうか。

ヨハネの黙示録 (講談社学術文庫)

ヨハネの黙示録 (講談社学術文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/05/10
  • メディア: 文庫

これは紀元90年ごろに成立したとされる
新約聖書の最後に配されたキリスト教の聖典で、
ヨハネが神から受けた啓示を記録した
予言書的性格を持つ書物です。

 ヨハネの見た啓示は、次のようなものでした。
天の玉座に神がいて、周囲を24人の長老と、
ライオン、雄牛、人間、鷲(わし)に
それぞれ似ている4つの生き物が取り囲んでいました。

神の手には巻物があり、
7つの封印で封じられていましたが、
7つの角と7つの目をもつ小羊が
一つひとつ封印を解いていきます。
小羊が封印を解くごとに禍が地上を襲います。
小羊が第7の封印を解くと、
世界が沈黙で包まれた後、
7人の天使が現れて、
一人ひとりにラッパが与えられました。

今度は天使が一人ずつ
ラッパを吹くたびに禍が地上を襲います。
第7の天使が最後のラッパが吹くと、
最後の審判が行われることが予告されます。

さらに、7人の天使が
7つの鉢に入れた神の怒りを地上に注ぎ、
世界に終末が訪れます。

救世主イエスが再臨し、
神を信じ正しい行いをした人々は復活し、
ともに地上を1000年間統治します。

1000年後に悪魔が再び現れますが、
天から炎が降り注ぎ滅びます。

これが本当の世界の終末です。
最後の審判で「命の書」に
名前のない人は地獄に落とされ、
名前のある人は天国に昇ることができます。
そして最後に、救世主イエスの再臨はまもなくだと伝え、
黙示録は終わります。

ナショナルジオグラフィック 『「ヨハネの黙示録」に描かれた世界の終末』より引用

このヨハネの黙示録については
聖書の中でもこれのみに登場する
「千年王国」の扱いなどで
同じキリスト教徒の間でも
解釈が分かれており、
20世紀に入ってもなお
新しい解釈が登場するなど
何かと謎の多い書物でもあります。

そして、このヨハネの黙示録の
第6章から第8章にかけて
「ヨハネの黙示録の四騎士」
と呼ばれる四人の騎士たちが登場します。

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『黙示録の騎士』。ヴィクトル・ヴァスネツォフ作(1887年)

この四騎士は
黙示録の7つの封印のうち、
はじめの4つが解かれたときに
馬に乗って現れ、地上にそれぞれ
異なる災厄をもたらすとされています。

  • 第一の騎士:死(Death)または支配(conquest)
  • 第二の騎士:戦争(war)
  • 第三の騎士:飢饉(Famine)
  • 第四の騎士:疫病(Pestilence)

…ここで勘の良い方は
既に気づかれたと思いますが
SCP-1295の四老人の正体はずばり、
この黙示録の四騎士です。

その答えに至る最初のヒントは
彼らの名前の頭文字にあります。

  • SCP-1295-1(warren) = War
  • SCP-1295-2(Frederick) = Famine
  • SCP-1295-3(Pat) = Pestilence
  • SCP-1295-4(Dwight) = Death

また、彼らの会話中には普通に読むと
不可解な箇所がいくつかありましたが
それらも四騎士の災厄に結びつけて考えることで
自然に理解することができるようになります。

SCP-1295-2: パット、儂にはさっぱり分からんよ。
お前さんの大きな行動は
最近かなり人気が陰ってきた様じゃが。

パットの担当は疫病なので、
ここでいう大きな行動とは
ペストや結核などの
流行り病を指すものと考えられます。

SCP-1295-3: どの口が言うか!
人間どもが纏まっとったら、
あんたのだって存在してなかろうが!

パットが飢饉の担当である
フレデリックに言い返しているので、
これは疫病や飢饉が
人間が結束して技術を高めることで
回避可能であることを示しているものと考えられます。

SCP-1295-1: 確かにわしの失敗じゃったよ!
わしが来た所じゃ、あのバカデカい炎のキノコは
世界の終りを象徴しとるはずじゃった!
まさかただの大きな爆弾だと
どうやって知ることが出来ようか?

炎のキノコ=原爆のキノコ雲。
戦争を担当するウォーレンが
原爆を世界終焉の狼煙と
勘違いしたことで四人は
予定よりも早く地上に来てしまい、
結果としてそこに釘付けになってしまったのでしょう。

SCP-1295-1: そう簡単に言えるのは、
あんたのは失敗する恐れがないからじゃろ。

死を司るドワイトに対しての言葉。
死そのものは回避不可能である
という意味合いだと思われます。

SCP-1295-4: 力抜けよ。
長いことここに居たせいで
主らがストレス溜めとるのをわしは良く知っとる。
しかし我々が乗っていくまで
そう時間は残ってなかろう。
その上に、これはわしには認めがたいことじゃが、
わしはここが非常に気に入ったんじゃ。

「乗っていく」というのは
四騎士が馬に乗っていることの喩え。
そして時間が残っていないというのは
つまり人類終焉までのタイムリミットが
それほど多くないだろうという
ドワイトの見立てを意味しています

以上は会話中に仕込まれた
伏線の一部ですが全てではありません。
また、四騎士の存在は
老人たちの危険な特性についても
一貫した説明を可能とします。

先に記述した
財団の報告書を思い出してください。
老人たちが引き起こす現象は、
全て老人たちが司る
災厄の逆になっているのです。

  • SCP-1295-1(warren) = 無気力感と自己生存本能の欠如 = 自己保存のために行う戦争行為の逆
  • SCP-1295-2(Frederick) = 体内の微生物生態系の喪失 = 微生物(ウィルス)によって起こる疫病の逆
  • SCP-1295-3(Pat) = 食べられるものとそうでないものの区別の喪失 = 何も食べられない飢饉の逆
  • SCP-1295-4(Dwight) = 自己生存本能の過剰な増加 = 自己破壊行為、自死の逆

そして最後に極めつけは
彼らが屯していた食堂の店名
"メグの素敵な家庭料理"("Meg's Good Eatin'")です。

この名前をよく読むと
ハルマゲドンの語源である
Megiddo(メギド)のダブルミーニングに
なっていることに気づくんですね。

ハルマゲドンといえば
ヨハネの黙示録にも出てきた
世界を終わらせる最終戦争のこと。

そりゃあ、あの老人たちにとって
居心地が良いわけですね…

私感

本家では600を超える
up voteがついたこのSCP。

小さな食堂でたむろする
四人のおじいちゃんという
ほのぼのとしたイメージから
ヨハネの黙示録の壮大な
世界観にシフトする意外性は
実にゾクゾクさせられるものでした。

日本では馴染みの薄い
聖書の知識を前提とするのが少々ネックですが
それを差し引いても素晴らしい完成度のSCPでしたね。

scp-1192 "ティミー"("Timmy")

f:id:ama46572222:20190420094359j:plain

SCP-1192 - SCP財団

アイテム番号: SCP-1192

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1192は
専用の鳥小屋に収容されます。
この種類の鳥が通常食べるような
種子や昆虫類を拒否するため、
ビタミンとタンパク質を補った果実を
食料として供給してください。
SCP-1192には
コミュニケーションを可能にするために、
鉛筆と紙を用意してください。

SCP-1192が好戦的な態度を取った場合、
獣医の監督のもとに軽い鎮静剤を
食料と水に導入してもかまいません。

SCP-1192は██年██月██日に
ニュージャージー州のニューアーク警察署に
秘密捜査員として潜入していた
エージェント████ █████によって
発見されたのち保護されました。

この時、SCP-1192が
警察官の制服の権威的価値を認識したために
エージェント█████の後を付いていき、
彼の注意を引こうとし始めたと考えられています。

エージェント█████はSCP-1192が
珍しい種であることと
その突飛な振る舞いを不審に思い、
収容部隊に援助の要請を出しました。

SCP-1192は留置と検査のために
サイト██へと運ばれました。

SCP-1192は
体長約33.5センチメートルほどの
アカサカオウム (Callocephalon fimbriatum)です。

一見何の変哲もないオウムのようですが、
普通のオウムと違い、ナッツや昆虫類を食べず、
毛づくろいもせず、おまけに自力で飛ぶことすら出来ません。

ですがその代り(?)
このオウムは6から8歳の子供に相当する
高い知能を持っていることが確認されています。

上記引用部分にあるように、
紙と鉛筆を渡せばそれで
筆談までできるというのです。

以下はSCP-1192の収容直後に行われた
コミュニケーション・テストの記録です。

補遺1192-01: 実験ログ1192-01

SCP-1192: (筆記「あたなは だれ」[原文ママ])

Dr. █████████: 私はDr. █████████だ。
私はきみと話をするためにここにいる。きみは誰だ?

SCP-1192: (筆記「timmi」[原文ママ]続いて「ぼくどこいるの」[原文ママ])

Dr. █████████: きみは医療センターにいるんだよ、
Timmy(ティミー)。病院だよ。自分になにが起きたのかわかるかい?

SCP-1192: (筆記「ううん」
その後「おうちにかえいたい」[原文ママ])

Dr. █████████: きみはどこに住んでいるんだい、Timmy?

その後、少し難航はしつつも、
SCP-1192はモンタナ州の██████████にある
自分の故郷の住所を書き留めました。
秘密調査員が指定された邸宅に送られました。

そこには、Mr. and Mrs. ███████と、
彼らの7歳の息子のTimothy(ティモシー)が住んでいました。
エージェントは、その家族に一般的な家庭と
違う点を見つけることはできませんでした。

一応補足しておくと、
ティミーはティモシーの愛称として
英語圏においてしばしば使われる呼び名です。

さて、上の文章を読んだとき、
多くの人は次の可能性を
想像したのではないでしょうか?

君の名は「なんらかのきっかけで
オウムとティミーの魂が入れ替わったのではないか?」と

ですがそう考えると、
実在のティモシーが何の問題もなく
家族と暮らしていることの説明が付きません。

どうやら事態は
それほど単純ではないようですね。

さて、その後も
財団が観察を続けたところ、
SCP-1192は多くの8歳の子供がそうするように
テレビゲームを要求したこと、
しかしそれが自分の体では
うまく操作できないことを思い知ると
今度は財団が用意した紙と鉛筆で
絵を書いて遊ぶようになったことが記録されました。

以下にSCP-1192が
描いたものの一例を記載します。

  • 字の練習のためと思われる適当な単語の羅列
  • レーシングカー、飛行機、架空の動物やモンスターなどの稚拙な絵が描かれたいくつかのページ
  • 「なんでぼくはとりなの( 『wy am ia bird』 )」 と書かれたページ
  • 二人の大人に抱かれた小さな子供の絵。その子供の部分は消されており、紙は引き裂かれている。裏面には「おかあさんほしい」の文字。
  • あるページには「おかあさん」と126回、「おうち」と76回書かれていた

推察

本SCPの報告書はこれで終わりです。
SCP-1192の正体について
最後まで明確な言及はなされていません。

それが本SCPの良いところでもあるのですが
消化不良に感じた人のために
恐らくこうだったのではないか、
という推測をいくつか挙げてみます。

ティミー偽物説

悪意のある何者かが
本物のティミーをオウムに変え、
ティミーに成りすましたとする説です。

敵意のある宇宙人や異次元生命体ならば
怪しまれず地球の生活に溶け込むために
こうした手段を取る可能性は考えられます。

ティミーの心が鳥にコピーされた説

何らかの原因によって
ティミーの心がオウムにコピーされた…
つまりどちらも本物のティミーであるとする説。

財団世界には首飾りに
魂が移動した某博士なんかもいることですし、
魂のコピーだって決してありえない話ではないでしょう。

自分をティミーだと思いこんでいる賢いオウム説

実際には魂の移動も
コピーも行われてはいなく、
ただの異常に賢いオウムが
自分をティミーだと
思い込んでいるだけだとする説。

もしこの説に従うなら、
本SCPは恐怖というよりも
なんだか切ないお話に
なってしまいますね…

さいごに

本家のディスカッションでも
色々な議論がかわされていますが
このSCPに明確な答えはありません。

不気味なような切ないような、
なんとも不思議な余韻を残す
秀逸なSCPでしたね。

scp-3007 ふたりの芸術家の世界(World of Two Artists)

SCP-3007 - SCP財団

警告

以下の文章はレベル6情報災害として分類されます。 権限のないアクセスはミーム殺害エージェントによる終了をもたらします。 自己責任で進行してください。

f:id:ama46572222:20190420085434j:plain

ミーム殺害エージェント起動

継続的な生命兆候を確認

ファイル検索中…

「違う、先生、死体だけじゃない、
死体の下にある絵だ。
最後の一つだ。未完成だが、
それでもわかる……
ああ神よ…
どうしてここにあるんだ?
このクソッタレは」

さて、本日最後に紹介するのは
『scp-3007 ふたりの芸術家の世界』です。
何とも意味深なタイトルですが
いったいどのような意味があるのでしょうか。
それではさっそく読み解いてみましょう。

scp-3007とはざっくり言うと
『世界中の特定の人間にだけ見える
異世界の幻覚現象』です。

この幻覚現象自体をSCP-3007-1、
幻覚を見る人間をSCP-3007-2、
SCP-3007-2が幻覚で訪れる先の場所を
SCP-3007-3と呼称します。

SCP-3007-1には
次のような特徴があります。

・発生日時は不定期で、1日に4回発生する。
・一回の持続時間は50~80分ほど。
・SCP-3007-1の体験中、被験者は体を自由に動かすことができるが聴覚、および触覚でしか現実を認識できない状態になる。
・幻覚を見た被験者は全員SCP-3007-3に移動したと主張する

・SCP-3007-1で体験した外傷や精神的トラウマは全て現実世界に反映される。
・幻覚内で体験した内容によっては被験者が死亡する場合もある。

何やら不穏な気配が漂ってきましたね。
また、本SCPには
絵の得意な被験者の一人が記憶を元に再現した
SCP-3007-1のスケッチイラストが存在しています。

f:id:ama46572222:20190420094956j:plain

幻想的な、まるでこの世のものとは
思えない風景ですね。

これを含む一連の
スケッチ資料は本SCPの謎を解く上で
大変重要な意味を持つことになります。

続いて、このイラストとも関係する
本SCPの被験者(SCP-3007-2)に対する
ふたつのインタビュー記録を見ていきましょう。

インタビューログ 3007-2C

対象: SCP-3007-2C、退職した68歳の韓国人女性。
インタビュアー: ████博士
日付: 12/07/20██
備考: 記録は韓国語から翻訳されています。
対象は発見された中で最初のSCP-3007-2であり、
当時では唯一精神的に健全な被験者でした。<記録開始>

████博士:おはようございます、
H██████さん。気分はどうですか?

SCP-3007-2C: すぐれないわ、
恐ろしいの。 なかなか眠れない。

████博士: 検査はあなたが健康だと示しています。
それは貴女の症状が原因ですか?

SCP-3007-2C: 症状?ああ、幻覚の事かしら。
ええ、私はこの場所の事について考え続けているの。

████博士: 場所?

被験者が頷く。

SCP-3007-2C: はい。
以前まではぼやけていて、
まるで夢のようでした。

覚えているのは、
それは同じ場所だった、
ということくらいです。

けれど今回は違っていました。
私ははっきりと、
完全に風景を見ることが出来たんです。

████博士: その場所ことを
詳しく話していただけませんか。

SCP-3007-2C: 全く信じられないように
聞こえるかもしれませんが、
私を信じてください。
幻覚が始まった時、
私は高くて狭いつり橋の上にいました。
日中でしたが、陽の光は弱く、
あたかも煙でおおわれているようでした。
空気はひどく嫌な臭いで―
ゴミと腐った肉を思わせるものでした。 [えずく。]

████博士: 大丈夫ですか?

SCP-3007-2C: ええ…
たくさんの記憶を思い出してしまって…
ごめんなさい、続けますね。
高さがあったのでかなり遠くまで見渡せて、
周りには全て街の…廃墟がありました。
ええ、確かではありません。
建物は私が今まで見てきたどんな物とも違って、
高層ビルというよりは巨大な樹に似ていました。
建物はとても高く、
てっぺんを見るには
首を伸ばさなければいけませんでしたが、
細くとがっていました。
いくつかは真っ直ぐに立っていましたが、
殆どの物は倒れていたり、
瓦礫になっていたりしました。
眩暈が止まった後、
私は橋の側に行って見降ろしました。
地面は見えず、
都市は闇の中に永遠に続くようでした。
吐くか躓いて落ちるかする前に、
私は離れる必要がありました。
私が立っていたような何千もの橋が、
建物の間の唯一の繋がりだと思われました。
けど、その多くは破損していました。
全ての構造物は滑らかな
金属の素材でできているようでしたが、
光沢があるというより、
骨みたいな白色でした。

████博士: 廃墟の中に
何か生き物を見つけましたか?

SCP-3007-2C: いいえ。
人も動物も一匹も見ませんでした。
植物も生えてなかったです。
放棄された建物には生き物が
あふれると思っているでしょうが、
全体が死んでいて、不毛でした。
████博士: そうですか。
他に注目すべき特徴はありましたか?

被験者が僅かに移動し、
目に見えて不快感を示す。

SCP-3007-2C: 遠くに背の高い、
黒い柱がありました。
それはもっと大きく、
他のすべての建物から際立っていました。
好奇心が膨らんで、
私はそれに向かって歩き始めました。
そこにたどり着けたかもしれませんが、
物が私の道に現れて……。
地面に横たわっていて……
そこには……
先生、私は続けなければいけませんか?
思い出したくないんです。
ここでやめてもいいですか?

████博士: 動揺しているのはわかりますが、
再開してください。

被験者は片手で口を覆い、
泣き始める。

SCP-3007-2C: ごめんなさい。
それは私を驚かせただけです。
死体。死体がどこにでも散らばっていました。
乾燥してミイラみたいになっていたから、
ずっと前に死んでいたに違いありません。
最初は別な動物だと思っていましたが、
私は近づいてみました。
それは人だったかもしれません、
ですが、体は不自然でした。
ねじれていたんです。
骨が部分的に膨らみ、
余計な手足の様に皮膚から突き出している、
思うに、男性がいました。
子供が傍にいました……
子供に違いありません。
頭はワックスの様に溶けていましたが、
背丈は私の孫と同じくらいで……
ああ……神様……
彼らのうちいくつかは一緒に……
キューブ状に押し込まれていました。
…ああ……神様…
どうか……
いや、いや、いや……。

数分の間漫然とした発現が続く。
SCP-3007-2Cはヒステリー状態を示し、
それ以上の説明を行うことを拒否する。
説得は成功せず、被験者は
継続的なインタビューの続行が
不可能な状態だとみなされる。
████博士: ありがとうございます。
今日はここまでにしましょう。<記録終了>

終了報告書: 観測された破壊の程度、
それが被験者にもたらす
精神作用は興味深い事項です。
将来の調査では、
この場所に関する情報と
SCP-3007-1の相関関係についての
情報収集に集中します。

████博士

被験者の女性は
幻覚の中でみた廃墟のような空間(SCP-3007-3)と
そこに転がる異常な形の
無数の死体について語ります。

SCP-3007-3には
吊り橋や建物があり、
かつて何らかの文明が
存在したことを示唆しています。

しかしこれらの幻覚は
確かに異常でこそあるものの
本SCPがketerに分類されるほどの
脅威性にはつながりません。

本SCPの内包する真の恐怖は
次に掲載する 探査ログを読むことで
初めて理解することができるのです。

探査ログ 3007-GV

被験者: SCP-3007-2GVは、
以前はE███ R█████ として知られていた。
被験者は23歳のオーストラリア人男性で、
以前はイラストレーターだった。
被験者は著しく高い
記憶能力を持つことが確認されている。
監督者: ████博士。
装備: なし。
備考: ██回の探査の試みは
以前から実行されていたが、
主に被験者が非協力であったために
成功しなかった。
志願したSCP-3007-2Gは、
SCP-3007-1の理解と
処理を補助する事に大きな欲求を示した。<記録開始 (8:30, 14/07/20██)>

SCP-3007-2GV: 先生?
始まったぞ。オレは今都市にいる。

████博士: 柱の様な構造物は見えますか?

SCP-3007-2GV: ああ、そんなに遠くない。
問題がなけりゃ1時間以内には着くと思う。

████博士: 予定通りに進行してください。

SCP-3007-2GV: 了解。
うわっ、何てことだ、 こいつはややっこしい。

金属の上から不規則な足音が聞こえ、いくらか反響する。

SCP-3007-2GV: うう…もう少しで落ちる所だった。
ここじゃ何も感じないのは気味が悪い。
オーケー。今は大丈夫だと思う。

足音が再開し、
現在は顕著に安定している。
被験者は時折、地面にある
障害物をよける様に速度を落とす。

████博士: 周囲の様子と、
現在観察できる中で
逸脱しているものを報告してください。

SCP-3007-2GV: ここまでは全部
前に見たことがあるものだ。
建物は数キロぐらいの高さがある。
建物もたった今まで歩いてきた
表面みたいな金属で出来てるって、
オレはかなり確信してる。
橋はどこにでもあって、
クモの巣みたいに交差したり繋がったりしてる。
大部分は無傷だから、
気を付けて行き続けりゃ
オレは次々進むことが出来る。
時間に関しては―
かなり明るいから、多分早朝だと―

被験者の罵りの後に、
僅かに何かが砕ける音が入る。

SCP-3007-2GV: 畜生、奴の脚を踏んだ…
あぁ、この臭い。慣れたと思ったんだが。

足音が続くが、 被験者の呼吸が重くなる。

SCP-3007-2GV: もっとたくさん
同じモンが散らかっているが、
臭いから判断して、
建物の中の方がもっと酷そうだ。
中に入んねぇで開けた所に
留まりたいと思うんだが、それでいいか?

████博士: それでいいです。続けてください。

これ以上のイベントは無く、
被験者は15分間進む。この間、
被験者の報告は構造物に対する
観察可能な損傷について述べられる。
全ての情報は以前の被験者が述べた物と一貫している。

SCP-3007-2GV: より近くに来たが、
ここの周りにはもっと気味の悪いもんがあるぞ。
六つ翼のあるジェット機が、
オレの橋の下でぶっ壊れてる。
暫くの間引っかかってたんだな。
[静止]コックピットのパイロットが見えるぞ。
クソ… 体が真っ二つに割られてて、
それぞれが両側から乗り出してる。
なんてことだ、ここはひどくメチャクチャだ。

████博士: 他に乗り物はありますか?

SCP-3007-2GV: ああ、そこら中にあって、
増えてる。こいつの話は聞いたことが無いぞ、先生。

████博士: ええ。そのような事象を
観測出来る距離まで探索を行ったのは
あなたが初めてです。

SCP-3007-2GV: オーケー。
気をつけなきゃな。次にここで
何が降りかかるかわからねぇ。
ああ、それから、臭いがちょっと強くなった。
少し気持ち悪くなってきたぞ。

████博士: 興味深いですね。
あなたのコースに戻ってください。

SCP-3007-2GV: アンタがそう言うならそうする。

被験者は損傷した船体の例の報告を続け、
観測可能な範囲では同一のものは40以上に達する。
20分後に被験者の足音は減速を始める。

SCP-3000-2GV: よし、
自分は今柱を見上げてる。
思ってたよりでかいな。
円筒状で、厚さは40mぐらいある。
もっとかもしれない。

████博士: 何か異常な点はありますか?

SCP-3007-2GV: うーん、多分飾りだが、
カラフルなパッチが見える。
階段が柱に巻き付いてて、
頂上に続いてる。
んでもって臭いが……なんてこった。

████博士: どうかしましたか?

SCP-3007-2GV: 死体だ。
くっそたれな死体の集まりだ。
根元の周りに集められて、
もろとも潰れてる。
何人そこにいるか数え切れねぇ…クソ…

████博士:落ち着いて、
支障の程度を評価してください。
階段に到達する事は出来ますか?

SCP-3007-2GV: まってくれ、
アンタは―
アンタはオレが奴らを通り抜けて
進むべきだっていうのか ?
そんなことするつもりねぇぞ。
とんでもねぇ。

████博士: どうか続けてください。
あなたは志願しました。
そうでしたよね?

SCP-3007-2GV: こんなことを
やらされるとは知らなかったんだよ!

████博士: それが今回の探索の目的です。
R█████さん。今、私達には
これらの幻覚に対しての
十分な情報が不足しています。
そして、私たちはあなたの協力を
必要としています。私達が
今の状態の治療法を見つけるのを
手伝っていただければ、
二度とここに来ないで済むでしょう。

SCP-3007-2GVは1分近く間沈黙する。

SCP-3007-2GV: ああ、やるよ、
こ、この一回だけだ……。正気じゃねぇ。

被験者の呼吸は苦しそうなものとなり、
足音の頻度が増加する。

被験者の罵りと時折つまずく音と共に、
くぐもった、バリバリというノイズが聞こえる。
3分後にこれらの音声が減少する。
素早いコツコツという音の後、
重いゴツンという音が続く。
SCP-3007-2GV: 畜生、
二度とやらねぇぞ…クソ…。

一瞬の擦過音のあと、
ゆっくりとした数回の足音が続く。

████博士: R█████さん?
探査がいつ終わるか分かりませんから、
出来るだけ速く上ってください。

SCP-3007-2GV: わかってる、
言われなくてもそうするつもりだよ。
あれから更に離れるに越したことは無いからな。
[静止] 先生? この死体ども。
この柱を上がる為に、互いを乗り越えて
上ろうとしたみたいに一緒に押されてる。
んで… 頭がある奴らは、
オレをじっと見つめるように、
全員が上を向いている。
この上にある奴もみんなだ。
クソ、気味が悪い。
さっさと進もうと思う。

コツコツという音が再開する。
被験者は数分間沈黙する。
次第に、微かな
ザーザーという音が生じるが、
おそらく高度が上昇したためと思われる。

SCP-3007-2GV: 先生?
この場所は不安になってくるな。

████博士: あなたが見た物を考えれば、
それもわかります。

SCP-3007-2GV: いや、 先生、
アンタはわかってねぇ。
これはただの廃墟と建物じゃねぇ。
ここは正常じゃねぇ。
ここで起こったことは普通じゃない。
オレは最初、ここでは地震や豪雨みてぇな
何かの自然災害が起こったんだと思った。
災害がどうやって
この街を破壊したか考えたんだよ。
けど、今高い所に来て、
全部の場所が不自然な様に見えるんだ。

████博士: どうしてそう思うのですか?

SCP-3007-2GV: ええと、
ここから、建物のおかしな部分に気づいた。
建物は瓦礫になるか、
爆破されてるだけじゃないんだ。
いくつかはカールしてたり、
切断されてたり、
粘土みてえに押し潰されてたりしてる。
むしろ変形してるみてぇだ。
子供が手にとって、
ヘンな形に曲げたワイヤーみたいに。
被験者が登るにつれて、
風が聞き取れるようになる。

SCP-3007-2GV: 船と死体さえも同じだと思う。
以前人間だったように、
殆どの死体は人の特徴を持ってた。
地震はそんなことはしない。
それは意味をなさない。
何がここで起きても、
それはただの破壊じゃなかった。
ソイツはこの場所で遊んだんだ。

████博士: わかりました、続けてください。

風の音が次第に大きくなる。足音が止まる。

SCP-3007-2GV: 今、最初の絵を見つけた。
細長くてオレよりも高さがある。
柱の周りに2、3個あるのが認識できる、
階段のすぐ傍だ。柱そのものが
絵を見せる為に設計されたみたいだ。

████博士: 何が描かれてますか?

SCP-3007-2GV: オレはこれが何か
物語を伝えているかもしれないって思う。
ここにはよくわからん
物を持ってる人の集団がある。
彼らは笑っているが、
それ以外の顔は空白だ。
奇妙な青い生き物もいるが、
多分誇張された人かもしれない。
背景にある線は、
この都市の建物のように見える。
でも、確かだと思えない。
形式が超現実的で説明するのが難しい。
自分が普段やっていることとはまったく違うが、
戻ったときに描いてみるよ。

████博士: ええ、
それは確かに役立ちます。

SCP-3007-2GV: オーケー、
他の物も覚えられるか試してみる。

足音が再開し、5分間継続する。

SCP-3007-2GV: 2番目の絵の上に来た。
最初の物よりももっと難解だが、
いくつか飛行機があるのが見える。
しばらく前に見つけた、6つの翼の奴だ。

5分の間、報告はない。
この期間は絵画が柱に沿って
均等に配置されていることを示唆している。

SCP-3007-2GV: ジーザス…
この絵はクソッタレだ。
いくつかの死体があるが、
まだ生きているように見える。
クソ、臭いをまた思い出しそうだ。

████博士:それはただのあなたの想像でしょう。
感覚が混乱していますし、
50分間連続でストレスを受けているので、
錯覚を現実と混同することはまったく正常です。

SCP-3007-2GV: もう何が
本当なのか分かんねぇ。

5分間が経過。

SCP-3007-2GV: また悪臭がする。
死体からは離れたけど、
消えていない。
実際、近づいてきてる。

████博士: 落ち着いてください、
R█████さん。
あなたは安全です。
私が保証します。

5分間が経過。

SCP-3007-2GV: これは、
脳の中から線が出ている人々、
そして柱につながっている人々を示してる。
アンタはそのうちの1つが
オレかもしれないって思うか?

████博士: それは興味深い観察ですね。

SCP-3007-2GV: ああ、
これが何であるかを
理解するのに役立つと思う。
クソ…もう耐えらんねぇ。

次の5分間、被験者は上昇中、
呼吸の間に支離滅裂な呟きを行う。

SCP-3007-2GV: 殆ど終点に着いた、
臭いは本当に強烈になってる。
先生、オレは何がそこにあるかわかんねぇし、
多分わかりたいとも思わねぇ。

████博士: R█████さん、
どうか続けてください。
あなたはこんなに遠くまで来たんです。

SCP-3007-2GV: 先生、
オレ… ああ、アンタの言う通りだ。
どうせなら最後まで見届けるか。

風が今大きくなり、
被験者が異なる表面に足を踏み入れると、
被験者の足音がほとんど消える。
被験者は突然支離滅裂に叫び始める。
鈍い衝突音に続いて、
何かが擦れる音が聞こえる。

SCP-3007-2GV: 嘘だろ…何だよこれ!
何なんだよこれは! [吐こうとする。]

泣き声が聞き取れる。

████博士: 何が見えていますか?

SCP-3007-2GV: 知らねぇよ。
今まで見てきた奴
全部みたいに干からびてる、
けどこれは― これはデカい!
顔は自分の10倍ぐらいに大きいし、
体には、ああなんてこった、
腕がいっぱいあって、
ところどころ抜け落ちてて曲がってて― [叫ぶ。]

████博士: R█████さん、
パニックにならないでください。
それは死んでいる、
そうでしょう?
それはあなたに少しも危害を及ぼしません。

SCP-3007-2GV: 違う、先生、
死体だけじゃない、
死体の下にある絵だ。
最後の一つだ。
未完成だが、それでもわかる……
ああ神よ…
どうしてここにあるんだ?
このクソッタレは [アクセス拒否- 補遺4を参照]。
████博士: 本当ですか?

SCP-3007-2GV: 当然だろ! 誰だって―

被験者は突然停止し、
一時的に混乱した後、
SCP-3007-1が終了したと報告する。
感情的に不安定な状態だが、
被験者はイメージを非常に明瞭に
想起させることができると述べる。

記録終了(9:41)

終了報告書: SCP-3007-2GVの
証言が信頼できるものであれば、
再作成した画像から
SCP-3007-3に関する情報を
得ることができると確信しています。
- ████博士

最初のインタビューよりも
さらに多くのことが明らかになりました。

中でも注目すべきは
終点で死んでいた謎の巨大生物と
その死体の下にあった
未完成の絵の2つです。

死体は何者か?
なぜ絵は未完成なのか?
この幻覚世界にはどんな意味があるのか?

これら謎を解くには
SCP-3007-2GVが描いた
幻覚世界の絵画作品を
読み解く必要があります。

報告書の掲載順に、
その内容をチェックしてみましょう。

SCP-3007-2GV が写した絵の概要

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1枚め。
上から青色の太陽のような物体、
6枚羽の飛行機、
白い衣装をきた桃色の肌の3人の人物(以下白衣)、
うち二人が槍を持ち、一人が中央で微笑む。
その下に楽しそうな桃色の肌の人々(以下桃肌)。
これらの人々の傍には他の既知のSCP(SCP-173SCP-408SCP-500SCP-529など)に類似している。
青色の品物が確認できる。
そしてその下にはタコのような下半身を持つ
巨大な青色の人物(以下青肌)が桃肌たち
手をかざし、歯車(技術の象徴?)を与える姿が描かれている。

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2枚め。
絵のトーンが全体的に赤黒くなり、
六枚羽の飛行機はボロボロになっている。
中央には絶望したような姿勢の人影。
下部には頭部(脳)から赤色の
触手のようなものが生えた
桃肌たちが描かれている。

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3枚め。
画面上部に崩れた赤い星のようなもの。
その直下に嘆き苦しむ
頭部が赤く発光した桃肌たち
その下には赤黒い体の
異形の怪物(以下赤黒)が多数描かれ、
最下部には青肌が白衣の一人を抱えて
涙を流しているような姿が描かれている。

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4枚め。
上部に侵食するような
赤黒い空間が描かれ
その側で青肌が一人の白衣に
何かを与えるような様子が描かれている。
その下には集団でどこか遠い場所へ
連れ立って行く桃肌たちの姿があり、
最下部にはこちらに背を向け、
赤黒い空間に戻っていく
青肌の人物の姿が描かれている。

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5枚め。
赤黒に追われる逆さまの青肌の姿。
青肌が伸ばした手からは
赤色の触手のようなものが複数伸び、
最下部に描かれた
笑顔の人々の脳に接続されている。

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最後の6枚め。
黒で塗りつぶされた空間を
上から下に降るように
赤色の線が描かれている。
その先には地球に酷似した惑星があり、
そのアフリカ北東部のあたりに
赤黒い空間が着地している様子が描かれている。

以上が幻覚世界にあった絵の概要です。

報告書はここで終わっているため
これらの絵が意味する内容は
読み手が推測する他ありませんが
本家のディスカッションを参考にした
私なりの見立ては以下のようなものです。

絵の指し示す真実

まず前提として、
絵に描かれている桃肌たち
かつて別の世界で暮らしていた私たち人間の祖先です。

桃肌たちは神のような存在である
青肌の寵愛を受けており、
今はSCPとして扱われている
いくつかの品物を与えられて
豊かな暮らしを享受していました。

しかしある時、
そこに赤黒が現れ人々を殺戮し始めます。

赤黒桃肌たち
彼らの世界を襲い、その体を
バラバラに引き裂いたり
捻じ曲げたりして
次々に殺害していきました。

赤黒の破壊行為は
青肌の力を持ってしても止めることが出来ず、
人々はやむなく前の世界を捨てて
新しい安全な世界(=現在の財団世界)へと
亡命することとなります。

ですが青肌
赤黒の足止めのために
前の世界へと残り、
自分の命が続く間は
青肌と意識が繋がった特定の人間に
世界を超えてメッセージを送り続ける道を選びました。

そのメッセージこそがSCP3007-1であり、
SCP3007-1の正体とは青肌からの
新しい世界に移り住み、過去の世界の出来事を忘却した
私たち現在の人間たちに対する警告だったのです。

その際に青肌が絵という手段を選んだのは
時代や言語を問わず
確実にメッセージを伝えるためでしょう。

しかし、そんな人間思いの青肌
しかし彼はSCP-3007-2GVの調査で
既に死亡していることが確認されています。

おそらく赤黒に敗北し
殺されたものと思いますが
では、その赤黒は一体
どこへ行ってしまったのでしょうか?

その答えは
青肌が完成させられなかった
最後の絵に表れています

最後の絵に描かれていたのは
地球とそこに降り立つ赤い線。

…そう、赤黒は
既に地球に到達しているのです。

そしてSCP-3007とは
すなわち赤黒の存在そのものであり、
だからこそSCP-3007の
オブジェクトクラスはketerだったのです

SCPを生み出すほどの力を持った
青肌ですら倒せなかった赤黒
それが財団世界の地球で猛威をふるうのは
そう遠くない未来のことなのかもしれません…

タイトルの意味について

本SCPのタイトルは
「ふたりの芸術家の世界」

ここまでお読みくださった方なら
察しがついているとは思いますが
この「ふたり」は青肌赤黒を指しています。

人間を育て、文化を造る青肌だけでなく
人間を殺し、文化を破壊する赤黒までも
芸術家と呼ぶとは、
なかなかに皮肉のきいたタイトルですね。

あるいは赤黒の行為もまた
破壊芸術という名の
芸術行為だったのでしょうか…?

さいごに

最後までお読みいただきありがとうございました。
本日ご紹介したSCPはお気に召しましたでしょうか…?

一度読んだだけでは「なんだこりゃ?」でも
その真意を知ると「そうだったのか!」と
パズルのピースがはまったような
快感が得られるのが優れたSCPの特徴ですね。

ところで最近、当ブログに
SCP関連の検索ワードで
訪れてくださる方が大変多くなっています。

そのご期待に応えられるように、
今後ももっと恐ろしく、
もっと好奇心をそそるSCPを
リサーチしていく所存です。

それでは、またの機会に。

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