退屈ブレイキング

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なぜDIOは承太郎に負けたのか

はじめに

私は子供の頃に、
ジョジョの第3部を読み終えてから
ずっと疑問に思っていたことがありました。

「なぜ、DIOは承太郎に負けたんだろう」

エジプトにおける
ジョースター一行との戦いは
実質承太郎との一騎打ちであり、
なおかつDIOのスタンド、世界は
パワー(※自己申告)、スピード(※自己申告)
射程距離、能力による停止時間の全てにおいて
承太郎のスタープラチナを上回っていました。

さらに、DIOの肉体は
石仮面によって不老不死となった
吸血鬼の肉体であり、
受けられるダメージの
キャパシティにおいても
承太郎とは大きな隔たりがあったはずです。

そして、マクロの視点に立ってみても、
ジョースター一行の戦力は
スタンド使い5人+1匹に過ぎない
のに対して
DIO側はヴァニラ・アイス
ンドゥール、エンヤ婆など
強力なスタンド使い数十人を従えており

十分に一行を上回る戦力を有していました。

しかしDIOは負けました。

1989年のエジプトの橋の上で、
粉々になって完全敗北、死亡しました。

今回は、その長年の疑問について
漫画だからという野暮な理由は抜きにして、
「数の利を生かせなかった」「油断・慢心」
「てめーは俺を怒らせた」
という
3つの視点から分析し、
最後にはDIOが承太郎に勝つための
ifシナリオ
も考察してみたいと思います。

それでは、どうぞ。


敗因その1 数の利を生かせなかった

DIOの最大の敗因は、
ジョースター一行がほぼ万全の状態で
DIOの館まで辿り着くことを許し、
さらにDIO一人で承太郎、ジョセフ、
花京院、ポルナレフの四人を相手する
状況に追い込まれた
不手際にあったと私は考えます。

事実、DIOは一行の道中に
スタンド使いの刺客を少なくとも
数十人単位で追わせたにも関わらず、
その中で一行の頭数を削ることができたのは
館突入後にアヴドゥルとイギーを殺害した
ヴァニラ・アイスだけでした。(中途離脱除く)

せめて最終決戦までに、
花京院かジョセフのどちらかを
再起不能にできてさえいれば、
少なくともジョセフが
承太郎にDIOのスタンドの
正体を教えることはなかったわけで、
結果的にDIOが勝つ可能性は
大幅に上昇していたはずです。

では、なぜDIOの部下達は
ジョースター一行のメンバーを
誰ひとり脱落させることが
できなかったのでしょうか?

決して部下たちは弱くなかった

まず前提として、
DIOの部下達の個別スペックは
決して低いものではありません。

DIOの部下の中には
デス13やンドゥール、ダービー兄など
単独でジョースター一行を
全滅寸前に追い込むほどの
実力者も少なくありませんでした。

しかしながら彼らはそのほとんどが
単独でジョースター一行に挑んでおり、
その単独行動こそが、彼らが
ジョースター一行に敗れた
最大の原因ではなかったかと思うのです。

例えば恋人、女教皇
ゲブ神、正義などは相手や
状況を選べば十分に一行を喰える
ポテンシャルを持っていましたが、
最終的には一行の連携プレー(例:承太郎がイギーと連携してンドゥールを倒す)や、
弱点となるメンバーの活躍(例:法皇が恋人を探知して捕縛する)によって敗れ去っています。

中には呪いのデーボや
アレッシー、アヌビス神のように、
敵が1人になったところを襲うことで
数の不利を埋める工夫を
していた者もいましたが、
その場合も、襲う側が単独行動である限り
良くてタイマンにしかなりません。

このように、DIOの部下は
個々の能力は強いものの、
多数で少数を攻めるという
圧倒的有利な展開に持ち込む場面が
少かった
ように思えました。

多数は少数に勝る

逆に、DIO側で
数の利を活かしたスタンド使いに、
コンビで戦う主義の銃使い、
ホル・ホースがいます。

彼は単独ではそれほど
強いスタンド使いではありませんが、
インドではJ・ガイルと組み、
自身が苦手とするアヴドゥルを
コンビ戦術で倒すことに成功しています。
(後に、弾丸が皮膚を掠めただけという
無理くさい理由で復活しましたが)

また、他の部を見ても、
ジョルノ & フーゴ & アバッキオ vs イルーゾォ、
dio & ホットパンツ vs 大統領など
強力な能力を持つ相手を
人数差で覆す展開は少なくありませんでした。

もちろん、数だけが
勝敗を決めるわけではありませんが
不確定要素の多いスタンドバトルにおいて
頭数の差が重要な指標となることは
否めないでしょう。

なぜDIOの部下達は連携できなかったか

そしてそうすると次に疑問となるのが、
なぜDIOの部下たちが、
連携プレーを行わなかったのか
(or行えなかったのか)
という点です。

狡猾で慎重なDIOのことですから、
前述した数の利について
気づいていなかったとは思えません。

となると、DIOにはそれでも尚、
刺客を広く分散配置せざるを得ない
事情があったということになります。

そしてその事情とは、
DIOの念写の精度が低く、
一行の正確な位置を
把握できなかったことに
あったと思われます。

作中で指摘されているように、
DIOやジョセフの念写は、
写真で相手のある瞬間の
大まかな位置が分かるだけで、
標的の正確な位置を常に
把握できるものではありません。

そのため、一箇所に部下を
集中して送り込んでしまうと、
万が一位置の予想が外れた場合に
一行を止める者が誰もいなくなる
リスクを背負うことになります。

作中には描かれていませんが、
最後まで一行と出会わなかった
DIOの部下も相当
いたのではないでしょうか。
(当時の億泰の父やプッチ、
ジョンガリ・Aなどがその一例か?)

まとめると、DIO
念写の精度の低さをカバーするために
部下の捜索網を広げ、そのために
一箇所に避ける部下の数が手薄になり、
結果的に単独行動する部下が
増えたという可能性が考えられるわけです。
(最もこの理屈は舞台が
エジプト市内に絞られてからは
あまり当てはまらなくなりますが)

スタンド能力スタンド使いの生命線

また、別の理由として考えられるのが
DIOの部下同士の仲間意識が低く、
信頼関係に欠けていた
というものです。

そもそも部下達がDIOに従う理由は
DIOへの忠誠か報酬金であり、
部下同士の横の繋がりは
ほとんど皆無だったと思われます。

またスタンド使いにとって
自分の能力が周囲にバレることは
死活問題
であり、
よほど信頼し合う関係でない限り、
他人に能力を明かしたり
しないことが明言されています。(ラバーソウル談)

これらの点から、
スタンド使いの中に単独行動を好み、
他者と協力して仕事をすることに
拒否反応を示す者が多かったとしても
不思議はなかったでしょう。

まとめ 〜 マネジメントは大事だよ

もし上記の考察が正しければ、
DIOに足りなかったものは
部下の絶対数と、適切なチームを作り、
連携して頑張ってもらうための
人材マネジメントだった

ということになります。

そしてこのことは、次に指摘する
『油断、慢心』のポイントにも
深く関係してきます。

敗因その2 油断、慢心

DIOのもうひとつの大きな敗因は、
その高すぎるプライドと、承太郎及び
ジョースターの血統に対する侮り
でした。

これさえなければ、
仮にジョースター一行全員が
無傷でDIOに挑んできたとしても
まだ十分に勝機はあったはずなのですが…

慢心その1 : 殺せる相手をすぐに殺さない

その気になれば瞬殺できたであろう
ポルナレフをわざわざ階段から下ろしてまで
ビビらせる謎の行動。

さらにその後、
既に自らの部下を何人も葬った後の
ポルナレフを再勧誘するという図太さ。
(たしかOVA版だと花京院も再勧誘してたよね)

これは、自分が負けるという可能性を
全く考慮していないからこそできた言動です。

慢心その2 : 無駄に負けず嫌い

DIO様ドヤ顔

承太郎との初対面時に
時止めを使わずラッシュの速さ比べで
競り勝ってドヤ顔

友達とどっちのおもちゃが
良いか自慢しあってる子供みたいで
ちょっと可愛いですが、
その後の展開を考えると
この行動はあまりに迂闊すぎます。

さらにこの後、承太郎の
「ためすっていうのは キズにもならねえ
なでるだけのことをいうのか?
2万円もしたズボンはやぶれたがよ」
という減らず口をスルーできず
「どうしてジョースター家というのは
こう負けず嫌いなのだ?」と返す始末。

それはブーメランですよDIO様。

慢心その3 : 詰めが甘い

承太郎が停止時間に入門するという
まさかの展開に心底ビビったDIO様は、
時止め + ナイフ投げという
非常にクレバーな戦法で承太郎を追い詰め、
さらに心臓の鼓動音や呼吸音まで確かめて
駄目押しに警官の拳銃で死体撃ちするという
念の入れようを見せ、読者からの株を
取り戻したかに見えました。

しかし、なぜか最後の最後で
標識で首をぶった切るという
あまりにリスキーかつ
大味なトドメの刺し方を選択。

案の定生きていた承太郎に
標識をガードされ、
逆に脳天をぶち抜かれてしまいました。

慢心その4 : 無駄に相手を煽る

これは次の項目でも触れますが、
DIO様はピンチになると口が悪くなり、
必要以上に相手を煽る悪癖があります。

具体的には、ジョセフの死体を干からびさせ
「絞りカスだッ!」と吐き捨てることで
承太郎をブチギレさせています。

4部のレッド・ホット・チリペッパーvs
億泰戦のように、わざと相手を怒らせて
冷静な判断力を削ぐというのは
立派な戦術ですが、DIO様の場合は
そういう打算ではなく、ただ
楽しいから煽っていたという印象。

精神力が強さを左右するスタンドバトルにおいて
これはあまりに軽率と言わざるを得ません。

1部終盤の頃は、宿敵ジョナサンに
敬意を払えるだけの器量があったはずなのですが…

慢心その5 : 無駄口が多い


ンッン~~~♪ 実に!
スガスガしい気分だッ!
歌でもひとつ歌いたいような
イイ気分だ~~
フフフフフハハハハハハハ
100年前に不老不死を手に入れたが・・・
これほどまでにッ!!
絶好調のハレバレとした気分はなかったなァ・・・
フッフッフッフッフッ 
ジョースターの血のおかげだ、
本当によくなじむッ!!
最高に「ハイ!」ってやつだ
アアアアアアアアハハハハハハハハーーッ

ジョセフの血を吸って
最高にハイになったDIO様の口上。

上記の間約1秒。

その早口ぶりには感心しますが、
1秒とはいえ貴重な停止時間。

それをこんな
煽りセリフ(+自傷行為)に費やさなければ
その後の打撃でもっと大きなダメージを
承太郎に与えることが
できていたのでは無いでしょうか…

慢心その6 : 無駄に自傷行為に走る

おそらく最高にハイになったDIO様の
テンションと狂気を表す演出でしょうが、
無駄に自傷行為が多いです

作中で見られたのは
頭に指を突っ込んでのグリグリと
ラストシーンでの血の目潰しの2つ。

完全に無意味な前者に比べて
後者はまだ戦術的に意味ありげですが、
目潰しをするならそのまま攻撃ではなく
そこから一時撤退などすべきであり、
むしろ世界が脚から砕け散るきっかけを
進んで作っただけのように思えてなりません。

慢心その7 : 無駄にロードローラーをぶつける

ファンの間ではもはや鉄板ネタとなった
DIO様の「ロードローラーだッ!」

そのサービス精神はとても嬉しいのですが、
DIO様はロードローラーを持って来るために
実に7秒もの時間を掛けてしまっています。

全停止時間9秒に対しての7秒なので、
これはあまりに痛すぎるタイムロスです。

真剣に勝つことを考えるならば、
安定の時止め+ナイフ投げか、
もしくは電柱で串刺しにするなど
せめて承太郎の姿を
常に確認できる殺害手段を
選ぶべきだったでしょう。

慢心その8 : 自分の成長性に対する過大評価

ロードローラで承太郎を
『ぶっ潰した』DIOは、
ロードローラーに乗ったまま
堂々と勝利宣言をした挙句、
11秒も時を止められるようになったと
1人ウキウキで大喜びします。

ですが、DIOの実際の停止時間は9秒で、
余分の2秒については、
承太郎が止められるようになった5秒間を
自分が止めたと勘違いして
カウントしていたものでした。

結果、DIOは背後から近づいてきた
承太郎に足をへし折られ、
一気に形勢逆転を許してしまいます。

承太郎が停止時間に
入門してきた時点で、
同じく承太郎が自発的に
時間停止できるようになる
可能性は十分考慮できたはずであり、
しかもその勘違いの原因が
自分の成長性を買いかぶったため
という
これはちょっとフォローが厳しいくらいに
恥ずかしすぎるミスです。

しかしこうして
DIOの戦闘を振り返ってみると、
ジョセフの血を吸って
ハイになってからのDIO
あまりに迂闊な行動が多すぎますね。

もしかすると承太郎に
脳を打ち抜かれた際に前頭前野
深刻なダメージを負ったか、
あるいはジョセフの血に、
冷静な思考を妨げる成分でも
含まれていたのでしょうか。

慢心その9 : 無駄にエジプトから動かない

最後に個人的に
最も致命的だと思った慢心がこちら。

別にエジプトから動けない理由が
あるわけでも無いのにガン待ち。
「帝王に逃走はないのだー!」とでも
考えていたのでしょうか。

プライドを捨て、
ある程度の時点で
エジプトから離れていれば
その間にさらなる時止めの練習や
新たな部下の勧誘もできたでしょう。

そして、十分に部下を補充し直せば
前述した、部下を集中して送り込む
戦術も取れたはずです。
(尤もそうなるとホリィさん助かりませんが)

昔のありがたい言葉に
『三十六計逃げるに如かず』
というものがあります。
DIOの失態はまさにこの言葉の
反面教師ではないでしょうか。

…ただ、この点については、
第6部での回想で触れられた
「天国に行く方法」の研究のために
エジプトを離れられなかった
という理由で
フォローできる可能性があります。

これならば、
部下には任せられない
重要な内容であるため、
DIOがエジプトを
動かなかった理由としても
十分納得がいくものになります。

敗因その3 てめーは俺を怒らせた

承太郎の名言そのままですが、
これは実はかなり
的を射た表現ではないかと思うのです。

スタンドは精神のエネルギー。

スタンドのパワーやスピードが
本体の精神状態に
大きく左右されることは、
ヴァニラアイス戦の
ポルナレフが実証済みです。

そして、最初から
「パワー・スピード共に上だ」った
世界がジョセフの血を吸って
さらにパワーアップしたはずなのに
それでもスタープラチナ
正面からの殴り合いで打ち負けた理由には
承太郎が祖父を弄ばれた怒りで
それ以上にパワーアップしたから
という仮説が成り立ちます。

そしてもしこの仮説が正しければ
DIOが行なった数々の煽りは
まさに敵に塩を送るも
同等の行為だったということに
なってしまいます。


スタンドは精神の力ッ!
それが当たり前だと思いなされッ!
HBの鉛筆をぺキッとへし折るのと同じようにッ!
出来て当然と思うことですじゃ!

ちなみに作中では、
生前のエンヤ婆がDIOに対して
スタンドは精神の力であることを
きちんと説いていました。

もしDIOがこの言葉を心に刻んでいれば、
無意味に承太郎を怒らせることのリスクも
事前に予想することが
できていたのではないでしょうか。

「自分の欠点は怒りっぽいところだ」
冷静に自己分析できていた1部当時の気持ちを
忘れずに持っていて欲しかったものです…

こうすればDIOは承太郎に勝てていた

以上の分析をもとに、
DIOが承太郎に勝つシナリオを
考察してみたいと思います。

まず、刺客は最低でも二人一組で、
ジョースター一行が
一人になったところを狙って
確実に始末するよう指導します。

また、定期的にアジトを移し、
能力の鍛錬と新たな部下のスカウトを
継続して行うようにします。

そしてもし
直接対決に持ち込まれた場合は
決して相手を煽らず、
1人づつ時間停止中に
頭部をブチ抜いて始末する
ヒットアンドアウェイ戦法に徹して、
万が一停止時間に入門されたら
距離をとって時止めと
ナイフ投げのコンボのみでハメ倒します。


………



…うん、こんなのDIO様じゃないですし
漫画にしても絶対つまんないですね。



結論

今回の考察では、DIOの敗因を
指導不足による部下の連携不足と、
DIO本人の油断・慢心と結論づけました。

前者については状況的に
致し方ない部分はあったものの
後者については完全に
DIO個人の落ち度であった
といえます。

もっとも、そういう不合理で
人間味のあるところにこそ
読者は魅力を感じるものであり、
もしDIOが第五部のディアボロのような
クレバーな戦いしかしていなければ
これほど人気のある名悪役には
なれなかったとも思います。

よって最後に綺麗にまとめるならば、
DIOが負けた最大の理由は慢心だったが、
その慢心も含めてキャラクターの
大きな魅力となっていた
というところでしょうか。

人によって好みはあると思いますが、
私もどちらかと言えば、
人間味があって完璧すぎない悪役の方が
好感が持てることが多いですね。

以上、私のしょうもない考察に
最後までおつきあいいただき
ありがとうございました。

それではまた。