オチが秀逸なSCP報告書5選【UFOからダエーバイト文明まで】

SCP

先週投稿したSCP紹介記事が
結構読んでもらえていてやっぱりSCP財団の記事は
需要が高いのだなぁと思った次第。

そんなわけで、今週もSCP報告書の紹介を行いたいと思うのだが、
今回のテーマはズバリ「オチが秀逸なSCP報告書」だ。

私が最近読んだ中でも、
特にオチが秀逸だと感じた報告書を五本ほどご紹介する。

ちなみに紹介する報告書は前回同様
当ブログでは初めて取り上げるものばかりだ。

それではいってみよう。

オチが秀逸なSCP報告書5選

SCP-6047 -片手だけの花嫁

SCP-6047 - SCP財団

初見でオチを読んだ時に
背筋がゾワゾワ〜っとした報告書。

子供が欲しいというささやかな望みの末路がこれという
その落差がショッキングで記憶に残るお話だった。

SCP-6871 - 瞬く間に

SCP-6871 - SCP財団

なぜか世界オカルト連合の
フォーマットで書かれたこちらの報告書。

その理由は報告書を最後まで読むと理解できる仕組みだが、
一見しただけではわからない人もいそうなので簡単に解説を書いておく。

~以下ネタバレ~

SCP-6871は対象の存在を"無かったこと"にする特殊な儀式。

このアノマリーに目をつけたO5が、
財団にとって邪魔な組織のトップを消し去る目的で濫用した結果
当時最大の競合勢力のトップだった
崇高なるカルキスト・イオンを消失させた時点で
バタフライエフェクト的に大規模な歴史改変イベントが発生。

人類社会が青銅器時代の度合いにまで逆行し、
財団の存在も除外サイト※を除いて歴史から抹消された。
(※除外サイトの内部は外部からのあらゆる現実改変から保護される効果がある)

そして上記改変イベントの発生から2000年が経ち、
新しい歴史の中で新たに結成された世界オカルト連合が
財団の除外サイトの廃墟からSCP-6871報告書を発見し
自分達のフォーマットで報告書を作成した。

ここまで読むことで初めて読者は
なぜこの報告書が世界オカルト連合のフォーマットで
書かれていたのかが理解できる仕掛けとなっている。

…しかし改めて思うに、これといい
SCP-2719といいSCP-3002といい、
O5は毎回何かやらかしている気がする。

財団の運営は人間ではなく優秀なAIにでも任せた方がいいんじゃないだろうか?

SCP-6572 - 万物を斬る剣

SCP-6572 - SCP財団

昔、星新一のショートショートか何かで
ある研究所に侵入して「飲むと何でもすり抜けられる薬」を奪った強盗が
品質テストと逃走手段の確保を兼ねて早速その薬を飲んでみたら、
壁だけでなく着ていた衣服や地面まで全部すり抜けて
地球のマントルまで果てしなく落下してしまった…
というオチの話を読んだことがあるが
この報告書も中心となるアイディアはそれとほぼ同じだ。

ただこちらではすり抜けるのが人ではなく剣であり、
しかもその剣はマントルを通過してなお破損することがないという違いがある。

そしてその結果何が起きたかについては報告書の記述に譲るが、
短くまとまった内容、絵面が容易に想像できる点、
最終的にNeutralizedに再分類された理由が判明するオチなど
どこをとっても秀逸な内容だった。

最近のSCPは一時期の重厚長大路線を経て
初期のようなシンプル路線に回帰している傾向があるように思うが、
この報告書はその顕著な一例だと思う。

SCP-CN-1999 - 幻想の遺物

SCP-CN-1999 - SCP財団

続いては中国支部より。

SFの王道、UFOを題材とした報告書だが、
この報告書が面白いのがその題材に加えて
「もし財団が西暦4000年まで存続していたら」
という設定の財団4Kハブをヘッドカノンとしている点だ。

最初は2015年の版から始まり、
2530年、3548年、4001年とより新しい時代の版へと読み進めていく中で
SCP-CN-1999にまつわる事実が明らかになっていく過程はスリリングであり、
また随所に見られる未来の科学技術の発展や人類の生存権の拡大の様子は
SFらしいワクワク感に満ちたものだった。

そして最後の4001年の版ではついにSCP-CN-1999 の正体、
つまりはUFO現象の真実が明かされるわけだがこれがまた秀逸。

SCP財団らしい捻りがあるのは勿論のこと、
その内容にSF的な時空を超えた壮大さ、切なさがあり
深い余韻を感じさせる読後感を生んでいたように思う。

余談だが近年では劉慈欣やケン・リュウをはじめ
中国系のSF作家の活躍を耳にする機会が多い。

近年では火星移住をはじめとする宇宙事業で
アメリカの最大の対抗馬となっている中国だが、
もしかするとそうした現実がこうした才能の持ち主達に
良い刺激を与えていたりもするのだろうか?

SCP-6140 - 真の帝国

SCP-6140 - SCP財団

よく訓練されたSCP読者ならば
ダエーバイト文明というワードに
ピンとくるものがあるはずだ。

そう、SCP-140で触れられた、
軍国主義、奴隷制度、人身御供などの
いくつもの悍ましい文化を持つとされる
あの恐るべき文明のことだ。

念の為もう少し深くおさらいしておくと、
SCP-140は書物の形をしたアノマリーで、
人間の血液を含む色付きの液体に触れることで
その中にダエーバイト文明に関する新たな記述が出現し、
さらにその内容が古代から現代に向けて少しづつ、
現実改変という形で現実世界にも反映されるので、
ダエーバイト文明が現代に復活することを阻止するためにも
財団としては絶対にそれ以上ページを出現させてはならないという代物だった。

そしてこのSCP-6140に指定されているのは
そのダエーバイト文明そのものであり、
この報告書ではあろうことかSCP-140が収容違反を起こし、
ダエーバイト文明の復活が避けられない事態となったのだ。

それが財団にとってどれほど深刻な事態であるかは
以下に引用する財団用概要説明の抜粋を見て貰えば
よく理解いただけるのではないかと思う。

財団職員各位

3ヶ月後、前例のない規模のCK-クラスシナリオが発生します。2022年3月20日、ダエーバイト帝国が現代の現実世界に出現します。現状の予測では、領土範囲は中央シベリアとカザフスタンの大部分に取って代わるとされています。ダエーバイト帝国及びSCP-140について馴染みがない職員は下記概要をご確認ください。

現実世界に出現した場合、ダエーバイト帝国は史上最も敵性的かつ異常な国家となります。血液呪術、植物呪術、降霊呪術を含む複数の新型の呪術習慣がこの地域で発展してきました。
国教は、暴力的な神である緋色の王を崇拝しています。現存宗派(緋色の王の子ら)は幾度も神の召喚を試み、世界の終焉を引き起こそうとしてきました。
また、同帝国は異常な武力を持ち、現代の技術や武器を入手すれば大幅に強化されるでしょう。危険度や性質は不明ですが、広範囲に及ぶと推測されています。

私たちは、ダエーバイト帝国の復活に屈しません。3月20日に何が起ころうとも、正常は守られます。私たちの世界は保たれます。

O5-1デスク
確保、収容、保護。

ダエーバイト文明が復活し、
世界に何が起きたのか?財団と人類の運命は?

その予想を超える衝撃的な結末は、
是非ともあなた自身の目で見届けてもらいたい。

終わりに

今回の特集も楽しんでもらえただろうか?

私は今回の中では特にSCP-CN-1999が心に残った。

いつか人類は地球を出て他の星に住むのだろうか。
太陽系の外に出ることもあるのだろうか。
でもその頃にはもう自分は生きてはいないんだろうな、とか
読んでいて色々な考えが頭をよぎった。

こういう浮世離れした空想に没頭できるのも
SFの良さではないだろうか。

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