超上級者向け!難解すぎて頭がおかしくなりそうなSCP報告書ベスト10【解説つき】

白黒の水に浮いた油のようなグラフィックSCP

はじめに

こんにちは、daimaです。

本日は私が知る中でも最高クラスに難解なSCP報告書を
10本、解説付きのランキング形式でご紹介します。

ご紹介する報告書は
・難解なオブジェクトが多数所属存在することで知られる反ミーム部門関連の報告書
・分子生物学や数学などの専門用語が頻出する報告書
・合計文字数が7万文字を超えるSCP史上最高レベルに長大な報告書
などなどどれも初見でその内容を理解することが非常に困難なものばかり。

その複雑さゆえにSCP初心者にはおすすめしかねますが
読み応えのある報告書をお探しの方はぜひ読解に挑戦してみてください。

10位 : SCP-2747「下の如く、上も然り」

白黒の水に浮いた油のようなグラフィック
(▲レディオヘッドのI/OはSCP-2747の1実体であり、写真はそのジャケット。)

SCP-2747 – SCP財団

オブジェクトクラス: Euclid Keter

概要

雑誌やネット上のフォーラムに
実際には存在しない小説、ゲーム、音楽アルバムなどへの言及がなされる怪現象。

報告書中にはガルシア=マルケスの未発表作品や
レディオヘッドの未発表アルバム、
あるいは2005年に韓国のゲームスタジオが開発した(とされる)
ゲームキューブ向けの未発売ゲームソフトなどが
この現象に該当する事例として報告されています。

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ネタバレ

結論から述べると、SCP-2747の正体は
SCP-2747に言及したあらゆる「物語」を
それが存在した事実ごと改変消去してしまう情報災害です。

ただし完全な消去がなされるまでには多少のラグがあり、
かつ消された物語に対する批評などは消去範囲に含まれないため
結果的に「存在しない作品に対する批評が存在している」
という不可解な状況が発生していたというわけでした。

初めの内この性質に気づいていなかった財団は
観測手順“輝ける聖杯”によってSCP-2747の観測を試みていますが
その観測結果は報告書中に記された時点で「物語」だと見なされてやはり消失し、
このことによって初めて財団は
先述したSCP-2747の真の性質の認識に至っています。
(それを表しているのが冒頭のオブジェクトクラスのEuclidからKeterへの訂正ですね)

このように非常に厄介な性質を持つ本オブジェクトですが、
財団にとって本当に恐ろしいのは
財団の一部、あるいは全体もまた
SCP-2747に物語の一種であるとみなされて
消失させられてしまう可能性が無いとは言い切れない点でしょう。

SCP-2747が一体どういう基準で
物語かそうでないかを判別するのかは不明ですが、
私たちからすればSCP財団というのは
報告書やtaleといった物語の集合体のようなものですし、
そう考えるともし財団世界に私たちと同じように
SCP財団を読み物と捉える何らかの上位存在的なものがいたりすれば
SCP-2747が財団を攻撃対象に含める可能性も無いとは言い切れません。
(この仮定に一番近いのは第四の壁ネタを扱った「アンドリュー・スワンの提言」でしょうか。)

ちなみに報告書内記載のSCP-2747による被害事例の中には
「怪奇フィクションを多数掲載するオンラインの共同創作サイト」などという
現実のSCP財団のオマージュ的なWEBサイトが
SCP-2747の影響で丸ごと消失したという
財団の未来を暗示するような例も記載されていたりします…

感想

この報告書を最初読んだ時には
「深い入れ子構造の下でのメタフィクション的発生」だの
「anafabula」だの「物語素」だのの耳馴染みのない用語だらけで
頭がパンクしかけましたが、全て読み終えてタネが分かると
今度は「なるほどそういうことだったのか…」と素直に感心させられました。

こうした認識に影響を与えるタイプのオブジェクトは
色々とややこしいものが少なくありませんが
その分理解に達した時の「そうだったのか!」感は
病みつきになってしまいそうな痛快さがありますね。

9位 : SCP-654-JP「マトリョーシカ」

天井に宇宙空間が見える写真
(▲SCP-654-JPが観測可能な礼拝堂の中庭 「SCP-654-JP-補足-B」より)

エージェント・七瀬: 大丈夫です。上を見ていたら、あおぞらの破片が入っただけ……[ノイズ]

SCP-654-JP – SCP財団

第9位は日本支部より、
文章量はさほど多くはないものの
内容の理解が非常に難しいタイプの報告書です。

SCP-654-JPは、21██年██月██日に突如出現したオブジェクトです。項目内容を編集・消去・追加・閲覧制限を設けることは、全て失敗に終わりました。
SCP-654-JPは、SCP-654-JP-補足-B・SCP-654-JP-補足-C・[データ破損]・SCP-654-JP-補足-Eで構成されています。いずれの補足内容は転載されたもので、現実世界で現存する財団職員が記述した情報及び内容は一切含まれていません

本報告書を開くとまずこのような文章があり、
同ページ内の「SCP-654-JP」タブで確認できる報告書の内容が、この文章が書かれた世界とは別の世界で書かれたものであることが示されます。

続いて「SCP-654-JP」のタブを内容に目を移すとそこには
・SCP-654-JP-補足-B
・SCP-654-JP-補足-C
・[データ破損]
・SCP-654-JP-補足-E
という4つのパターンのSCP-654-JP報告書が掲載されています。

ですがこれらの報告書中で描写される
オブジェクトの概要にはばらつきがあり
登場する博士の名前や年代にもズレが見られます。

逆に全てに共通している点としては
オブジェクトナンバーとオブジェクトクラス、
そして礼拝堂への言及くらいのものでしょうか。

しかし何度報告書の内容を読み返してみても
一体なぜ、同じナンバーのオブジェクトに4つのパターンの報告書が存在しているのか、
そしてこれらの報告書に記された現象の意味がなんなのかという疑問の答えは一向に見えてきません。

ただ一つ強く引っかかるのは[データ消失]内の会話ログで小木博士が
「地球空洞説」という聞きなれない単語を口にしている点ですが…?

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ネタバレ

Q,このSCPの大まかな設定とは?
このSCPは地球空洞説を元に作成しています。
地球空洞説とは「我々の住むこの地球は、中身の詰まった球体ではなく、ゴムボールのように中空であったり、別世界へ繋がっている」という考え方。諸説ある中でも「人類の居住している地球表面が、実は無限に続く岩塊の中に存在する、泡状の球体の内部であり、太陽や月や星は、空間内部に浮かぶ雲のようなもの」という凹面地球説に近いです。

654は破壊→縮小(再構築)→破壊→縮小(再構築)…といった現象を繰り返しています。

この報告書の内容を理解するには
ディスカッション内に記載されている
「梨枝博士の調査書類」を読むことが一番の近道です。

こちらは執筆者自身によって書かれたもので
図説もあり非常に分かりやすい内容となっているのですが
念の為私なりの所見も併記しておきます。

まずこの報告書を理解する上で最も重要なのが
先ほども少し触れた「地球空洞説」というアイディアです。

これは「我々の住むこの地球は、中身の詰まった球体ではなく、
ゴムボールのように中空であったり、別世界へつながっている」
とする
古くからある世界観の一つであり、本報告中の世界は
この地球空洞説のアイディアをそのまま再現したような世界となっています。

適当な図で恐縮ですが、
本報告書中の世界はこのような球状の入れ子構造になっていて、
最も新しい世界の内側に定期的に
一回り小さい新しい世界が生成され続けています。

で、その時に既に存在していた古い世界は
自発的に崩壊して新しい世界の宇宙や青空となります。

この世界ではそうした壮大な天地創造の営みが延々と繰り返されていて、
報告書内ではSCP-654こそがそれを行っている「元凶」である
という位置づけがなされています。

またこのプロセスの過程では
マトリョーシカのように世界は内側に向かうほど
一回りずつ小さくなり続けていくわけですが
その影響は例えば最も新しい世界の記録(SCP-654-JP-補足-E )にて
1文字つき約2GBほどの異常な容量を有するデータの出現という形で現れています。
(あらゆる物が小さくなった結果、データの密度が増大した)

他にもSCP-654-JP-補足-Bで曝露者が
閉塞感や高所感を感じていたのは
世界が生まれ変わる度に少しづつ収縮していることを
本能的に感じ取っていたためだと説明されていますし、
SCP-654-JP-補足-Cやそれに続く[データ破損]の一連の描写は
まさに世界の中に新しい世界が誕生する瞬間を記録したものでした。

エージェント・七瀬: SCP-654-JP-1は周りの風景と合わさって、宇宙にポツンと浮かぶ地球のようだった。……場違いな事を言うかもしれないが、地球の中には地球があるんだと、そう思った。

このように世界のシステムそのものといった感のある
桁外れな影響力を持ち、
実際に世界の終焉すら引き起こしている本オブジェクトですが、
果たして財団にこのオブジェクトを
食いとどめる手立てはあるのでしょうか?

一応報告書中では財団が「アンカー計画」なる計画によって
古い世界のデータの一部を新しい世界に転送することで
世界のリセットに対抗しようとしている様子が示されていますが
財団のこうした努力が実を結ぶのが早いか、
それとも世界が特異点レベルまで
縮みきってしまうのが早いかは何とも予想が難しいところです。

ちなみにこのオブジェクトには「Juggernaut」という
ユニークなオブジェクトクラスが指定されていますが
これは日本語にすると「絶対的な力、不可抗力」といった意味があります。

…本オブジェクトに挑もうとしている財団にとっては
何とも不吉な言葉ですね。。

第8位 : SCP-3966「外方落下」


(▲SCP-3966-Bの結晶構造。左の要素がSCP-3966-Aに相当。)

SCP-3966 – SCP財団

第8位にはSCP-3966「外方落下」を選出しました。

私は最初、52という
本家報告書に対する日本支部での評価としては
なかなかのupvote数に興味を惹かれて
この報告書を読み進めてみたのですが、
読み始めの数行で「あ、これ(理解するの)無理だわ」と感じ、
なんとか最後のオチまで辿り着いた時にも
最初は全くその意味を理解することができませんでした。

ではなぜ本報告書がそれほどまでに難解に感じられるのかといえば
それは第一に分子生物学、心理学、数学等の専門用語が頻出すること、
そして第二にSCP-3966の正体にたどり着くまでの過程が
非常に厳密な科学的手続きに則る形で
記述されているからではないかと思われます。

実験3966-3B

手順: SCP-3966-Aのアミノ酸配列をエドマン分解及び質量分析により決定する。

結果: SCP-3966-Aの配列が決定。総鎖長:143残基。始点からの142残基はSCP-3966-BのN末端からの配列に一致。最後のアミノ酸は回収されず。サンプル質量は約0.70%の割合で減少した。結果は実験3966-3と同一。

例えばこれは報告書中の実験ログの一部抜粋ですが
私のような専門知識のない人間が読むには
少々面食らってしまうような内容ではないでしょうか。

本報告書にはこうした「固い」表現が多く、
それがこの報告書に対する難解だという印象を
実際以上に増幅させているものと考えられます。

とはいえ本報告書はなにも
読者に頭痛を覚えさせるために
こうしたスタイルを取っているわけではありませんし、
後述する報告書のオチについては
核となるあるアイディアさえ掴んでしまえば
誰でもきちんと理解できる内容となっています。

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ネタバレ

最初に結論から言うとSCP-3966の正体は
人間の睡眠中に脳内に侵入し脳液を吸い出して殺す、
蜘蛛に似た4次元空間上の異次元生物です。

このオブジェクトに関する最初の発見は
ある睡眠時死亡者に行われた検死の際に
C末端を持たないという異常性を示す※
新たな神経タンパク質(SCP-3966-A)が発見されたことです。
(※通常のタンパク質はN末端に始まりC末端に終わる)

この異常な状況に興味を示した財団が研究として
採取したSCP-3966-AをDクラス職員に投与したところ
そのDクラスは眠りに落ちた際に「落下する感覚」を経験し、
さらに目覚めた後に回収された対象の髄液からは
また別種のタンパク質(SCP-3966-B)が採取されました。

財団の研究者であるアージェント博士は
助手のパウルコイック次席研究員(エリー)と共に
これらのタンパク質に対する様々な実験を行い、
SCP-3966-Aの一部がSCP-3966-Bと同一であることや
SCP-3966-Aがそれが作用した場所に
急速な細胞死を起こすこと※などを発見しますが
実験を行う中で二人共にSCP-3966に曝露してしまいます。
(※SCP-3966がヒトの細胞膜に孔を開けて液を吸い出すための作用)

さらに助手のエリーの方は曝露時に発生する
睡眠時の落下感とそれに伴う急激な覚醒を嫌って、
これらの症状を抑えるために
大量の鎮痙剤・鎮静剤を服用したところ、
悲しいことにその翌日に不自然な急死を遂げてしまいます。

彼女の死後、残されたアージェント博士はショックを受けつつも
これまでの実験記録やエリーの死の状況、
そして数学に明るい妹のコーデリアとの会話の中で得た
四元数と平面世界(Flatland)のアイディアから
SCP-3966が四次元の存在であり、
また睡眠時に起きる痙攣が人類の進化の過程で獲得された
SCP-3966に対する防御策であったことに気がつきます。※
(※そのため、痙攣を薬で強制的に停止させたエリーは
身を守ることができずSCP-3966の餌食となってしまった)

かくして全てを理解したアージェント博士は
最後の実験としてSCP-3966-Aによって
空いた穴に光ファイバーを通すことによってSCP-3966の姿を撮影し、
その写真を掲載することによって本報告書は終了となります。
(撮影されたSCP-3966の写真は報告書ラストに掲載されています。)

ちなみに最後に、本報告書の核ともいえる
平面世界(Flatland)のアイディアについて
わかりづらいので少しだけ補足しておきましょう。

平面世界とはその名の通り
「縦軸」と「横軸」しかない2Dの世界のことであり、
仮に三次元世界の住人である私たちが
そこに住む住人を上から覗いたとすると、
彼らからは「高さ」の概念が存在しないため、
「上」の方にいる私たちの姿を認識することができませんが
逆に私たちは彼らの存在を自由に見ることが可能であるはずです。

そして同様に2D世界には高さがない=屋根や天板という概念もないため
3D世界の私たちは例えば2D世界の金庫の中に仕舞われている現金を
蓋を開ける必要もなく取り出すことができるはずです。

そしてこれらのことは4次元世界のSCP-3966と
3次元世界の私たちに置き換えても同様のことで、
私たちはより高次の存在である
SCP-3966の姿を認識することができませんが
逆にSCP-3966から私たちの姿をなく認識し、
物理的な障害を無視して侵入することも可能なのです。
(「クモ」だけに、ね ●= ●=)

感想

最初から最後まで一貫して
科学的なプロセスが貫かれた報告書。

次元の違いというアイディアを理解するのには少々骨が折れましたが
それだけの価値がある斬新な内容だったと思います。

第7位 : SCP-3125「逃亡者」

SCP-3125 – SCP財団

私には存在しない人を救うことはできません。

マリオン・ホイーラー、反ミーム部門主任
2015年11月30日

オブジェクトクラス: Keter

続いては反ミーム部門ハブに所属する
SCP-3125「逃亡者」をご紹介します。

この報告書を開いたときに
まずはじめに目に飛び込んでくるのが
オブジェクトの収容プロトコルと
その直下に配置された謎の電卓です。

電卓の存在が気になるところですが、
まずは収容プロトコルの方から要点の抜粋で見ていきましょう。

[特別収容プロトコルの概要]
・SCP-3125はサイト-41にある認識災害収容ユニット内部に収容されている。
・収容ユニットは鉛・防音壁・テレパシー遮断壁に覆われている。
・収容ユニットには一度に一人の人間しか入れない。
・収容ユニットからの退出時にはエアロック内に記憶処理ガスが放出され、
部屋の中での記憶は全て消去される。
・反ミーム部門の上級スタッフメンバーは、SCP-3125を6週間(42日)ごとに訪れなければいけない。

色々と説明がなされていますが中でも気になるのが
収容ユニットからの退出時に記憶処理剤が散布される都合上、
部屋に入った人間が部屋の中で得た情報を
外に持ち出すことが原則的に不可能となっている点です。

部屋の中で得た発見が持ち出せないなら
部屋に入ること自体に意味がないようにも思えるのですが、
その割に収容プロトコルの末尾には
反ミーム部門のメンバーが定期的にこの部屋を訪れることを
義務付ける一文が存在しているのがなんとも不可解です。

また不可解といえば
例の電卓の存在はもっと不可解ですね。

一見何らかのパスワード装置のように見えますが
報告書の内容を何度見返しても
ヒントになりそうな数字は見当たりません。

ここまでで得られた情報では
オブジェクトの正体を推理しようにも
圧倒的に情報不足なのは火を見るより明らかですが、
一体どうしたものでしょうか…

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ネタバレ

それが起こる時、’アイコンタクト’が為される時、あなたは殺されます。それはあなたを殺し、あなたと同様の思考を行う人間全てを殺します。物理的距離は無関係です、精神的な距離の問題です。同じアイデアを持つ人間、同じヘッドスペースを持つ人間。協働者を、研究チームの全員を殺します。

さてネタバレの時間です。

まず先ほどの電卓の答えは「55555」でした。

この数字にたどり着くヒントとしては
1. 5*5*5*5*5 = 3125であること
2. この報告書が反ミーム部門の「ファイブ・ファイブ・ファイブ・ファイブ・ファイブ 」というシリーズの1本目の記事であること
の二点がありますが、初見ででこれに気付けた人は相当のセンスの持ち主では無いかと思います。

そして、次に最も気になるSCP-3125の正体ですが、
これは一言でいうと「異世界に存在し、部分的に現実世界と交差している
非常に巨大かつ強力な感染性をもつ致命的なミーム複合体」
です。
(異常な情報のスープと言い換えてもいい)

SCP-3125に含まれているミーム(アイディア)は非常に強力で、
私たち普通の人間がそれに侵食された場合、
私たちの精神はそれに適応することができず
精神を全く別の形に上書きされてしまったり
あるいは私たち個人の概念自体が破壊されて
この世に存在していたという事実ごと
抹消されてしまうことも起こり得ます。

また報告書中には仮にSCP-3125が現実に完全に出現した場合、
ほぼ確実に12時間以内に全人類の思考が支配され、
“人類”やそれに付随する”文明””文化”・“社会”・“共同体”・“家族”などの
抽象概念全てが根こそぎ消滅し、
結果としてMK-クラス世界終焉シナリオを引き起こされることが予想されています。

そんな危険極まりないこのオブジェクトですが、
それにも増して恐ろしいのが
このオブジェクトに曝露する条件の緩さです。

まず世界にはscp-1425やscp-2828のように
SCP-3125の痕跡とも呼ぶべきいくつかのオブジェクトが存在していて、
それらは一見それぞれ無関係のように見えるのですが
反ミーム学の素養のある人間がこれらを組み合わせて検証した時
初めてSCP-3125の存在に気づくことができるようになっています。

しかし、かの有名な「深淵を覗く時〜」の格言のごとく、
SCP-3125を見ることは
SCP-3125から見られることを許すことにも繋がり、
すなわちSCP-3125の存在に気づくことそのものが
SCP-3125に曝露するトリガーとなってしまうのです。

かくしてターゲットを補足したSCP-3125は
ターゲット本人のみならずターゲットと
考え方やアイディアが類似する人間(同僚や家族など)にも連鎖的に影響を及ぼし、
それらの人々を殺害した上で、犠牲者に関する記憶を
世界から永久的に奪い去ります。

報告書中では過去に公的、民間含む400以上のミーム研究機関が
それぞれ独自の方法でSCP-3125にたどり着いた末に
その存在を抹消させられたことが推測されています。

そして話は戻るのですが
実は冒頭で触れた収容ユニットの中に
SCP-3125は存在していません。

それどころか事実は全くの逆で、
この収容ユニットの内部のみが
世界で唯一SCP-3125が存在しない場所であり、
同時にSCP-3125の影響から逃れられるセーフティゾーンとなっているのです。

収容ユニット退出時の記憶処理は
外部にSCP-3125の情報を持ち出すことによる
曝露を防ぐための処置であり、
収容プロトコル中の定期的な訪問の義務づけは
その中で担当者が(たとえ毎回記憶がリセットされるとしても)
SCP-3125に対する有効な対抗手段を研究し続けるための動機付けでした。

しかしそうなると真っ先に疑問に思われるのが、
「一体誰が最初に収容ユニットを建設したのか?」という点です。

SCP-3125の存在を認識することが
曝露のトリガーとなってしまうならば、
そもそもSCP-3125の対抗手段を考えることすらできないはずですからね。

この疑問に対する答えは
端的に言えば別の目的で建てた施設が
偶然SCP-3125への防御策になったというものなのですが
より詳しい背景の把握のためには
報告書最下部の補遺の中にリンクのある
以下のtaleを読むことをおすすめします。

CASE COLOURLESS GREEN

このtaleは報告書中の補遺2の文章を書いた
反ミーム部門主任マリオン・ホイーラーを主役として
彼女が強大なSCP-3125に立ち向かった一部始終を描いています。

SCP-3125が曝露時に現実に及ぼす影響が具体的に描かれており、
なおかつ一つの物語として見ても大変上質な内容でしたので
ぜひこちらもあわせてご覧ください。

感想

報告書自体の難解さもそうですが、
それにも増して認識しただけで精神をぶっ壊されるという
歴代でもトップクラスの無理ゲーぶりが強烈だったこのアノマリー。

こんなのが平気な顔でのさばっているというのだから
財団世界の住人は全く毎日が綱渡りのようなものですね。

第6位 : SCP-1968「世界を包む逆因果の円環」

金色の円環の写真
(▲不活性時のSCP-1968。注記:見掛け上のブレは写真の加工ではありません。)

SCP-1968 – SCP財団

オブジェクトクラス: Keter

俺は過去の無い亡霊なんだ。
アーティファクトを使って失うものなんて何一つ無いんだよ。

グリーンランドの石油化学調査中に
地下██Km地点より発見された
ブロンズ色の円環について書かれた報告書。

報告書中説明によると
人間がこの円環をある手順で操作した場合、
その人間に対し記憶の一部が現実と整合しなくなる
一種の記憶障害を引き起こすようです。

しかしその影響範囲の狭さに反して
オブジェクトクラスはketerであり、
さらには報告書の後半部分の閲覧には
O5の過半数の同意が必要であるとされ
これを無視した場合には終了措置も辞さないという
厳重なプロテクトがなされています。

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ネタバレ

この円環の持つ真の異常性を一言で表すならば
「円環を操作した人間以外の全宇宙を一瞬にして破壊し、
円環を操作した時点より少し過去の状態に構築し直す」

という、影響範囲が狭いどころか
全オブジェクト中でも最大クラスの広範囲に
影響を及ぼすとんでもないオブジェクトです。

これらの事実は報告書中の
[暗号化]以下に記載されている
以下の記述内容から推測することができます。

・被験者がSCP-1968を用いた実験後に実験時点より未来の情報を有していたこと。
・三度目の実験時に財団側と被験者側で実験回数の認識にズレがあったこと。
・SCP-1968の起動と同時刻に宇宙誕生時のビッグバンに匹敵するエネルギー変動が木星圏を含む各地で観測されたこと。

そんなわけでこのオブジェクトが非常にお手軽に
世界を滅ぼすことのできる超ド級の危険物であると知った財団は
関連するテストを全て無期限に中止し、
そのオブジェクトクラスをKeterからThaumielに変更します。

Thaumielといえば財団が自分たちの任務に役立てる
一種の「切り札」的なオブジェクトにのみ冠せられるオブジェクトクラスであって
こんな危険物にはふさわしくないようにも思われますが
実は財団はこのオブジェクトにある別の使い道を見出していました。

その使い道とはずばり、
このオブジェクトの使用者が
擬似的に少し手前の過去にタイムスリップできる特性を活かして、
世界終焉シナリオに対する窮余の策とすること。

無論、このオブジェクトを使った時点で
一時的に世界の滅亡が確定するわけですが、
その代わりに未来の記憶を有した人材を
一人だけ過去に戻すことができるわけで、
それによってその滅亡を回避する可能性が
生まれる(かもしれない)というわけです。

しかしながらこれは例えば
「一週間後に太陽が爆発する」といった
不可避の滅亡の前には
一時的な(しかも多大な代償を背負った上での)
結論の先送りにしかなりませんし、
第一報告書中の「最近の動向」でSCP-1968が
財団の予期しない動作を見せていることからも、
根本的に不確定要素が多すぎるプランだと言わざるを得ないでしょう。

そういう意味でもまさに
「諸刃の刃」といった感のあるオブジェクトですね。

感想

「カシミール力」やら「仮想粒子対生成」などの
難しい用語が山盛りなこの報告書でしたが、
その結論は全く予想の斜め上のものでした。

しかし仮にもしどうしようにも避けられない
人類の滅亡が目前に迫ったとして、
潔くその滅亡を受け入れるか、
あるいは滅ぶと分かった上でなお
このオブジェクトによる巻き戻しを繰り返すか、
一体どっちのほうが幸せなんでしょうね?

第5位 : SCP-2111「これが読めるなら…」

SCP-2111 – SCP財団

「これさえも誰も読めないの?」

SCP-2111をそれぞれ異なる内容で説明する
4つの反復からなる反ミーム部門に属する報告書。

反復によってSCP-2111が認識災害を生み出すアルゴリズムであったり
財団データベース内のディレクトリに出現する謎のメッセージであったり
あるいは敵対的な反ミーム実体であったりと描写がバラバラで
なおかつ反ミーム部門特有の専門用語もマシマシと
独力での読解にはかなりの苦労を要する内容です。

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ネタバレ

私の死後に残ったものは、私の物語だけ。

私の物語が収められているのは記憶の中だけ。そうでしょう?

あなた達は私を強く記憶しすぎている。

SCP-2111は反ミーム部門によって作成された
致死的な認識災害を無限に生成することができるアルゴリズムです。

…というのは「生きている側の」財団が出している表向きの解釈。

実際にそれを生成しているのは死後に
コンピューターを介してのみ現実世界とやり取りできる
幽霊のような存在になったかつての財団職員たちであり、
彼らは死んだ後も財団のネットワークに残留して、
ある理由からこうしたメッセージを生成し続けていたのでした。

そしてこの報告書を理解するもう一つの鍵が
1980年10月23日に殉職した財団エージェント、ミシェル・ユーです。

例によって死亡後に幽霊となった彼女は
「自分たち幽霊が、生前の自分たちを知っていた者たちの
記憶の中に閉じ込められた存在である」という強迫観念に囚われ、
自分たちを解放せよと彼女の意見に同調した
複数の幽霊職員を率いて
生前の彼女たちを知っていた生きている職員たちへの
認識災害を含んだメッセージによる攻撃を開始したのでした。

しかし幽霊職員の中にはこうしたミシェルの
過激な行動に反対の姿勢を示す良心的な職員もいて、
結果として幽霊職員たちは財団に敵対的なミシェル派と
財団に友好的な反ミシェル派の二派に分裂。
死者と生者の入り混じる壮絶な幽霊戦争が勃発してしまいます。

報告書中の第二の反復に記載されていた
財団施設内に出現したメッセージには
有害なものと無害なものが一緒くたになっていて
読み手を混乱させていましたが、
これらはそれぞれ反ミシェル派による攻撃と
反ミシェル派による警告が一緒くたになった結果だったわけですね。

そしてこの戦争は最終的に反ミシェル派が勝利し
首謀者のミシェルは無事消滅。

その後勝利した反ミシェル派はミシェル派の残党を吸収し、
幽霊として財団の任務を遂行する
機動部隊オメガ-0(”アラ・オルン”)を結成します。

幽霊の生み出すメッセージは
生者にとって認識することすら致命的であることから
生きている側の財団はその存在を認知していないものの
彼らは幽霊特有のミーム、反ミーム的脅威を知覚可能できる特性を生かし、
死してなお「戦友たち」を支え続ける道を選んだのでした。
(ちなみに彼らの生成したメッセージの一部は
その特性をミーム殺害エージェントなどに転用されていることが示されています)

感想

反ミーム部門は難解な報告書の宝庫であり、
読み始めるときはいつも身構えてしまうのですが、
この報告書も初見時は相当に頭が混乱しました。

しかしいざ読み終えてみると
まず幽霊になった職員同士の見えざる戦争というアイディアに感心させられ、
次にどんな時も財団の使命を果たし続けようとする
彼らのプロフェッショナリズムに思わず胸を打たれてしまいました。

その難解さに反して高いup vote数を誇る本報告書ですが
この内容であればそれも当然といったところですね。

第4位 : SCP-2998「異常放送、2485 MHz」

この文書には異常なまでに回復力のある情報災害が含まれており、それを取り除く全ての努力に対し抵抗する点に注意してください。いかなる方法であれSCP-2998文書を読もうとするならば、ユーザーは虚偽と欺きに溢れた一連の繰り返される文書を順にアクセスすることが強制されます。これらのファイルに最後まで目を通して下さい。正しい文書に達した暁にはその通知がなされるでしょう。御迷惑をお掛けして申し訳ございません。

— RAISA管理官、マリア・ジョーンズ

SCP-2998 – SCP財団

全部で10回に及ぶ反復で構成される長大な報告書。

最初の反復で示されるSCP-2998は
宇宙全体に偏在している異常な電気信号であり、
この信号に含まれていたデジタルビデオメッセージには
暗い部屋で浮かんでいる未知の人型実体が
苦痛を示す様子が描写されていました。

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ネタバレ

長いので、以下に各反復の要点を記載します。

反復1:財団が宇宙全体に偏在している異常な電気信号を発見する。

反復2:特定の神経パターンを持つ人々が送信に含まれる3次元立体データをデコードできることが発見される。

反復3:SCP-2998に曝露したDクラスへのインタビューにより、信号を送っていたのが異星人の社会の犯罪者(Ruhar)であり、彼らが “Adidal”と呼ばれる絶対的な存在によって永久に罰せられていることが示される。

反復4:送信が途絶する。その後SCP-2998に曝露したを経験のある8人のDクラス全員が事前にお互いに意思疎通を図ることが不可能な状況であったにも関わらずまるで打ち合わせをしていたかのように協力して財団の下から脱走する。

反復5:異星人の宇宙船が突如地球と月の間の位置に出現し、人間の精神を支配する信号を発射する。インタビューログの中で彼らの目的が地球からRuharを奪還することが判明する。またRuharが物理的な存在ではなく、ひとつのアイディア、思想のようなものであり、罰を逃れてある時点で地球人の心へ逃げ込んだことが示唆される。

反復6:財団による地球の防衛作戦が失敗する。地球はAdidalの支配下に堕ちる。Adidalは財団のデータベースにアクセスし、自らのメッセージを発信するために利用する。

反復7:生き残っていた財団エージェントたちがデータベース内の脚注を編集することによってお互いにコミュニケーションを取り計画を立てる。彼らはSCP-055(反ミーム)とSCP-579(超ミーム)を組み合わせることで何らかの破滅的な事象を引き起こす。

反復8:報告書が全て黒塗りになっていて読めなくなっている。

反復9:報告書の内容が全て消えている。これは反復7で起きた事象によって宇宙がリセットされたことを表している。

反復10:宇宙が反復1の時点までリセットされる。しかしSCP-2998のこれまでの反復は消えずに残っている。新しい宇宙の財団はこれらの反復を異常なデータだとみなし、前の宇宙で実際に起きたことだとは理解していない。よって再び信号が解読とそれに伴うAdidalの侵略、そして反復7での宇宙リセットのループが今後も延々と繰り返されることが予想される。

以上が私なりに整理した要点です。

とはいえ本報告書の解釈には人によって結構振れ幅があり、
かくいう私自身も実は上記の解説に確信は持てていなかったりします。

ですので、読解力に自信のある方はぜひ
独自ルートでの本報告書の解読に挑んでみてください。

第3位 コードネーム: Kalininの提言- 過去と未来

Kalininの提言 – SCP財団

議決録 – 監督会議ACTION #16-47 (“CON-5”)

以下の動議が提出された。2798-5の非常事態計画の発動により、世界人口に対し効果的自殺手段を配給し、SCP-001と利害関係にある一般人を助命させるべきか否か。

是: O5-3, O5-4, O5-7, O5-9, O5-10, O5-11

否: O5-2, O5-5, O5-8, O5-13

棄権: O5-1, O5-6, O5-12

結果: 動議否決

3位にはSCP-001の提言のひとつ、
Kalininの提言を選出しました。

難解なものが揃っているの001提言ですが、
今回私がこの提言を選出した理由としては
まず第一に単純に文章量が膨大である事、
第二にいくつかの別の報告書の前知識が必要な事、
そして第三にこの報告書自体の解釈が難しいといった点が挙げられます。

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ネタバレ

例によって結論から述べると
本報告書におけるSCP-001は宇宙の彼方のとある星に棲み、
別のアノマリーを生成したり異常を強化する能力を持った
人類に可能な限りの苦痛を与えたいと考えている知的生物の集合体です。

こいつらは全ての個体が一つのネットワークが繋がっていて
死ぬことも傷つくこともない永遠の絶頂とも呼べる状態にあるのですが
魂の調和を保つために他者の苦しみを必要としており、
そのために定期的に年老いた個体を
身体の切断などを含む宗教的な儀式を行った上で
惑星周辺の衛星に放逐するという残酷な風習を持っています。

そして地球の人類は大昔に
こいつらの星から逃げてきた逃亡者の末裔であり、
本提言では再び人類を自分たちの奴隷にしようと目論むSCP-001が
あれやこれやの攻撃を地球側に加える様子が描かれます。

報告書中ではSCP-001の精神攻撃によって
地球の人類が次々とSCP-001の元へと恭順していき、
あわや人類滅亡一歩手前みたいなところまでいくのですが、
最後章「ハシーとアウレリオ.pdf」にてさらなる展開が…
というのが本報告書の大まかな流れです。

最後の結末まで書いてしまうのは流石に無粋かと思いますので
結末が気になった方はぜひともお時間のある時に
本提言に目を通して財団とSCP-001との戦いの結末を見届けてみてください。

…それでもやっぱり長くて読む気しねーよという方は
以下の記事にて「ハシーとアウレリオ」の結末まで解説していますのでそちらにてどうぞ。

SCP財団最大のタブーであるSCP-001の全報告書31種を一挙解説!
2020-02-16 08:46:58

第2位 SCP-1730「サイト-13に何が起こったか?」

下り階段の踊り場の壁に書かれた「BLEED」の赤文字
(▲サイト-13の地下3階へ続く南西の階段にあるメッセージ。)

SCP-1730 – SCP財団

俺たちはそれを見つけた。
その前にそれがデイリー(Dailey)を殺すところを見ていた。

あいつの口の中に這い入って、次にどうなったかわかるだろう、デイリーは耳から血を噴いた。
そこら中に吐いて、ぶちまけた。
面白いくらいの血だったさ。

アメリカのメキシコ国境付近にある
ビッグベンドランチ州立公園に存在するひどく破損した建物群。

地上5階建て、地下15階建てで、
建物の構造や内部から発見された文章から
この施設は財団の施設「サイト-13」で
あった可能性が示されています。

…というのが本オブジェクトの概要ですが、
そんなことより圧巻なのはその圧倒的な文章量。

大量の折りたたみテキストが連立する報告書内の光景は
ある意味壮観です。

またこの報告書には既存の他の
報告書からの引用が多数含まれるため、
読み始める前に以下の報告書を予習しておくことをお勧めします。
事前に以下の報告書を読んでおくことを推奨します。

・SCP-001 クレフ博士の提言 – ゲートガーディアン
・SCP-001 ギアーズ博士の提言 – プロトタイプ
・SCP-553 – 水晶蝶
・SCP-963 – 不死の首飾り
・SCP-993 – ピエロのボブル
・SCP-1370 – 困らせルボット
・SCP-1500 – ザカリー・キャラハン
・SCP-2664 – レッドライン
・SCP-2845 – 鹿神様

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ネタバレ

どれくらい、ヘヘヘ、どれくらいの実体がサイト-13に飲み込まれたのかな?(笑う)
おバカなおバカな場違いなキミ、おバカな小さな子。
全てがサイト-13に通じてたのさ。

財団が何かを見つけ、連合がそれを捕まえたときには、この下の肉挽き機に食べられたのさ。
何もかもね。

何も得られなかったら埋めて隠してオシマイ。

ちょっと運がいいと、ボブルみたいに運がいいと、おもしろ箱に詰め込まれて遊ばれるのさ、おもちゃにされるのさ、実験されるのさ。
どんな声で死なせてって言うのか聞くためにね。

結論から言うと、SCP-1730は
別の並行世界の財団が所有していた施設であり、
本来は「ボディ・ピット」なる装置で
全てのオブジェクトを殺害して焼却処分するという
残酷な目的のために建設されたものでした。

この別宇宙の財団は基底世界の財団と違い、
SCPオブジェクトの保護ではなく
GOCと組んで徹底的に破壊する道を選択しており、
当時のサイト-13の主任だったエリオット博士の主導のもと
手当たり次第にSCPオブジェクトの殺害を行なっていました。

そんな中で新たにサイト-13に着任した
ベラ・ハドレーという女性の主任生物学者は
サイト-13の残酷な実態を知り強硬に反対したのですが
それを快く思わなかったエリオット博士の差し金によって
衆人環視の中ひどい暴行と辱めを受けてしまいます。

そして、そのことによって心に深い傷を負ったハドレー博士は
復讐のためかサイト-13内のアノマリーを暴走させ、
そのことで世界終焉の危機に陥った別世界の財団は苦肉の策として、
不安定ながらも物体を別世界に転送する機能を持ったスレッシャー装置を起動。

かくしてサイト-13は時空間の間を彷徨し、
その過程で規定世界へと漂着したのでした。

ちなみにサイト-13の残りの部分については
スレッシャー装置の不安定さ故に規定世界からさらにまた
別の世界へとジャンプしたものとされています。

感想

前例のない超ボリュームに一瞬戸惑ってしまうものの、
一度読み始めると一気に読み終えてしまう面白さのあったこの報告書。

気になったので開閉コンテンツを全て開いた状態で
ページ内の文字数を計測してみたところ、
その結果は脅威の71027文字でした(スペース含まず、日本語版)。

400字詰め原稿用紙にして実に177.5ページ分!

短編小説なら2、3本入ってしまうという
とんでもないボリュームだったわけですね…

なんというか、執筆おつかれさまでした。

第1位 SCP-3999「私は私に起きることすべての中心にいる」

SCP-3999 – SCP財団

では行こう、きみとぼくと
十一日帝国が空を喰らうとき
朝食のテーブルの上の蛤のように熔けるヒューマノイドのように。

「タローラン(Talloran)研究員」なる固有名詞が繰り返し登場する、
打ち消し線だらけのカオス極まる報告書。

徹頭徹尾およそまともな文脈と言えるものがなく、
SCPファンの間で難解な報告書についての話題になると
ほぼ100%名前が挙がる有名な報告書です。

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ネタバレ

自力での理解は早々に諦め、
ディスカッションや色々な解説サイトを巡って得た私なりの結論は、
「scp-3999は強力な現実改変能力を持つアノマリーであり、
報告書の内容はそのscp-3999に唯一対抗できた
タローラン研究員とscp-3999との戦いの記録である」とするものです。

というかこの解釈は日本支部のディスカッションにあった
以下の素晴らしい考察を手短に言い換えただけです。

・極めて強い現実改変性を持つSCP-3999がタローラン研究員を除くすべての現実を改変したが、タローラン研究員もまたSCP-3999の現実改変能力を利用して三百万年相当におよぶ互いへの攻撃的現実改変を行い、最終的にタローラン研究員は命と引き換えにSCP-3999を無力化した

・SCP-3999は悪夢を見させるKeter実体であり、タローラン研究員に三百万年相当に及ぶ悪夢を見せたが、タローラン研究員は自らの悪夢を制御することで抵抗し、最終的に命と引き換えにSCP-3999を無力化した

・作者はいくつものSCP記事のアイデアを考案したが、統合できず、しかしその中には常にタローラン研究員という「主人公」がいた。仕事中や日常生活の中でもSCPとタローラン研究員のアイデアは離れず、最終的にそれらすべてを「悪夢」と「現実改変」という二つの要素を統合させることで混在させた、混沌としたSCPオブジェクトとして完成させた、というメタ的ストーリー

という三つのアイデアがどれが主体ということもなく混在していると解釈しました。
「果てしなく続く悪夢」のイメージを現実改変によって表現し、さらにメタ的なオチをつけるという手法は是非が分かれるとも思えますが、ユニークですし、だからこそ高評価を獲得したのでしょうか。

「十一日」というフレーズは、作者がこのSCPを書き上げるのに十一日かかったことを示しているのかな?

最初報告書を読んだ時は数行で脳が理解することを拒みましたが
この解説を読んでようやく筋の通った解釈を得ることができました。

また、内容の解説は行われていませんが
本家ディスカッションに他ならぬ原著者である
LordStonefish氏のコメントが掲載されていたため
こちらも併せて引用します。

これは私についてのSCPです。LordStonefish。

これは私のこのコミュニティに対する依存についてのSCPです。

これは私の魂についてのSCPです。

これはほとんどSCPの体をなしておらず、諸々の理由で反対投票されるべきものです。

これには同様に私の自伝的作品であるSCP-2432の抜粋、DjoricによるSCP-2845、およびJKローリングによるハリーポッターと賢者の石、そしてレノン/マッカートニーによるPenny Lane(楽曲名)が含まれています。
ジェイムスジョイスによるフィネガンズ・ウェイクのセクションを含めたかどうかは思い出せませんが、これもクレジットしておきます。

メンタルヘルスの理由により、おそらくこれが私がこのサイトで行う最後の仕事になると思います。

良い友達でいてくれてありがとう。これからは下級スタッフの一員としてできる限りのお手伝いをするつもりです。
たまにはチャットに顔を出すかもしれません。でもこのサイトのためにまた大作を書くことはないでしょう。それは私にとって良くないことだから。

(This is an SCP about me, LordStonefish.

This is an SCP about my addiction to this community.

This is an SCP about my psyche.

This is barely an SCP and should probably be downvoted for a number of reasons.

This contains excerpts from SCP-2432 by me, which is also autobiographical, SCP-2845, by Djoric, as well as Harry Potter and The Philosopher’s Stone by JK Rowling and Penny Lane by Lennon/McCartney. I can’t remember if I included a section of Finnegan’s Wake by James Joyce, but I will credit it anyway

Due to mental health reasons, this will most likely be the last thing I make for the site.

Thanks to everyone for being such good friends. I will remain as a slow, chill member of Junior Staff, helping out as best I can. I’ll probably still be in chat once in a while. But I cannot write anything big for the site any longer. It’s not good for me.)

本報告書を最初に読んだ時に感じたのは
滲み出るような「狂気」でしたが、
そこにはここで語られているような
LordStonefish氏の精神上の問題が少なからず関わっていたのでしょうか。

ともあれ、一読者としてはLordStonefishが
健康な生活を取り戻せていることを願うばかりです。

最後に

そのようなわけで、
私daimaの選ぶ、SCP至上最も難解な報告書ベスト10でした。
お楽しみいただけましたでしょうか。

今回ご紹介した報告書などもそうですが、
SCPを読み漁っていると往往にして
「これ書いた人、どんな脳の作りしてるんだよ」と
突っ込みたくなる報告書に出会うことがあります。

大げさな言い方ですが、人間の可能性というか
ある種想像力の限界みたいなものを感じてしまいますね〜。

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